SCENE 5


GM:で,取り残された晟のシーンだけども。
晟:おっそいなぁ,遙ちゃんは!
悠貴:まだ待ってたんだ? 偉いね。
遙:でいつまでも帰ってこない(笑)。
GM:イライラしながら教室で待っている君が窓からふと校庭を見ると,てくてくと歩いていく3人が(一同笑)。
晟:あ,あれっ?
尚也:すっかり忘れ去られているな。
晟:あれは,尚也さんに藤原さん……藤原さんはさっき,僕の味方をしてくれるって言ったのに……。
悠貴:それは誤解。味方だってばさ。
晟:(聞いてない)仕方ないので追いかけますよ。荷物まとめて。
GM:そうそう。遙がすっかり忘れていってる鞄も持ってね。
遙:……ああ。そう言えば。
一同:(爆笑)
ユウキ:おまえはホントに高校生か!?
遙:あははは。大丈夫です,何とかなるのです!
尚也:それは何とかなるのではなく,晟に何とかさせるのだろうが。
晟:(眉間にシワ)……しょうがない。二人ぶんの鞄と,それから課題のレポートも忘れないように持って教室を出ます。
GM:そうすると,階段の踊り場のところにだね。
晟:やっぱり,誰かに会うんだ?
GM:うん。見たくもない人が立っている。
晟:どれ?
GM:は?
晟:だから,どの「見たくもない人」だよ。そんなんぎょーさんおるわい。
一同:(笑)
GM:そうだね,君の「見たくもない人」ベストスリーには入る人かな。
尚也:わざわざランキングつけとったんか。
晟:えーとね,とりあえずちーさんとモドキちゃんが微妙かな。同率一位かなァ(笑)。
ユウキ:じゃあ3位は誰だよ。
晟:3位は楓かな。あー,でも実際に会ったことはないからな。泪かもしんない。
悠貴:見たくないんだ(笑)。
晟:見たくない(笑)。
GM:じゃあ,泪と同じくらい見たくもない人かな……。
晟:え? 誰?
ユウキ:ということは,父親だろう。
GM:何年ぶりの再会かなぁ。
遙:確か13年ぶりなのです。
晟:え……。
GM:というわけで,おひさしぶりです! おとぉさんだよぉ!
晟:おのれのような父親はいらんわああッ!?
一同:(爆笑)
晟:(いきなり遠い目)……あー……いや。しかしよく考えてみたら僕はとーさんの顔なんて覚えていないはずで……。
ユウキ:それだけ同じような顔してりゃ,関係ねえだろうが。鏡見ろよ。
遙:それに,きっと泪さんが写真いっぱい見せてくれたはずなのです!(注:彼女に邪気はない)
晟:…………。えー,ではしばし固まってその男を見上げておりますが……実際,どんな感じなんです? 今35歳でしたっけ?
ユウキ:きっと年とってないんだ。そういう家系だから(笑)。
GM:全く年とってないってことはないけど,やっぱり若いね。20代後半くらいに見える。てか,泪だってそんなに老けてないだろ?
晟:だね。心労は多いと思うんだけどね(笑)。
GM:実はあのメンバーって一部を除いて皆若作りなんだ。気が若いから(笑)。
悠貴:一部って?
ユウキ:大谷だろう。
尚也:気の毒に。
GM:まぁそれはおいといて。彼は柱に背を預けて腕を組み,じーっと君を見下ろしている。
ユウキ:……微妙にムカツクポーズだな,それ。
晟:えーと,念のため,後ろを振り返ったりしてみますけど。
GM:廊下には君しかおらんて。
晟:えーと……では階段の下まで歩いていって……失礼ですが,どなたを待ってらっしゃるんでしょうか?
GM:するとそれには答えず,いきなりふううう……と重ぉいため息をつく(一同笑)。
晟:…………。
ユウキ:(←何故か微妙に嬉しそう)な,ムカツクだろ? やられてみると俺の気持ちがわかるだろ?
晟:……てゆーかため息つきたいのはこっちの方なんですけどね(怒)。
GM:彼はぼそっと何か呟いている。何を言ったかは〈知覚〉で……あ,いいや。聞けたことにしてあげよう。
晟:何て言ってるんです?
GM:「……これが『俺』だと? よりにもよってこんな軟弱な奴が……」と言っているようです。
一同:(笑)
晟:(しばし沈黙)……てぇんめえ,もう一度言ってみやがれえええッ!?
ユウキ:な,ムカツクだろ?(笑)
晟:これが父親ですよ,父親っ! どーなんです,これ!?
尚也:宮本武蔵みたいな家庭だな。
遙:いやぁ,こんな感じだよ。俺もよくやられたし……とお父さんが言ってるです(笑)。
晟:……ちなみに,念のためお伺いしますが。13年前に妻も幼い息子もほっぽりだして出奔した挙句,ぷっつり音信不通だった新条楓さんご本人ですか?
GM/楓:「ずいぶん他人行儀な言い方だな。まぁそうだが。……時に晟」
晟:何です?
GM/楓:「……泪はどうしてる?」
晟:(プレイヤー,思わずダイスをテーブルに叩きつける)
GM/楓:「…………?」
晟:……自分で確かめりゃいいでしょ,そんなもんはッ!
一同:(爆笑)
遙:まったくだ(笑)。
ユウキ:電話1本かけりゃ済むことじゃねーかよ!
GM:ちなみに楓は多少困った表情で,「今さら行けると思うか?」とか呟いてますが……。
晟:黙れ! 情けないにも程があるわ,この馬鹿親父が!
尚也:まったくだな。
悠貴:やっぱり親子だー(笑)。
晟:やっぱりたぁなんですか! 僕は家庭にはちゃんと責任とるつもりです!
尚也:とか言ってる奴ほど将来家庭をほっぽってほっつき歩いたりするわけなんだな。
晟:だからぁ,勝手に決めないでくださいよ(泣)。
遙:そうか……それで私が泣かされるわけなんですね……。
晟:遙ちゃんまで何言うのッ!?
悠貴:(ぽん,と肩に手を置き)どうしたの? また晟がどっか行っちゃったの?
遙:そうなんですぅ。行っちゃったんですぅ!
晟:だから,ちょっと待ったらんかいっ!?
ユウキ:(ぼそっと)そんなこんなが愛に変わって一夜の間違いが起こるわけなんだな。
晟:…………。
悠貴:冗談です。そんなマジに睨まれても困るんだけど(笑)。
GM:アレだよなー。泪・楓・大谷間の修羅場再び?
一同:おいおいおいおい!?(爆笑)
GM:あー,まぁそれはともかく話を戻したいんだが(笑)。
晟:あーはいはい,わかりましたよ,かーさんですね。健康状態に問題がないという点においては一応元気ですよ。
GM/楓:「そうか」
晟:まぁ僕としてもね。「帰ってこい」とは口が裂けても言えないわけなんですけど。
GM/楓:「俺も帰る気はないが」
晟:はいはい,そうでしょうね。で,結局どこで何してるんですかアンタは。
GM/楓:「今は言えん。……そうだな,『決着をつけにきた』とだけ言っておこうか」
晟:誰と。
GM/楓:「……まぁ色々とだな。おまえごときにはわからんこともある」
晟:…………。
遙:「ごとき」ときたよこの人(笑)。
ユウキ:な,やっぱムカツクだろ。
晟:……あー,そうですかそうですか。一応,仮にも,妻と息子は「決着つけること」には入らないわけなんだ。ふーん,そうですか。
GM/楓:「……時に,ここに来るまでの間に」
晟:話そらさないでくださいよ。
GM/楓:「……松山の奴が死んだと聞いたんだが」
一同:(再度爆笑)
遙:今度は光を殺してるよこの人!(笑)
ユウキ:まぁそりゃ,確かに一度は死んだわけだが。
晟:とーさん……光さんは一応生きてます。
GM/楓:「何だ,生きてるのか」
遙:生きてちゃ悪いんかい!(笑)
晟:アンタねえ……。
GM:いや,口ではそう言ってるけど,微妙に嬉しそうですよ。
晟:……ひとつだけ訊いてもいいですか?
