Act.4 気にされないこんがん。

GM:招待されたのは、サノ閣下のほどじゃないけど、やっぱりかなーり立派なお屋敷です。庭ではさっきのお嬢ちゃんとそっくりな女の子がブランコで遊んでいます。
ジーク:ところでさっきのお嬢ちゃんの名前は?
GM:名前? 特に決めてないんだなあ。A子ちゃんとか。
ジーク:じゃあアリスちゃん、ベティちゃん、キャシーちゃん、ドロシーちゃん……。
GM:どろしーちゃん……いいなあ……。

 
それは他のアニメだ。

カワタワ:いいよね。はやく戦争になーれ♪

 
それも他のアニメだ。

ジーク:じゃあお母さんはキャロラインさん。お父さんはチャールズさんで、娘さん2人はメアリーちゃんとローラちゃん。
GM:何それ?
サファイア:あれだよ、あれ。ちゃ〜ら〜ら〜ら〜ら〜らららっら〜♪

 
……『大草原の小さな家』です。念のため。

GM:何でもいいんだけど、テラスに通されると、中々かっこいい男の人が出て来て出迎えてくれます。これがお父さんらしい。
ジーク:ほぉ。チャールズさんですね。
GM/チャールズ:「いらっしゃい。この度は娘がお世話になったそうで」
ジーク:いえ、お世話というほどのことはしていないんですがね。
GM/チャールズ:「(にこにこ)どうです? 簡単なものですが、お食事をご用意してあるんですが」
ジーク:そうですか? ではせっかくですし、図々しく頂戴しましょう。
サファイア:まったくだ。
ジーク:やかましい。謙遜の言葉くらい知らんのか。
GM:まあまあ。食堂に入ると、簡単なものと口で言いつつ、かなり立派な食事が用意してある。
ゴン:ぶぶ漬けでも食わせたらんかい。
カワタワ:お茶漬けのフルコースだとか。
GM:そんなことはないです。どれも手がこんでて、すっごくうまそうだよ。さて、そんなこんなであたりさわりないお話をしながら食事は進みます。味も大変結構です。そんなところでジーク君、知力チェックを。
ジーク:16。
GM:チャールズさんは何か君に話したげな様子だ。
ジーク:(少し考え)それでは、私はそろそろ……。
GM/チャールズ:「そうですか? もう少しよろしいのでは?」
ジーク:いえ、同宿のものに何も言わずに出てきてしまいましたのでね。お食事は大変結構でした。
GM/チャールズ:「それはありがとうございます」
ジーク:おや。ひょっとしてこの人が?
GM:ムッツーゴロウ王国でもちょっと名の知れた高級レストランのオーナー兼シェフなのだよ。君もよく知っているぞ。何せいいとこのお嬢さんをひっかけるには最適だ。
ジーク:……あのよ。人がせっかく2人で話をしやすいような状況を作ってやってるっていうのによ。
ゴン:2人で話を?
カワタワ:……ひょっとして新しい境地に入るのジーク?
ジーク:誰がじゃ!(一同爆笑)
カワタワ:そうだったら面白いなー、と思って。
ジーク:面白いんか! ホントに面白いんか! ああ?!
フェス:彼は女だけで充分体力使ってますからねえ。
GM:まあまあ。では門のところまで送ってくれるのはやはりチャールズさん1人だ。
ジーク:で、何かお話でも?
GM/チャールズ:「ええ……つかぬことを伺いますが、ここに来られたのはいつごろですか」
ジーク:え? えーと、昨日ですよ。それが何か?
GM/チャールズ:「そうですか。ではもしかするとご存知ないかも知れないのですが、一応伺いたい。この街には何か怪しいところがあるのですか?」
ジーク:は? 何故です?
GM/チャールズ:「実は、2週間ほど前に、私の友人が家族とともに消息を絶っているんです」
ジーク:はあ?! えーと、それはちゃんと自警団に届け出ましたか?
GM/チャールズ:「ええ、それはもちろん。ただ、行方不明になったのがこの街の中かどうかはわからないので」
ジーク:(困って)ええと……。
GM:説明しやう。まず、彼の友人というのもムッツーゴロウ王国でレストランを経営していて、彼とはよきライバル関係にあるのだ。
ジーク:その人も有名なの?
GM:うん。
ジーク:名前は?
GM:名前……決めなくては駄目ですか。
ジーク:そんなんばっかやなアンタ。
GM:ではカルロスさんにしよう(←チャールズをスペイン語風にしただけやんけ)。
ジーク:いや……というかレストランの名前を知りたかったんだが。
GM:レストランですか? では「ボン・ボジュール」ということで。
ジーク:なんでやねん。
GM/チャールズ:「(無視)彼もやっぱり避暑に来ていて、2週間前に王国に帰っていったんです。ところが1週間前に私が出した手紙が、送り返されてきたので」
ジーク:それは……彼が街を出ていくところはご覧になっていない?
GM/チャールズ:「はい、そうです。ですからこの街で何かあったというより、どこで何があったのかがわからないんです」
ジーク:出て行く時に何かあったのかも知れないし、途中の街道筋で何かあったのかもしれないし、そもそも手紙が間違って送り返されてきただけかも知れませんしね。
GM/チャールズ:「はい……私の思い過ごしならばよいのですが、やはり心配で」
ジーク:街の外でのことなら、自警団に頼んでも限度があるでしょう。
GM/チャールズ:「はあ……しかし、私もどうしてよいのやら……」
ジーク:そうですね。私の仲間にこういったことを生業にしているものがあります。彼らに頼んでみますよ。ただ依頼というかたちになりますけど。
GM/チャールズ:「ええ、もちろん報酬はお支払いします」
ジーク:わかりました。それでは私は帰って話してみることにしましょう。
GM/チャールズ:「お願いします。私どもはあと1ヶ月くらいここにいる予定でしたので」

