Act.5 悪魔と人との、しょくざい。

GM:さて、君が聞き込みをしてると後ろから肩にぽん、と手が。
サファイア:えっ?
GM:「おいおまえ、さっきから何をしている?」と君のお仲間が?
サファイア:え? ドッグヘッド?
カワタワ:あ。自警団の団長さん。
サファイア:あ、そうだったそうだった。実は少々人探しをしているのです。
GM/自警団長:「人探し?」
サファイア:はい、実はカルロスさんという人が行方不明で。
GM/自警団長:「何ぃ?」と君の肩をがしっと。「君、ちょっとこっちへ来てもらおうか」
サファイア:え?(汗)
ゴン:サブ、おまえストレートすぎ。
ジーク:もうちょいボカシて話せないわけ?
サファイア:え? え?
GM/自警団長:じゃあ道の隅っこに無理やり引っ張ってかれて、「貴様、どこでその話を聞いた?」
サファイア:え? え? え? ど、どこでって……それはカルロスさんの友だちのチャールズさんに。
フェス:……依頼人の名前までしゃべりますかね。
ゴン:サブ、騎士で、犬。仕方ない(←いや牛に言われてもな)。
ジーク:(冷たく)そういうことにしといてやろう。
サファイア:え? え? え?
ジーク:……おい、カワ。助けてやる気はないのか?
カワタワ:私? ずっと黙ってます。てゆーかサファイアの帽子の上で飾りの振りしてますから。
一同:ええー?(笑)
フェス:でもその人形は30センチほどで、腰にグラディウス下げてんでしょ?
ジーク:変わったファッションだなおい。
GM:でも自警団長、「ムッツーゴロウではこういう帽子が流行ってんだな」くらいに思ってる。
一同:ああ、犬だから。
サファイア:ぎゃわんぎゃわん!
GM:まあまあ。すると団長さんは、「なるほど、チャールズさんに頼まれたのか! それならそうと言ってくれよ!」とか言ってる。
サファイア:え?
GM/自警団長:「いや、我々も実はチャールズさんから届け出があって、カルロスさんを捜索していたのだ」
サファイア:え、そうだったんですか。
GM/自警団長:「そういうことなら我々も情報を提供するにやぶさかではないぞ」
サファイア:あ、そうなんですか? ……ああ。さっきは不審者と思われてたんですね?
GM:だってどう考えてもアヤシイじゃん。
サファイア:失礼な! 私はれっきとした騎士ですよ!
カワタワ:アクションフィギュアを帽子に飾った騎士だけど。
一同:あやしー。
サファイア:違う! てゆーかカワ降りろ!
GM/自警団長:まあまあ。「実は、我々も手を抜いているわけではないのだが、一向に見つからなくてな……。街の中はもちろん、街道沿いも少しは探したのだが」
サファイア:少し?
GM:「少し」でなきゃ自警団になりません(笑)。
カワタワ:そこでいきなり会話に入る。山狩りはした?
GM/自警団長:「(びくう)おおう。なんだ、びっくりさせるな。これは飾りではなかったのか」
サファイア:私は帽子に人形を飾る趣味はない!
カワタワ:それはともかく、山狩りはしたの?
GM/自警団長:「山狩りって……あの山かね? あそこがどうかしたのか」
サファイア:……あー。いや、我々があの山に登った時、何やらすごくイヤなものを感じたんです。それだけなんですが。
カワタワ:ホントにそれだけ(笑)。
GM/自警団長:「いや、馬鹿にしたものではないぞ。我々ドッグヘッドがそういう悪寒を感じた時は、必ず『よくない』ことが起こるのだ」
サファイア:そう! そうなんですよ! こういう感じ、わかってくれますか!
GM/自警団長:「もちろんだ。私のカンが今、あの山に『よくない』ことがあると告げた」
カワタワ:……今。今っすか。
GM/自警団長:「ドッグヘッドのカンを馬鹿にしてはいかんぞぉ」
サファイア:そうだぞぉ!
ゴン:……オレ、かなりダメダメなカンジしてきた。
ジーク:……こうして誤認逮捕とか冤罪とかって起こるんだなあってカンジ?
GM/自警団長:(←聞いてない)「なるほど……山か。それは盲点だったな。捜索地域から外していた」
ジーク:何で外してたんだよ。
GM:ムッツーゴロウへ帰るなら反対方向だから。
ジーク:そうなの?
GM:そうなのだ。「とりあえず、我々も2、3人、山の捜索にあたらせてみるか」
カワタワ:というか、一斉に山狩りすれば……。
GM/自警団長:「そんなに人手を割くわけにはいかん」
カワタワ:なんで?
GM/自警団長:「ここは観光地だ。そんな騒ぎになったら地域産業に響くだろう」
カワタワ:ふーん。じゃあフェアリー総出とか。
ゴン:それ、別の意味で騒ぎになりそう。

