Prologue & Pre-Play


 むかしむかしある所に,とても平和で美しい王国がありました。ある時,この国を治めていたとある偉い女王様は思いました。「ああ,この国がいつまでもこのまま美しく平和でありますように!」 女王様の夫は偉大な魔術師でした。魔術師は女王様の願いをうけて,この国をそっくりそのまま,世界から切り離してしまいました。
 以来その国では,何もかも穏やかで,平和で,そして何ひとつ変わることがありませんでした。何百年か何千年か,あるいはそれ以上の年月,人々はそうやって過ごしてきたのでした。

 ところが二百年前,外の世界と唯一つながっている「世界の門」が少しだけ開きました。その時は,ひとりの女の子が外の世界からこの国にやってきたそうです。その時,王様の弟が「私の方が王様にふさわしいんだ!」と言って王様に戦いを挑みました。この国で初めて起こった争いでした。たくさんの人が死にました。
 王様の忠実な騎士が,女の子といっしょにこの門を閉めると,王国は再び平和になりました。

 その百年後――つまり今から百年前ですが――また門が少しだけ開き,また女の子がひとり,この国にやってきました。また王国では争いが起こりましたが,さて,今度の争いはその子のせいで起こりました。何を思ったか,女の子は「世界の門」を完全に開こうとしたのです。女の子と王国を守ろうとする女王様の間で戦いが起こりました(どうしてだかはわかりませんが,女の子に味方した人たちだっていっぱいいたんですよ!)。
 幸い,偉い英雄にこらしめられた女の子は,改心して門を閉めたので,王国は平和を取り戻したのでした。

 そしてまた百年後――二度あることは三度あるとはよく言ったものですが――,魔術師が女王様に報告いたしました。「女王様,また『世界の門』が開きました!」と。
 まだ大きな戦いは起こっていませんが,このままではいつそうなるかわかりません。そこで女王様は言いました。
「きっとまた少女がひとり,この国にやってきているはずです。その子を探して,門を閉めてもらわなくては!」



GM:はい,じゃあヒロインからどうぞ。MD回ってますから。
おらんだ:えーとヒロインです。名前は進藤かおる,高校生で水泳部に所属しています。外見は,某種ガンダムのカ○リ・ユラ・○スハさんをそのまま茶髪にしたような感じです。つまり,水泳部だから。ね。毎日毎日プールに入っているので,塩素で茶色くなっちゃったんです。
仲谷:元水泳部から証言させてもらうと,塩素でそこまで茶色くはなりませんが……。
おらんだ:(以下かおる)私の友達はものすげえ茶色くなってましたよ?
CHATO:学校によって違うんじゃないの?
かおる:そうですね,きっと。サルモネラ菌とか発生してたんでしょう。
GM:おい。
かおる:性格はちょっと男まさりで快活。男でも女でも,仲良くなるとすぐ抱きつく癖があります。「キラー!」がしっ,「アスランー!」がしっ,「遠藤ー!」がしっ,みたいな。
虎竜:最後だけ何だか違くありませんか!?(笑)
かおる:それはですねー,親友に遠藤和志という奴がいるので,そいつのことなんですよ。
和泉:でも「遠藤和志」って明らかに遠○和希……。(*1)
かおる:あ,ちなみに茅ヶ崎在住。
GM:何故茅ヶ崎なのかがよくわからんが,まぁいいや。では次……。
かおる:それと,CVは進藤尚美。
GM:わかっとるわい! まぁいい,次の人。
虎竜:はーい。名前はジーノくんです。年齢は18歳。名家に生まれた末っ子気質バリバリの騎士です。
GM:つまり旗本の三男坊みたいなもんだな。
虎竜:(以下ジーノ)そうかなぁ。一言で言えば,世間知らずの甘えっこです。でも性格は悪くないです。で……あの,CVって決めねばなりませんか?
GM:そうなぁ,わかるなら決めてくれると。
CHATO:すいません,私ほとんどアニメわからんのですが……。
GM:あなたは置鮎○太郎で決定だから。(*2)
CHATO:ほえ!?
ジーノ:あ,じゃあ声は櫻井孝宏ということで。
かおる:誰それ。
ジーノ:だから遠藤和○。
GM:なんだかすごくコワいものを感じるが,まぁいいや。で,次。
CHATO:(ぶつぶつ)性格的に置鮎さんは合わんと思うんやけどなぁ。まぁええわ。わいの名はフライ言います。
GM:フライ
CHATO:(以下フライ)フライ
GM:ミックスフライ?
かおる:アジフライ?
仲谷:ポテトフライ?
フライ:皆ヒドイわー!
GM:つーか関西弁のイントネーションだと分からないんだよ。ふつーに言ってみ?
フライ:フライ
GM:揚げ物じゃねーか。
フライ:ええっ!?(一同爆笑)
和泉:ねえ,本当に揚げ物なの?
フライ:じゃなくて,飛ぶほうのフライだったんですが。
GM:それはフライじゃなくてフライだろう。
フライ:あ,あれっ!?(笑)

 ……このままだと何のことかわかりませんね。
  赤文字:「フ」にアクセントをおく
  緑文字:特にアクセントをおかない
  青文字:「ラ」にアクセントをおく
 で,読んでみてください。

