Stage 08


GM:えー,シナリオの運びが悪くて申し訳ございません。ようやく出発でございます。朝です。みなさん王宮の広間に集合してください。
ジーノ:……俺,明らかにやつれてると思うんだけど。
GM/マレウス:「おやジーノ,どうかしたのか?」
ジーノ:お……俺……。
GM/マレウス:「ん?」
ジーノ:ぶ……無事に帰ってこられるよう,祈っててくださいぃ〜(泣き出す)。
一同:(笑)
ジョエル:なんだおまえは。朝からたるんでるな。
フレイ:そやそや。行く前からそんな調子でどないするんや?
ジーノ:(えぐえぐ)ううっ……だ,だって,だって俺……。
フレイ:ほら,しっかりせえ。俺もついててやるから!
ジーノ:(えぐえぐ)はううううう〜……。
ティーグル:ああ,しょうもない……。
かおる:(明るく)おっはよーございまーっす! 今日はいい天気だなー!
ジョエル:おはよう。おまえは元気だな。
フレイ:おはよーさん!
ティーグル:……ああ。おはよう。
ジーノ:…………。
かおる:? ジーノ?
ジーノ:(えぐえぐ)ううっ……おはようございますぅ……。
かおる:な,なんだ? どうかしたのか?
ジーノ:(えぐえぐ)じ,人生に疲れて……。
かおる:はあ? いったい何があったんだ?
ジーノ:……人が,信じられなくなって……。
一同:(笑)
フレイ:よくわからんけど,何か悩みがあるんやったら相談してみ? な?
かおる:そうだ。私だって相談にのるぞ?
ジーノ:み,みんなありがとぉ……お,俺……ここにいてもいいんだね……(再びえぐえぐ泣き出す)。
かおる:だ,だから何があったんだよ? 話してみろよ。
ジーノ:(えぐえぐ)うん,いいんだ。お,俺がんばるよ……だって……話したら……。
GM:極刑に決まってるだろ。
一同:爆笑)
ジーノ:(えぐえぐ)ううっ……じょ,女王様の目が怖いよぅ……。
かおる:……女王。あんたまた何か横暴なことやったな?
GM/女王:「『また』とはなんですか。私は常に部下の自主性を重んじていますよ。ねえ,ジーノ?」
ジーノ:(えぐえぐ)えうっ……そ,その通りですぅ。
フレイ:GM,「嘘発見」とかやっていいの?(笑)
GM:明らかに嘘だとわかるので省略する(笑)。だって目がヤな感じに笑ってるもんなぁ。
かおる:やっぱ変だ。絶対何かやっただろ。
GM/女王:「何もしてませんよ。ねえ,ジーノ?」
ジーノ:(えぐえぐ)うう……何もしてませぇん。
ティーグル:……だって極刑が待ってるもんなぁ。
ジョエル:……誰も逆らえないよね。
かおる:もしかして,宮廷の人間はみんな知ってるのか。
ジョエル:まぁ,噂だけならな(笑)。
かおる:なんてことだ。この王宮腐ってやがるぞ。300年もの間,ボールペンやら鉛筆やら!
GM:鉛筆は痛いと思う。
ティーグル:じゃあボールペンは痛くないとでもいうのか(笑)。
GM:キャップを外しているかどうかにもよるが,鉛筆に比べれば,
フレイ:(半ば強引に)あー,そろそろ出発せんでええんか?
ジーノ:(えぐえぐ)ううっ……俺も早く出発したいですぅ……。
GM/ラキ:「あ,そうですねー。じゃあみなさんにこれをお渡ししておきます」
かおる:なんだ?
M/ラキ:「携帯食料,水袋,ロープ,ランプ,毛布,火口箱,薬草エトセトラを取り揃えました,いわゆる『冒険者セット』でございます」
かおる:……またそういうアヤシゲなものを。
GM/ラキ:「そういう細々したものを逐一買い物して,なおかつキャラシートに書き込みたい!という方はご自由に。でも,面倒でしょ?」
かおる:そうだけどさ。……う,結構重そうだな。
GM/ファーガス:「ぼっちゃま,ぼっちゃまのぶんはこの私めが」
ジョエル:ああ,頼む。
GM/ファーガス:「かおる様も,そんな荷物はこのファーガスがお持ちいたしますので」
かおる:え? い,いいよ,そんなの。
ジョエル:遠慮するな,持ってもらえよ。ファーガス,頼むぞ。
かおる:おまえこそ何言ってるんだよ。お年寄りにこんな荷物持たせるわけにはいかないだろ! てゆーかおまえも自分のぶんは自分で持てよ!
ジョエル:あのなぁ。いいか,ファーガスはな,庭の大石を持ち上げられるくらい力持ちなんだぞ?
かおる:そういう問題じゃなくて……。
ジョエル:ああ,わかったわかった。じゃあ俺のぶんは俺が自分で持つ。そのかわり,おまえはファーガスに持ってもらえ。
かおる:いや,でも……。
ジョエル:でも,じゃない。おまえはまだこの国に慣れていないだろう? いくら転移門を使うとはいえ,何があるかわからない旅だ。慣れるまでは身軽でいた方がいい。
かおる:うーん,でも……。
ジョエル:もし途中で大丈夫なようだったら,自分で持てばいいじゃないか。ともかく,最初は無理をしないことだ。いいな?
GM/ファーガス:「かおる様,私ごときが差し出がましいことを申すようでございますが,ぼっちゃまの言う通りと存じます。ささ,この私めに」
かおる:ううっ……わ,わかったよ。
フレイ:おおー……。
ジーノ:この人,頭いーい。しっかりしてるー。
GM:実は,パーティ内で一番知力が高いんだよな。今の説得は非常によかったのでGMからジョエルに2点。
ジョエル:あ,ども。
GM:えー,このようにマスターからごほうびとして愛情・友情ポイントがもらえることもありますので,皆さん積極的にポイントのやりとりをしてくださいね。ではそんなところで……「はーい皆さん,準備はよろしいですかー? では,まず転移門にご案内いたしまーす!」
ジョエル:ん。では女王様,行って参ります。
ジーノ:い……。
GM/女王:「おや? どうかしたのですか,ジーノ?」(笑)
ジーノ:(えぐえぐ)ううっ……が,がんばってきます……。
ジョエル:おまえもなぁ,いったいいつまで泣いてるんだよ!?
かおる:ほらぁ,元気だせよな! ……とか言いながら肩に手回したりしてます。
ジーノ:(えぐえぐ)……えうっ……あ,ありがと……えぐっ……。
かおる:だからぁ,いったい何があったんだよぉ!?
一同:それは言えません(笑)。
ジーノ:あうぅ……(泣)。