 観光アトラクションとしてはいいかもしんないけど。
 さて、そうこうしているうちにゴン&ジーク登場。


カワタワ:(手を振って)あー、種馬エルフだー!
一同:(笑)
ジーク:……種馬ちゃうわ。
カワタワ:じゃあ、「種は蒔いても実は成さない」エルフだー!
ジーク:長いわ!
サファイア:(遠い目)ああ、また下ネタが……。
カワタワ:わーい、それと臆病ものだー!
ゴン:は? それ、オレのことか? オレどうして臆病だ。
カワタワ:だって甲斐性なしだからー!
ゴン:(角から地面に突っ込む)
カワタワ:だってジークならとっくに4人とか5人とか、バニーちゃんゲットして種つけしててもおかしくないしー!
ゴン:(角を突き刺したままキリモミ回転)
カワタワ:もっと勇気を出せよー!
ゴン:…………(←仮死状態)。
GM:……な、なんで合流した途端ここまで言われなきゃいけないんだろう(笑)。
ジーク:ああ、この牛のことは気にしないでやってください。
GM/自警団長:「おい、泡吹いてるんだが、このミノタウルス……」
ジーク:じきに治りますから。ところでそっちは何かつかめたのか?
カワタワ:乗合馬車は使ってないよーってだけ。あとは自警団のみんなに山探すように頼んでみたけど。
サファイア:あと、フェアリー衆にも頼めないか、カワ。彼らあそこの住民だろ?
ジーク:それはそうかもしれないけど、どうかな。あヤツら、人間なんて「大きくてー、目が2つあってー、口と鼻が1つずつでー、足が2本あってー、それを交互に動かして歩いてたー」くらいの認識しかないと思うぞ。
サファイア:(カワに)……そうなの?
カワタワ:確かに、私も人を外見で個別認識ってしないし。
サファイア:えっ? じゃあどう認識してるんだ?
カワタワ:犬と種馬と牛と蚊。
一同:(爆笑)
サファイア:…………。
ジーク:わかったか? フェアリーの認識能力なんてこんなもんだ。
サファイア:よ、よくわかった……。
GM:でも核心をついてはいるなあ。
一同:やかましい。
GM:……さて、団長さんが「君たちも山を探すのか? それでは手分けができれば助かるんだが」
サファイア:そうですね。こちらも助かります。
ジーク:じゃ、さっそくこれから行こうか?
ゴン:まてジーク。忘れ物ある。
ジーク:忘れ物?
ゴン:1人、忘れてる。
ジーク:あ? あ、そうか。
フェス:(←忘れ物)私はお茶飲んでますから。それが終わったら情報収集しますけど。
GM:あ、聞きこみするの? じゃあ魅力で判定。
フェス:また魅力ですか。
GM:だってそういう「聞きこみ」なんでしょ?
カワタワ:つまりお食事。
フェス:まあ否定はしませんが。
サファイア:しないんかい!
フェス:(ころころ)19。
ゴン:……職業間違ってませんかアンタ。
フェス:(平然と)ダンピールは美形と相場が決まってるんです。
GM:うーむ。するとですねえ。君はひっかけた女の子から耳寄りな情報を手にしました。彼女は偶然にも、カルロスさんがカルーザワから出て行くところを見たそうです。彼は確かに歩いて街を出ていったそうな。
ジーク:山へ行ったんじゃないの?
GM:ムッツーゴロウ方面に歩いていったそうな。ただしそこからどう歩いていったかまでは知らないけど。
一同:…………?