フライ:すいません,そういうことでフライです。
GM:フレイに変えない?(*3)
フライ:だから何で?
GM:いや,何か間違えそうだなー,と思って。私が(笑)。
フライ:とにかく! 年齢は17歳,イメージはFF6のロックみたいな感じ。職業はトレジャーハンター/アーチャーです。遺跡探索とかしてお金を稼いでます。孤児院に養わなならん子供ら抱えとるんで。
和泉:それってニコ兄……。(*4)
GM:うむ(笑)。では次……虎さんどうぞ。
和泉:虎さんって……。
かおる:(歌う)ちゃ〜〜ちゃらららららら〜♪ ちゃらら〜らら〜らら〜♪
和泉:それは寅さん。
かおる:私,柴又は帝釈天で産湯を使い……。
和泉:(無視)えーと名前,というか通り名はティーグルです。外見年齢は25歳くらい。
フライ:外見? 実年齢は?
和泉:(以下ティーグル)それは謎。キャラクターイメージは……何て言ったらいいんだろうなぁ。
GM:某剣フェチの弓使いじゃねーのか。(*5)
ティーグル:そうなんだけど,それって皆わかんないでしょ? とにかく,ちょっと性格がひねてて,ちょっと偉そうな感じです。
ジーノ:とか言われると中嶋しか思い浮かばん。(*6)
一同:何でっ!?(爆笑)
ティーグル:……中嶋は,ヤバかろ?(笑)
GM:だって中嶋ってあれでしょ? 主人公体育倉庫に連れこんで,万年筆突っ込むんでしょ?
仲谷:どこに!(笑)
かおる:鼻や口に突っ込むんだよね? そうだよね?
GM:まぁ君がそう言うならそういうことにしといてやるか。
かおる:ぜっったい近寄らんわ,そんなヤツ!
仲谷:怖いよー。怖いよー。
ティーグル:いや……だから,中嶋と違うから(笑)。長身で,銀髪で,肌が褐色で,という感じです。
GM:はいはい。では最後の人。
仲谷:はい。名前はジョエル・ハーシュマンです。年齢は12歳。
かおる:12?
仲谷:(以下ジョエル)そう12歳。この時点ですでにハンデを背負っています(笑)。いい家のお坊ちゃまで,身の回りのことは何でも爺やにやってもらってます。
GM:ちなみに,二人目の「異世界の少女」を改心させたという英雄の曾孫,ということになっていますね。
ジョエル:あ,クラスはウィザード/ウィザードですが,オプションで執事がついてきます。
ジーノ:執事? 執事って戦うの?
GM:いや,リュイくんが壁役だったからさ。誰かいないと前衛に穴があくんだよ(笑)。と,いうわけですので,リュイくん用に作ったキャラをそのまま使ってください。戦闘になると「ぼっちゃまー!」と叫んで登場しますから。(*7)
ジョエル:いつも着ているタキシードがビリビリに破れて,いきなりムキムキっとマッチョボディになるんです。
かおる:うぁかっこいー!?(笑)
ジョエル:ちなみに本人の性格ですが,子供っぽいんですけど大人ぶりたい。そんなお年頃です。
フライ:何かあると爺やー!と泣きつくとか?
ジョエル:そういうんではないです。勉強とかはちゃんとして優秀なんですが,例えば缶切りの使い方とか,日常生活の細々したことができないんです。そんなのは俺がやらなくても爺やがやってくれるんだ!とか言って。
GM:ではそんなメンバーで始めさせていただきたいと思います。あ,言い忘れました。GMは私,松井暁が勤めさせていただきます。よろしくお願いしまーす。
一同:お願いしまーす。

*1 遠藤和希:某18禁ボーイズラブパソコンゲーム『学園ヘブン』の登場人物。表向きは,「さわやかできさくな主人公の親友」。あくまで表向きだが。
*2 置鮎龍太郎:
声優さん。もともとフライのモデルが『ときめきメモリアルGirl's Side』に登場する姫条まどかくんで,その声優さんが置鮎さんであった。なお,フライが関西弁をしゃべっているのも同様の理由による。
*3 フレイに変えない?:
私は『機動戦士ガンダムSEED』に登場するフレイ・アルスター嬢の大ファンである。何か文句があるか。
*4 ニコ兄:
『トライガン』のニコラス・D・ウルフウッド氏のこと。孤児院に送金するために殺し屋まがいのことをやっている……のはアニメ版だけの設定だったっけ?
*5 某剣フェチの弓使い:
某18禁パソコンゲーム『fate/stay night』に登場するアーチャー氏のこと。数えるほどしか弓を使わなくても「アーチャー」。うーむ。
*6 中嶋:
同じく『学園ヘブン』に登場する鬼畜帝王こと中嶋英明氏のこと。なお,「主人公を体育倉庫に連れ込んで万年筆を……」というイベントは実在するが,PS2版にはない(当たり前だ!)。実は松井,この時点ではまだパソコン版をやっていなかったのだが……実地体験していれば,こんな気軽にはしゃべれなかったかもしれない……(遠い目)。
*7 リュイくんが壁役だったからさ:
本来はPCが6人だったのだが,当日インフルエンザで1人ダウンしたのである。そのダウンした人がやるはずだったのが,ナイトをメインクラスにした壁役だった。『六門世界TRPG』では前衛・後衛の概念がかなり厳密なので,壁役の不在は死を招くのである。

 

  Stage 01


GM:では,まず簡単に出会いイベントをやってしまいましょう。ジョエルや虎さんが出るまで少し時間がかかってしまうので,皆さんさくさくいきましょうね。
一同:はーい。
GM:ではヒロイン。まず現代日本から異世界へやってくるあたり。特に希望するシチュエーションはありますか?
かおる:パレオつきの水着を持っていてもおかしくないシチュエーションってあります?
GM:水泳部の練習でそういう水着は着ないよね。友達とプールに出かけた時とかじゃない?
かおる:修学旅行の行きとか帰りとかは?
フライ:わかった。これから行くとこで,友達と待ち合わせてたんだ。
かおる:じゃあそれでもいいけど……。
フライ:で,寝坊してそれに遅れた。
一同:なるほど!(爆笑)
GM:すっげえ説得力だな。きっと寝坊したうえに家に財布を忘れて,しかも友達の携帯番号をメモしてないんで連絡もできないんだぜ。
かおる:だー! だからごめんなさいって言ったでしょー!

