第参話 安 曇(あずみ)


GM:一応、ばたばたしていただけじゃなくて、本人は必死に逃げていたんだがねえ。
晴華:え、えーと、ホントに一体何があったんですか? さっきの男の人は?
GM/沙織:「潮生ちゃんですか? えーと、彼は私の親戚なんです」
晴華:その親戚の人に何で追われてたりするんです?
GM/沙織:「えーと、ですねえ。私の伯父さんの家はとってもお金持ちで蔵にいろんな宝物がしまってあるんです。潮生ちゃんは伯父さんの従弟なんですけど、たまにお父さんとその家に泊まりに来るんですよね。それはいいんですけど、よく蔵の中の物を持ち出すんですよ。潮生ちゃん、こないだも伯父さんに怒られたっていうのに、困ったものですよねえ」
一同:…………。

 
わざとわかりにくくしゃべっているのですが、おわかりでせうか。
 つまり「伯父さん」が濤哉さんで、潮生くんは纜さんの息子にあたります(だから濤哉さんの従弟ですね)。蔵とはもちろん若旦那が今見ているアレです(笑)。


如月:……いや、困ったものですねえとか言われても。
晴華:ねえ(京一を見る)。
京一:うーん……?
竜深:(←なじんでいる)それはホントに大変ですねえ。
GM/沙織:「いい人なんですよ潮生ちゃん。ただちょっと考えなしで……私も苦労が多いんです」
竜深:なるほどぉ、わかりますぅ。ホントにわかりますぅ。
晴華:何がわかるんですかぁ?
京一:つーか、俺の顔見て言ってない?(笑)
GM/沙織:「付き合ってるお友達がよくないと思うんですよね。さっきの黒服のおじさんたち。潮生ちゃん、あの人たちに色々渡してるみたいなんですけどね」
晴華:色々って……安曇家の蔵の物を?
GM/沙織:「そーなんです。潮生ちゃん、お金が欲しいみたいなの」
晴華:でもそれ犯罪じゃ?
GM:んと、1親等か2親等は罪にならなかったかな? ……いやでも4親等は余裕で犯罪だな、たぶん。
晴華:どっちにしろやっちゃいけないことですよ。
GM/沙織:「そーですよね。今朝潮生ちゃんの部屋にいったら(と、何かを取り出すポーズ)こーゆーのがあったんで、私蔵に戻しておこうと思って」と、彼女が取り出したのは香炉とか掛け軸とか純白の招き猫とか。
一同:…………。
京一:ってゆーかそれ、どっから出した?
晴華:ドラ○もんの親戚ですかこの人……。
GM/沙織:(構わず)「ね、これって高校生が持ってるものじゃないですよね。絶対また蔵からとってきたんですよ」
竜深:でも私高校生でこーゆーのに囲まれて暮らしてる人知ってる……。
京一:あれは亀だからいいの。
如月:……蓬莱寺京一、殺ス。
GM:若旦那ここにいないでしょ。
如月:……蓬莱寺京一、後で殺ス。
GM:ま、それはともかくとして(笑)。じゃあ彼女は「ありがとうございます。たこ焼きは後で弁償しますね」と言って去っていくけど、いいかな?
一同:はーい。
京一:だからたこ焼きはいいって……。