 

  Stage 09


GM:では,転移門をくぐって遺跡へとやってきましたが……。
かおる:(聞いてない)だからさぁ,あの女王絶対おかしいって! 何で大人しく言うこと聞いてやってんだよ!?
ジョエル:……この王国には伝説があってな。
かおる:どういう?
ジョエル:……まぁ,知らない方がいいだろう。
一同:(爆笑)
ジーノ:話しちゃいけないこの伝説。
フレイ:「異世界の少女」が表伝説なら,これは裏伝説だから(笑)。
かおる:わかんないなぁ。だから,それってあの女王に脅されてるってことじゃないのか?
ジーノ:い,いや? 普段はま,マトモだよ? 普段はすごく,きっと,たぶん,ま,マトモ……(語尾がかすれて消える)。
かおる:全然そう見えないぞ。
フレイ:(首をかしげて)わいは王宮のことはようわからへんけど,王族なんてあんなもんやないんか?
ジーノ:う,うん。あんなもんあんなもん。
かおる:そうか? おまえ,絶対何か隠してるだろ。
ジーノ:う,ううん。何も。
フレイ:ひとりで溜めこむのはよくないで? 心配ごとがあるなら言うてみ? な?
ジーノ:心配ごと? ……後ろかな。
一同:(爆笑)
フレイ:じゃあお約束的に後ろを見てみるけど(笑)。
かおる:別に何もいないよ。なぁ?
ジョエル:ま,まぁこーゆー遺跡じゃ,背後を注意するのはセオリーだからな。なぁ?
ジーノ:そ,そうなの。そゆことそゆこと。
かおる:……本当に?
ジーノ:そう。……
バックはすごく危険
一同:(大爆笑)