 内輪ネタですみません。かおるのプレイヤーは遅刻魔なのです。
 当日も遅刻しました。
 つーか貴様,前日にあれだけ「全員の携帯番号メモしろよ!」「和泉ちゃんしか道知らないんだから絶対遅れるなよ!?」と念を押し,当日モーニングコールまでしたのに何故遅れるかな。


GM:それはともかく,じゃあ修学旅行の行きね。
かおる:じゃあパンをくわえながら,やばい,遅刻だぁ!とか進藤尚美声で叫んでます。
GM:ではそうやって走っているとですね,突然目の前に,そうだなぁ……どこでもドアが?
かおる:何故。
GM:物語はあなたがいきなりそこに吸い込まれるところから始まります。
かおる:だから,それはどういうシチュエーションだ!?
GM:それはもう,こうやって(両手を打ち鳴らす),こう(テーブルに手をつく)。(*1)
かおる:だから何故錬金術!? 全然情景がうかんでこないんですけど!?
ジーノ:きっと誰かがどこでもドアを出したんだよ。で,角を曲がった勢いで中に入っちゃったんだ(笑)。
かおる:だから誰がだって訊いてるんだよぉ!
GM:それは,異世界の誰かさん。つーか,これが「世界の門」だったりして(笑)。
かおる:本当に?
GM:さーあ,それはどーかなー。とにかく,あなたは勢いよくドアに突っ込んで,気がつくと寂れた町の中にいます。で,汚れた服を着た10歳くらいの男の子があなたの顔を覗き込んでいます。何故か,ハウス名作劇場な感じの服装をしています。で,その子はあなたが目を開けると,慌てて立ち去ろうとします。
かおる:あ,君,ちょっと待って……。
GM:彼は止まらず行ってしまいます。ふと気づくと,持っていた荷物がない。
かおる:ちょ,ちょっと待てえ!? 君!
GM:はい,ではそんなところでジーノくん登場してください。ざっと説明しますと,まず王国の占師が「異世界の少女が現れた」と女王様に進言したわけですね。で,占いに従って,騎士団がその少女が現れるという町に派遣されたわけなんですが,君はその一員です。
ジーノ:自分が住んでる町じゃないんですよね?
GM:そうです。君が住んでるのは王都。ここは王都からそれなりに離れた,寂れた町です。で,町を見まわってたら,おや,妙な格好をしたお嬢さんが道の真ん中で途方に暮れてるぞ?
ジーノ:ヘンな格好した人が,うろついている……。
ジョエル:……関わらないようにしよう。
一同:(笑)
かおる:おーい!?
ジーノ:いやっ,だって,なんか,……ヘンな人ですよ? コワイですよ?
GM:ちなみに,彼女は君の前を「おい君,ちょっと待て!」とか言いながら走りぬけているわけですが,
かおる:あ,ちなみにかなり速いですよ。ぴゅーっと走りぬけます。
ジーノ:え? ……え?
かおる:こらーっ,待てーっ!
ジーノ:え? えーっ?
かおる:待ーてー!(走り去る)
ジーノ:え? 今のは,何?
かおる:待ぁ〜てぇ〜!(遠くから響くエコー)
GM:……おまえら,出会えよ。
一同:(爆笑)
ジーノ:(かわいく)出会えないんですけど?
GM:追いかけろよ!
かおる:あ,すごい速いですよ? もう彼方へ走り去ってますよ?
ジーノ:だ,そうですが。
かおる:待ーてーよー?(まだやってる)
GM:これは「出会いイベント」です。お願いですから出会ってください。つーか出会え!(怒)
ジーノ:じゃあ仕方ないですね。足ひっかけます。
一同:(再度爆笑)
GM:……それはさぁ。どうなの。騎士として。
ジーノ:だって腕つかむより足の方が確実……。
GM:そうじゃなくて!(泣)
かおる:わかったよ! つまり足ひっかける前に私が勝手にけつまずけばいいんだろ! というわけでジーノの目の前で「おい待……はうっ!」とか言って派手に転びます。
ジーノ:んーと,では,大丈夫? 平気? 痛くない? 怪我してない?とか言って立たせて,ついでに埃まで払ってあげます。
かおる:あ,す,すみません,お手数おかけしまして。て,てゆーか泥棒なんです,ってうわぁ!?
ジーノ:え?
かおる:(早口で)こ,この人すげーヘンな格好してますよ? コスプレですよ? はっ,ひょっとして遊園地のアトラクションの人? きっとそうだそうに違いない。
ジーノ:あの……。
かおる:というわけでお仕事中すみませんが,泥棒なんです。
ジーノ:は?
かおる:あ,お忙しいなら結構です。ありがとうございました! では私急ぐので!
ジーノ:え? え,何? ちょっと待って?
かおる:待〜て〜!(と走り去る)
ジョエル:この人たちって……(笑)。
GM:(眉間にシワ)……キリがないから,先に進めていい?
ジーノ:はーい。では今度は僕も彼女の後を追いかけます。
GM:ではその少年を追いかけていくと,二人はうす汚れた路地裏に入りこんでしまいます。で,しばらくすると,「あんまり金目のものはないなぁ」とか言ってあなたのバッグを漁っている少年を見つけます。ちなみに,その隣には明らかに嫌な咳をしている小さい女の子がいて,少年は彼女に,「待ってろ,今日こそ美味いもん食わせてやるからな!」とか言っているようです。
ジョエル:(突然)お兄ちゃん,いつも迷惑かけてごめんね。あたしさえいなければ,お兄ちゃんにこんな苦労は……。
フライ:それは言わない約束だろ?
ジョエル:苦労かけるねお兄ちゃん……うっ……ごほごほごほっ!
フライ:お父つぁん! しっかりしてお父つぁん!
GM:誰がお父つぁんだ。
かおる:……ホントにそういう状態なわけ?
GM:まぁ,あながち間違ってはいない(笑)。ちなみに彼はあなたの荷物を次々にぽいっ,ぽいっ,と放り投げてます。それこそ,パレオとか,下着とか……。
かおる:あ,ああっ!? や,やめてくれよ君!
GM:そこにこげぱんとか飛んできたりして。
かおる:あ,あたしのこげぱん! お気に入りなのに!
GM:入ってたんかい。じゃあセーラームーンの等身大シーツとか?(*2)
かおる:そんなもんは入ってなぁい!
ジーノ:(首をかしげて)異世界って,いったい何なんだろう……。
かおる:だからセーラームーンは入ってなぁい!
ジーノ:でもこげぱんは入ってるんでしょ?
かおる:うん。
GM:(咳払い)それはともかく,どうする?