 
決め手なく、首をかしげる一行。
 仕方がないので、まず山へ行ってフェアリーたちにカルロスさんの消息を訊いてみる。それから探せるだけ探して、いなかったら探しながら街道を戻る。
 広すぎるよなあ、捜索範囲(笑)。
 と、いうわけで、一行がフェアリーたちのところへ。


GM/フェアリーたち:「あ〜、久しぶりだね〜」
カワタワ:あのさー(と似顔絵を見せ)、このおっさん、見たことない?
GM/フェアリーたち:「うーん? あのねー、ほんのちょこっと前にね〜、あっちの道を歩いてたよ〜」
ジーク:あっちの道?
GM:ムッツーゴロウ王国へ向かう街道です。「でねーでねー、黒ずくめのおっさんが2人出てきてねー、またカルーザワに戻ってたよー。ちょっと気色のカンジ〜」
ジーク:気色の悪いって……。
カワタワ:どんな人?
GM/フェアリーたち:「あのねー、牙生えててねー、血色悪くてねー、痩せ気味でねー、いかにもダンディ!ってカンジだよー」
一同:…………。
GM/フェアリーたち:「ついでにねー、目が赤かったのー」(笑)
ゴン:ふぇ、フェス?
サファイア:おまえが犯人かー!
フェス:違います。
ジーク:つーか真性フェス?(笑)
フェス:(無視)と、いうことは、ムッツーゴロウ王国に向かう途中で拉致されたようですね。
サファイア:また街へ帰ったか? それとも……。
GM/フェアリーたち:「そこまではわかんなーい」
ゴン:ただそんな怪しげな一行が、素直に城門通してもらえるかというと……。
ジーク:いくら自警団長が犬頭とはいえな。
GM:そうねえ。暗かったのでフェアリーたちもはっきりは見てないけど、ぐるっと回って反対方向から山へ向かったんではと。
サファイア:よし! そこまで聞いたらダッシュだ!
ジーク:このお馬鹿! ちょっと待て!
フェス:(冷静に)ちなみに、今何時くらいですか?
GM:夕方。そろそろ日が暮れる(笑)。
ジーク:これって今すぐ行かなきゃならないものか? 夜にヴァンパイアを訪ねようってのか?
サファイア:そ、そうか。それでは自警団に報告を……。
ジーク:それもちょっと待て!
サファイア:何故だ? 危険だから近寄るな、と警告を……。
ゴン:いや、あの団長のことだから、ヴァンパイアがいる、なんてわかったらありったけの団員集めて突っ込んで行きそう。
ジーク:奴ら犬死に種族だから(笑)。
サファイア:しかし、知らずに探しまわるのも危険じゃないか?
フェス:彼らに知られたら騒ぎになりますよ。ここは観光名所なんだから、はっきりするまでは余計な騒ぎは起こさない方が。
ジーク:だから明日の朝には出発して、急いでケリをつけるしかないんじゃないか?
カワタワ:ところで、この世界のヴァンパイアってどんななの?
GM:ことは全てエレガントに運ぶ種族(笑)。
ジーク:いや、そーでなくて。フェス、やっぱりヴァンパイアを襲うには昼間がいいんだよな?
フェス:当然です。ただし、ダンピールではなく真性のヴァンパイアである場合、日の光の元でなければ、能力に変化はありません。
サファイア:え? それじゃ洞窟とかだと……。
フェス:ほとんど影響ありませんねえ。
サファイア:ふざけんなっ。
ジーク:でも一般的に昼は寝てるんだよね?
フェス:まあ、そうですけどね。

 
結局、一行がとったのは、作戦名『昼間に行ってみてもし起きてたら逃げ帰ろう』であったとさ。
 さて夜明けとともに出発し、自警団の捜索範囲の反対側に絞って、探しまわることしばし。ムッツーゴロウ王国からみて反対側の中腹にて……