 
さて、場面変わって磯城島の安曇家では……。

GM:ではだいたい如月さんもチェックが終って、話もそろそろ煮詰まってきたかなというところだ。時刻は4時くらい。濤哉さんが「今日はこれくらいにいたしましょう」と言うと、汐里さんが「如月様、実は本日、いつも船を動かす者が所用で出てしまいました。村橋様もお忙しいようですし、勝手ですが、本日はお泊りいただいてもよろしいでしょうか?」と言ってきます。
如月:(他の2人と顔を見合わせつつ)僕らは構いませんが、神事は……。
GM/汐里:「明日には船も出ますので」
如月:じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。
村雨:ナンかますます「嵐の山荘」ネタになってきたなあ(←クローズド・サークルのことっす)。
晴華:その場合、犯人は壬生さんですか?
GM:そして誰もいなくなったりしなけりゃいいけど。
壬生:僕を何だと思ってるんですか。
GM:(しらっと)ところで、汐里さんが「よろしければ島の案内などさせましょうか?」と訊いてくるけど?
如月:この島って見るところあるかな。
GM:ま、単なる小島だけど、風光明媚ではあるよ。それに磯歩きはそれなりに面白いよねと私は思うが……。
如月:せっかくだからお願いしましょう。どうせ今日は帰れないんだし。
GM:んで、そんな話をしてると、濤哉さんが「西の磐戸には……」と汐里さんに言って、汐里さんが「もちろんです」と頷いている。
如月:……そんな、あからさまに「ここがアヤシイですよ」って言わなくても。
一同:(笑)
GM:……悪かったわねえ(いじいじ)。
如月:はい、すみません裏読みばっかりで(笑)。えーと、その「西の磐戸」というのが、例の神事が行われる場所なんですか?
GM/濤哉:「ええ、その通りです。失礼ですが、くれぐれもそちらには立ち入らぬようお願いいたします」
如月:ええ、承知いたしました。
GM:では、汐里さんが案内を……と、その前に壬生と村雨はどうしてる?
壬生:あの2人は?
GM:あれきり戻ってきてないね。
壬生:でもここで別行動すると怪しまれるし……そうですね、それなりに周囲に気を配りながら如月さんについていきます。
GM:んーと、じゃ全員知力もしくは直感チェック。成功した人は?
如月:(遠い目)ああ、空が綺麗だなあ。
村雨:だな。
壬生:ですね。
GM:全員失敗かよ(笑)。んじゃ、気づかなかったっと。汐里さんについて海沿いの岩場が多いあたりを歩いてゆきます。片側が崖になってて、かがんで何とか中を覗けるくらいの小さい洞穴とかぽこぽこ開いてる。えーと、そうだな。加護とか直感とか、魔力とかで振ってみてくれる?
如月:今度は僕が成功したけど……。
GM:そうですか。では、如月さんが覗きこんだ穴から女の人の声が。
如月:は?
GM:「ようこそ参られました……東の玄武どの。どうぞごゆるりとお過ごしなされませ……」
如月:……ええっ?!
GM:あ、ちなみに「東の」ってのは東の地を護る玄武という意味で……。
如月:いやそーじゃなくて。え? 何? この洞穴の中から?
GM:そーよ。
如月:……この穴によーこそいらっしゃい? 中でゆっくり過ごすの?
一同:ええっ?!(笑)
GM:ちゃうわ! この島、だ!
壬生:いや、普通そうでしょうよ(笑)。
如月:(←当人真面目だったらしい)え、えーと。一応「誰だ?」と小声で誰何してみるけど。
GM:じゃあ少し含み笑いがして。
竜深:……うふふ?
GM:それも違うっつーの。ともかく、そこで背後に気配を感じた。
如月:振り返ると?
GM:すると、小柄なお婆さんが立っている。
如月:…………?
GM/老婆:「おや、どうかなさいましたか?」って、ちなみにさっきの女の人とは全然違う声だよ。
如月:……いえ、別に。中に何があるのかなと思って見ていただけです。
GM/老婆:「ひょっとして、中で何か聞かれましたかね」とにこにこ。
如月:え? ……いや、まさか「玄武どの」なんて言われたとは言えないから……誰かの声が聞こえたような気がして……ってこれでも単にアブナイ人だな(←悩んでいるらしい)。えーと、でも多分海鳴りでしょう、と。
GM/老婆:「そうでもございませんよ。ここいらの穴のでは、よく島の神様のお声が聞こえるなどと噂されておるんですわ」
如月:ここは、何かお告げがあるとか、そういう……。
GM/老婆:「さて、お館の皆様はここで島の神様に名前をつけていただくと」
如月:命名の儀式とか? 別に邪悪な感じはしないんですよね、邪妖滅殺とかゆーよーな。
GM:それはないね(笑)。
如月:中、入れます?
GM:若旦那は3人の中では小柄な部類なんだよな。うーん、キツイけど、身体を縮めればまあ何とか。
如月:んじゃ匍匐前進……はしないけど(笑)、こう、よっこらしょ、と。
GM:そうすると……潮の香りがきつくなってくる。不快な感じではない。で、中にだいぶぼろぼろになった祭壇……お社……神棚……なんだろう、その類のものが。知力チェックをよろしゅう。
如月:(ころころ)あ、全然だめ。
GM:じゃ、何か祭神の名前が書いてあるっぽいが、よく読めない。
如月:うーん、一応敬意は払っておくに越したことはなかろう、と。でも仕方ないから出ます。
GM:では、またかすかに含み笑いのようなものが。
如月:何か怖くはあるんですが、一体僕にどーしろと。
GM:どーしよーもないでしょうね(笑)。
如月:とりあえず汐里さんに、これは何でしょう、と訊いてみますけど。
GM/汐里:「さあ、私もよくは存じません。かなり古いものらしいとは聞いておりますけど……」
如月:あれ? ところで安曇家がやってる神事って何の……。
GM:……言ってなかったっけ?
一同:全然。
GM:はい、申し訳ございませんでしたっ。汐里さんが説明するには、安曇家は安曇磯良(あずみのいそら)の末裔だと言われてるんです。その神事ですね。ただこの祭壇は安曇磯良とは関係ない。ちなみに安曇磯良って男神だし。

