GM:で,取り残された晟のシーンだけども。
晟:おっそいなぁ,遙ちゃんは!
悠貴:まだ待ってたんだ? 偉いね。
遙:でいつまでも帰ってこない(笑)。
GM:イライラしながら教室で待っている君が窓からふと校庭を見ると,てくてくと歩いていく3人が(一同笑)。
晟:あ,あれっ?
尚也:すっかり忘れ去られているな。
晟:あれは,尚也さんに藤原さん……藤原さんはさっき,僕の味方をしてくれるって言ったのに……。
悠貴:それは誤解。味方だってばさ。
晟:(聞いてない)仕方ないので追いかけますよ。荷物まとめて。
GM:そうそう。遙がすっかり忘れていってる鞄も持ってね。
遙:……ああ。そう言えば。
一同:(爆笑)
ユウキ:おまえはホントに高校生か!?
遙:あははは。大丈夫です,何とかなるのです!
尚也:それは何とかなるのではなく,晟に何とかさせるのだろうが。
晟:(眉間にシワ)……しょうがない。二人ぶんの鞄と,それから課題のレポートも忘れないように持って教室を出ます。
GM:そうすると,階段の踊り場のところにだね。
晟:やっぱり,誰かに会うんだ?
GM:うん。見たくもない人が立っている。
晟:どれ?
GM:は?
晟:だから,どの「見たくもない人」だよ。そんなんぎょーさんおるわい。
一同:(笑)
GM:そうだね,君の「見たくもない人」ベストスリーには入る人かな。
尚也:わざわざランキングつけとったんか。
晟:えーとね,とりあえずちーさんとモドキちゃんが微妙かな。同率一位かなァ(笑)。
ユウキ:じゃあ3位は誰だよ。
晟:3位は楓かな。あー,でも実際に会ったことはないからな。泪かもしんない。
悠貴:見たくないんだ(笑)。
晟:見たくない(笑)。
GM:じゃあ,泪と同じくらい見たくもない人かな……。
晟:え? 誰?
ユウキ:ということは,父親だろう。
GM:何年ぶりの再会かなぁ。
遙:確か13年ぶりなのです。
晟:え……。
GM:というわけで,おひさしぶりです! おとぉさんだよぉ!
晟:おのれのような父親はいらんわああッ!?
一同:(爆笑)
晟:(いきなり遠い目)……あー……いや。しかしよく考えてみたら僕はとーさんの顔なんて覚えていないはずで……。
ユウキ:それだけ同じような顔してりゃ,関係ねえだろうが。鏡見ろよ。
遙:それに,きっと泪さんが写真いっぱい見せてくれたはずなのです!(注:彼女に邪気はない)
晟:…………。えー,ではしばし固まってその男を見上げておりますが……実際,どんな感じなんです? 今35歳でしたっけ?
ユウキ:きっと年とってないんだ。そういう家系だから(笑)。
GM:全く年とってないってことはないけど,やっぱり若いね。20代後半くらいに見える。てか,泪だってそんなに老けてないだろ?
晟:だね。心労は多いと思うんだけどね(笑)。
GM:実はあのメンバーって一部を除いて皆若作りなんだ。気が若いから(笑)。
悠貴:一部って?
ユウキ:大谷だろう。
尚也:気の毒に。
GM:まぁそれはおいといて。彼は柱に背を預けて腕を組み,じーっと君を見下ろしている。
ユウキ:……微妙にムカツクポーズだな,それ。
晟:えーと,念のため,後ろを振り返ったりしてみますけど。
GM:廊下には君しかおらんて。
晟:えーと……では階段の下まで歩いていって……失礼ですが,どなたを待ってらっしゃるんでしょうか?
GM:するとそれには答えず,いきなりふううう……と重ぉいため息をつく(一同笑)。
晟:…………。
ユウキ:(←何故か微妙に嬉しそう)な,ムカツクだろ? やられてみると俺の気持ちがわかるだろ?