GM:おや。ここは以前にサファイアが悪寒を感じたあたりではないかい?
サファイア:はう! やっぱりここを探すべきだったのか。
ジーク:まあ今さら行っても仕方ないわな。で?
GM:洞窟がある。
一同:…………。
ジーク:……やっぱそういうオチかい。
サファイア:……ホントにさっさとここを探していれば早かったなー。
GM:まあまあ。で、洞窟は下へ向かって下っているようなんだが。
カワタワ:いかにもヴァンパイアが潜んでそうだよね。
サファイア:よし、ではまず隊列を決めてだな。
ジーク:まあまあ。おいゴン。この中にだな、吸血鬼に囚われた哀れなバニーが……。
ゴン:(皆まで聞かず)うおおおおお! オレ! オレ、バニー助ける!
ジーク:よし、みんな。こいつのあとをついて行くぞ〜。
サファイア:…………。
GM:……さて、君たちがゴンのあとをついて下っていくと!
サファイア:いくと?
GM:おお、これはなんとエレガントな!という感じのでっかいドアが。
一同:…………。
カワタワ:……いかにもヴァンパイアが潜んでそうだよね。
ジーク:(嫌そうに)押すとぎい……っ、とか音たてるぞ、きっと。
ゴン:おう。オレ、油持ってる。蝶番に油差す。
フェス:何ですって? このぎい……っ、という音を楽しまないんですか?
一同:…………。
サファイア:……た、楽しむんですか?
フェス:当然です。このきしみ感がエレガントなんじゃないですか。
サファイア:…………。
ジーク:ヴァンパイアの美的嗜好なんかに口挟むな。ところでこのドア、押すの、引くの?
GM:さあ。
ジーク:さあ?
GM:取っ手がないのでねえ。
ジーク:だって蝶番はあるんだろ? っていうことは引くんだよね?
GM:……ん? あ、いや、違う。押すんだよ。蝶番に油は差せませんな(笑)。ぎい……っ、と音をたてて油があくよ。向こう側には8メートルはあろうかという幅の広い廊下が奥へと続いている。床には真紅の絨毯が敷かれ、壁には磨きぬかれた鏡、金の燭台に燃える蝋燭の炎がゆらゆらと。
フェス:素晴らしい趣味だ……。
一同:…………。
カワタワ:何? ここって吸血鬼の別荘とか?
GM:別荘か本宅かはわかんないけど(笑)。さて、しばらく廊下を歩いていくと、途中で下に降りる階段があるね。
サファイア:……どっちが危なそうだろう。
GM:じゃあ観察で。
サファイア:(ころころ)16です。
GM:ふーん、結構高いね。では、君は前方にすっごく嫌な予感を覚えた。
サファイア:嫌な予感?(汗)
GM:すっげー強くて怖いモノを前にした時、背筋が凍るような……。
サファイア:(即座に)か、階段下りよう。
ジーク:下に行ったら行ったで棺が並んでそうな気もするけどなあ。
ゴン:おう。ヴァンパイア倒す時、棺の土始末するの、とっても大事。下行こう。
ジーク:(フェスに)……そうなの?
フェス:間違ってはいませんが、そもそもヴァンパイアを倒す気なんですかねあの牛は。
ジーク:……カワは?
カワタワ:どっちでもいい〜。というかどうでもいい〜。
ジーク:……と、いうわけで階段を降りることにしよう。

 
と、いうわけでサファイアを先頭に「警戒しながら警戒しながら警戒しながら!」(←サファイア談)階段を降りて進む一行。
 相も変わらずエレガントな廊下を進んでついたのは、