 
詳しい方に突っ込まれる前に言っておきますと、安曇磯良と伊豆下田とは何の関係もない……はずだ(実は勧請してんのかもしんない。そこまではちと)。福岡県志賀島の志賀海神社の祭神らしい、と言われてます。
 大体舞台が何で下田なんだろう(笑)。多分東京から近場で、さらに松井が行ったことのある海辺の街がそうそうなかったからだと思うが……下田の皆様、ゴメンナサイ(って今さら謝ってどーするよ)。


GM:ちなみにさっきのお婆さんはナミさんという。代々お産婆さんをやってたそーな。
如月:じゃあナミさんに訊きます。名前をつけていただくというのは、実際何かの声が聞こえるということなんですか。
GM/ナミ:「ええ、私は汐里お嬢さんのお名前も濤哉さんのお名前も、神様から聞かされましてな」
如月:あなたにしか聞こえないんでしょうか。
GM/ナミ:「さあて、私の他にも聞いたものはあるとのことですが、よくは存じませんな」
如月:(少し考えて)壬生と村雨は何か見つけたかい?
壬生&村雨:(GMを見る)
GM:えっと、もう少し先に進んだとしよう。岩場を歩いていると、遠目に例の磐戸とやらが見える。かなり大きな洞窟で、その前に白い着物に紺の袴姿の若い衆が5人ばかり見張りに立ってる。さて、そこの2人は直感か加護。
壬生&村雨:……えーと……。
GM:あ、そう。じゃあもう一度加護チェック。
壬生&村雨:……しっぱーい。
GM:ええ? 壬生はともかくさめさんもダメか? じゃあ失敗度が高かった方、敏捷度チェックしてみて。
村雨:(←実はこっちだった)今回サイコロに祟られてますわ。
GM:では、何かを踏みぬく。
村雨:ええっ?
GM:(歌うように)ずるっと滑って〜、深いです深いです〜、落ちます落ちます〜♪ で、2D6振り足しあり。
一同:(笑)
村雨:ああっ、前回の悪夢が……(笑)。
壬生:……6振らないようにね(笑)。

 
ちなみに村雨と壬生は、「僕の学校は薔薇園だった」の京一と龍麻。
 この2人、そろって足滑らせて痛いダメージを負ったとかなんとか(笑)。
 しかし、今回は振り足しなしで、ダメージはごく軽微。