 えー,すみません。……続きますねこのネタ。
 え,何のことかわからない? わからない方が幸せです。


ジョエル:マジでかわいそうになってきた(笑)。ジーノに友情1点。
かおる:私もわけわかんないなりにかわいそうなので,愛情1点。
ジーノ:ううっ,みんなありがとう。ごめんね,俺年上なのに。
ティーグル:……俺も無言で友情1点。
GM:ええっ?(笑)
ジーノ:……そっか。この人,事情を知ってるんだ(笑)。
ティーグル:そう。知ってるから何も言えない(笑)。
フレイ:
ん? そういや,この人ってなんかの罰として虎になる呪いをかけられてたんだよね?
ティーグル:そうだが?
フレイ:……ある意味呪いで済んでるんだ。
ティーグル:そうだな。……呪いでよかった。
一同:(爆笑)
ティーグル:なんて内心は口に出さずに,殿は俺が務めよう,とジーノに頷いてみせたり。
GM:ああ,そうそう。虎さんが呪いで済んだのは,きっと彼女がいたからだな。
かおる:なんで?
GM:彼女や奥さんのいる男には極刑はないんだよきっと(笑)。
フレイ:何それ!
ジーノ:じゃあ俺ら慌てて彼女作らなきゃじゃん!
GM:そうそう。なので皆さんがんばってヒロインを口説くように。
かおる:そういうオチかよっ!? そういうオチで口説かれるのかよっ!?
GM:……冗談だよ。
かおる:はっ。いや,でも……横暴だけどある意味正しい?
GM:正しくねえよ。
かおる:正しいじゃないか! ボーイズラブラブってたら極刑! いいなみんな!
一同:よくねえ!(爆笑)
GM:だ,だからもうボーイズラブも極刑もおいといて! マジで話を進めよう。
かおる:そうだな。ティーグルもバックは俺に任せろって言ってることだし,
ジーノ:バックは任せたくなーーーーーい!?(号泣)
GM:違うー! だから話を進めさせろー!
ティーグル:……いや,俺もイヤだけど。それは。
かおる:(すごい形相で)ヤだ。そんなのヤだ。どっちもヤだ。絶対。
GM:だからガマ師匠ネタもいいつーねん! てゆーかもう遺跡に到着してるんだよ。わかってる!?(*1)
フレイ:あ,そうだったんか?
GM:そうなの! フレイさん,遺跡の構造メモ,ちゃんと持ってるね?
フレイ:これやろ? ……えーと,わいがもらった地図によると,この遺跡はちょうど五芒星のかたちをしとるんや。
かおる:へんなの。本当にそんな形なのか?
GM:ちなみにPCが6人だったら六芒星だった(笑)。で,5角のうちひとつが入り口だね。
ジーノ:この星型の順番で行くのかな?
GM:それは行けばわかるようになってます。
フレイ:(地図を見ながら)えーと,ともかく4つの部屋にかおると,俺らのうち誰か1人が入る。入るメンバーは毎回変えなくちゃならなくて,で,そこで何らかの試練を受けないと「門」へは行けないっちゅーことやな。どんな試練かは,わいにもわからへんのやけど……。
かおる:……ボールペン?
ティーグル:いいかげんそのネタから離れろ(笑)。
GM:(ぼそっと)これは金のボールペン,これは銀のボールペン,これは鉄のボールペン……。
ジーノ:どれもイヤああああああ(泣)。
ジョエル:あっ,嘘をついたな? 嘘をついた悪い子にはお仕置きだぞ?(笑)
ジーノ:俺嘘なんかついてないいいいいい(泣)。
フレイ:(強引に)ともかく! 4つの試練が終わったらもう一度入り口に戻る。そうすると……あれ? えーと?
GM:ああ,それ以上のことはアルジェントさんのメモには書いてないです。
フレイ:ふーん。ともかく,わいに言えるのはそのくらいやな。
ジョエル:待て。他に罠とか,モンスターとかは?
GM/ラキ:「あ,ジョエル様。結論から言っちゃいますとですね,その心配はありません」
ジョエル:そうなのか?
GM/ラキ:「何故かと言いますとね,この遺跡,どうせ『異世界の少女』でないと使い道がないんで,そんなもん仕掛ける必要はないんですよ」
かおる:はー,そっかー。ラキ,おまえ本当に何でも知ってるなー。
GM/ラキ:「任せてください! 何せチュートリアル一族ですから!」
ジョエル:……でもデータにないことを聞かれると,バグるけどな。
一同:(笑)
GM/ラキ:「ああっ,頭が割れるよーに痛いっ!? 種が,種が割れてしまうっ!」
ティーグル:はいはい,それはもういいから。
フレイ:さっさと先に進むでー。ところで,明かりとかはつけんでええんか?
GM:壁がぼんやり光ってますので,とりあえず必要はないようです。えー,ではまず最初の部屋ですが,すごく広い部屋ですね。王宮の大広間よりちょっと小さいくらいです。で,入って正面壁際に3メートルくらいの像があります。杯を捧げ持った美しい女性の彫像ですね。
ジョエル:その女性に何か見覚えは?
GM:ジョエルなら知っていていいでしょう。王宮に飾ってある初代女王の肖像にそっくりですね。近づいてみます?
ジョエル:罠はないって言ったもんな。みる。
GM:すると,台座に古代文字が刻まれているようです。読みたい場合は〈言語・古代語〉で判定してください。
ジョエル:(ころころ)C評価です。
GM:では普通の成功ですね。「我が最愛の女王を世界の護り手とせん。――メルクリオ」と書いてあります。
かおる:何それ。誰かの名前だよな?
ジョエル初代女王の名前……じゃないか。
GM:女王についてもう少し知りたい場合は〈博学〉で判定。他の人も技能を持っていれば判定していいよ。
フレイ:C評価。
ジョエル:B評価ですね。
GM:じゃあフレイが知っているのは伝説の通りのことですかね。「この王国がいつまでも平和だといいなぁ」と思い,夫である魔術師に頼んでこの王国を世界から切り離させた人です。ちなみに名前はマリアですね。
ジョエル:じゃあメルクリオは……あ,それじゃ女王の夫は?
GM:うむ,メルクリオだな。
ジョエル:なるほど。
GM/ラキ:「はいはーい。またもや補足説明でーす。4つの試練を終えたあと,あの杯にかおる様の血を捧げます」
かおる:血っ!? 何それ,聞いてないぞ!?
GM/ラキ:「そりゃ,今初めて言いましたから……ちなみにかおる様,血って言ったって1滴か2滴でいいんですからね?」
かおる:えっ……でも,手とか切らなきゃいけないんじゃないか? ヤだなぁ,私切り傷とか苦手なんだ。
GM/ラキ:「得意な人はあまりいないと思いますが……」
ジーノ:(首をかしげて)鼻血を出すとか?
ジョエル:何故鼻血だ!(笑)
フレイ:素直に指先をちょこっと切るくらいにしといたらどや(笑)。
かおる:だから,それが苦手なんだよなぁ……(←プレイヤーが切り傷刺し傷に弱いらしい)。でも仕方ないか。世界のためだもんな。
GM/ラキ:「えー,チュートリアルを続けていいですかー? ……4つの試練を終えたあと,あの杯に血を捧げると,『世界の門』への道が開けるらしいですね」
フレイ:よっしゃ,ともかくその試練とやらにチャレンジしてみようや。
GM/ラキ:「話が早くて何よりです,フレイ様。えー皆様,こちらをご覧くださいませ」
かおる:おまえ,何だかツアコンみたいだぞ……。