晟:……てゆーかため息つきたいのはこっちの方なんですけどね(怒)。
GM:彼はぼそっと何か呟いている。何を言ったかは〈知覚〉で……あ,いいや。聞けたことにしてあげよう。
晟:何て言ってるんです?
GM:「……これが『俺』だと? よりにもよってこんな軟弱な奴が……」と言っているようです。
一同:(笑)
晟:(しばし沈黙)……てぇんめえ,もう一度言ってみやがれえええッ!?
ユウキ:な,ムカツクだろ?(笑)
晟:これが父親ですよ,父親っ! どーなんです,これ!?
尚也:宮本武蔵みたいな家庭だな。
遙:いやぁ,こんな感じだよ。俺もよくやられたし……とお父さんが言ってるです(笑)。
晟:……ちなみに,念のためお伺いしますが。13年前に妻も幼い息子もほっぽりだして出奔した挙句,ぷっつり音信不通だった新条楓さんご本人ですか?
GM/楓:「ずいぶん他人行儀な言い方だな。まぁそうだが。……時に晟」
晟:何です?
GM/楓:「……泪はどうしてる?」
晟:(プレイヤー,思わずダイスをテーブルに叩きつける)
GM/楓:「…………?」
晟:……自分で確かめりゃいいでしょ,そんなもんはッ!
一同:(爆笑)
遙:まったくだ(笑)。
ユウキ:電話1本かけりゃ済むことじゃねーかよ!
GM:ちなみに楓は多少困った表情で,「今さら行けると思うか?」とか呟いてますが……。
晟:黙れ! 情けないにも程があるわ,この馬鹿親父が!
尚也:まったくだな。
悠貴:やっぱり親子だー(笑)。
晟:やっぱりたぁなんですか! 僕は家庭にはちゃんと責任とるつもりです!
尚也:とか言ってる奴ほど将来家庭をほっぽってほっつき歩いたりするわけなんだな。
晟:だからぁ,勝手に決めないでくださいよ(泣)。
遙:そうか……それで私が泣かされるわけなんですね……。
晟:遙ちゃんまで何言うのッ!?
悠貴:(ぽん,と肩に手を置き)どうしたの? また晟がどっか行っちゃったの?
遙:そうなんですぅ。行っちゃったんですぅ!
晟:だから,ちょっと待ったらんかいっ!?
ユウキ:(ぼそっと)そんなこんなが愛に変わって一夜の間違いが起こるわけなんだな。
晟:…………。
悠貴:冗談です。そんなマジに睨まれても困るんだけど(笑)。
GM:アレだよなー。泪・楓・大谷間の修羅場再び?
一同:おいおいおいおい!?(爆笑)
GM:あー,まぁそれはともかく話を戻したいんだが(笑)。
晟:あーはいはい,わかりましたよ,かーさんですね。健康状態に問題がないという点においては一応元気ですよ。
GM/楓:「そうか」
晟:まぁ僕としてもね。「帰ってこい」とは口が裂けても言えないわけなんですけど。
GM/楓:「俺も帰る気はないが」
晟:はいはい,そうでしょうね。で,結局どこで何してるんですかアンタは。
GM/楓:「今は言えん。……そうだな,『決着をつけにきた』とだけ言っておこうか」
晟:誰と。
GM/楓:「……まぁ色々とだな。おまえごときにはわからんこともある」
晟:…………。
遙:「ごとき」ときたよこの人(笑)。
ユウキ:な,やっぱムカツクだろ。
晟:……あー,そうですかそうですか。一応,仮にも,妻と息子は「決着つけること」には入らないわけなんだ。ふーん,そうですか。
GM/楓:「……時に,ここに来るまでの間に」
晟:話そらさないでくださいよ。
GM/楓:「……松山の奴が死んだと聞いたんだが」
一同:(再度爆笑)
遙:今度は光を殺してるよこの人!(笑)
ユウキ:まぁそりゃ,確かに一度は死んだわけだが。
晟:とーさん……光さんは一応生きてます。
GM/楓:「何だ,生きてるのか」
遙:生きてちゃ悪いんかい!(笑)
晟:アンタねえ……。
GM:いや,口ではそう言ってるけど,微妙に嬉しそうですよ。
晟:……ひとつだけ訊いてもいいですか?