かおる:ではしばし呆然とした後,近づいていって声をかけます。あ,あの,君たち?
GM/少年:「ああっ,しまった! さっきのおばさん!」
かおる:お,おば……と,とにかく,人の物をポイポイ投げるのは,どうかと思うぞ。
GM/少年:「見つかっちまったら仕方ねえ! ベアトリス,逃げるぞ!」と少年は言って,
ジーノ:じゃあ少年の首根っこつかまえます。
GM/少年:「なっ,何すんだ! 離せよっ?」
ジーノ:君,食うのに困ってるの?
GM/少年:「は?」
ジーノ:大丈夫? 生きてる?
GM/少年:「えーと……」
ジーノ:ちゃんと生きてるんだよね? 死んでないよね? 大丈夫だよね?
GM:……ごめん。何言ってんだコイツ,って目で見ていい?
一同:(笑)
GM:つーか君,さっきから何を言いたいのだ?
ジーノ:あのねっ,もし良かったら,僕が助けてあげたいなぁっ,って思ってね!
かおる:……あの,何で?
ジーノ:だって感動したんだもん!
かおる:…………。
GM:(眉間にシワ)えーとフレイさん……じゃなかったフライさん。ここらで登場してくれる? ちなみに,この少年はジャックくんと言いまして,ベアトリス共々あなたんとこの孤児院の子です。
フライ:了解しました。では後ろからつかつかとやってきて,ジャックの頭をぽかんと殴ります。何やっとるんや,おまえは。
ジーノ:(ふるふる)ダメダメ。暴力ダメ。
フライ:そういう問題やないわ。他人様の荷物に手ぇつけるとは,何事や。
ジーノ:それはそうだけどぉ。
GM:あ,ちなみにフライくんは孤児院の経営が苦しいので,そういう自分は盗みを働いてたりします。
フライ:それはこの子らには内緒や。ともかく,すまなかったな姉ちゃん。ほらジャック,ちゃんと謝って返し。
かおる:あ,あの,でも何か事情があったようですし。なぁ君?
GM/ジャック:「うるさいなぁ。おばさんには関係ないよ!」
かおる:おっ,おば……。
フライ:(殴る)おまえよく見ぃや。どこがおばちゃんや。姉ちゃんやろが。そういうことばっかり言ってるから院長先生怒らすんやろ?
GM/ジャック:「何言ってんだよ,15過ぎたらみんなおばちゃんだろ?」
フライ:そんなら何や。15過ぎたらおじさんか。ほー。ちなみに,今日色々仕入れてきたけど,そうか。食わんのか。
GM/ジャック:「ああっ,嘘ですー! お兄ちゃんですー!」(笑)
かおる:あのー,そういうことやってる間に女の子に近寄ります。君,大丈夫か?
GM/ベアトリス:「は,はい,大丈夫で……ごほごほごほっ!」
かおる:大丈夫じゃないみたいだな。えーと,ここいらに病院は……。
フライ:……じゃあ荷物を集めて渡します。はい,これ。
かおる:あ,ど,どうも。ところでこの子を医者に連れてかないと。
フライ:あいにく,医者にかかるような金は持っとらんもんでな。心配してくれるんはありがたいけど,あとは自分たちで何とかするわ。姉ちゃん,迷惑かけて悪かったけど,まだ子供やさかい,許してやってくれ。ほなな。
かおる:え? あの……。
フライ:まだ何かあるんか?
かおる:茅ヶ崎駅はどこでしょう。
一同:(笑)
フライ:…………。は?
ジーノ:……ちがさきえきって,何?
かおる:あ,ですから茅ヶ崎駅です。JRの。
ジーノ&フライ:(ハモる)じぇいあーる?
ジーノ:って何?
かおる:え? っていうか……ここ,どこですか?
ジーノ:えーと……。
フライ:ここは……あれ? ちなみにGM,町の名前は?
GM:え? 決めてなかったなぁ。じゃあマッチーの町?
かおる:少しは真面目に考えんか!
GM:わかったよ。じゃあトゴルマの町。
かおる:と,とごる……ま?(←言いにくかったらしい)
GM:そう。と・ご・る・ま。
ジョエル:何でそんな名前?
ティーグル:(ぼそっと)「まるごと果汁」……。(*3)
一同:(爆笑)
フライ:(咳払い)そう,ここはトゴルマの町や。
かおる:とごる……え,えーと,じゃあ最寄りの駅はどこですか?
ジーノ:駅?
フライ:乗合馬車のことか? ここいらには当分来ぃへんで?
かおる:馬車? い,いやそうでなくて,電車です。電車の駅。
ジーノ:でんしゃって何?
かおる:地下鉄でもいいんですけど。
フライ:ちかてつって何や?
かおる:え,えーっ!?
GM:キリがないので進めます(笑)。そんなことをやっていると,ジーノくんと同じ鎧を着た背の高い男の人が来ます。「おいジーノ,見つかったのか?」
ジーノ:あ,はい。多分この子が。
GM/騎士:「おお,この面妖な服装はまさしく!」
かおる:面妖って何だそれ!? てゆーかこの人騎士鎧なんだよね? ここ何!? テーマパークかと思ったけど,ひょっとして違う!?
GM/騎士:「お嬢さん,あなたお名前は?」
かおる:は? あ,進藤かおるです。
GM/騎士:「なるほど,カオール様ですね。おいジーノ。至急隊長に知らせろ。この方を王宮にお連れするぞ」
ジーノ:え? でも,その前に,この子たち助けないと。
GM/騎士:「は? 助けるも何も,親がいるんだろう」
ジーノ:えーっと,でも。
かおる:あの,ちょっといいですか?
フライ:じゃあ,わいは行くわ。
ジーノ:行っちゃダメ!
フライ:はぁ?
ジーノ:(すげえ早口で)行っちゃダメ行っちゃダメ行っちゃダメ行っちゃダメ。ね? 助けてあげるから絶対何とかするからだから居て。ね? 行っちゃダメ。
フライ:え? えーと?
GM:つーか,おまいホントに騎士か!?
一同:(爆笑)
GM:(眉間にすげえシワ)じゃあ騎士さんが「ジーノ! おまえは女王様に仰せつかった任務があるのを忘れてないか!?」と怒鳴りつけます。
ジーノ:え? でも人助け。人助け大事。ね?
GM/騎士:「ね,じゃない! 君,さっさと行ってくれ!」
ジーノ:あーっ,行っちゃダメ! うーっ!
GM:駄々っ子かおまいは!?
フライ:(苦笑)じゃあジーノに,ありがとな,と小声で呟いて,さっさと去ります。
ジーノ:あーっ!?
GM:だからうるさいんだっつーに!?(笑)
ジーノ:助け合い精神大事。ね?
GM:だから「ね?」じゃなくて……えーとすみません。そのへんでフェイドアウトしていいですか? もうキリがないんで……。