GM/楓:「何だ?」
晟:何で今日ここに来たんですか?
GM/楓:すると周囲を見まわしながら,「……懐かしかったからかな」
晟:学校が?
GM/楓:「ここは,あまり変わってないな」
晟:(冷たく)それだけですか。
GM/楓:「あと強いて言うなら,おまえに会いに来た」
晟:「強いて言うなら」ですか。
GM/楓:「まさか一人でいるとは思ってなかった。だから声をかけてみる気になったんだが」
晟:……まぁいいですけど。ちゃんと所長のとこには顔出したんでしょうね。
GM/楓:「行ったが,不在だった」
晟:はあ? 待ってりゃいいでしょうが。
GM/楓:「あれは別にいいんだ。またそのうち連絡をとればいい」
晟:そうやって所長と二人でこそこそやってると,かーさんが拗ねますよ。
ユウキ:(ぼそっと)もうとっくに拗ねてると思う……。
GM:楓も「今さらそんなこと言われてもなぁ」という顔をしてる(笑)。
晟:あーそうですかいそうですかい! で,用事がなければ僕はこれで行きますからね。では,お会いできるのもこれが最後かもしれませんが! どうかお元気で!
GM/楓:「ああ,おまえも適当にやっておけ。『継承』の方も何とかなったようだしな」
晟:はい!?(一同笑)
GM:と言って,楓はすたすたと去って行こうと……。
晟:待て待て待て! 待ったらんかい,この馬鹿親父!(笑)
GM/楓:「煩い奴だな。今度は何だ」
晟:何だ,じゃないでしょうが。「継承」って何のことです!? あの青い宝石のことですか? 何か知ってるんですか?
GM/楓:「そこまでわかってるんじゃないか。ならいいだろう」
晟:よくない! 知ってるんなら教えてくれたっていいでしょう!
GM/楓:「そのうち自分でわかる。俺もそうだったしな」
晟:だから,そうじゃなくて……あーもぉ,この際ですから所長んとこに電話します!
GM:え? すると,「はい,もしもし?」と答えがあるけど。
晟:あ,所長? あのですね,今とーさんが……。
GM/紫音:「あー,俺,俺。大谷じゃないよ」
晟:あれ,紫音さん? 局長は?
GM/紫音:「大谷は外出中。一年に一度の大事な行事でね」
晟:まさか,キルスさんに拉致られたわけじゃ……。
GM/紫音:「だから,行事。キルスのは,ありゃ日常茶飯事」
晟:……日常茶飯事ってアンタ。
GM/紫音:「で,大谷に何か用だったのか」
晟:ああ,それが今,どこからともなくウチのとーさんが出現しまして……。
GM/紫音:「ああ知ってるよ。さっきここに来たよ。丁重にお帰り願ったけどね」
晟:どうして?
GM/紫音:「ここには泪がいたんでね」
晟:いたんでね,って……。
ユウキ:だったら会わせりゃいいだろーが!(笑)
遙:まったくだ!(笑)
GM/紫音:「いや,だってあの二人を会わせたら,どーなるか目に見えてるだろ?」
晟:やらせときゃいいんですよ! だいたいね,きちんと顔あわせてさっさと破局しときゃ,僕が迷惑こうむることもないんですがね!
悠貴:破局決定なんだ(笑)。
尚也:まぁ傍から聞いていると,破局しかないだろうという気がするが。
ユウキ:(ぼそっと)問題は,そこで素直に破局しなかった場合か。
一同:(寒い沈黙)
晟:…………。
遙:……う,うわぁ……(笑)。
GM/紫音:「まぁそういうわけなんで,俺としては会わせたくないわけなんだけども」(笑)
晟:わ,わかりました……というわけで電話を切るんだけども,その時にはもう楓はいなかったりするんだろうなぁ。
GM:毎度のパターンですな(笑)。では,こんなところでシーンをきります。

 

SCENE 6


GM:では,シーンを3人に戻します。シーンプレイヤーは……そうだな,遙で。紫音に呼ばれたのは遙だしね。
晟:あ,GM。《ハンドリング》で登場してもよろしいでしょうか?
GM:え? それってたまちゃんで登場するってこと?
晟:そう。晟本体は出ないです。
遙:ちなみに私はたまちゃんをぎゅーと抱きしめているのです。かわいー。
晟:あ,胸の感触が……♪
ユウキ:おまえ,それじゃただのエロガッパじゃねーか!
晟:(聞いてない)ときめきときめき。
遙:(聞いてない)かわいー,かわいー♪
悠貴:ところで遙ちゃん,鞄は?
遙:…………。ほえ?
尚也:つまり忘れてきたわけなんだな。
遙:えーと……大丈夫なのです! 後でとりに戻るのです!
晟/たま:(甲高い声で)「ダイジョウブ,ダイジョウブ! アキラガモッテクル!」
遙:ほら,たまちゃんもそう言ってるのです。
尚也:言わん言わん。
遙:ほえ……(たまちゃんに)あきちゃんが鞄持ってきてくれるですか?
晟/たま:「モッテクル,モッテクル!」(笑)
遙:て言ってるのです。
悠貴:……何かこのオウム……急に言葉遣いが流暢になってない?
遙:そうですか?
晟/たま:「コマカイコトハキニスルナー!」
悠貴:(尚也に)……なってますよね?
尚也:怪しいな。
晟/たま:「アヤシクナイ,アヤシクナイ!」
悠貴:怪しいよ!(笑)
遙:たまちゃんが怪しくないって言ってるんだから,きっと怪しくないのですよ。
尚也:自分のことを怪しくないと言う奴が一番怪しいんだぞ。
晟/たま:「コマカイコトハキニスルナッテイッテルダロー!」(笑)
尚也:…………。
悠貴:(首をかしげている)と,ともかく先を急ぎませんか。UGNでも待ってるでしょうし。
GM:えー,ではUGNなのですが。
遙:こんこん。こんにちはー,松山遙なのですが。
GM:そうすると中から「開いてるよー」と投げやりな声がする。
遙:ほえ? お邪魔しますのです。
悠貴:藤原悠貴,入ります。
尚也:同じく,上杉尚也です。
GM:ちなみにいつもの所長室なんだけど,デスクの向こうに偉そうにふんぞり返ってるのは,紫音ですね。
遙:あれ? 所長はどうしたのですか?
GM/紫音:「ああ,1ヶ月間俺が所長代理だから」
悠貴:ええと……先ほど電話くださった方ですよね?
GM/紫音:「久遠紫音だ。よろしくな」
遙:ええと,大谷さんはどうしたですか?
GM/紫音:「年に一度,急にいなくなることがあるんだ。俺はその間の留守をまかされてるわけで」
悠貴:そんなことしていいんですか? 急にいなくなるなんて……。
尚也:あらかじめ代理を頼んでいるということは,計画的なんだろう。「急に」ということでもあるまい。
GM/紫音:「いや,突発的」
尚也:……そうなんですか?
GM/紫音:「俺も大変なんだよ」
一同:(何となく疑わしい目)
GM/紫音:「……それはともかく,本題に入りたいんだが……その前にもう一人呼んであるんだ。今迎えに行かせてるから,ちょっと待っててくれ」 ……ということで,ユウキくん登場してください。
ユウキ:はーい。
遙:あれ? ゆーちゃんなのです。
GM/紫音:「藤原とは初対面だな。市外に住んでいるオーヴァードでな,草薙ユウキだ」
遙:(横から)ゆーちゃんなのです。
悠貴:えーと……よろしく。藤原悠貴です。
遙:こっちはゆーきちゃんなのです。
ユウキ:ああ……まぁよろしく。
遙:それでこれがたまちゃんなのです!