 
さて、素直に帰ってきたジークだが、その頃健全に遊んでいたハイキング組は……。

ゴン:虫は捕れたんですか?
GM:捕れたよ。クワガタとかカブトムシとか。
サファイア:それって売れる?
GM:さあ、現代日本よか価値は低いと思うけど。
カワタワ:ムラサキタマクワガタとか、捕れない?
GM:……何それ。

 
単に遊んでいただけだった。
 さて、夕方になり、トイレ休憩していた(笑)エレガントな人も戻ってきたところで、2日目の夕食である。


サファイア:ひょっとしてまだフェアリーは……。
GM:さすがに帰りました。朝の3人もお帰りになりました。ただ、新しいお客様が増えたみたいです。
サファイア:は?
GM:フェスがまた連れて来ちゃったみたいですね。
サファイア:…………。
GM/お嬢さん:「まあ、こちらがしゃべる犬ですの?」
フェス:ええ。珍しいでしょ。
サファイア:キサマ、何を言う! 私はドッグヘッドだ!
GM/お嬢さん:「おかしいですわね。言葉をしゃべる犬だと伺ってましたのに……」
サファイア:それはこの男のデマカセです! そりゃあ頭は犬かも知れませんが、
一同:認めてるじゃねーか!(笑)
サファイア:(慌てて)しかし私は断じて犬などではなく、ドッグヘッドの中でも由緒あるパピヨン族の族長の娘なのです!
ジーク:つまるところが犬。
サファイア:黙れ! 生殖エルフに言われたくはないわ!
ゴン:(骨をとりだし、投げる)ていっ。
サファイア:(取りにゆく)きゃわーん。
ジーク:ほら、犬だ。
GM/お嬢さん:「まあ、犬ですわね」
サファイア:ごほんごほん! な、何を言っているのだね君たち。
GM/お嬢さん:「それはそうと、皆さんここには何をしにいらしたんです? やっぱり避暑ですか?」
ジーク:いえ、私は布教です。
サファイア:こいつの言うことは気にしないでください。
ジーク:布教なのは本当だって。
GM/お嬢さん:「あら、神官さまでいらっしゃるの?」
ジーク:ええ、まあ。
サファイア:こいつの言うことは気にしないでくださいっ!
GM:女の子はちょっとハテナマークな感じだ。
カワタワ:つまり、彼は街から街へ種を蒔いて歩いているんですよ。
一同:(笑)
GM/お嬢さん:「まあ、花の種を蒔いていらっしゃるの?」
ジーク:(虚空をみつめつつ)まあ、そんなもんです。
サファイア:こいつの言うことを聞いちゃいけませんってば!
GM/お嬢さん:「どんな種なのですか?」
フェス:つまり生命の源とでも申しましょうか。
GM/お嬢さん:「まあ! 是非、私にもその種を分けていただきたいですわ」
一同:(大爆笑)
サファイア:いけませんっ! 絶対に危険ですっ!(泣)
ジーク:(苦笑)いや、つーか、ほら、こういうタイプは好みと違うし? それ以前に同意がないと嫌だし俺。
カワタワ:どーしてー? 同意してるじゃなーい。ほら、「是非分けてほしい」って。
サファイア:おまえも黙ったらんかーい!
GM:女の子はやっぱりハテナマークなんですが。
ジーク:いや……ちょっと……。
カワタワ:だいじょぶだいじょぶ。種を蒔いて実がなるとは限らないしー♪
フェス:それだから彼はいつも「数撃ちゃ当たる」なんですよね。
サファイア:ギャワンギャワン!(←うるさいなあ)
ジーク:ところでちょっと別の話をしようと思うんだが……おい。聞けよてめーら。
一同:(聞いていない)