GM/楓:「何だ?」
晟:何で今日ここに来たんですか?
GM/楓:すると周囲を見まわしながら,「……懐かしかったからかな」
晟:学校が?
GM/楓:「ここは,あまり変わってないな」
晟:(冷たく)それだけですか。
GM/楓:「あと強いて言うなら,おまえに会いに来た」
晟:「強いて言うなら」ですか。
GM/楓:「まさか一人でいるとは思ってなかった。だから声をかけてみる気になったんだが」
晟:……まぁいいですけど。ちゃんと所長のとこには顔出したんでしょうね。
GM/楓:「行ったが,不在だった」
晟:はあ? 待ってりゃいいでしょうが。
GM/楓:「あれは別にいいんだ。またそのうち連絡をとればいい」
晟:そうやって所長と二人でこそこそやってると,かーさんが拗ねますよ。
ユウキ:(ぼそっと)もうとっくに拗ねてると思う……。
GM:楓も「今さらそんなこと言われてもなぁ」という顔をしてる(笑)。
晟:あーそうですかいそうですかい! で,用事がなければ僕はこれで行きますからね。では,お会いできるのもこれが最後かもしれませんが! どうかお元気で!
GM/楓:「ああ,おまえも適当にやっておけ。『継承』の方も何とかなったようだしな」
晟:はい!?(一同笑)
GM:と言って,楓はすたすたと去って行こうと……。
晟:待て待て待て! 待ったらんかい,この馬鹿親父!(笑)
GM/楓:「煩い奴だな。今度は何だ」
晟:何だ,じゃないでしょうが。「継承」って何のことです!? あの青い宝石のことですか? 何か知ってるんですか?
GM/楓:「そこまでわかってるんじゃないか。ならいいだろう」
晟:よくない! 知ってるんなら教えてくれたっていいでしょう!
GM/楓:「そのうち自分でわかる。俺もそうだったしな」
晟:だから,そうじゃなくて……あーもぉ,この際ですから所長んとこに電話します!
GM:え? すると,「はい,もしもし?」と答えがあるけど。
晟:あ,所長? あのですね,今とーさんが……。
GM/紫音:「あー,俺,俺。大谷じゃないよ」
晟:あれ,紫音さん? 局長は?
GM/紫音:「大谷は外出中。一年に一度の大事な行事でね」
晟:まさか,キルスさんに拉致られたわけじゃ……。
GM/紫音:「だから,行事。キルスのは,ありゃ日常茶飯事」
晟:……日常茶飯事ってアンタ。
GM/紫音:「で,大谷に何か用だったのか」
晟:ああ,それが今,どこからともなくウチのとーさんが出現しまして……。
GM/紫音:「ああ知ってるよ。さっきここに来たよ。丁重にお帰り願ったけどね」
晟:どうして?
GM/紫音:「ここには泪がいたんでね」
晟:いたんでね,って……。
ユウキ:だったら会わせりゃいいだろーが!(笑)
遙:まったくだ!(笑)
GM/紫音:「いや,だってあの二人を会わせたら,どーなるか目に見えてるだろ?」
晟:やらせときゃいいんですよ! だいたいね,きちんと顔あわせてさっさと破局しときゃ,僕が迷惑こうむることもないんですがね!
悠貴:破局決定なんだ(笑)。
尚也:まぁ傍から聞いていると,破局しかないだろうという気がするが。
ユウキ:(ぼそっと)問題は,そこで素直に破局しなかった場合か。
一同:(寒い沈黙)
晟:…………。
遙:……う,うわぁ……(笑)。
GM/紫音:「まぁそういうわけなんで,俺としては会わせたくないわけなんだけども」(笑)
晟:わ,わかりました……というわけで電話を切るんだけども,その時にはもう楓はいなかったりするんだろうなぁ。
GM:毎度のパターンですな(笑)。では,こんなところでシーンをきります。 |