村雨:くっそー、一体何なんだ?!
GM:起きあがって上を見上げると、かなり深い。5メートルくらいの竪穴だ。
如月:(覗きこむ)おーい村雨、大丈夫か!
村雨:大丈夫つったら大丈夫だけどよ。
GM:そこで村雨は気づくけど、脇に縄梯子がある。
村雨:は?
GM:で、さらに奥の方に横穴が続いてる。
如月:……汐里さん、この穴はなんです?
GM/汐里:「この辺にはまだ私どもが知らない穴も多いのです」
一同:(疑わしげに)穴ぁ?
GM/汐里:「……危険ですから、この穴は蓋をしておきます。村雨さん、上がってらしてください」
村雨:横穴の方、行ってみたい気もするけどなあ。
如月:仕方ないだろう。とりあえず上がってこい。
壬生:(GMに)汐里さんの様子を伺うけど……。
GM:彼女は結構動揺している。(村雨に)ちなみに、周りが潮でべたべたしてることを考えれば、この梯子はかなり最近につけられたものだろう。
村雨:潮……?
GM:もちろん上からもあるだろうけど、いわゆる磯の匂いはむしろ横からくるようだ。
如月:海に繋がってるのかな。村雨、とりあえず上がれ、と言いつつ2人に目くばせをしておこう。

 
フジツボで腕を切った(?)村雨の手当てをしに、屋敷に戻る3人である。
 そーいえばフジツボで怪我をすると、そこからどんどんフジツボが生えてくるという……。


壬生:増えないうちに腕切り落としときましょうか。
村雨:…………。
GM:……それはともかく、磯城島の夜は更ける。で、どーするよ壬生ち。村橋探しますか?
壬生:やるべきことは早目に……とは言え、ここで「殺っとく」宣言をするのも何かな、と。
如月:勘弁してくれ。
晴華:(ぼそっと)如月さんたち、帰ってきませんねえ。
竜深:そうだねえ。何してるのかなあ(笑)。
壬生:(無視)まだそんなに遅い時間じゃないなら、汐里さんか誰かに、それとなく村橋の泊まってる部屋とか訊いておきたいかな。
GM:何て訊くの?
壬生:うーん、例えば、この島はすべて安曇家のものなんですか、とか、この屋敷の広さはどのくらいなんですか、とか当り障りないとこから……魅力チェックは成功。
GM:じゃ、いいでしょう。村橋は、纜さんが島に来た時に使ってる、離れに泊まってるそうな。
壬生:離れの位置なんかはわかるよね?
GM:そんな変な位置にはないからね。ま、この辺だろうなと見当はつく。
壬生:そんなとこかな……。
GM:なるほど、今日は殺らないと。
一同:(笑)
如月:来て1日目にそんなんなったら滅茶苦茶アヤシイだろうが!
村雨:1日目じゃなくても俺らがアヤシイと思うが……。

 
ごもっとも。

壬生:一応機会はうかがっておきたい。如月さんたちに少し散歩でも、みたいな感じで声かけてから。
如月&村雨:(ぼそっと)すっげうさんくせー。
壬生:(無視)こっそり離れの方へ忍び歩いていきましょう。
GM:では、あなたの前を、濤哉さんが離れに向かって歩いていきます。
壬生:おや?
GM:敏捷性チェックをどーぞ。失敗したら威力半分で。こっちは直感で振ります。(ころころ)……あれ。
壬生:(小さい声で)……4。
GM:こっち28(一同笑)。「おや、道にでも迷われましたか」
壬生:いえ、少し外の空気を吸いに出たところです。
GM/濤哉:「そうですか。この辺りは足場も悪いことですし、あまり夜半出歩かれない方がよろしいかと思いますよ」

 
結局、壬生ちは何の成果もなく、散歩だけして戻ることになってしまったとさ。しょうがねーべ、GMクリットだしたんだもん。出目ばっかりはな。
 さて、いい加減夜も更け、「ふじさわ」でだらだらごろごろしていたの3人であるが……。


GM:結局、若旦那たちは帰ってきません、と。
晴華:まさか無断外泊されるとは思いませんでしたねえ。
竜深:かめさん、意外にふりょーだったんだねえ。
如月:(横から)電話ぐらいいれるっつーに。マスター、携帯通じますか?
GM:ん? シティフォンとかじゃなければオッケーじゃない?
晴華:素直に電話借りたらどうなんです? 聞かれたらヤバイことでもあるんですか?
GM:ヤバイこと、とゆーと……。
如月:竜深さん、実は壬生が村橋を殺りにいったので帰るに帰れなくなったんだ。
竜深:そっか〜、大変だね〜。
一同:そらヤバイわ(爆笑)。
如月:と、いうわけで明日には帰るから、大人しくしてるように。特に蓬莱寺。僕がいないからといって婦女子に不埒な真似はしないようにな。
京一:ちっ。
如月:ちっ、って何だ、「ちっ」てのは!(怒)
GM:まあまあ。で、夕食を運んできたのは、昨日の仲居さんとは違う人。年のころ20代後半と思われる、ものごっつー美人だ。さらにその後ろには沙織ちゃんが、「さっきはありがとうございましたー!」と。
晴華:(のんびり)いえいえ〜。
GM:で、美人さんの方が、「ご挨拶が遅れました。私は女将の藤沢那美と申します。先ほど娘が大変お世話になりました。兄に代わりまして、皆様のお世話をさせていただきます。何なりとお申し付けくださいませ」
京一:(困って)あ、はあ……どーも……。
GM:さて、というわけで3日目いってよろしいでしょうか?