晟/たま:「ダメ人間! ダメ人間!」(笑)
ユウキ:でやがったな,このバカ鳥!
遙:ああっ,ダメなのです! たまちゃんをいじめちゃダメなのです!
ユウキ:そんなに焼かれてーか,ああ!?
遙:(ぴょんぴょん飛びあがるポーズ)ああっ,返してくださいなのです! かわいそーなのです!
尚也:(淡々と)いや,それ絶対ただのオウムじゃないし。
晟/たま:「ハナセー! ナニヲスル,コノカンガエナシノランボウモノー!」
ユウキ:てゆーか見てるだけでムカツクんだよ!
晟/たま:「ハナセッタラハナセー! コノヤバンジン!」
ユウキ:こいつ晟の生霊でも憑いてるんじゃねえのか!?
尚也:(淡々と)多分憑いてるよ。
遙:(聞いてない)ダメなのです! そんなことしたら炎出しちゃうですよ!
ユウキ:おう,せっかくだから美味い焼き鳥にしてもらおうじゃねえか。
遙:にゃー!? ダメなのですー!
悠貴:おーい,いいかげんにしなよ(笑)。ほら,ユウキくんもオウム放してあげて……。
晟/たま:「モットマシナモンクエヨ,コノカイショウナシノビンボウニン!」
ユウキ:何だとこのヤロウ!?
悠貴:オウムも少し黙りなさい!(笑)
尚也:わかったわかった。話がややこしくなるので,こうしてクチバシを縛っておこう。
晟/たま:「ムグー!?」
遙:ああっ,かわいそうなのです,かわいそうなのです!
GM:では一連のやり取りをぼーっと見つめていた紫音が,「……おまえら,余裕あんなー」
悠貴:い,いや,そういうわけではなく。
遙:放してあげてくださいー!と言ってロープに火をつけるです。
尚也:でもそれが羽に燃え移ってます。
一同:(爆笑)
晟:やめてー! じたばたじたばた!
ユウキ:おお,こんがり焼けてうまそうじゃねえか。
遙:ああっ,大変なのです! すぐ冷たくするのです!
GM:そうしたら今度は氷漬けになりました(笑)。
尚也:これで静かになったな。
晟:あう……。
GM:というわけで話進めます。全員そろったところで,UGN地下の研究室に連れて行かれます。かなり広くて,機材や端末でいっぱいです。レネゲイド・ウィルスの研究施設みたいですね。
悠貴:具体的に何やってるんですか?
GM:それは専門的すぎてよくわかんないんだけど,こないだ渡したユウキの薬なんかもここで作ってるみたいです。そうそう,ユウキはあの薬,ちゃんと飲んでた?
ユウキ:飲んでねーんじゃねえ?
GM:……そうなの?
ユウキ:そのへん,根っからいいかげんだからなぁ。
悠貴:薬は,ちゃんと分量守って飲まなきゃダメだと思うけど……。
ユウキ:でも,面倒くせえしなぁ。そもそも,うさんくせえしなぁ。
GM:ほほう? じゃあ訊くが。君は一体,どれくらいの割合で飲むのをサボりましたか?
ユウキ:いや,多分毎日ちゃんと飲んでたんじゃねえかなぁ!
一同:(爆笑)
晟:あー,日和った。潔くなーい。
ユウキ:これ以上基本侵蝕値を上げられるのは避けてえ! 40超えちまう!
GM:じゃあペナルティはなしとしよう(笑)。で,紫音はそのへんの棚からとった薬をぽーい,とユウキに渡して,「ほい,追加分」
ユウキ:ああ? これ,前と同じ薬か?
GM/紫音:「ああ,同じだよ。ロットが違うけど」
ユウキ:……あ?
GM/紫音:「こないだのヤツの,発展形ね」
ユウキ:…………。
悠貴:「発展」ってとこが微妙に不安を誘いますね……。
ユウキ:……これホントに安全なんだろうな。
GM/紫音:「ああ。だって今まで死んでないだろ」
ユウキ:おい。
GM/紫音:「だいたいだな,(と,ユウキの袖をまくって)このくらいで済んでるのはこいつのおかげなんだぞ? 少しはありがたく思えよ」
ユウキ:…………。
悠貴:……何か病気なんですか?
ユウキ:そんなんじゃねえよ。
GM:紫音は「ああ,病気病気,とっても病気」とか投げやりに言いながら,別の棚から薬の袋を出してきます。「おら晟,おまえも飲め」
晟:え……僕,今オウム……。
GM:ええ。オウムに投げつけてますよ。
一同:(爆笑)
ユウキ:ふーん,そうか。そういうことか。よーくわかった。
晟:ボ,ボクオウム! ボクオウム! クスリノメナイ!(笑)
GM/紫音:「ざけんな晟。覗き見してんのはわかってんだよ」
悠貴:(横で頷いている)な,なるほど。
尚也:そういうことか。
遙:えっ!? あきちゃんが,あきちゃんが……オウムになっちゃったですか!?
尚也:いやそーでなく。
遙:違うですか? じゃあたまちゃんとあきちゃんはどうしたのですか?
悠貴:え,えーとね(笑)。
晟:いやいや,これには色々と事情がありまして……。
ユウキ:ほーぉ。どういう事情だ?
晟:えーと。
ユウキ:さっきはよくも好き放題言ってくれたなぁ,晟ぁ?
晟:みーっ! 遙ちゃん,へるぷみー!?
尚也:待て待てユウキ。殺るなら本体を殺ろう。
晟:みーっ!?
ユウキ:ああ,そうだな。本体だな。殺るなら本体だな!
悠貴:(苦笑)あ,あのね。あんまり暴力はね。
遙:ゆーきちゃんゆーきちゃん,今度はあきちゃんが死んじゃうですか!?
悠貴:だからそうじゃなくてね!(笑)
晟:ま,まぁ話を元に戻しませんか皆さん! それで,その薬は何なんですか,紫音さん。
GM/紫音:「そうだな。おまえと遙は話に聞いてるかもしれんが……」
晟:例のレネゲイド・ウィルス抑制剤ってヤツですか。
GM/紫音:「そうだ。水上グループに協力してもらってな。まぁ発展形ってヤツだな」
晟:だからその「発展」が不安を誘うんですけど……。
遙:……は。水上ってことは,真ちゃんその2が携わっている?
一同:(爆笑)
GM:あ,そうですね。実はガラス壁の向こうに白衣の集団がいるんだけど,その中にヤツもいます。まじめに研究しているようです。
晟:まじめって……。
GM:たまに踊ってるけど。
尚也:だから,どんなんだそれは!?(一同再度爆笑)
遙:きゅっきゅっきゅっきゅっ……♪
尚也:アンタも踊らんでいいから!
GM:うん,そんな感じ。
一同:そんな感じなんかい!?

 ちなみに遙ちゃんが踊っていたのは,『どこで○いっし○』某白ネコの謎の踊り。
 擬音はホントに「きゅっきゅっきゅっきゅっ」である。

晟:(滝のような涙)あ,あの,ほんとーに安全なんですかこの薬!?
GM/紫音:「さあね。だが,飲まなきゃ死ぬぞ」
晟:……だいたい,ユウキさんが飲まなきゃならないというのはわかりますけど,何で僕が?
ユウキ:ほーお? そんなに思い出せないんなら,思い出すまでどついてやってもいいんだぞ。
晟:いえ結構です。
GM/紫音:「あるいは,思い出すまでまたあそこに縛り付けられてみるか?」
晟:結構ですってば!