 
たまに真面目にやろうとするとこれなんだから……(ぶつぶつ)。
 さて、やっと場が静まったところで、チャールズさんの依頼のこと、行方不明のシェフ・カルロスさんのことを話すジークであるが。


フェス:その人がいなくなったかもしれない、というのが2週間前? その頃私たちはムッツーゴロウ王国にいましたよね? 「ボン・ボジュール」ってちゃんと開業していました?
GM:開業はしていた。ただ、メインシェフがいなくても何とかやっていけるくらいの規模と人員はあるから……。
ジーク:カルロスさんが帰って来ない、なんて噂もなかったの?
GM:それは時間的に、君らが出発したのは、ちょうどカルロスさんが帰って来る予定の日より前だったからね。
サファイア:ところで、えーと……ジーク、そのチャールズさんの店が……。
ジーク:違う。「ボン・ボジュール」はカルロスさんの店だ。
サファイア:じゃあチャールズさんの店は?
ジーク:(GMを見る)
GM:え? えーと、特に決めてないんだけど。

 
……たいがいにせんかいっ。
 と、いうわけでここぞとばかりに、「ナゲーワ」だの「キットカット」だの「カフェイン」だの「ジューロクチャ」だの「イトーエン」だの「サワヤカソーダ」だの、怪しい名前が飛び交う(机の上に何があったか忍ばれますね)。

GM:そんなカッコ悪い名前は嫌だ。
フェス:じゃあ「ボン・ボヤージ」。
一同:えー?
GM:……面倒だから、それでいいかあ。

 
安直な。

サファイア:えーと、その「ボン・ボヤージ」のカルロスさんが……。
ジーク:じゃなくて、「ボン・ボジュール」がカルロスさんだってば。
カワタワ:ちょっと待て。行方不明になったのはどっちだ?
ゴン:だから「ボン・ボジュール」のカルロスさんが……。
サファイア:(頭を抱えて)その友人がチャールズさんで、「ボン・ボヤージ」の店長さんで、その人がカルロスさん探しを依頼してきて……?
ジーク:だー! ややっこしー!