 
さて、煮え切らない2日目はこれでやっと終わり。
 3日目であるが……。


GM:(厳かに)はい、「ふじさわ」サイド。現在、午前5時でございます。
一同:ええっ?!(悲鳴)
京一:せっかくうるせーのがいなくなって、ゆっくり眠れると思ったのに!
GM:ふふふ。一応直感チェックしてもらおうか。成功した人は?
竜深:成功しちゃいました〜(泣き笑い)。
GM:まだ外は暗いです。竜深ちゃんは、どこからか歌声が聞こえてきたような気がして、目を覚まします。それは静かで、美しく、どうしようもなく魅きよせられるような……。
晴華:……サ、サイレン?
一同:(爆笑)
GM:何でそーなる。
竜深:ああ〜、でも足が勝手に〜(←そんなんだったら精神力チェックさせてるわい)。
GM:で、外にでる?
竜深:まずは窓をそっと開けて見るです。
GM:すると、沙織ちゃんが海辺へ向かって歩いてゆくのが眼下に。歌声の主は彼女のようだ。
竜深:(かわいく)んじゃ、そのまま手すり越えて「よいしょ」って飛び降りる。敏捷性チェックは……成功〜。
GM:後を追いかけますか?
竜深:はいです〜。
GM:彼女はどうやら、海水浴場からは少し離れた岩場の方へ向かっているようです。後をつけていくと、古びた桟橋があって、そこにこれも古びたボートが泊めてあります。で、そこで彼女は服を脱ぎ出したりして。
一同:(どよどよ)
GM:いや、下に水着は着てるけどね。何を期待してるの、キミら。
如月:いや、そーじゃなくて、服の下から何か出てきたらどーしようかと。
GM:は?
晴華:下半身が魚だとか。
竜深:エラあるとか。
GM:あのなあ。普通の女の子だよ!
一同:ちっ。
GM:(だから何を期待しておるのだ)ともかく、彼女はボートに乗りこみまして、何故かじーっと海面を見てます。竜深ちゃん、隠れてますか?
竜深:んにゃ、堂々と。桟橋のところまで行って、じーっと見てる。
GM:……じーっと見てるだけ?
竜深:うん。
GM:(こめかみを押さえつつ)じゃ、しばらくすると、沙織ちゃんは気づいて振り向く。
竜深:おはよ〜。
GM/沙織:(あせあせ)「お、おはようございます! 早いんですね、竜深さん」
竜深:沙織ちゃんこそ、早いねえ。何してたの?
GM/沙織:「あ、あの、朝食8時からですから。あ、それじゃ私用事を思い出したので、それじゃっ」
一同:…………。
GM:ところで、彼女脱いだ服を忘れていってる。それと、ボートの中、少し濡れていて、触ってみると、少しねっちょりしているよーな……。
竜深:(指を閉じたり広げたりするポーズ)んんー?
GM:あと底に綺麗な貝殻がぱらぱらと散らばってたりして。
晴華:やっぱり半魚人……。
如月:深きものだ……。
GM:だから、何でだ(笑)。
竜深:貝殻と服拾って、お宿に帰ります。
晴華:さて、そろそろ起きてみて……窓開いてますねえ。何でや。
一同:(笑)
晴華:閉めて、鍵かけておきましょう。
竜深:いーもん。ちゃんと入り口から戻りますし。
京一:開いてるのか、こんな時間で。
GM:じゃ、那美さんが起きてきたことにしてもいいけど……竜深ちゃん、そう言えば靴は?
竜深:裸足。ついでにパジャマ(一同笑)。
GM/那美:「まあ、お客様、どうなさったんですか、その格好! それに、それ沙織の服じゃありませんか?」
竜深:はい、そーなんですう〜。沙織ちゃんに返しておいてくださいね〜。
一同:うわメッチャあやしっ!
GM:「は、はあ」とか言うしかないよ那美さん(笑)。
竜深:(全く構わず)そのまんまきょーちゃんの部屋襲撃しよ。
京一:だから寝かせろ〜! せっかく亀がいねーんだぞ!
竜深:とりあえず上に落下して。
京一:おい!
竜深:浴衣の襟つかんで、きょーちゃんきょーちゃん、大変なんですぅ〜!(がっくんがっくん揺さぶる)
京一:だから……
竜深:とっても大変なんですぅ〜!(がっくんがっくん)
京一:あの……
晴華:(冷静に)隣の部屋が騒がしいので、起きましょう。
竜深:さらに大変なんですぅ〜!(がっくんがっくん)
京一:(飛び起きて)だー! 一体何だってんだ?!
竜深:歌声に魅かれて海辺に行ったの。
京一:……は?
竜深:そしたら沙織ちゃんが脱ぎだしたんです。
京一:(口あんぐり)
晴華:(←やってきたらしい)よくわかんないんですけど、竜深さん。
竜深:そしたら下に水着着てて、ボートに乗って、じーっと海見てたんです。
晴華:……それで?
竜深:で、おはよぉって声かけたら、帰っちゃったんです。そしたらその後に綺麗な貝殻と洋服と、ねばねばぁ〜っとしたお水が残ってたんです。
京一&晴華:…………。
竜深:(首をかしげて)……これってどういうことでしょう?
京一&晴華:わかるかそんなもん。
GM:会話になってねーなー(笑)。
竜深:(京一をじー……っと見つめる)
京一:わかった……いや、俺には何が何だかわからねーが、一緒に見に行ってやるから……。
晴華:……うち、寝直してこよ(退場)。
竜深:じゃ、おやすみなさいきょーちゃん(退場)。
京一:…………。
GM:京一さん、感想は?
京一:……とりあえず、俺も寝直そ……。