*1 こうやってこう:『鋼の錬金術師』でエドがよくやるアレ。松井はさらに『ドラえも』を……いや,これ以上言うのはやめておこう。
*2 セーラームーンの等身大シーツ:
実物は見たことないんだよなぁ。ちなみにア○メイトでCD買ってふと隣を見たら,等身大のアスラン・ザラがいてびっくり仰天,というのは覚えがある(ポスターだった)。……や,別にどうでもいいんですけどね。
*3 まるごと果汁:
そんなジュースが机の上にあった。

 

  Stage 02


GM:すみません,ジョエルと虎さんもう少し待ってください。えっとフレイさんですが,
フライ:フライです。
GM:あ,そうだった。フライさん。
フライ:GM,何でそんなに間違えるんですか?
GM:いや,それは色々あってだね(笑)。
ジーノ:もうこうなったらフレイでいいんじゃないですか?
ティーグル:はいフレイ。もうフレイ決定。
フライ:……何でそうなるのかよくわからないんですけど?(笑)
GM:えー,では改めましてフライさん。あなたの抱いているベアトリスがかなり苦しそうです。お気づきの通り,彼女は難病に侵されています。もちろん,だからといって医者にかかるような余裕はないわけですが。
フライ:症状を抑えるのがやっと,と。
GM:そんな便利な薬はあるかな?(笑)とりあえずそんな感じ。
ジョエル:(かわいく)お兄ちゃん,気にしないで,私のことは。
フライ:何言うとるんや。とりあえず薬飲も。な?
GM:あなたがたは孤児院に続く道を歩いているわけですが,そこに見知らぬ男が立っています。金髪で,白い上等そうな服を着て,かなり気障な感じですね。彼はあなたが手にした薬を見て,「その薬では,一時的に症状を抑えることしかできんな。きちんと医者に診せた方がいいんじゃないのか?」
フライ:何やあんた。そんなことはわかっとるわ。俺は……。
GM/男:「まぁ,ちょっと診せてみなさい」と,彼は懐からビンに入った水薬を取りだし……。
フライ:待てや。
GM/男:「何だ? こっちの方がよく効くぞ。私はこう見えて医術の心得もあるんだ。この症例は何度か診てきている」
フライ:その薬,タダじゃないよな? 勝手に使われて,後でふっかけられても困るんやけどな?
GM/男:「話が早いじゃないか。もちろんタダとは言わない。実は,君に頼みがあるんだ。君は私の仕事を引き受ける。私はその報酬として,彼女の治療と,当分君の孤児院が困らないような寄付金も約束しよう」
フライ:即答はできんな。ま,聞くだけ聞くわ。
GM/男:「そうか。なら,この薬はタダで差し上げよう。前金代わりということでね」
フライ:(嘆息)タダより高いものはないというけどな……。
ジョエル:(いきなり)お兄ちゃん,こんな人の言うことなんて聞かないで!
フライ:はい?
ジョエル:お兄ちゃんが,私のために魂を売るなんて,そんなの我慢できないわ!(笑)
ティーグル:魂売るのか?
フライ:売りません!
ジーノ:だって明らかにアヤシイんですけどこの人?
GM:ちなみにCVは子安武人氏ということで。
一同:(爆笑)

 いや……別に子安氏に隔意はないですよ。
 この人が演ると猫も杓子も悪役っぽく聞こえる,なんて言ってません。

GM:ではフライは謎のお兄さんをともなって孤児院に帰るということで,話を王宮に戻します。

 

  Stage 03


 エドワード・ハーシュマンの手記:

 ……(前略)……我が師メルクリオによれば,この王国は溜池のようなものだという。大海の中,頑丈な壁で覆われ,「世界」の浸入を拒絶する。
 溜池の水は流れない。流れぬ故に淀み,そのうち腐っていくしかない。
 よって王国は「世界の門」を開く。大海と唯一繋がる水門を。それは捻じ曲げられたこの世界が自らを保とうとする一種の自浄作用である。……(中略)……
 「世界の門」を開けばどうなるか。「すべてが在るべきところに還る」と師は言った。だがそれはどういう意味だったのか? そもそも,師自らが自らの言に確信を持っていたのか? それならば,師は何故それ以上の説明をしてくださらなかったのか?
 もっとも,ローゼリットにだけは詳しい説明をしたのかもしれない。彼女の協力をとりつけないことには,この計画自体が成り立たなかったのだから。また,彼女は彼女なりに答えを見いだしていたのかもしれない。今となってはわからぬことだ。……(中略)……
 最終的に,私は彼らを裏切った。多くの者があの場で死んだ。ローゼリットやシリウスをはじめとする数名の騎士は捕らえられたと聞くが,そこから後のことは知らない。別段確かめたいとも思わない。気になるのはただ一人逃げおおせた師のことだが,その後何の便りもないということは,どこかでのたれ死んだのかもしれない。あの人のことだから,また次の「異世界の少女」を探して各地をさまよっているとしても,私はまったく驚かないが。……(中略)……
 私が年甲斐もなく泣いたりしたものだから,後悔しているのかとジョエルが訊く。さて,後悔するぐらいならばそも裏切らなければよいのだから,その点に関しては後悔なぞするまい。否,私にはその資格がなかろう。気にかかるとすれば,私の選択が正しかったのか,もはや知る術もないことだ。次に「異世界の少女」が現われるのがいつかは知らぬが,そこまで私が生きられるとも思えぬ。近頃はペンを持ち上げる手も重い。……(中略)……
 やはり私が間違っていたのか? それとも正しかったのか? それを知ることができない。今,何よりもそのことを,私は後悔して(以下絶筆)