 
名前はあまり安直にするとプレーに支障をきたします。ご注意(笑)。

フェス:で? そのチャールズだかカルロスだかいう人が結局何ですって?
ジーク:だからあ、カルロスさんって人が行方不明になったかも知れなくって、チャールズさんがそれを心配してるって話。
フェス:お気の毒ですね。で?
ジーク:で、かわいそうだねって話。
フェス:そうですね。
ジーク:ね。
一同:…………。
サファイア:だー! 何でそれで済んでしまうんだー!
フェス:だから余計なことに首を突っ込むのはおよしなさいというのにアナタは。
カワタワ:とゆーか、高級レストランの店長さんが、私たちに何の関りがあるわけー?
ジーク:ないよ。仕事として受ける気があればってこと。押しかけて飯食うのはおっけーみたいだから、興味あったら本人に話聞いてみたらー?
ゴン:そういうおまえも、とってもやる気なさげ。
ジーク:うん、あんま興味ない。特に金にも困ってないし。
ゴン:おまえ、正義感ない。
GM:それより、さっきチャールズさんに言ってたことと微妙に違う(笑)。
ジーク:まあねえ(←罪悪感なさげ)。
ゴン:わかった。オレ、その人助ける。サブ、おまえどうだ。
サファイア:だからサブと呼ぶな。……私も休暇中とはいえ、歴とした騎士。ここは見過ごすわけにもいくまい。
フェス:(ぼそっと)騎士だったらなおさら領地外のモメゴトに首突っ込んでどーすんだって感じなんですけどねえ。
サファイア:それに、あの山で感じたヤな予感も気になる。もしかしたら、カルロスさんもあの山で……。
カワタワ:道中でゾンビになってんじゃないのー?
サファイア:だー! いちいち水を差すなー!
ゴン:そういや、俺たちが来る時にすれ違った可能性は?
GM:すれ違った馬車はいくつかあったよ。でも君らガタガタしてたやん。いちいち覚えてないよ。
フェス:向こうからこっちはよーく覚えられているでしょうがね。
一同:(笑)
ゴン:とにかく、オレ、その人助ける。人助けるのはいいこと。それにおまえたち、冒険ないとヒマそう。
ジーク:そりゃおまえはそうだろうけどなあ。なんつーか、他にすることないわけ? バニーちゃんと仲良くなるとか。
ゴン:オレ、ちゃんと仲良くなった。
ジーク:具体的には?
ゴン:バニーの力仕事、代わりにやった。
ジーク:それは仲良くなったというの?
ゴン:バニー、力仕事すると腕太くなる。それはよくない。
カワタワ:正しい(笑)。
サファイア:ゴンが何をしていようと、彼はちゃんと働いている。おまえとは違う。
GM:彼は彼なりに働いてるんだよ(笑)。
ジーク:そうそう。子孫繁栄のためよ。
一同:…………。
フェス:……ここで訊いておきたいのは、彼が本当に子孫を作る気があるのかどーかなんですが……。
GM:そこまでのアフターケアはしないよねえ。
ジーク:そうだねえ。
ゴン:……おまえ腐れてる。
ジーク:うるさいなあ。
サファイア:こいつのことは放っておけ。それより、結局どうする? 私は明日の朝行ってみようと思うのだが。
カワタワ:(投げやりに)いいんじゃなーい?
フェス:時間にもよりますねえ。朝って何時ですか?
カワタワ:早朝(笑)。
GM:具体的に何時だよ(笑)。とゆーか、そんな朝早く来られても困るんですが。
ゴン:オレ、朝早く起きる、かまわない。
サファイア:おまえが困るとかじゃなくって、先方の問題だろ。
カワタワ:だいじょぶだいじょぶ。私が楽しく歌って起こしてあげるよ。
GM:楽しく?
カワタワ:ちゃーんちゃーらちゃらららっ、ちゃーんちゃーららちゃっちゃっちゃ♪(←ラジオ体操第一)
サファイア:待て。それは強制的にラジオ体操なのか?
ジーク:それはかなり嫌だなあ。
GM:そういう呪歌はない。強制的に合唱させられるってのはあるけど。
一同:(笑)
カワタワ:あーたーらしーいあーっさがきったっ♪(笑)
フェス:似たようなもんじゃないですか。
ジーク:だからさあ、少し遅く行ってブランチ食やいいじゃん。
GM:レストラン扱いされても困るんだが……。
フェス:それは違いますよ。レストランというのはお金を払って食事をするところです。
カワタワ:ジークはタダでご飯が食べられるところって言ってんだもんねえ。
ジーク:そうそう。
サファイア:だー! 騎士としてそんなのは許さーん!

 
……どうでもいいが、いいかげん話を進めようや。
 と、いうわけで恐らく今回の依頼人と思われるチャールズさんの家へ向かうパーティーであるが。
 実はここまで来て、まだ依頼を受けるどころか依頼内容を聞いてもいないってこと? ねえ?