GM:ホールのようだね。地下のはずなのに何故か、ステンドグラスから光が差しこんできている(笑)。
一同:意味ねえし……。
フェス:意味のないものにあえてこだわってこそのエレガントです。
ジーク:いやまあそれはあながち間違ってないかもしんないけどさ。
GM:広間にはいくつかアーチがあるんですけど、その向こうは暗闇で見えません。
サファイア:そのアーチっていくつくらい……
GM:と、広間に出てきたところで、観察チェック。
一同:え?
GM:んでねー、12以下の人は−2、29以下の人は−1、30以上の人は±0で回避チェックをどうぞ。
ゴン:は! オレ、すでに出目がない(←回避が2)。マスター、代わりに後ろの3人を突き飛ばすことはできませんか?
GM:許可しよう。では、カワ、ジーク、フェスは回避しなくていい。で、サファイアは?
サファイア:あっ、1出た。失敗です。
GM:じゃあサファイアに4点。ゴンちゃんに……合計8点のダメージだな。
サファイア:それならまだ平気だ。しかし、一体何が?
GM:光です。
ジーク:は?
ゴン:ひょっとして、レーザー?
GM:レーザーかどうかは知りませんが、窓から差しこんできた光がですね。
ジーク:え? ひょっとして、光の交わる地点で?
GM:そう。広間の中央。
サファイア:かー! なんつー陰険かつエレガントな罠なんだっ!
ゴン:おう、さすがヴァンパイア。
ジーク:これって、広間の中央を通らずに、壁沿いに行ったらどうなんの?
GM:さて、とりあえず壁際に退避するなら光は飛んでこない。代わりに、「やあ、ようこそいらっしゃいました」と声が。
サファイア:誰だ!
GM:さあ。どこからともなくエレガントな声が(笑)。
フェス:どうも、お招きにあずかりまして。
GM/エレガントな声:「ええ。ただし招いた覚えはないのですけれどね」
フェス:そうですか? カルロスさんの誘拐というかたちでお知らせいただいたように思うのですが。
GM/エレガントな声:「誘拐? そんなことはしていません」
サファイア:じゃあ何だ!
ジーク:誘拐じゃなくて招待だってか?
GM/エレガントな声:「まあ、そんなところです」
ゴン:大方さらってきて食事つくらせるというオチではないのか。
カワタワ:だって血しか飲まないんでしょ?
ジーク:じゃあカルロスさん自体が食事。
フェス:それはエレガントではありません。やっぱりどうせなら美しい女性の血でしょう。
カワタワ:じゃあ、囲ってる女の人のために食事をつくらせる。
ジーク:つまりフォアグラみたいなもん? 美味しく太らせるためとか。
GM/エレガントな声:「そんなエレガントのかけらもないことはしません」
カワタワ:えっ?! これはエレガントじゃないの?!
ジーク:なんか退廃的に贅沢っぽくていいかな、とか思ったのに。
サファイア:だー! 論点はそこではない! カルロスさんは無事なんだろうな!
GM/エレガントな声:「はて、あなたがたのいう『無事』とは?」
サファイア:うー、つまり危害を加えたり、あと、噛んだりしてないだろうなー!
GM/エレガントな声:「私が彼を一族に加えたと?」
サファイア:あと、ゾンビとかスケルトンとかグールとか、そういうのも全部駄目だぞ!(←こっちも論点がずれていっている)
フェス:……いや、それはないでしょ。
ゴン:そんなエレガントじゃないことはしない!(笑)
GM/エレガントな声:「その通りです。粗暴なミノタウロスの割にはよくわかっている」
ジーク:じゃあどういうことなんだよ。自分で言ってみ?
サファイア:そうだ! カルロスさんは今どうしているんだ!
GM/エレガントな声:「……彼か。彼は今、闘っている」
一同:……はあ?
サファイア:た、たたかい? まさかヴァンパイア菌と闘っているとか……。
GM/エレガントな声:「……人をバイキン扱いしないでいただこうか?」
フェス:全くです。自分は犬頭のくせに。
サファイア:犬頭って言うなあ!
カワタワ:まあまあ。どっちも人の種族的欠陥を指摘するのはよくないよ〜。
GM:しゅ、種族的欠陥?(汗)
ゴン:……ええい! これではラチあかない! あのガラスをぶち壊す!
GM/エレガントな声&フェス:(同時に)ええええええっ?!
GM/エレガントな声:「何てことを! あの美しいステンドグラスを完成させるのに、どれくらいの年月がかかったと思っているのだ!」
フェス:そうですよ! これだからエレガントを理解できない種族は!
サファイア:フェス、おまえどっちの味方だ?
フェス:エレガントの味方です。
ジーク:……ゴン、許す。構わねーからやっちまえ。
ゴン:そーれ、がっしゃああん。
GM/エレガントな声&フェス:あああああああああっ!