GM:さて,お待たせしました。ジョエルくんでござる。君は王立図書館にて,ひいおじいさんの手記片手に,「世界の門」について書かれた書物をひっくりかえしていたところだ。「異世界の少女が現われるらしい」という噂は,当然君の耳にも入ってきている。さてそろそろ夕刻。執事のファーガスさんとともに家へ帰ろうとしているところですが,ホールの方が騒がしい。
ジョエル:ファーガス,なんだあれは。
GM/ファーガス:「なんでございましょう。何やら面妖な格好をした娘がおりますな」
かおる:(まだ騒いでいる)何なんだよー! 離してくださいよー!
GM/騎士:「あー,あのですね,かおる様……」
ジーノ:えーと,ちなみにこれは何?
かおる:あ,私の携帯電話! 返せよ!
ジーノ:ケイタイデンワって何? あっ,これ開くよ? 開いたら壊れたよ?
かおる:あーっ!?(一同苦笑)
ジョエル:そこのおまえ,うるさいぞ! ここをどこだと思っているんだ!
かおる:知るわけないでしょそんなの! それよりこの人たち何とかしてください! 私の携帯電話が!
ジョエル:だからうるさいと言っているだろう! 何なんだおまえは,ヘンな格好をして,いったいどこの者だ!?
かおる:ヘンな格好はどっちだよー!? だいたいここはどこですかー!? もしかしてディズニーランドか,ディズニーランドなのかー!?
ジーノ:(首をかしげて)でぃずにーらんどって何?
かおる:うがーっ! とにかく離せーっ! だいたい何でこんなところ連れてくるんだよー! どうしようってんだよー!?
ジョエル:ええい,落ち着け!(笑)
GM:えー,例によってキリがないので進めます。そんなところで「その説明は私がします」と偉そうな声が上から降ってきます。見上げるとタカラヅカのような大階段があって,2人の人物がその上に立っています。1人は豪奢なドレスにガウンをまとった美女。1人は甲冑を着た中年の男性です。言うまでもないがこの女性は王国の女王様であらせられる。ちなみに男性は騎士団長のマレウスさんね。
ジョエル:これは女王様。失礼いたしました。
GM/女王:「構いませんジョエル。あなたにも関係があることですから」と,女王様は無表情にかおるちゃんを見下ろします。「ようこそ,我が王国へ。あなたが異世界の少女ですね」
かおる:…………。は? どういうことですか?
GM/女王:「つまり,ここはあなたが今まで住んでいた世界ではないのです」
かおる:…………。
GM/女王:「…………」
かおる:…………。そんなことを訊いてるんじゃないんだよー!
一同:(爆笑)
フライ:か,かみあってねーっ!?(笑)
かおる:だいたい何なんですかあなたがたは誘拐ですか!? 誘拐なんてしたってウチにはお金なんかありませんよ!? 異世界だなんて今時そんな言葉で騙される女子高生がどこの世界にいるってんですかー! てゆーか私は騙されない! 騙されないぞー! うきー! 
ジョエル:だから落ち着けと言っているだろう!?(笑)
GM/女王:「いいですか,異世界の少女よ。騙されたと思うのはあなたの勝手ですが,これは事実です。まずはそれを認識なさい。でないと,この王宮から出たところでのたれ死ぬだけですよ。とにかく,これをご覧なさい」で,階段の途中に高い窓がありまして,そこから外の風景が見えます。眼下一面に広がる街,さらにその向こうには森と丘がずーっと続いています。
かおる:…………。こ,こんなCGじゃ騙されないぞー!?
一同:しぃじぃ?(笑)
ジーノ:って,何?
かおる:い,いやでもこんな大掛かりなCGってないよな。も,もしかして知らない間に外国に来ちゃった? アンタたち外人? いや,でも言葉は通じてるし?
GM/女王:「落ち着きなさい。外人ではなく,異世界の人間です。つまりですね,あなたの世界と私たちの世界は本来交わることのないまったく別の世界。しかしあなたはその境界を越えて私たちの世界へとやって来てしまったのです。2つの世界をつないでいる『世界の門』がそのおかげで開いてしまったわけなのですが,それでは私たちは大変困るのです。ですから私たちはあなたに門を閉めてもらわねば困りますし,あなたも門以外からは元の世界へ帰れません。そういうわけであなたは『世界の門』を目指して旅立たねばならないのです。さぁ旅立ちなさい」
かおる:…………。はぁ!?
一同:(爆笑)
ジーノ:て,展開早すぎっ!
ジョエル:じょ,女王様。この娘に今から「旅立て」と言っても無理でしょう。まずは準備を整えさせてから……。
かおる:そういう問題でもなーい! って言うか言ってる意味がわかりませーん!
GM/女王:「そうですか? ではもう一度繰り返してあげましょう。つまり,ここは異世界です以下略,さぁ旅立ちなさい」
かおる:何でーっ!?(爆笑)
ティーグル:なんかアレ? 初期のドラクエとかFFとか?(*1)
フライ:「おおロトの血を引くものよ,さぁ旅立つがよい」とか。ひのきの棒1本渡して。
かおる:せめてどうのつるぎをよこせーっ!?
ジョエル:こらこら,おまえも錯乱するな。気持ちはわかるが,早めに現状を認識した方が気が楽だぞ?
かおる:だ,だって……。
ジョエル:どちらにしろおまえはこの世界に来てしまったんだし,帰りたいのならば女王様のおっしゃる通りにするしかないだろう。女王様,先ほどの話ですが,この娘を今すぐ出発させるのは無理です。まずはどこかでゆっくり休ませなければ。
GM/女王:「ええ,王宮に部屋を用意させます。言い忘れていましたが,ジョエル。あなたもこの旅には同行してください」
ジョエル:私がですか?
GM/女王:「そうです。かつての英雄の血を引く者として,道行にはあなたがふさわしいと思います」
ジョエル:それは構いませんが,私と彼女だけですか? 護衛の騎士も必要だと思いますが。
GM/女王:「もちろんです。そこで他人事のような顔をしているジーノ,あなたもですからね」
ジーノ:え?
GM/女王:「聞いた通りです。あなたも一行に加わってもらいます」
ジーノ:聞いてないです。
GM/女王:「では今言います。明朝旅立ちなさい」
ジーノ:はうう!?
一同:(笑)
ジーノ:で,でも俺,騎士団離れて行動したことないです。
GM:するとお兄ちゃんが「何言ってんだおまえは!」と頭をすぱん。
ジーノ:はうっ。
GM/ジーノ兄:「おまえ,女王様じきじきのご命令だぞ! それが騎士のとる態度か?」
ジーノ:だ,だって俺,下っ端。
GM/ジーノ兄:「下っ端,じゃなーい! おまえ騎士だろうが!」(笑)
かおる:…………。えーとですね,女王様。
GM/女王:「なんですか?」
かおる:やっぱり話がよく見えないんですけど……。
GM/女王:「ですからあなたは異世界の少女で以下略,さぁ旅立ちなさい」
かおる:それはもうええわい! だから「異世界」ってどういうことなんだよぉ!
GM/女王:「ですから,あなたが住んでいたのとは別の世界です。だから『異世界』です。これだけ言ってもまだわからないのですか?」