GM:じゃあ結局10時くらいに行くわけね? では呼び鈴を押すと、キャロラインさんが出てくる。
ジーク:やあ奥さん。チャールズさんはいらっしゃいます?
GM/キャロライン:「はい、おりますけど。今昼食の仕込みをしているところですわ」
ジーク:おや。では出直してきた方がよろしいですか?
GM/キャロライン:「(にこにこ)いえいえ。せっかくですから、皆さんも召し上がってくださいな」
ジーク:はい、では遠慮なく。
サファイア:即答するなっ(殴る)。あ、奥様すみません。こんなに大勢で押しかけてしまって。
GM/キャロライン:「(にこにこ)いえいえ。どうお上がりください」
サファイア:(せかせかと)いえ、チャールズさんにお話を伺いたいだけですからっ。
ジーク:……後ろから蹴ります。
サファイア:はうっ。何をする……
ゴン:おう、大丈夫かサブ、と言いながら首絞めてます。
サファイア:はうううううう! なんでええええ!
フェス:(冷たく)チャールズさんはご家族に心配をかけないようにしてらっしゃると思うんですが……そのへんちゃんとわかってます?
サファイア:(舌を口から出して)へた〜……。
GM:ヘンな人たちだなあ。
ジーク:ほっとけ。
GM:でも奥さんはやっぱりにこにこ笑ってる。さて、食卓にはおいしそうな前菜が並んでいて、チャールズさんが食堂と厨房を行ったり来たりしているのだ。と、いうわけでみなさんたっぷり召し上がってください。
一同:おーう。
GM/ローラ:「あ、昨日のお兄ちゃんだー」
ジーク:やあローラちゃん。家族水入らずのところを邪魔して悪かったねえ(←うさんくせえ)。
GM/ローラ:「ううん。今お兄ちゃんがいないの」
ジーク:え? いないって?
カワタワ:まさかたった今スープ鍋の中に……。
GM:違わい。
ジーク:お母さんが僕を殺した。お父さんが僕を食べた……。
ゴン:マザーグースはやめてください。マジで。
GM:そんなんじゃないですってば。多分フェスとかなら知ってますけど、彼は弱冠16歳で店のコックを勤めているのですよ。
ジーク:おや。ということはお兄さんはムッツーゴロウのお店に?
GM:そうそう。だからダグラスさんたちが油売ってるわけでね。
ジーク:それって今回の話に関係あるの?
GM:ない。
ジーク:(冷たく)あっそ。と、いうわけで少し声をひそめて、ところでダグラスさん、昨日の話なんですけどね、と。こいつらが一応アレでしてね。
GM/チャールズ:「ええ、そうではないかと思ってました」というわけで、君たちは食後のお茶を飲みながら別室でお話、ということになった。
ジーク:と、いうわけでチャールズさん。改めてこいつらにお話をお願いします。
サファイア:待て。おまえ、ちゃんと私たちの紹介は済んでいるのか?
ジーク:ちゃんとしたよ。
サファイア:どんなふうに?
ジーク:犬と牛。
サファイア:黙れこのセクハラエルフが!
ジーク:失礼な。俺は毎回ちゃんと同意を得ている。セクハラした覚えはない。
サファイア:おまえは存在そのものがセクハラだ!(←一理ある)
GM/チャールズ:「あのー……」
サファイア:あ、すみませんチャールズさん。私はムッツーゴロウ王国の騎士、サファイア・ブランカ=パピヨンと申します。どうぞお話をお聞かせください。
GM:ん? お話っつってもなあ。ジークにした話と全く同じ。つまりかくかくしかじか。そっちは他に質問ある?
サファイア:(考えて)あのー、チャールズさん。あの山について何かご存知ありませんか?
GM:は? 何で?
サファイア:だ、だって気になるんだもん。
ジーク:でもこの人に訊くのはどうかなあ。だって地モティーじゃないし。
ゴン:(いきなり)そのカルロスという男、趣味なんだ。
GM/チャールズ:「は? そうですねえ、山歩きが趣味でしたよ」
ジーク:山歩き?
ゴン:見ろサブ。ビンゴだ。あの山、アヤシイ。
GM/チャールズ:「はあ……そうですねえ。そう言えばあそこでスケッチをしたりしてましたし、確かにあの山が怪しく思えてきました」
フェス:単純な人ですねえ。
カワタワ:何はともあれ、家捜し家捜し♪
一同:……はあ?
サファイア:おまえ、その発言は何だ?
カワタワ:だって探索はスタート地点から始めるべきでしょ? だからカルロスさんの別荘へごー♪
ジーク:……いや、確かに正論だ。
ゴン:正論なんだが……。
サファイア:何か釈然としないものを感じるのは私だけか?(汗)

 
君だけではないと思う。多分。
 でも話が進まないので、一向は揃ってカルロスさんの別荘へ。
 カルロスさんはもう引き払ったということで、管理人さんに鍵を開けてもらって中へ入ったのだが……。