GM/紫音:「そーんなにじっくり調べて欲しいのか?」(笑)
晟:やめんかこの変態。だいたい,その結果がどうなったかって,僕教えてもらってないんですけど。
GM/紫音:「ああ。今日これから教えるつもりだったからな」
晟:…………。
GM/紫音:「でも,おまえが来てないんだったら仕方ないよな」
晟:…………。じゃあそこでドアを開けます。
GM:うわホントに登場しやがった(笑)。
晟:(無視)んでつかつかと紫音に近づいていきながら,さりげなーく遙ちゃんと藤原さんの間に隠れます。
遙:あ,あきちゃんなのですー。あきちゃーん。
晟:遙ちゃーん(と,言いつつこそこそ)。
悠貴:なんだ,晟がオウムになったわけじゃなかったんだね。
遙:みたいなのです。
晟:ですです(こそこそ)。
GM:……それは,そっちの悠貴を盾にするって言ってる?
晟:え? そ,そんなことはないですじょ?
悠貴:やめてよ! 【肉体】1しかないんだから!
晟:僕もですよ。
悠貴:おや? 一緒?
晟:(頷いて)いっしょいっしょ。
GM:2人とも薄っぺらいなー(笑)。
尚也:どうでもいいが,必死に話をそらそうとしてないか,晟?
晟:そ,そんなことはないですじょ?
GM/紫音:「とりあえず,全員揃ったんなら,そこの3人についてまとめて説明しようか」
悠貴:3人?
GM/紫音:「ユウキと晟と遙だよ」と言って,今度は隣の部屋に連れていかれます。そこは端末がいくつかあるだけの殺風景な部屋なんだけど,そのうちのひとつを起動します。「で,かいつまんで話すとだなぁ」ということで,まずは遙の情報。
遙:はいな?
GM:基本的にはオープニングで話したことと同様。追加情報としては,炎華姫はかなり若い頃に子供をもうけて,そのまま戦いで死んじゃってるらしい。
遙:あのー,で,「戦い」って何の?
GM:えーと,だから「この世ならぬもの」との戦い。
遙:あう?
GM:まぁ話を戻すけど,明日香のお母さん,つまり君にとってのおばあさんだね。この人はいまだ健在です。ただし普通の人だけど。
遙:普通の?
GM:直系でも力が発現するかどうかは定かではないようだ。でも今のところこの人が茶山家の当主で,東北の本家を守ってます。で,次,ユウキ。ユウキの家系なんだけど,これはよくわからない。
ユウキ:は? 俺に家系もへったくれもあるのかよ。
GM:一応洗ってみたらしいよ。何故かっつーと,君の例の右腕。あれはレネゲイド・ウィルスの力によるものではないのだよ。
ユウキ:な,なにい!?
GM:ある意味,同じ家系ではないにせよ,茶山家に伝わる異能と同じ系統の力と申しますか。
ユウキ:(呆然)よりによってこいつと同じ力なのか!?
GM:驚くのはそこかよっ!(笑)
晟:(ぼそっと)なお,この物語は『ダブルクロス』であって『異能使い』では……。
GM:うるせい。アレが発売される前から考えてた設定なんだい。

 てゆーか,ダブルクロスでそーゆー設定考えること自体が変じゃねえか?(笑)

晟:とりあえず「異能」という言葉を何とかしようか(笑)。
尚也:じゃあ超能力?
悠貴:それ,何かありがたみがない……。
尚也:じゃあ異常?
一同:(笑)
遙:異常なのですか!
ユウキ:単に「力」とか「能力」とか。
晟:「能力」と書いて「チカラ」と読む例のアレ。
GM:もう何でもいいけどさぁ。
晟:「オーラ力」と書いて「おーらちから」と読む。
GM:だから! 他の人と異なる能力なんだから異能力! これでいいだろ!
尚也:常人と異なるから異常だろう。
一同:(爆笑)
遙:異常はイヤです……(泣)。
ユウキ:もういっそのこと血継限界とかにしちゃえば?
GM:ぐふう!
晟:……けっけいげんかいって,ナニ?(←ジャンプ系にまったく造詣のない人)
GM:いや,俺もよくは知らないけどさ。NAR○TOだっけ?
ユウキ:そうそう。だから,主人公の……。
尚也:異能でも異常でも何でもいいから,とりあえず続けてくれ。
一同:(笑)
GM:うう。進めます(泣)。茶山家の記録によると,平安・室町末期あたりにだね,人外のものがいたらしい。
尚也:鎌倉は?
GM:今日はツッコミ厳しいですね尚也サン(泣)。でまぁ,茶山家は炎華姫の時代から,それと戦いつづけてきたらしい……ってこれさっき言ったっけ。
遙:言ったような,言わないような?
GM:えーと,まぁユウキもその血統が混ざってるんじゃないかと……。
ユウキ:さっき俺の家系はよくわかんないとか言ってませんでした?
GM:言った。いや,ユウキの力は結局同系統なんだよ,ということを言いたかっただけなんだけど……てか,マジで何の話してたかわかんなくなったじゃないかよぉ!

 すまん,私ももはやまとめることを放棄した(笑)。
 大変わかりにくいとは思いますが,どうか悪しからずご了承のうえ,続きをお読みくださいませ(と,あらかじめ予防線あるあたり……)。

尚也:つまり,血統というか,DNAによって受け継がれた力ということなんだろう。
GM:ああ,そうかも。そこへ近来レネゲイド・ウィルスが入ってきちゃって,その発現確率が高まったりしたらしい。
尚也:なるほど。先天性異常に後天性異常が加わって,さらに悪化したということだな。
一同:(笑)
GM:ま,まぁあってはならない力というか,現代において必要のない力というのは,確かだけどな。
ユウキ:いや,必要だ。普通のやり方じゃ,あのモドキ野郎には勝てねえ。
晟:ある意味必要になったから発現したんじゃないの? そんなもんでしょ。
遙:おや? つまり「敵」がいるから発現したってことですか?
GM:その通りです。で,あと例の宝石なんだけど,あれも茶山家の文献に残ってたらしい。端的に言うと,力を固定してブーストするもののようだ。これ,UGNでも解析してるんだけど,現代の科学ではどうにもならんシロモノらしい。最初はウィルスが結晶化したものとかも思われてたらしいけど。
晟:それにしては,でかすぎ。
GM:だね。だから全然違うものらしい。でも,違うものとしかわからないと。
晟:へー。
ユウキ:へー(と言いつつ机を叩きだす)。
一同:(一斉に机を叩く)へー。
GM:えー,資料によりますと,って何やらすんだよ!(笑)
尚也:そもそも何の資料だ。
GM:だから茶山家に残ってる文献だってば。
晟:資料というか,歴史の「史」を書く「史料」やね。
ユウキ:それはつまり民明書房か?
晟:それは史料つーか,偽書だ。
GM:いやだから! 話を続けると,
晟:あ,でもね? 私子供のころ,絶対民明書房って実在すると思ってたよ。
ユウキ:ああ,それはわかりますね。
晟:中国の古い出版社なのかなぁとか……。
GM:話を続けさせろ!(笑)
晟:はいはい,じゃあ質問。それは「ブースター」なの? えーとつまり,あの石を持ってるから力があるわけじゃなくて……。
GM:そもそも適性のないものに力は宿らない。繰り返すようだけど,ユウキを同じ血統だと推定してるのは,そのせいなわけで。
一同:へー(机を叩く)。
GM:それはもういいわい!
晟:えと,それはつまり? 僕は?
悠貴:お父さんの血じゃない?
GM:そうですね。そういうことですね。
晟:それはいいんですけどね。それは僕がとーさんの子だから? それともとーさんのクローンだから? どっちなんですか?
GM:それはキャラクター発言とみたけど,その場で言っちゃうの?
晟:だって本当のことだしぃ。てゆーか,あれ? みんな知らなかったっけ?