 台座の足元に光る地・水・火・風の紋章。手をかざすと,紋章は吸い込まれるように消え,手のひらに浮き出る。ラキによれば(というかチュートリアルによれば),この紋章が4つの部屋を開ける鍵となるらしい。
 ジーノが火,フレイが水,ジョエルが風,ティーグルが地の紋章をそれぞれ手に入れる。その間,「友情・愛情ポイントを渡す間がない」とばかりにムダ話タイムが……。


かおる:なー,ラキって本当にかわいいよなぁ?
ジョエル:……おまえ,俺に「うん」と言わせたいのか(笑)。
かおる:(聞いてない)あれ,持って帰っちゃだめかなぁ。
ジーノ:いいよ。
ジョエル:おまえが「いいよ」言うなぁ!
ジーノ:(聞いてない)そのかわりこげぱんちょうだい?
かおる:うん,ラキならこげぱんと交換してもいいよ……。
GM/ラキ:「僕,こげぱんと等価交換ですか。ってか,僕の意思は無視ですか」

 さらに,一応ムダではない話も……。

ジョエル:他の皆には聞こえないようにティーグルと話がしたいんですけど。
ティーグル:俺は皆から少し離れたところに立っている。……何か用か?
ジョエル:なぁ,あんた呪いを受けて虎の姿になってたって言ったよな?
ティーグル:ああ,まぁな。
ジョエル:何か大きな罪を犯したって話だったけど……。
ティーグル:…………。
ジョエル:あ,言いたくなかったらいいんだが。
ティーグル:……罪か。俺にとって大切なことが,彼らにとっては重罪だった。そういうことだ。
ジョエル:そうか。ずっと虎の姿でいたのか? どれくらい?
ティーグル:あまり昔のことすぎて,もう忘れたな。
ジョエル:あんたに聞きたいことがある。……俺はシリウスって男を探してるんだ。知らないか?
ティーグル:…………。さあな。
ジョエル:顔を探ってみますけど……。
GM:えーと,お互い〈嘘発見〉で判定。
ジョエル:(ころころ)B評価。
ティーグル:それはそっちが明らかに有利だな……(ころころ)ダメだ。D。
GM:うーん,すると「何か知っているな」ということがわかる。言いたくなさそうだけど。
ジョエル:わかった,じゃあそれ以上は訊かない。だけど,俺もどうしても確かめたいことがあるんだ。
ティーグル:…………。

 で,その間,

ジーノ:いいなぁ。俺も虎の姿になりたい……。
かおる:きっとあいつ,何か知ってはいけないことを知ってしまったんだ。「実はナカジーマは受けだったんだ」とか。

 ほんっとーにムダな会話をしている人たちが。

GM/ラキ:「はいはいかおる様,ムダ話は大概にしてくださいね。そろそろ試練を始めないと,日が暮れますよ」
かおる:で,ナカジーマって本当はどっちなんだ。
GM/ラキ:「(強引に無視)はい,それではみなさんこちらへ来てください」と,いうことで部屋を出て,次の部屋があるところに来ました。そこはただの壁ですが,風の紋章が光っていますね。「ジョエル様,この紋章に手をかざしていただけますか? ……そう,紋章が浮き出ている方の手です。紋章同士を合わせるみたいにしてください」
ジョエル:こうか?
GM:えー,すると双方の紋章がすうっと消え,同時に壁も溶けるように消えます。その奥には立派な扉が見えますね。
ジョエル:なるほど。まずは,俺とかおるが試練を受ければいいんだな。
GM/ラキ:「そうです。ではよろしくお願いします,お2人とも」
ジョエル:わかった。行くぞ,かおる。
かおる:うん……いいんだけど,いったい何をやらされるんだろう……。
ジョエル:それは入ってみなけりゃわからないだろう?
かおる:そうなんだけどさ。なんてゆーのか……朝遅刻する!と思って走ってたら道にいきなりどこでもドアが出現して(だんだん早口になる)それに吸い込まれて,出てきたところは知らない街で知らない子供に荷物あさられてこげぱんは投げられるし携帯は壊されるし,女王も騎士団長さんも人の話聞いてないし,ってか女王はすっげームカつくヤツだし,森の中に放りこまれて虎に襲われるし,かと思えば帰るためには「門」を 閉めなきゃならなくて,それはいいけどそのために4回も試練受けなくちゃならないとか,やっぱり不安になるんだよな。もう何なんだよ!
ジョエル:そ,そうか。
フレイ:え,えらい済まんかったなぁ,ウチの若いのが。
かおる:いいけどね,荷物は戻ってきたし。それによかったよ。みんなに会えてさ。
ジョエル:そうか。……優しいんだな,おまえは。
かおる:え? い,いや,そんなことはないけど……。
フレイ:(横から)前向きなんやな。ええな,そういうの。
かおる:え? え?
GM:あ,そう言えばフレイくん。君は彼女に以前会ったことがあるような気がする。しかし,そんなことあるわけないな? この人は異世界から来たんだから。
フレイ:……じゃあ彼女をじーっと見つめている。
かおる:何? さっきから何なんだよ。私の顔に何かついてるのか?
フレイ:え? ……いや,何でもないんや。気にせんといて。それより,ホントに気ぃつけえや。
ジョエル:俺がついてるんだ,心配はいらないさ。……と,かおるとフレイの間に割って入ります。
一同:(笑)
ジョエル:かおるの手をぐいっと引っ張って「早く行こうよ」とか言います。
ジーノ:ジョエルかわいい〜♪
GM:確かにかわいいが,しかし,今さら思い出したようにヒロイン争奪戦が始まってるなー。
ジーノ:ねえ。
かおる:おまえも参加するんだよ。わかってるか? あとそこも。
ティーグル:…………。と,言われてもな。
かおる:アンタそれじゃ鷹村の二の舞じゃないかよ! しゃべれよ! しゃべらないとおいてくぞ!

