暇だったというわけではないが、現実逃避してみたくなり剃毛してみた。現在、股関節の中間部に存在する小銭入れ状の部位がスベスベマンジュウガニとなっている。小稿では剃毛について若干述べてみたい。
剃った毛の処分に利する面であるとか、剃毛にほどよい肌質に弛緩させる入浴直後の風呂で行うのが理想であるが、長いまま行うのは排水口の詰まりを招く。まず剃毛に先立って風呂以外の場所で、新聞紙等を広げ、その上に腰を下ろし、ハサミ等である程度刈っておく必要がある。大まかに切ってゆけばよい。気をつけたいのは、挟んでしまうことと、ハサミの刃先である。安全性を考えるなら、鼻毛切りの様な刃が短く、先の丸くなった、ハサミがよい。もし手元にない場合、普通のハサミでやるしかないが充分に注意を払わなければならない。
いよいよ、剃毛作業に入るが、この作業には根気が要る。T字カミソリを用い部位の凹凸にあわせてナイーブに行わねばならない。少しのミスが思わぬ悲劇を呼ぶ。カミソリは長く持つのではなく、首のところを持つのである。安定性を保とともに、剃る部分の凹凸などが指先を通じてわかりやすい。また剃り残しがあると、後でちくちくして非常によろしくない。特に、各接合部には厳重に作業を施すことが求められる。ナイーブを第一に入念さを持続しなければならない。パーフェクトを期さねばならないのだ。
カミソリを走らせる方向は一ヶ所に対し、持ち手を替えながら最低四方向が基本となる。方向や持ち手をかえると感覚が変わる。危険を伴うため、特に神経を使う工程となる。
作業は自らの発毛状況にあわせて長時間に及ぶ。その間、姿勢は極度の前傾となるため、肉体にかかる疲労ははかりしれない。疲労はミスにつながる。適度にインターバルを入れることも必要だ。その間に剃毛の進捗を確認するのがよい。未剃部分と比較したときの充足感はなにものにも替えがたいものがある。
さて、剃毛作業はこれで終わるわけではない。毛根のぎりぎり、もしくは完全に抜いてしまうのが、理想であるので、翌日、もう一度あらためて剃りあげた方がよい。二段階、もしくは一定間隔で継続しつづけるのがよりよいスベスベマンジュウガニ・ライフを送る上で大切なのだ。
作業終了後、カミソリ負けが想定されうるだろうが、経験上、アフターケアの心配はいらない。後述する理由から、あまり乳液や、メンソレータムなどを用いることは避けたい。ただ、どうしてもという時はこのかぎりではない。
剃毛には感触を愛でる他に部位の清潔性を高めるのにも有効だ。発汗などでとかく老廃物が蓄積しやすい。上記のような理由で、乳液などの塗付を薦めないのである。剃毛後の洗浄には毛穴の汚れを浮かせる洗顔フォームなどがよい。入浴時に木酢液や希めたアルコールなどで消毒するのも入念でよいだろう。
確かに剃毛は痛みや危険、大変な手間や疲労を伴う作業かもしれない。けれど剃毛をほどこすことによって感じる風、空気は格別なのである。