GM:知らないだろ。
遙:私なんかはその言葉を聞いてかなり驚いてますよ。
悠貴:僕もだな。
ユウキ:ちなみに俺は,そもそも「クローン」という言葉がわからないので驚きようがないんだが。
一同:(笑)
GM:じゃあ紫音が説明するけど,「彼はつまり,通常の母体を通して生まれていないわけで」
晟:母体は通してる。現行の技術で人工子宮は無理。
GM:そうなの?
晟:そうだよってあたしゃキラ・ヤ○トかよ(笑)。ええと何だっけ。多分楓の細胞をとっておいて,細胞核抜いて,あらかじめ核を取り除いた受精卵に移植して,それをもっかい母体に戻すの。そんで産むの。じゃなかったっけ。
尚也:おおむね正しい。ただし受精卵ではなく,未受精卵。
晟:はい,そうでした(笑)。ともかく,泪が産んでるのは確かです。
ユウキ:あれ? つまり晟は結構いいトシ?
晟:ほえ?
ユウキ:だってテロメア減りまくってんじゃないの?
晟:今度はドリーちゃんかい。てゆーか僕35歳。がーん。
一同:(笑)
GM:精神年齢はアレのくせになー(笑)。
晟:そこまで言うよこの人。しくしく。
悠貴:晟,そんなことないって。それに,例えクローンだったとしても,君の心は君のものだろう? 君は君で一個の人格なんだから……。
晟:…………。藤原さん。
悠貴:うん?
晟:……てゆーか……14年生きてきて,こんなにマトモな励ましの言葉を受けたのは初めてだー!
悠貴:そ,そう?(笑)
晟:(しくしく)同じ「ゆうき」でもエライ違いだー。
ユウキ:うるせえ,パチモン!
一同:(爆笑)
悠貴:ちょっとちょっと,そんなこと言っちゃダメでしょ!
ユウキ:何でだよ。
悠貴:何でじゃありません。あのね,人にはそれぞれ「心」というものがあってだね。
ユウキ:しょうがねえだろ。こいつが勝手に「自分はパチモンだ」って拗ねてるんだからよ。
悠貴:あのねぇ,でもやっぱりそういう考え方は不幸だから,ここは優しく諭してあげるべきだと……。
ユウキ:そうやって甘やかすと,つけあがるぞ。マジで。
遙:(てこてこと歩いてくる)あきちゃんはあきちゃんなのですよ。ぷー。
晟:ぷ,ぷー?
遙:怒っている擬音なのです。
尚也:そうだぞ。問題はそんなところじゃない。モノの本によると,クローン体には90パーセント以上の確率で先天的な異常があり……。
悠貴:あんたも黙ってなさい!(笑)
尚也:ちなみに真面目に説明しておくと(笑),細胞分裂の段階で年齢はリセットされるので,君はやっぱり14歳だと思うぞ。
GM:フォローになってるのかなぁ(笑)。で,話を元に戻すけどさ。そうすると,同じクローン体であるモドキちゃんの説明がつかなくなるんだ。
晟:え? それは単に生まれた時期が3年ずれてたんでは?
GM:いーや。彼が生まれたのは君とまったく同時です。
晟:……てことは,双子? いやまぁクローンに双子もへったくれもないけど,それ以前にあれで14歳?
遙:うわー(笑)。
GM:そう,どういう理由かは謎だけど,成長というか老化が加速している。いや,「させた」かな。人為的に。
晟:誰が。
GM:誰だと思います?
晟:てか,そもそもクローン体作りまくったのは誰?
GM:誰だと思います?
晟:……(指折り数えつつ)1番,千葉。2番,千葉。3番,千葉。
一同:(笑)
遙:4番,大穴で千葉(笑)。
GM:違うわ!
晟:違うの? じゃあ誰だと思います?
ユウキ:てか,俺に訊くなよ!(笑)
晟:あー,そうでしたね。そーおでしたね,ユウキさんみたいな脳味噌筋肉な人に訊いてもねー。
ユウキ:けっ。パチモンパチモンっていじけてるガキに何言われたって痛くも痒くもねーよ。
晟:むー。最近ユウキさんがからかいがいがなくってつまんなーい。
ユウキ:……とか言いつつ後頭部を「隙あり!」とか言ってどついておこう。
晟:結局殴るんじゃないですか!(笑)
ユウキ:てめえは口で言ってわかんねえから殴るんだよ!
晟:口で言う前に殴るくせに!
ユウキ:じゃあ殴る前に黙れよ!
悠貴:ま,まぁまぁ,2人とも。それで? 結局誰なんですか?
GM/紫音:「不確定な情報でいいか? UGNのお偉いさんだよ」
晟:……なんで?
GM/紫音:「さあな,俺も知らん。とにかく,UGNが楓のクローンを使って,泪に産ませた。そのうち1人をUGNに返して,そのうち1人を記録上死んだことにして手元で育てた。俺が知ってるのはそれくらいの……」
晟:ちょっと待ったぁ!(笑)
GM/紫音:「何?」
晟:いや,そーじゃなくて! そのうち1人ってナニ? それがモドキちゃんなわけ?
GM:だから言ってるじゃないか。お兄ちゃんだよーって。
晟:うわぁ。何てこったい(笑)。
GM/紫音:「ま,そういうわけで,UGN本部はかなりひでえことになってるんだ。俺も,こないまで外にでてその調査をしてた。ああ,そうそう。おまえの親父さんもな。家にいつかなかったのはそのせいだと思うぞ」
晟:それはあまり言い訳になんない。
GM/紫音:「あ,そう? 別におまえをないがしろにしてたわけじゃ,ないと……思うぞ?」
晟:紫音さん,それを僕の目を見て言ってくれます?
GM/紫音:「ヤだ」(笑)
悠貴:何てこった(笑)。
晟:いや,別にいいんですよ? 僕は確かに色々なことに拗ねてますが,とーさんの件に関してはもはや拗ねる気も起きませんから。
GM/紫音:「ほーお?」
晟:ついでに言うとパチモンだってことに関しても,別に拗ねてません。パチモンならパチモンで別にいいんです。
ユウキ:ほーお?
晟:何のために作ったかってことに対しては,すっごく拗ねてますけどぉ。
ユウキ:うざってえな。同じことじゃねえか。
晟:同じですかぁ?
ユウキ:同じだろうが。そもそも,何のために生きるかくらいてめえで決められねーのか?
晟:…………。
ユウキ:できねえってんなら,隅っこでしくしく泣いてろ,うっとうしい!
悠貴:いや,あの……何もそんなに追い討ちかけなくたって……(笑)。
晟:……どうしよう。正論を言われてしまった。
悠貴:いや,あの……。
晟:(遠い目)よりによって,あのユウキさんに口で負けるなんて。こんなことがあっていいんだろうか。
ユウキ:じゃあ期待通り拳に訴える。
一同:(笑)
晟:結局殴るんじゃないかぁ!(笑)
遙:えとえと,あきちゃん?
晟:はい?
遙:何であきちゃんが作られたかーっていうのはともかく,作られなかったらあきちゃんはいなかったわけで,だったら私はあきちゃんと会えなかったわけで,私はそれでいいと思うのですが。
晟:遙ちゃん……。
遙:少なくとも,私は嬉しいのですが。あきちゃんはそれじゃダメですか?
晟:…………。しまった。
遙:はい?
晟:いや,その,さすがに自分が悪かったかなー,と反省しました。ごめんなさい。
一同:(笑)
晟:遙ちゃん,ごめんね? 僕,いつまでもイジけてばっかで……。
遙:いいのです。いつも助けてもらってるから,あきちゃんの役にたてると嬉しいのです。
晟:うん,僕ちょっと浮上したかもしんない。遙ちゃんはやっぱり,ちゃんと僕のこと想っててくれたんだね……。
遙:…………。当たり前なのですよ!
GM:今の間はなんだ,今の間は!
一同:(爆笑)
遙:いや,どう返そうかちょっと悩んでいただけで。
晟:悩むし。
遙:いや,別にあきちゃんのこと想ってないとかそういうんじゃないですよ?