 
響き渡る悲痛な悲鳴(笑)。

GM:すると辺りは暗くなって、そんで、「どうやらあなたがたにはお仕置きが必要なようだ……」という声が。
サファイア:あーあ、やっぱり怒らせたじゃないか。
ゴン:ところでステンドグラスがはまってところは?
GM:ただの壁っすね。
カワタワ:とりあえずさー、光が飛んでこないなら先に進まない?
サファイア:(虚空に向かい)いいか、カルロスさんは必ず返してもらうぞ!
GM:はいはい、もう返事はないって。
サファイア:くぅ〜ん……。
GM:はいはい。んでもって、先に進むと、また立派な両開きの扉がある。今度は引くようだ。ちなみに鍵穴はなし。で、ここで観察チェック。12以上出した人は?
カワタワ:はーい。
GM:すると、扉の向こうから複数の人間の声が聞こえてきたような気がした。
ゴン:うーん。サブ、そろそろ戦闘態勢、とる。
サファイア:そうだな。じゃあ私とゴンが前に出る。皆、武器を準備しておけよ。
ジーク:あ、ちょい待ち。《ブレス》かけとくので。ゴンとサファイアに。
ゴン:おう。それと、一応蝶番に油差す。
GM:はいはい、そんなとこでいい?
サファイア:よしゴン、いっせーの、せ!で開けるぞ。
ゴン:おう!
GM:開けたんだね? すると中からさっと光が差しこんでくる。それと同時に、わあっという歓声が!
サファイア:え? 何?
ゴン:は! やっぱり食の鉄人対決!
ジーク:ンな馬鹿な。
GM:……………………。
カワタワ:おや? 何を黙っているのかな?
サファイア:まさかとは思うが……。
GM:…………。い、いやあ、オチを先に言われてしまうとは。

 
一同、凍りつく。

GM:ちなみに出てきたところは、2階席だったりするのだが。
一同:…………。
GM:で、巨大なコロシアムがあってだね。観客席にはヴァンパイアが大勢。
一同:…………。
GM:で、中央にはカルロスさんと挑戦者のスネークマンがいて、その間にアヤシイまでにきらびやかな格好をした司会のヴァンパイアが……。
カワタワ:(冷たく)『私の記憶が確かならば……』って?
GM:うん。
一同:……やってられっかああっ!!(爆笑&怒号)