 
さて、何時間か過ぎて、8時になりました。
 それぞれ眠い目をこすりつつ純和風の朝食を囲んだ3人。
 ……いや、竜深ちゃんは元気だけどね。


京一:くそー、眠てえ……。
GM:そーやって3人が朝食を食べていると、廊下をばたばたばたっと走る足音が響いて、続いて、「おいっ、沙織知らねーか?」と、昨日の潮生少年の声が。
晴華:おや?
GM:で、仲居さんらしき人が、「あら潮生さん、沙織お嬢さんと待ち合わせじゃなかったんですか?」と言うのに対し、「1時間たっても来ねえんだよ。約束破るタイプじゃねーから気になってよ」と言いながら、君らの部屋をがらっと。
一同:…………(黙って見返す)。
GM/潮生:「あ、悪い。間違えた」
晴華:(低い声)それだけですか。
GM/潮生:(もっぺん襖を開けるポーズ)「あ、あのさ。悪いんだけど、沙織見なかった?」
竜深:んんー?
晴華:(冷たく)朝っぱらから騒がしい人ですね。一体何ですか。
GM/潮生:「え? いや、沙織と7時に待ち合わせてたんだけどよ、アイツどこにも姿が見えねーから……その……」
竜深:フラれたんですね。
晴華:すっぽかされたんですね。
GM:おい。
竜深:がんばって探してくださーい。
京一:(見かねて)竜深に「戻って来てるはず、だよな?」と目配せしてみる。
竜深:(黙ってこくこく)
GM:誰も潮生ちゃんには教えてあげないつもりなのね?
晴華:そんな義理ないですし。
GM/潮生:(苦笑)「そっかー。今那美さんも探してくれてんだけどなー。とりあえず浜辺でも行ってみっかー。んじゃ、邪魔したな」