晟:遙ちゃん……。
遙:あきちゃん……。
悠貴:(ユウキに)突っ込まないの?(笑)
ユウキ:てゆーかもう勝手にしろよ!(怒)
尚也:相手にするだけ馬鹿馬鹿しいという感じだな。
悠貴:ま,本人たちがいいならそれでいいということで……(笑)。
尚也:本当に何の話をしていたか忘れるな。その血統やらの話だったか,千葉の話だったか……。
GM:んと,紫音が言うには,「実は,この情報を提供してくれたのは千葉なんだけどな」
晟:ええ?(笑)
遙:千葉さんって,どっちの千葉さんですか?
GM/紫音:「ああ,遙は聞いたことあったっけ? 本物の方の千葉だな。『本物』って言葉もおかしいんだが……」
晟:便宜上千葉とユージンで区別しましょう。ややこしいことこの上ないから。
GM:ああ,そうね(笑)。つまり千葉の方。
悠貴:先ほど会ったのは,どっちなんだろう。
遙:多分千葉さんの方なのですよ。
悠貴:結局,千葉って何なんですか?
一同:うーん……(笑)。
GM/紫音:「何なんだろうな」(笑)
遙:彼は言ってたです。「ここに存在するもの」って。
GM/紫音:「それが一番正しいんだがな」
尚也:しかしそれ,全然答えになってやせんのだが(笑)。
GM/紫音:「じゃあ訊くが,おまえらはあいつを何だと思う?」
尚也:(←即答)不審人物。
悠貴:怖い人。
晟:黒いコートの変態。
ユウキ:借りがあるからいつかぶん殴って泣かすヤツ。
GM:おまえらなあ!(笑)
遙:真面目なところだと,影。シャドウ。
GM/紫音:「なるほど。影ね。ヤツは自分を『代行者』と名乗っている」
晟:具体的には?
GM/紫音:「つまり,人間じゃない」
晟:そりゃ今さらあんなのが人間だと言われても困るけど。
一同:(笑)
GM:じゃ,なくて! ここで重要なのはぁ,あいつは通常の手段じゃ死なないんですよ。
尚也:ほほう?
GM:それに対抗できるのは「力」を持つものだけだ。ルール的にいいますと,何回でもリザレクト能力が発動しちゃうと考えて。ちなみに《リザレクト》のレベルは天文学的(笑)。
尚也:じゃあ火力発電所に放りこめば?
晟:宇宙空間に放り出して戻ってこられないようにすればいいんじゃないかなぁ(笑)。
GM:江○島平八なら戻ってくる! ってそうじゃなくて! まぁそういう絶望的な結果が出たわけだよ。
尚也:(淡々と)対抗しようがないなら対抗しても仕方ないじゃないか。
GM/紫音:「だから,対抗手段を探そうってんだろ」
尚也:具体的には?
GM/紫音:「例の宝石だ。あれが3つ揃えば対抗可能かもしれん」
悠貴:3つ?
晟:緑,青,赤,だっけ?
尚也:今ここにあるのは?
晟:緑と青。
尚也:じゃあその赤を探すか? でもどうやって?
遙:あのぉ,赤い宝石の在り処って全くわからないんですか? おばあちゃんも知らないですか?
GM/紫音:「もちろん真っ先に問い合わせたが,本当に知らないのか,何かわけがあって教えてくれないのか……」
ユウキ:つまりあんたらは知らねえの? じゃあ俺のは?
GM/紫音:「偶然か,運命か……」
ユウキ:おい。
晟:じゃあ何ですか? 前回の作戦はまったくのあてずっぽうですか? たまたまテンペストが何か探してるぞーって情報手に入れて行ってみたら,偶然青い宝石があったと。そういうことですか。
GM/紫音:「うん……これも運命なのかもしれんな……」とすげえ白々しい顔で呟いてます(笑)。
晟:ただの立案ミスじゃねーかよっ。
遙:じゃ,それこそ運命に身を任せるしか方法はないのですか?
GM/紫音:「ああ,それが今日の本題。てゆーか大問題。その石の在り処を知ってるのは,多分千葉本人なんだ」
一同:…………。
晟:……問題ってか,ダメじゃん,それ。
悠貴:今日の依頼の報酬って,それ? でもそれって変じゃない?
尚也:変だな。自分を滅ぼす可能性があるものを,報酬として提示するわけがない。……もっとも,自分を殺してくれなどと言うくらいだから,別の意図があるのかもしれんが。
晟:でもその「自分」って結局ユージンであって千葉じゃないでしょ。
尚也:それがよくわからん。そもそも我々は,ユージンについて説明を聞きにきたんだ。
晟:え? アレですか? アレはユージンという特殊なウィルスのキャリアが,千葉に「なっちゃった」としか言いようがないです(笑)。
尚也:わからん。
晟:だから……あのーマスター,アレを出すの? 本当に?(笑)
GM:えー,そこで部屋の扉が開いて,2人の人物が立っています。1人は女性で1人は男性。紫音が「まさかそっちから来るとは思ってなかったな」と呟いている。
晟:ぐふっ!(笑)
GM:(無視)で,女性の方が「だって仕方ないじゃないですかおにーさま」と言って,入ってきます。で,紫音から改めて紹介するんだけど,「まー,なんだ。こいつが話題のユージンだ」
尚也:ほほう? 外見上は,まったく同じなのか。
GM:いや。千葉はずうっと20代後半の要旨だけど,こっちの千葉は40代くらいに見える。もっとも声は同じだけどね。
晟:おや。年をとってると。
GM:何故かね。
悠貴:そちらの方は?
GM/紫音:「ああ,これはマイ・ラバー・シスターだ」とか言って咲耶榎の方にぽんっと手を置くんだけど,「やめてください」とか言ってはたかれてる。
尚也:えー,で,あなた……ユージンさんでいいんだろうか。
GM/ユージン:「私としてはその名で呼ばれるのは不本意ですけどね。便宜上仕方ないので,どうぞ」
尚也:ではユージンさんと呼ばせていただく。実は……。
GM/ユージン:「ええ,わかっています。あの男が私を殺してほしいと依頼した件ですね? 彼が私を殺したいのは,私の持つ彼の記憶のせいです」
尚也:あなたと彼は,少なくとも,記憶を共有していると?
GM/ユージン:「全てではありませんがね。ただし,もっとも重要なことを私は知っている。残るひとつの宝石の在り処です」
晟:つまり何ですか? 千葉さんは自分の弱点を抹殺するために,あなたを殺すと?
GM/ユージン:「そういうことになるでしょう。自分で手を下さないのは,恐らく不慮の事故を警戒してのことだと思いますよ。何せ,私は一応『彼』なんですからね」
晟:何が起こるかわからないから?
GM/ユージン:「まぁ,そうでしょう」
晟:……あんまり訊きたくないんですけど,あなたは何のためにここに来たんです?
GM/ユージン:「宝石の在り処,知りたくありませんか」
晟:知りたくないとは言いませんけど……それ,教えるかわりに千葉を倒してくれってことじゃないんですか。
GM/ユージン:「端的に言えば,そうです」
晟:本音を言うと,というか僕の本音なんで尚也さんやユウキさんはどうか知れませんけどね。……あなたがたは2人で潰しあっていただくのが一番いいんですけど。
GM/ユージン:「でしょうね。でも,そうはならないことはご存知のはずだ」
晟:てか,千葉の弱点なんか知っちゃったら,今度はこっちが狙われるじゃないですか。
GM/ユージン:「まあね。ただ知らないでいたところで,そこのお3方はどうせ狙われますね。間違いなく。何せ千葉を倒す可能性があるのは,あなたがただけだから」
晟:つまり,その前に先手を打って弱点を知っておけってこと。なるほどね。……ユウキさんはどうです?