 
沸き立つ観客席。
 緊張の面持ちでにらみ合う鉄人カルロスと挑戦者。
 そして。
 『さあ、今日の食材は……これだ!!』と司会が取り出したのは、燦然と赤く輝く……
 
トマトだった。

サファイア:『はいっ、こちら挑戦者側です! 今、挑戦者が取り出したのは……? おおっ、なんとこれは、アワビです! 挑戦者、アワビを刻んでおります! これはアワビのトマトクリーム煮をつくっている模様です!』(←少しヤケクソ気味)
GM:ちなみにスタジアムの上に電光掲示板があるんだけどさー、カルロスさんもう3回勝ち抜いてるらしいよ。
ゴン:ああ。ひょっとして。
フェス:1週間勝ち抜いちゃったので帰れなかった、というオチなわけですね。
GM:さて、そうこうするうちに、トマトを使った赤い料理勝負で、カルロスさんが挑戦者を下したようだ。カルロスさんは『うおおおおおっ』と嬉し泣きしながらガッツポーズをしている。
カワタワ:……嬉しいのかね、こんな状況下で勝って。
ジーク:(気の抜けた声で)まあ、そうなんじゃん?
GM:実は裏の料理大会として、料理人の間では有名なのだ!
一同:……あ、そう。
ジーク:じゃ、そゆわけで。俺布教に戻るわ。
カワタワ:あ、私ちょっと試食させてもらってこよ。
ゴン:おう。オレ、あれ謝っておこう。
サファイア:あれ?
ゴン:ステンドグラス。あれはこっちが悪かった。
サファイア:……そうね。私も一緒に頭を下げておこう。
GM:2人でぺこぺこ謝れば許してもらえる。ただし弁償代5pp。
サファイア:そ、それは払えないです!(悲鳴)
ジーク:あ、すみません。請求書書いていただけます?
GM:誰宛てに?
ジーク:とりあえず必要経費としてチャールズさんに何割か出してもらう。その代わり俺ら無報酬で。で、残りは。
ゴン:おう。カルロスに出させろ。
ジーク:そういうことだよな。高級レストランのオーナーなんだし、それくらい出るだろ。
カワタワ:それと、優勝賞金とかないの?
GM:ない(笑)。優勝旗だけ。
ジーク:名誉より実をよこせ! 嬉しいかそんなん!
フェス:実のない名誉を尊ぶのが、エレガントなんです。
ジーク:あ、そう。……あのさー、これは責めてるとかじゃなくてね。何でまた、あんな誤解されるような建物建ててんの? あんな悪魔城みたいな。
GM:それがエレガントだから。
ジーク:あ、そう……。
GM:誤解も何も、人間にそうそう見つかるもんじゃないんだよ。
カワタワ:いつもここでやってるわけじゃないの?
GM:んにゃ。たまたま今回はここが会場に選ばれただけ。世界にいくつか会場があるのだ。
カワタワ;あー……なるほど。
ジーク:じゃ何か? アレをやるためだけに、こんな建物建ててんのか?!
一同:それがエレガントだから(笑)。
フェス:わかりませんか、これが男のロマンというものです。
ジーク:わかるか! そんな無駄金使うな! 民営化しろ!(←それは違う)

 
……さて、そんなこんなで。
 『カルロスさんは山で迷っていた』と自警団をごまかした一行は、成功報酬の代わりに、カルロス&チャールズによる心づくしのディナーをおいしくいただいたのだった。
 ただし、その料理は、妙に
赤かったという……。


GM:さて、皆さんは揃って懐かしいムッツーゴロウ王国へと帰って来ました。
サファイア:……まだあるんですか?
GM:サファイアが休暇の報告にやってくると。
サファイア:…………。サファイアです。ただいま戻って参りました。
GM/シロー・サノ:「あ〜、お帰り〜。初めての休暇はどうだった〜?」
サファイア:……いや。何と言うか。疲れました。
GM/シロー・サノ:「そうか〜。もう帰ってきちゃったのか〜。1ヶ月くらいいない方が静かでよかったんだけどね〜」
サファイア:…………。
GM/シロー・サノ:「そっか〜。じゃ、ボクちゃんのあげた休暇、とおっても楽しんでくれたんだね〜?」
サファイア:は、はっ。あの、ところで閣下。カルーザワで起こった事件についてなのですが。
GM/シロー・サノ:「う〜ん? ボクちゃん何も知らないな〜」
サファイア:あ、そうですか。
GM/シロー・サノ:「もちろん、ボクが昨日まであそこにいたなんてことは、口が裂けても言えないよ〜」
サファイア:…………。ま、まさか。
GM/シロー・サノ:「さらに〜、ボクちゃんが毎年アレの審査員をやってるVIPなんてことも、口が裂けても言えないさ〜」
サファイア:…………。
GM/シロー・サノ:「で〜? 休暇、楽しかった〜?」
サファイア:……はい。と、とっても楽しかったですぅ……。
GM:そんなわけで、今回はこれでおしまいです。お疲れ様でした。
一同:お疲れ様でした〜。


 
――追記。
 泣きながら家に帰ってきたサファイアを待っていたのは、大量の請求書であった。それは大半がジーク&フェスが豪遊したどこぞの色街からだったというが。
 それはまあ、別の話。
 

めでたし。めでたし。