カワタワ:家捜し家捜し〜♪
サファイア:こら。待て。何をするおまえ。
カワタワ:家捜し。
サファイア:それだけか? ホントにそれだけか? ああ?!
ジーク:しかし家捜しったってねえ。例えば何?
サファイア:書斎とかないだろうか。
ジーク:日記とかはないと思うぞ?
カワタワ:「冷たい足音が近づいている……ああ、奴が私の部屋の前で足を止めた……」
GM:「ああ、今奴の濡れた手が私の肩に……」(笑)
フェス:料理人がですか?
ゴン:というか、オレ、靴箱見る。登山靴あるか?
GM:二、三足ある。
ジーク:どれか使った形跡とかない? それか、びっしり並んでいるところに引き出されている靴があるとか。
GM:びっしりとは並んでいない。ここ別荘だし。
サファイア:でも山に行ったって可能性もあるってことだよね?
カワタワ:でもさ、別荘引き払ったんでしょ? 家へ帰ったんでしょ?
GM:帰る途中で山に寄ってったってこともあるっしょ。
ジーク:いや……あるか、それ?
カワタワ:いつもカルロスさんってどうやって来てんの? 乗合馬車とかだったら山とかに寄れんでしょ。
GM:色々。自家用馬車もあるし、徒歩で来ることもあるし。
一同:徒歩ォ?!
ジーク:……何日かかると思ってんだ、それ。あぶねーなー。
ゴン:ぱわふりゃー。オレ、ちょっと尊敬。
カワタワ:てゆーかさぁ、カルロスさんはカルーザワでいなくなったか、道中いなくなったか、ムッツーゴロウ王国に着いてからいなくなったか、全然わかんないわけっしょ?
ジーク:だねえ。
カワタワ:それで歩いてったかもしれないんでしょ?
フェス:ゾンビのお仲間決定じゃないですか?
サファイア:ぎゃわんぎゃわん!
ゴン:落ち着けサブ。
カワタワ:とりあえず家捜しも気が済んだし、次は聞き込みじゃない? とりあえず乗合馬車の乗り場とか行ってさあ、そこ使ってなければ徒歩だよ。
ジーク:徒歩でゾンビ?
サファイア:ぎゃわんぎゃわん!
ゴン:落ち着けサブ。オレ、地元商店街行く。そこで話聞く。
ジーク:じゃあ俺はこいつと行くわ。
サファイア:私は乗合馬車の方をあたってみよう。フェス、おまえは……。
フェス:仕方がないので、私はここで待機していましょう。
サファイア:……待機して、どうする?
フェス:そろそろお茶の時間なんです。

 
……さて。
 ちょっとダレてきたので端折る。
 乗合馬車の事務所(何それ)にやって来たサファイア&カワタワ組は、もらった似顔絵を見せながらカルロスさんの消息を聞く。
 結果からいうと、「カルロスさんは乗合馬車を利用していない」ということがわかっただけだった。
 それだけで帰るのはバカみたいなので、カワタワが「カルーザワとムッツーゴロウの間でカルロスさんを見かけた御者さんがいたら教えてください」と頼む。
 カワタワ、珍しく働いている。途中でプレイヤーが「何で俺がこんなマジメに聞き込みしなきゃならないんだよ!」とキレるくらいに働く。
 何故かというとサファイア曰く、「私口下手だから」。
 それを立証するかのように彼女はボロを出しまくり、おかげで乗合馬車には「カルロスさん行方不明! 街道で非業の死か?!」とか広まってしまったのであった。

GM:うぁ。それはアレだ。噂システム発動(←『ペルソナ罪&罰』のアレ)〜。
サファイア:えー!
ジーク:(のんびりと)あのさ、噂システムって噂がホントになっちゃうってヤツなんだけど。
カワタワ:あーあ。これでカルロスさん、行方不明決定だ。
フェス:本当は何も起こってないかもしれないのに。あーあ。
サファイア:ええー?!
カワタワ:しょうがないなあ。こういう時は、「カルロスは実はどこそこで見つかった」という噂流しておけばおっけー。
ゴン:おう。「カルロス、下水道でワニ釣り」。噂流す。
ジーク:……何じゃそりゃ。

 
つまるところ、あまり成果はあがらなかった、と(笑)。
 ちなみに、地元商店街の皆さんに聞き込みにいったゴン&ジーク組も成果はあがらず。カルロスさんが「今年は徒歩で来てたんじゃない?」とわかったぐらいだった。
 カワタワ同様、ジークも布教そっちのけで聞き込みに励んでいたのだが……。


フェス:珍しいこともあるもんですね。
ジーク:牛連れて布教しようと思うほど無謀じゃないよ俺。

 
……さて、手詰まりになった2人は自警団の詰所へ向かう。
 ところでその時、同じく街で聞き込みをしていたサファイア&カワタワ組なのだが……。