 このへんも内輪ネタですみません。
 ティーグルのプレイヤーはダブルクロスの鷹村「ツッコまない男」隆一のプレイヤーでもあります。


ティーグル:いや,今は言うことがないので,黙っているだけだが。
GM:後になってこれが口説き文句を言うのか? ホントか?(笑)
ティーグル:…………。さあ。
GM:……まぁいいや。そういうわけで,そろそろ先に進んでくれい。
ジョエル:ほらかおる,行くぞ。
フレイ:ジョエル,かおるを頼んだで。
ジョエル:任せておけ。と言ってかおるをフレイからかばうようにして前に立ちます。
フレイ:
かおる:わっ,押すなよ! おまえさっきからヘンだぞ?
ジョエル:いいから,早く来いよ!
フレイ:……何やねんあいつ?
ティーグル:…………。

*1 ガマ師匠ネタ:『シャドウハーツ2』に登場する変態レスラー,グラン・ガマ師匠。彼に関するネタ,特に終盤の「漢祭り」を,我々は総称して「ガマ師匠ネタ」と呼んでいた。ちなみに「漢祭り」とは,最強のレスラーになるために通る地獄の試練である。
 キミはまず,100階建てのリングの塔を制覇しなければならない。行く手に立ちふさがるは,ふんどし1丁・頭にはカレー皿・胸に「中辛」「魚介」「飯」などと書かれた跏里羅漢たち。見事最上階に辿りついても,本番はそれからだ。ガマ師匠,いや,「グラン・はてな?」との熱き戦いがキミを待っている。負けると勝者から身体に1本スジを通されてしまう……! まさに男の尊厳をかけた死闘! キミは純潔を守り抜けるか!
 ……いや,本当にそういうイベントなんですけどね。本筋には何も関係ないですね。はい。でも名優千葉繁さん(ガマ師匠役)の怪演技と,「ヤだ。そんなのヤだ。どっちもヤだ。絶対」とか「いらない。こんな愛いらない。こんな……」とか涙目になって呟く主人公のキュートさは必見です。みんな見てね。 廉価版ディレクターズカットも発売するぞ!
 ……えーどうも。長らくご清聴ありがとうございました。(つかあたしゃアルゼの回し者か)

 

  Stage 10


GM:えー,ではようやく第一の試練でございます。あなたがたが扉をくぐると,それがふっと消えうせます。
ジョエル:……終わるまで出るな,ってことか。
GM:たぶんそうでしょうね。さて,あなたがたの前にはどうやってこんなのダンジョンの中に入れたんだ?というぐらいだだっ広い書庫があります。ずーっと向こうまで本棚が続いています。というか先が見えません。もうずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと,続いてます。
ジョエル:……すごいな。
かおる:……頭痛くなりそう。
GM:あ,ちなみに何故かかおるの世界の本や漫画もあったりする。
かおる:え? なんで?
GM:何でだろう。もちろん,王国の文字で書かれた本もあるよ。
かおる:うわ,『きまぐれオレン○ロード』! なっつかしー!
一同:そこかよっ!?(爆笑)
ジョエル:おい……(笑)。
かおる:あっ,『ドラゴン○ール』も全巻揃ってるよ! 私,途中から読んでないんだよなぁ!
ジョエル:おい,あんまり勝手に……。
GM:(突然,○太郎のお父さんのような声で)「おい,おまえら! そこで何やってんだ!」
かおる:わっ!?
ジョエル:誰だ? どこにいるんだ?
GM:「下だよ,下!」と,下を見ると,赤いチョッキをきたハツカネズミが腕組みして立っている。
ジョエル:……何だおまえは?
GM:「オレはエド。ここの管理人みたいなもんだ」
ジョエル:そうか。俺たちは「世界の門」へ至るための試練を受けにきたんだが……。
GM/エド:「ああ,そうか。おまえたちが『異世界の少女』ご一行さまだな?」
かおる:ツアー客か私らは。
GM/エド:「よーし,じゃあここからはオレが道案内をするぞー!」と,彼が奥を指差すと,そこにはいつの間にか2人の少女が立っている。まったく同じ顔をした美少女で,よく似た黒いアンティーク調のドレスを着ているね。2人は膝を曲げてお辞儀をするが,何も言わない。かわりにエドが,「少し昔話をしよう」と言います。