ユウキ:俺? 俺は「弱点なんか知らなくても,いつかあいつをぶっ飛ばす!」……と,言いたいところだがな。今回は,そうも言えねえだろ。弱点云々より,「殴れねえ」って言われてんだから最初から勝負になってねえ。
GM/ユージン:「そういうあなたはどうなんです?」
晟:受ける前に,訊いておきたいです。こっちも,用済みになったからってあなたに殺されちゃ困るんですけど。味方とまではいかなくても,不干渉を守っていただかないと。
GM/ユージン:「私は最初からあなたがたに手を出す気はありませんが……」
晟:確約できます?
GM/ユージン:「誓いましょうか?」
晟:(胡乱な目)何に?
GM/ユージン:「ある女性に。私の……最愛の女性と申しましょうか」 ちなみに隣では咲耶榎が深いため息をついている。
晟:……一応訊いておくが,それ具体的に,ダレ。
GM:誰でしょう。作ったあなたが自分の胸にきいてみてくれ。
晟:ユージンだったらアンナだよ。6話の終わりごろだったら,歩か咲耶榎か微妙なところ。でもなぁ……「千葉」になっちゃってるからなぁ。微妙だな。
GM:咲耶榎だろうな。だから彼女が隣でため息ついているわけで。
晟:(深いため息)……てか,どうしてどいつもこいつも情けない男ばっかりかな。いや,自分も含めてだけどさ……。
GM:男なんて,えてしてそんなもんさ♪
尚也:一緒にしないでもらえないだろうか。
ユウキ:まったくだ。
GM&晟:…………。
ユウキ:なんだよ,その沈黙は。
GM:話を戻そうか。で,晟は?
晟:僕個人で言うなら,受けます。少なくとも僕とユウキさんは,この取引に応じざるを得ないでしょう。てゆーか,他に方法ないじゃないですか。
綾:(いきなり隣の卓から←手があいたらしい)ちなみに咲耶榎は,「千葉を倒す10の方法」教えてあげてもいいですよ(笑)。
GM:おい,こら(笑)。
晟:そんなこと言ってる場合? 今ユージン千葉の一番大切な女性って,咲耶榎だってさ。
綾&真:(ハモる)うわ,サイアク!
一同:(爆笑)
真:てか,アレは? 歩は?
GM:さあ(笑)。
真二:(←さらに加わる)そんなことより俺が知りたいのは,大谷の一番大切な男性が誰かってことなんだ。
真:何で「男性」じゃワリャ!?
晟:えーと,出てきたよ楓。本物が。
真:だから,何で楓が俺の一番大切な男性なんですか!?
GM:話を進めようか。
一同:(さらに爆笑)
真:…………。

 ……話を進めよう。いや,マジで(笑)。

晟:では話を戻しまーす。つまり,僕の答えはイエスです。ただ,それに直接関係ない尚也さんや藤原さんを巻き込むわけにはいかないんですよ。聞いちゃったら巻き込まれるんだから。
悠貴:俺はかまわないけど。
遙:……いいのですか?
悠貴:うん。だって千葉の依頼は受けられないからな。だったら,友達を守れる方を選ぶ。
一同:…………(驚嘆のまなざし)
悠貴:えと,何?(笑)
GM:あんた,素晴らしいわ(笑)。
晟:何か未だかつて見なかったものを見た気がした(笑)。
尚也:一応言っておくと,双方の依頼を受けずに,これ以上関わり合いにならないという選択肢もあるんだからな。と言うか,普通の人間ならそちらを選ぶ。自分の命がかかってるからな。
悠貴:ここまで話聞いといて,それはないよ。だって俺だってオーヴァードだしね。普通の人間じゃないよ。
晟:今回「普通」のカテゴリーはかなり違いますよ? あからさまに,命に関わりますよ。
悠貴:晟や遙ちゃんが狙われてるんだろ? 俺に何かできるなら,助けてあげたい。
一同:…………。
悠貴:……あの。だから,いちいち珍しいものを見るよーな目,やめてくれません?(笑)
GM:実際珍しいものを見てるんだよ。何せなぁ。このキャンペーンのメンバーって言ったらなぁ(笑)。
晟:それはあんたに言われかないわい。話を戻すと,で,そういう尚也さんは?
尚也:関係があるなら巻き込まれてもいい。関係がないなら巻き込まないでほしい。
一同:(笑)
GM:はっきりしてるよなこの人も(笑)。
尚也:私に関係するのは,実際のところ楓という男なんだ。
晟:楓って……あ,モドキか。
尚也:うむ。あの男が和也について何か知っているはずなんだ。
GM/ユージン:「それについてはこう答えておきましょう。彼に関わった場合,必然的に千葉に関わらざるを得ない,とね」
尚也:ふむ……それだけか。
晟:尚也さんの欲しいものははっきりしてますからね。そこんとこどうなんです? 弟さんについて,何か知ってることはないんですか?
GM/ユージン:「私ですか? 私は最近来日したばかりなのでね」
晟:あ,そうか……。
ユウキ:あのさぁ。それって,久遠紫音に訊いた方が早いと思うんだけど。
晟:あ,あれ?(笑)
ユウキ:こいつが千葉とストレンジャーズの関係とか,調査してないわけがないんだから。……なあんてことはキャラクターは言いませんけどね? バカだから。
一同:(笑)
GM:いやぁ,今までためこんでたんだけどなぁ(笑)。この際だから話しちゃうと,和也が誰かに洗脳されているのは間違いないようだ。
尚也:それは戦ってみた私が一番よく知っている。で,それをあの楓という男がやったんじゃないのか。
GM/紫音:「楓……というかクローンの方だが,あいつと千葉がストレンジャーズに関わったのは,前回の1件だけだ。少なくともこっちの調査ではね。だから,洗脳したのはあいつじゃないんじゃないか」
尚也:では誰だ。
GM/紫音:「恐らくは,ファルスハーツだ」
尚也:何故そこでファルスハーツがでてくる。
晟:……あれ? 例のニセ制服って,そのせい?(←第2回参照)
GM:そう。ストレンジャーズの中に,ファルスハーツに同調する一群がいて,和也はそれに洗脳されたわけだ。
尚也:なるほどな。ファルスハーツと単独でケンカをするわけにはいかんな。では仕方ない。君らに協力しよう。
晟:いいんですか?
尚也:今や千葉と楓しか情報ソースがないんだ,仕方なかろう。君らと関わっていれば,あいつらが出てくるというのならな。そこで訊いておきたいんだが,千葉の目的というのは何なんだ? ユージンさん,あなたなら知っているんじゃないか?
GM/ユージン:「ええ,私は彼の記憶を持っていますからね」
尚也:で,それはいったい?
GM/ユージン:「血の淘汰ですね」
尚也:淘汰というのは弱いものや環境に合わないものを消していくということだが。
ユウキ:そうじゃなくて,自分を倒せそうな奴を消すってことじゃない?
GM/ユージン:「自分と同じ,人ならざる力を持ちながら,自分ではないもの。人であるもの。その血統を絶やすこと,でしょうね」
尚也:なるほど。つまり,君ら3人,全員狙われるってことなんだな。
晟:そうだけど,そんなアッサリ(笑)。
ユウキ:だったら,やられる前にやれってことだろ。何か文句あんのか?
晟:僕はない。ないけど,遙ちゃんは?
遙:えと,それってお母さんも危ないのでは?
GM:当然だねえ。
ユウキ:てか,多分お父さんも危ないんじゃねえ?
GM:ああ,説明してなかったけど,光んちは本当にフツーの家庭ですよ。
ユウキ:でもそれだと光の力っておかしくねえ?