 
と、ゆーか、いいかげん合流してもらわなきゃ困るんだが……。
 どーも潮生ちゃん、最初の印象が悪かったらしい。
 GMとしては、「粗暴だけど根はいいヤツ」みたいな感じを狙ったんだがなぁ。
 仕方ないので、信用されそうな人で攻めてみることにしよう。
 ってなわけで、3人が食べ終ったところで今度は那美さんがやって来た。


GM/那美:「お食事中のところを失礼いたします。……あの、潮生さんは?」
竜深:さぁ。出てっちゃいましたけど?
GM/那美:「あの、お客様にこんなことを伺うのは恐縮なんですけど、(竜深に)さっきの沙織の服、どちらで見つけられました?」
竜深:沙織ちゃん帰ってきてないんですか?
GM/那美:「ええ。私が起きたころにはもう出かけたみたいで」
竜深:……きょーちゃん、大変です。
京一:何が?
竜深:沙織ちゃん、水着でうろちょろしてます(一同笑)。
京一:そこか、大変なのは?(笑)
GM/那美:「あの、どういうことでしょう?」
竜深:だから、沙織ちゃんお洋服脱いで、水着着て、帰っちゃったんです。
晴華:……はあ?
如月:何か違わないか?(笑)
京一:はあ、何で俺が説明役をせにゃならんのだ(笑)。実は、竜深が5時ごろ、浜辺の古い桟橋のとこで水着姿の沙織ちゃんを見たらしいんです。で、宿に帰るって行っちゃったらしいんですけど……。
GM/那美:「まあ、あの子ったら、また島へ行こうとしたんだわ」
晴華:島って磯城島ですよね?
京一:(GMに)ボートって手漕ぎだよね? そんなんで行けるもんなの?
GM:行けないことはないと思うよ。ただ、かなり古いボートだったし、地元の子とはいえ、8歳の女の子が1人で行くとしたら、かなりどーかなーなカンジ。
晴華:……見に行ってみましょうか?
GM/那美:「ありがとうございます、助かります」
晴華:結構ちゃっかりしてますね。
GM:このままじゃ如月さんがヒマだから、とっとと話を進めたいのよ(笑)。さて、桟橋へ行ってみると、さっきのボートが綱を解かれた状態で海に漂っている。
竜深:あれあれ、あのボートなんですぅ。
GM:すると、那美さんがふらふらとボートに向かって桟橋を歩いてゆく。ちなみにこの人和服。
京一:(慌てて)止める止める!
晴華:他にボートとかないですかね?
GM:見渡す限りではないが……。
竜深:いいよ。泳いでとってこよ。
GM:あれ? 竜深ちゃん、水着?
竜深:お洋服だけど、いいよ。
京一:おまえも待て! 俺が行くっつーに。
GM:じゃあ……判定はいらねーや。ちゃんと靴脱いだでしょ?
京一:いくらなんでもそれくらいの頭はあるわいな。
GM:木刀は?
京一:濡れるからいい。
竜深:預かってまーす。
GM:(にやり)では、ボートには難無く辿りつく。覗きこんでみると、彼女はいないが、ビーチサンダルの片方が。
竜深:あれ? それはさっき落ちてなかったですよね?
GM:落ちてたとゆーか、彼女が履いてたね。
京一:…………?
GM:さて京一。直感チェックいってみようか?
京一:……え? 成功だけど。
GM:成功? (にやりと笑って)誰かがあなたの足を掴もうとしたぞ。
一同:ええっ?!
GM:水の中だから、敏捷性チェックは省かせてもらおう。強さで威力ダイスを振ってくれたまい。こっちは8。
京一:9! 危ね〜。ボートの端にすがって、桟橋まで泳いで戻る。距離はそんなにないよね?
GM:距離はね。しかし、あなたの目の前の海面がぐぐっと盛り上がって、そこから姿を現したのは……いわゆる半魚人だ。
一同:……はあ?!
如月:やっぱ深きものか?

 
いや、ディープワンじゃないんだけどね(笑)。
 こいつの正体はスーファミ版のメガテンにはよくでてきたとある怪物。

 
如月:そんなことより、何でそんなもんが出てくるんだー!

 
何ででしょう(笑)。