 昔々,この王国を作った偉大な魔術師は,不思議な書庫を持っていた。そこには王国のあらゆる本が,そして,「外の世界」の本があった。毎日読んで読んで読みつづけても,一生かかってまだ読み尽くせないだけの本があった。魔術師本人でさえ,どれくらいの本がそこにあるのか知らなかった。
 さて,魔術師には1人の娘がいた。名前はイヴォワール。親しいものにはエヴァと呼ばれていた。彼女は幼い頃から本を読むのが大好きで,父親の目を盗んでは,書庫に入り浸った。
 エヴァは大変に記憶力に優れた少女だった。彼女は読んだ本を一字一句たがわず覚えていた。読んで読んで読み続けて,彼女はこの王国のあらゆる知識を得るようになった。多くの人が,彼女の持つ知識を求めてやってきた。彼女は言わば,この書庫に収められたあらゆる書物そのものだったのだ。
 ところがある日,人々がいつものように話を聞きにくると,何故かエヴァが2人いた。1人は「正直なエヴァ」。彼女は常に真実しか言わない。もう1人は「嘘つきのエヴァ」。彼女は常に真実と逆のことしか言わない。困ったことに彼女たちは何から何までそっくりで,まったく見分けがつかないのだ。
 人々は困り果て,やがてエヴァに話を聞きに来る者も少なくなった。
 2人のエヴァは,今でも書庫で本を読んでいる。


かおる:ものすごいパンクのしかただな,それ……てかタチ○マかおまえは!(*1)
GM/エド:「えーと君たちに課せられた試練はだね。端的に言うと,王国に関わる重要な知識を彼女たちから得ること。ただし,質問できるのは3回まで。もちろん,どちらが『正直なエヴァ』でどちらが『嘘つきのエヴァ』かは教えなーい」
かおる:(イヤな顔)わー……。
ジョエル:とりあえず,まずはどちらが「正直」でどちらが「嘘つき」か見分けなきゃならないんだな……(考える)。
GM/エド:「あと,イエスともノーとも言えないような質問は却下。あと『知ってることを全部教えてください』みたいなのもダメ。そんなこと言ったら,一生ここから出られないからね? はい,作戦タイムは5分! 考えて考えて!」
かおる:……あのさ。これっていったい何のためにやるの。いいよ,そんなの知りたくない,みたいなのは,ダメだよなやっぱ。
GM/エド:「んー,やっぱりせっかくこの遺跡に来たからには,門を開けるか閉めるか客観的に判断してもらわないとならないからね」
かおる:えっ? 門って閉めなきゃならないんじゃないのか?
GM/エド:(にやり)「だから,それをこれから考えてもらうんだよ。それにジョエル,君は訊きたいことがたくさんあるんだろう?」
ジョエル:ある。2つじゃ足りないくらいだ。
GM/エド:「あ,言い忘れたけど,この試練の目的は『異世界の少女』の知的レベルをテストすることだからね?」
かおる:わー!?
一同:(笑)
かおる:ジョエルー! 私こういうの苦手なんだよー!
ジョエル:だから泣きつくな! ……まぁ心配するな。GM,そのへんから本を1冊抜き出して,どっちかに訊きます。これは本か?と。
GM:…………。え?
ジョエル:イエスと答えたらそっちが「正直なエヴァ」で,ノーだったら「嘘つきのエヴァ」だな。
GM:…………。
ジョエル:…………? あれ? 何かおかしいこと言いました?
GM:…………。い,いや,それで正解だな。彼女は「そんなの,本に決まっている」と答えます。
ジョエル:ということで,この子が「正直なエヴァ」だな。
かおる:さすがジョエル,あったまいーい!
GM:…………。

 果たして何を勘違いしていたのか。
 松井が想定していたのは,
 あなたが進んできた道は2つに別れています。片方は天国へ,片方は地獄へ続いていますが,見ただけではどちらがどちらだかわかりません。分岐点に互いにそっくりな2人の男が立っていますが,どちらかが天使でどちらかが悪魔です。天使は必ず本当のことを,悪魔は必ず嘘を言います。さて,どちらかに1回だけ質問ができるとします。どうやったら確実に天国へ続く道を知ることができるでしょう?
 という古典的なクイズだった。(答え:どちらかの道を指し,どちらかに「もうひとりの男に『この道はどこへ続いていますか?』と訊いたら,彼は何と答えますか?」と訊く。もし「地獄」と答えたらその道を,「天国」と答えたら別の道を行けばいい)
 ……どうも根本が間違っていたようである。