かおる:わかりませーん!
GM/女王:「そうですか。では旅立ちなさい」
一同:(爆笑)
かおる:こ,これは夢だ……きっと夢なんだ……。
GM:女王様はそれきりかおるちゃんを無視して,「そうそうマレウス,あのケダモノも護衛に加えなさい。かわりに呪いを解くと言ってやれば,いい戦力になるでしょう」とか言ってる。
ジョエル:ケダモノ?
ティーグル:(ぼそっと)ケダモノって……。
GM/女王:「西塔の転移門を使えばすぐに目的地に行けます。マレウス,彼女を連れて会いに行ってきてくれますか」ってなわけで今度はおじさんの方がかおるの前に歩いてきます。「はじめまして,かおる様。マレウスと申します」
かおる:はっ,はい。何ですか?
GM/マレウス:「実は,護衛団の一員になる男を迎えに行くのですが,その際かおる様のご同行をいただかねばなりません。よろしいですか」
かおる:は? どういうことですか?
ジョエル:あの,よろしいですか女王様? 出かけるのは明朝ですよね?
GM/女王:「そうです。これはそれとは別件で,メンバーを調達してくるだけです。転移門を使いますからすぐ行って帰って来られますよ」
ジョエル:なるほど,わかりました。そこのジーノとかいう男と,私と,その男と,それで全部ですか?
GM/女王:「あともう1人,遺跡探索に詳しい人間を派遣してくれるよう,ギルドに頼んであります」
ジーノ:え? 騎士団て,俺だけ?
GM/女王:「それが何か?」
ジーノ:え? でも,俺下っ端。
ジョエル:(冷たく)行きたくないなら行かなくてもいいんだぞ。
ジーノ:行くのはいいんだけど,でも俺下っ端だよ? 守る自信とかないし?
GM:「だからおまえは女王様の前でなんて口聞いてるんだよ!」とお兄さんが再びハリセン。
ジーノ:はう!?
GM:つーかジーノ,おまえ「礼儀作法」技能持ってるだろっ!?
ジーノ:(キャラクタシートを見て)あ,ホントだ。
一同:(笑)
ジョエル:(冷たく)やれやれ,こんなお坊ちゃまと一緒じゃ先が思いやられる。
フライ:12歳のお坊ちゃまにこう言われるジーノっていったい……。
ジーノ:うん,だって俺お子様だから。
GM:自分で言うな。つか開き直るな! と,ともあれ,もう時間もないので,マレウスさんがかおるの手をつかんでぐいぐい引っ張っていくよ。
かおる:え? え? だから何なんですか?
GM:(無視)で,とある一室に連れてこられると,石の床に青い魔方陣がぼんやりと光っている。「これで目的地まで行けます」とマレウスさん。
かおる:は? ……た,たびのとびら?(*2)
ジーノ:うんうん,面倒なんだよねー。
フライ:ある場所にいくためには複数の扉通らなきゃいけなかったりしてね。
ティーグル:で,行った先で鍵が開かないんだよね。
一同:(爆笑)
ティーグル:最後の鍵がなーい!(笑)
GM:それはもうええから! そんなところでマレウスさんが「どうかなさいましたか,かおる様」
かおる:どうかと言われても……えーと,これ,どうするんですか?
GM/マレウス:「これは指定の場所に転移を行う魔法陣です。さぁ参りましょう」
かおる:ええっ!?
ジョエル:ここの王国の人はみんな有無を言わさずか!(笑)
かおる:事情を説明して欲しいんですけどー!
GM/マレウス:「あ,そう言えば大事なことを忘れていました。これをお渡ししておきます」
かおる:は? これ,何ですか?
GM/マレウス:「お守りです。獣に食われたりしないようにね」
かおる:ケダモノぉ?
ティーグル:だから,ケダモノって。
GM:(無視)ちなみに,それは銀製の十字架で,ペンダント型になってます。男ものらしく,結構重たいですね。ちなみに裏面には何か文字が彫られているようですが,あなたには読めません。言葉は通じるんですが,文字は読めないんです。何故でしょう。不思議ですね。
かおる:何故なんだ。
GM:さぁ。
かおる:
…………。あ,あの,マレウスさん。ケダモノっていったい?
GM/マレウス:「行けばわかります。と,言うわけで行ってらっしゃいませ」
かおる:は?
GM:彼は有無を言わさず,あなたを魔法陣の方へ押しやります。
かおる:ええ? いったい何なんだよぉ?
GM:すると,あなたは何故か夜の森の中に立っている。
かおる:ひーっ!?
フライ:(←擬音担当)ほー,ほー,ほー……。
ジョエル:(←同じく)ばさばさばさばさ……。
かおる:い,いやー? ここはどこなんだー?(泣)
フライ:(甲高い声で)ピイイイイイイイッ!
かおる:うわあああああっ!?
一同:(笑)
ジーノ:怖いよ,効果音が怖いよ!(笑)
かおる:マジでびっくりしたんですけど,今の!
GM:とかやってると,後ろからがさがさっと物音が!
かおる:びくうっ!(と振りかえる)
GM:えー,そこには巨大な白い虎が立っていました。というわけで,虎さん登場してください。
ティーグル:はーい。では様子を伺うように,した,した,と歩いていこう。
かおる:う,うわ!? 何!? 虎!?とか言いながら後ずさり。
ティーグル:黙って近づく。
かおる:う,うわっ!?
ティーグル:…………。
ジーノ:……ここでいきなり食われてバッドエンド?
ジョエル:残されたのは白い骨だけ?
一同:(爆笑)
かおる:いーやー!?
ティーグル:たぶん骨も残さず。残されるのは靴だけ……。
かおる:ひーっ!?
GMおおかおる,死んでしまうとは情けない。
ティーグル:……いや,冗談ですけど(笑)。
GM:冗談はさておき,そんなことをやってると,あなたの持っている十字架が眩い光を放ちます。それは目を開けていられないほどの強い光です。で,光が消え去った後,そこに虎はいなくて,代わりに背の高い男の人が立っている。銀髪で,肌は浅黒く,騎士団のものとは少々違う鎧を着ている。ま,君に鎧の違いなんてわかんないけどね。
かおる:あ,あの……。
ティーグル:…………。
かおる:えーと……と,虎は?
ティーグル:…………。
ジョエル:(小声で)ちゃ〜〜ちゃらららららら〜♪
GM:違うんだよ。
フライ:(小声で)白い〜,マットの〜♪(*3)
GM:違う。つーか,古いわ!
ティーグル:えーと,続けていいかなー?(笑)
GM:あ,ごめんなさい。それで?
ティーグル:えーと……。
GM:…………。
ティーグル:…………。
GM:…………。何か言えよ。
一同:(笑)
かおる:で,では私から話しかけます。あ,あの,今まで虎がいませんでした?
ティーグル:……その様子では,異世界の少女か。
かおる:は? えーと……あー,とりあえずそうみたいですね。
ジーノ:とりあえずそう呼ばれてます,みたいな(笑)。
かおる:だってここに来てからそんなことばっかり言われてるんで。とりあえず私が「異世界の少女」なんだろうな,とは思ってしまいます。
GM:イセカ・イノショ・ウジョみたいな?
ジーノ:イ・セカイノ・ショウ・ジョ?
ジョエル:イセ・カイ・ノショウジョ。
かおる:えーい,うるさいわおまえらー!
ティーグル:…………。