GM:そうだねえ。それは未だ謎ですね。でも,結局千葉に狙われそうってのは同じだけど。
尚也:しかしそれは腑に落ちんな? 殺すなら,今まででいくらでも機会があったじゃないか。少なくとも,ユウキも晟も遙も,殺そうと思えば会った瞬間に殺せたはずだ。
悠貴:育つまで待つ気だったとか(笑)。
尚也:そんなのはナンセンスだ。わざわざ敵を強くしてから討つバカがどこにいる。
遙:(首をかしげて)いや……どうでしょう。あの人ですから(一同笑)。
尚也:……そうなのか?
晟:基本的に愉快犯だからなぁ。
尚也:(ユージンに)……そうなのか?
GM/ユージン:「それはあるでしょうね。どうせ戦うなら強い方がいいとか」
尚也:それって,だったら強くならなければいいんじゃないのか?
GM/ユージン:「それはそれで,邪魔だから殺すだけでしょう」
尚也:……何たるワガママ。
晟:だから,これに尚也さんたちをつきあわせるのは,さすがに申し訳ないんですけどね(笑)。
遙:……えと,どうも赤い宝石を手に入れないと,そもそもどうしようもないんですよね? で,それって結局私じゃないとダメなんですか?
GM/ユージン:「『継承』できるのは,一族の血を引くものだけですからね。しかも最も血が濃いのは,まさしくあなただ」
一同:…………。はあ?
晟:えと,確かバカ親父がそんなことを言ってたような……それって何ですか? つまり石を手に入れること?
GM/ユージン:「手に入れるだけではダメです。力の『扉』を開かなくては」
晟:ロー○ス……。
ユウキ:向こう側の力……。
GM/ユージン:「(無視)世界に通じる扉とでも言っておきましょうか」
悠貴:それって何? 地水火水とか?
遙:五行とか? 元素とか?
ユウキ:(投げやりに)いや,そんなんじゃなくて,もっと形がなくてもっと流動的でもっといいかげんで,常に人のエゴによって生まれ左右され,そのくせ無制限に向こう側にあるような力だよ。
晟:(ひっじょーに投げやりな口調で)つまり,人の想いが一番強いということなんだよ。そういうことにして美しくまとめておこうね遙ちゃん。間違っても「ア」のつくものだなんて言っちゃいけないよ?
遙&悠貴:えーと,つまり?
晟:とりあえず先に進めてくださいマスター。私は「ア」なんて口が裂けても言いませんから。
ユウキ:精神感応性物質変換能力だなんて思ってませんから,進めてください。
GM:……えーと,とにかく。話を戻すと,炎華姫の血を継いだ人間が,石を手に入れて,さらに扉を開くのが,千葉を倒す条件です。
ユウキ:じゃあ開き方は?
GM/ユージン:「簡単な開き方と,難しい方とありますが,どっちにします?」
晟:両方教えてください。
一同:(笑)
GM/ユージン:「……できれば,簡単な方はやってほしくないんですけどね」
晟:(冷たく)で,具体的にその方法は?
GM/ユージン:「ここにそれができる人間が2人います」と言ったとたんに反応する人間が2人。紫音と咲耶榎ですね。
晟:で,具体的には?
GM/ユージン:「つまり,あなたがた2人に死ぬような目に遭ってもらうということですが」
晟:(胡乱な目)だから,具体的にナニするの?
GM/ユージン:「いや,具体的も何も,文字通りなんですが」
ユウキ:は。もしかしてサ○ヤ人理論!
一同:(爆笑)
GM:そうかもしんない(笑)。
尚也:なんだ,そのサイ○人理論ってのは。
ユウキ:○イヤ人という戦闘民族がいまして,死ぬ寸前まで痛めつけられてから回復すると,とんでもないパワーアップを遂げるんです。
尚也:はあ。
晟:姉妹品に,精神的に傷を負えば負うほど強くなるソウルテ○カー理論というのもあります。
GM:ソウ○テイカーはわかんない人が多いからやめなさい! しかもそれロールプレイ大変だし!
遙:えと,つまり,結局どういうことなんですか? お二方もそーゆー血筋の人なんですか?
GM/紫音:「いや,それは関係ないなぁ。俺らはその,何と言うか,改造を受けてるんだよ」
ユウキ:なに! 改造人間!
晟:はい,そこ,目を輝かさないように。
ユウキ:すいません,今目を輝かせたのはあくまでプレイヤーですから。続けてください。
GM:え,えっと……一部喜んでいるようだがそうイイもんでもなくてだな……。
尚也:遺伝子操作?
GM/紫音:「そんなもんかな。で,簡単な方法ってのはそうやってユウキと晟に俺らの必殺技(笑)をくらってもらって,耐えればOK,耐えられなかったらはいそれまでよ,と」
晟:……じゃあ,難しい方法は?
GM/紫音:「それはアレだ。生命の危機が訪れるのを気長に待つ」
晟:……ユウキさん。多分,今回ばかりは意見が合うと思う。
ユウキ:あ?
晟:僕,簡単な方。ユウキさんは?
ユウキ:確かに意見が合ったな。てゆーか! 難しい方ってそれ「方法」かよ!?(笑)
GM/紫音:「一応,簡単な方は俺らにもリスクはめちゃくちゃデカいんだからな。反動くらって死ぬかもしれない」
尚也:しかし,いつ来るかわからんピンチを待てというのはな……(笑)。
悠貴:で,でも,それって紫音さんと咲耶榎さんも危険なんでしょ?
ユウキ:だから,あるいは……。
晟:あるいは?
ユウキ:覚醒するまで2人で殴り合うとか。
一同:(爆笑)
晟:イヤですよ! そんなのユウキさんが勝つに決まってるじゃないですか!
ユウキ:何も文字通り拳でやりあえとは言ってねえが。エフェクト使えよ。
晟:すっかりその気!? てーかそれ,どっちか片方しか覚醒できないとかいうオチじゃ!?
GM:そーかも。
晟:そうかもじゃねえっ!
遙:はーい。あのね,あのね。もともと赤い石を手に入れるって話ではなかったですか?
一同:……そうでした(笑)。
遙:それだったらまず赤い石を手に入れて,それから考えませんか? どっちにしろ必要なのですよね?
晟:いや,あの……それって遙ちゃんもサ○ヤ人理論の餌食になるってことなんだけど……。
遙:だって私がしないと,ダメですから。だからやるです。
晟:……それでいいわけ?
遙:えと,だったら何であきちゃんはOKしたですか?
晟:え? そりゃ,僕は自分の身が危ないからだし。
遙:でも,私が赤い石を手に入れないと結局危ないですよ。だからこれでいいのです。
尚也:……非常に建設的な意見だな。ユージンさん,ここまで来たら当然赤い石の在り処も教えてくれるのだろう?
GM/ユージン:「ええ。まずは彼女の実家に行ってごらんなさい。屋敷の近くに安置されているはずです」
尚也:よし,決まった。遙の実家に行こう。
ユウキ:その間に千葉が襲ってきたら?
尚也:それこそ「生命の危機」が訪れてくれるわけだから,ちょうどいいじゃないか。
ユウキ&晟:おーい(笑)。
尚也:少なくともここで扉だか覚醒だかに失敗してみろ,戦力の激減だろうが。
GM/紫音:「じゃあ,おまえら全員それでいいんだな?」
晟:てか,他にないっていうか……紫音さん,アシの手配はしてくれます?
GM/紫音:「わかった。じゃあ今日中に手配はしておく。今日はそれぞれ家に帰って休んでおくようにな」……ということでシーンをきりたいんですが。長いので。
晟:(時計を見て,呆然)なんだこのシーンは。
GM:基本的に質疑応答のシーンだからなぁ。仕方ないんですけどね。
晟:あとでアップする時に大変なんだよ。それより何がすごいって,今回登場判定以外に一度もダイスを振ってないよ!
一同:(爆笑)

 というか思った。これからは,議論を始める時はまず議題を先に挙げよう……。
 てゆーか今回の議題って,「いかにして千葉を倒すか」でよかったの?(笑)