ジョエル:さて,どうするかな。かおる,おまえは何か訊きたいことはないのか?
かおる:そうだなー。……あの女王の言ってることは本当に本当なのか?とか。
ジョエル:その質問は難しいんじゃないのか(笑)。もしよければ,俺には必ず訊かなくてはならいことがあるんだ。たぶん,おまえにも関係することだと思うけど……。
かおる:そうなのか?
ジョエル:俺のひいじいさんは,2人目の「異世界の少女」が門を開こうとしたとき,それを阻止した英雄と言われているんだ。だけど,その時に色々あって……じいさんがどうしても確かめたかったことを,俺がかわりに確かめてやりたいんだ。
かおる:それは何なんだ? 訊いてもいいか?
ジョエル:「門」を完全に開けた場合,いったい何が起こるのかってことだ。
かおる:おお。それは重要な問題だな。
GM/エド:「じゃあ2つ目の質問はそれでいいかな?」
ジョエル:そうだな。世界の門が完全に開いた場合,いったいどうなる?
GM/エヴァ:「全ては原初の姿に戻ります」
ジョエル:…………。
GM/エヴァ:「…………」
ジョエル:…………。そんなことを訊いてるんじゃなーいっ!?
一同:(爆笑)
ジョエル:あのなぁ,そんなことならじいさんの手記にもう書いてあるんだよっ!?
GM/エド:「ま,まぁまぁ。ちゃんと続きがあるから」えーとね,もともとこの王国と外の世界は1つのものだったでしょ? 門が完全に開かれると,王国と世界がわかれる前の状態に戻るわけ。
かおる:あー……?
ジョエル:具体的に,どういうこと?
GM:「例えばだねー」と言って,エドはどこからともなく大きな姿見を引き出してきます。すると,そこに映っているあなたの姿は……何にしようかね。ブレザーを着て,眼鏡をかけた,いかにも坊ちゃん坊ちゃんした男の子,って感じかな。かおるちゃんにわかるけど,これってあなたの世界によくある,私立中学の制服だよね。
かおる:えっと,つまりどゆこと?
GM/エド:「だから,もし世界がわかれていなかったら,ジョエルはこういう姿で学校に通っていたはずなんだ。それがジョエルのあるべき姿。『原初の姿』ってヤツだね。今門が開いたら,みんなが自分のあるべき姿に戻るんだ」
かおる:えっと,じゃあ門を開けたら王国が滅びるっていうのは……?
GM/エド:「それも正しいよ。この『王国』という小世界はなくなってしまうわけだから。ただやっぱり,『滅びる』というより『もとの姿に戻る』って方が近いと思うけどねオレは」
ジョエル:ちょっと待って。じゃあ門が開いた瞬間に「王国」がどーんと世界に現れるわけじゃなくて……。
GM/エド:「じゃなくて,『王国』にあった全てのものが,本来そうであった姿,つまり『王国と外の世界がわかたれていなかったらそうなっていたであろうはずの姿』に戻るわけだ」
かおる:わかりにくい。
GM/エド:「すみませんねえ。オレも自分で何言ってるかわかんなくなってきたよ」(笑)
ジョエル:いや,だいたいわかった。もし「王国」ができなかったら,俺のご先祖さまが子孫を残して,俺はこういう姿でかおるの世界に生まれてるはずだった。その姿に戻るってことだな。
かおる:そっか……そういうことか。じゃあ門を開けてもみんなが死んじゃうわけじゃないんだな。
GM/エド:「そだね。まぁどういう姿になるかはわからないし,『王国』での記憶は当然なくなるだろうけどさ」
かおる:なるほどねー。誰が考えたか知らないけど,よくできたシステムだなぁ。
GM/エヴァ:「考えたのはお父様です」
かおる:へ? ……ああ,メルクリオさんか。
GM/エヴァ:「ただお父様がおっしゃるには,このシステムは失敗作だったということですが」
ジョエル:そうなのか?
GM/エヴァ:「…………」
かおる:それにしても……。
ジョエル:なんだ?
かおる:ジョエル,おまえこういうカッコ似合うなー。かわいいなー。
ジョエル:かわいいって言うなー!?(一同笑)
かおる:またまた,照れちゃって。そういうところがかわいいって言うんだよぅ。
ジョエル:うっ,うるさいっ。今はそういうことを言ってる場合じゃないだろっ。
GM/エド:「そうそう。2つ目の質問はそれでいいのかな?」
ジョエル:いいんだけど……なぁ,結局,じいさんの師匠が門を開けようとしたことは,正しいことだったのかな。
GM/エド:「それはどうかね。正しいとか正しくないって問題じゃないと思うよ。自分が正しいと思うか,正しくないと思うかってことだよね」
ジョエル:……そうだよな。ごめん。
GM/エド:「いや謝んなくてもいいけど……3つ目,どうすんのさ?」
ジョエル:……やっぱり,誰が何をどう思ってるか,ってのは答えられないんだよなぁ。
GM/エド:「人様の主観を言い出すとキリないからなぁ。まぁ一応言ってみ? ダメだったらダメ出しするから」
ジョエル:女王様が本当に門を閉めたがっているのかどうかってことなんだけど。
GM:あー。あのね。それはエヴァに質問するまでもなく,閉めたがってるんだと思う。
ジョエル:そうなの?
GM:うん。でなきゃ,門を閉められなきゃ極刑,とか言わねえよなぁ。
一同:(爆笑)
GM:ま,だから人様の主観に関する問題はなるべく避けてください。「『極刑』とは具体的になんですか」とかだったら答えられるけどさ。
ジョエル:誰が訊くかっ!
かおる:……そこまで言われると,ちょっと訊きたくなってきたぞ。
ジョエル:訊かんでいい! どうしても訊きたかったらジーノに訊け!
ジーノ:いやん。訊かないでえ(泣)。
ジョエル:と,ともかく! おまえ,そんなことより他に訊きたいことはないのか?
かおる:うーん,そうだなぁ。ここはおまえたちの世界なんだから,訊きたいことがあるんだったら,当事者のおまえが優先して訊いた方がいいと思うぞ?
ジョエル:まるで部外者みたいな言い方だな。
かおる:やっぱりそうだと思うぞ。部外者っていうか,お客様みたいな。
ジョエル:(さびしそうに)……冷たいこと言うんだな。
かおる:え? あ,いや,そういう意味じゃないぞ? もちろん,おまえのことは友だちだと思ってるしな!
一同:友だちなのか。
かおる:(無視)ともかく,私に遠慮しないでおまえの訊きたいことを訊け,という意味だ! おまえもたまには自分の気持ちに素直になった方がいいぞっ。なっ?
ジョエル:……あ,その……ありがとう,な。と真っ赤になりつつ,エドのところに戻ります。
GM/エド:「おや,らぶらぶシーンはもういいのかね」
ジョエル:おまえもうるさいぞ! ……3つ目の質問だ。シリウスっていう男は,今どこにいるんだ?
GM/エド:「…………」
ジョエル:…………? あれ? この質問もなんかまずかったですか?
GM/エド:「…………。い,いや,そんなことはないんだけど……そうか,それを訊くか……」
フレイ:(小声で)水底のシリウス〜♪ みんなどこに行った〜♪ 見守られることもなく〜♪(*2)