 虎さん,つくづく寡黙である。
(周りがうるさすぎて口を挟むタイミングを失っているという説もあるが)

ティーグル:……ちなみに,その十字架って見覚えあるの?
GM:ありますね。つーかそれ,あなたのです。
ティーグル:……なるほど。
GM:ちなみにそれペアになってるんで,女物もどっかに出てきますよ。
ティーグル:そうか……。
かおる:あ,あの……?
ティーグル:…………。
かおる:…………?
ティーグル:…………。
GM:どうでもいいが,ほんっとに会話が続かねえなおまえらは(笑)。
ティーグル:……いや,彼女に言うことは特にないから。今のところはね。黙って見つめています。
GM:では仕方ない。そこらへんでマレウスさん登場しよう。「かおる様,遅くなって申し訳ありません。どうも魔法陣の調子が悪くて」
かおる:うわ? え,えっと今どっから来たんですか?
GM/マレウス:「城からです」
かおる:え……えーと?
GM:(ティーグルに)あ,ちなみにマレウスが着ている鎧は王国騎士団のものです。さらに,騎士団長の証も身につけています。「そうか,そなたが……あー,私はそなたのことを何と呼べばいいのかな?」
ティーグル:そうだな。ティーグルとでも呼べばいい。
GM/マレウス:「そうか。ではティーグル。だいたい事情は飲み込めていることと思うが,改めて言おう。彼女の護衛をして,『門』を閉じにいってほしい」
ティーグル:……ふむ。なるほどな。
GM/マレウス:「その代わり,と言ってはなんだが,成功の暁にはおまえにかけられた呪いを解いてやろうとの仰せだ」
ティーグル:…………。
GM/マレウス:「返事を聞いてもよいかね?」
ティーグル:……わかった。一応,従っておこう。
かおる:ちなみに,私はそーゆー会話をしている間に,そのへんをちょろちょろと歩きまわっている。
GM/マレウス:「あー,かおる様。そっちは崖です」
かおる:うわあっ!?(笑)
ティーグル:では「危ないぞ?」と言って抱きとめてやろう。
かおる:あ,どうも。すいません。
GM/マレウス:「どうも埒があかぬな。ティーグル,そのまま担ぎ上げて連れてきてくれるか?」
ティーグル:…………。では黙って担ぎ上げる。
かおる:ええ!? 何でですか!? つーか,何すんですか!
ティーグル:黙って連行。
かおる:下ろしてください! 自分で歩けます!
ティーグル:…………。
かおる:なーんーでー!?(笑)
GM:えー……ティーグルさんが他にすることなければ,このシーンは終わりにしますが……。
ティーグル:む,他にすること,と言われてもな。
ジーノ:森に別れを告げるとか?
一同:(笑)
フライ&ジョエル:あおーん♪(笑)
GM:それはともかく(笑),かおるちゃんはアイテム「銀色の十字架(男物)」を手に入れました。これを身につけていると,物理・魔法問わず全ての防御判定に+1の修正がつきます。
かおる:了解です。ちなみに私は「下ろしてくださいぃ」と叫んでいたのだが,下ろしてくれないので,しまいには「下ろせ! 下ろせよぉ!」とわめきちらしております。足をバタバタいわせてます。
ティーグル:……………。
かおる:うきー! 何とか言えよ,こらぁ!
ティーグル:……………。
GM:マジで無口だよこの人(笑)。
ティーグル:……足も抑えておこう。痛いから。
GM:さて,そんなところで虎さんとの出会いは終わり。ただし,あともう1シーンあります。今度はフライ。

*1 初期のドラクエとかFF:かのFFも最初は「おお光の勇者たちよ,さぁ旅立つがよい」みたいな感じだったよね……(遠い目)。
*2 たびのとびら:
昔ドラクエに存在した(今もあるの?)いわゆるワープゾーン。
*3 白いマットの:
じゃーんぐるにー♪ えーと『タイガーマスク』のオープニング?