 これも想定外であった。
 GMとしては「じゃあ門を閉めっぱなしにしておいたらどうなるのか」を訊いて欲しかったのである。そうでないと,「門を開けよう」という動機がすさまじく弱いままなのだ。
 が,これはあらかじめ質問内容を限定しなかった私のシナリオミスである。困りつつも,先に進むことにする。


GM/エヴァ:「シリウスというのは,」(と,ティーグルプレイヤーから渡された紙を見る)
ジョエル:? なんですか?
GM:……いや,長いなこの名前,と思って……えーとシリウスさん。シリウス・ユーリウス・コルネリアス。
一同:長っ!?(笑)
ジョエル:な,なんだって?(笑)
GM:……と,いうのが本名らしいぞ(笑)。
ジーノ:今,なんかすっごく難しい名前を聞いた……。
フレイ:なんか学術名みたいな……。
かおる:ロサ・ギガンティア?(*3)
ティーグル:うるさいな。イメージ的には古代ローマ風なんだよ。
GM/エヴァ:「ともかく,そのシリウス・ユーリウス・コルネリアスさんなら,あなたの一行の中にいます」
ジョエル:やっぱりな。つまり,ティーグルのことだな?
GM/エド:「そうです」
ジョエル:そっか。(かおるに)なんか悪かったな。個人的なこと訊いちゃって。
かおる:いいよ。よくわかんないけど,おまえにとって大事な人なんだろ?
ジョエル:いや,俺にとって大事なわけじゃないが(笑)。ともかく,ありがとう。おまえのおかげで,じいさんの望みはかなえてやれそうだ。
かおる:じいさんの望み?
ジョエル:そう。まだ全てではいかないけど,わからないことはこれから俺が確かめていくことができると思う。
かおる:…………?
GM:するとエドが,「そっか……ごエドワードはいい子孫をもったね……」と満足そうに頷きます。
ジョエル:ひいじいさんを知っているのか?
GM/エド:「……これで,ご主人の望みがかなった……オレもゆっくり眠れるよ……」するとその体が光の粒となって,かおるの体と,ジョエルの持っているひいおじいちゃんの手記に吸い込まれていきます。
かおる:わっ,なんだ!?
GM:えー,まずはジョエルから。あなたは「エドワードの手記」を手に入れました。これを所持していると〈呪文魔法〉の行為判定に常に+1,あとスペル枠「**」が追加されます。
かおる:ひょっとして,エドってひいじいさんのファミリア?
GM:ざっつらいと。で,かおるちゃんだけど,とりあえず体には何の変化もないようだ。が,ルール的には,これでジョエルの必殺技が使えるようになった。こうやって試練をクリアすると,対応するヒーローの必殺技が使えるようになります。
一同:はーい。
GM:やがて周囲の風景はゆっくりと薄れて消えていき,気がつくと,2人は何の変哲もない石造りの部屋の中に立っている。
かおる:これって……試練は終わったってことでいいのかな。
ジョエル:じゃあ,最後にさらにあざといことをやろう。手記をぎゅっと頬に押しつけながら,「じいさん……」とか言ってぽろりと涙を流す。
かおる:わっ。なっ,泣くなよっ。
ジョエル:……ごめん。ひいじいさんのこと思い出したら,なんか……。
かおる:好きだったんだな,ひいおじいさんのこと。
ジョエル:じいさんはいつもつらそうだった。俺が助けてあげたかったんだ。でも俺は小さくて,何もできなかった。
かおる:それはしかたないよ。それに,おまえはちゃんとひいおじいさんの願いをかなえたじゃないか。それってすごく偉いよ。
ジョエル:俺は,あのときまだほんの子供だった。でも今は……と,そこでそっとかおるの手を握ります。
かおる:え?
ジョエル:今はもう子供じゃない。かおるのことは,俺が守る。
一同:おお〜っ?
かおる:……なっ。な,何言ってんだよ! おまえ私より4つも年下じゃないか! おまえこそ,私が守ってやりたくなっちゃうぞ!
ジョエル:年下だと,おまえを守っちゃいけないのか?
かおる:そ,そういうわけじゃないけど……。
ジョエル:(にこっと笑って)さぁ,行こう。みんなが待ってるよ。
かおる:う,うん……。

*1 タチ○マかおまえは!:タチコマは『攻殻機動隊』に登場する機動兵器。この手の謎かけをしてくるシーンがあるらしい。
*2 水底のシリウス:
『プロジェクト]』の主題歌としてお茶の間のお父さんたちに大人気,「地上の星」の一節。……あ,いや,本編には何の関係もないんだが。
*3 ロサ・ギガンティア:
[Rosa gigantea]学術名。オールド・ローズの一種。ラテン語を素直に解釈すれば「巨大なバラ」とでも。あるいは某女子高生徒会の(以下略)