>>>I LOVE DISNEY

         

今日は告白してしまおう。
僕の原体験は【ディズニー映画】である。

これには深い訳がある。
幼い時の僕は病弱だった。
広尾の日赤病院の小児病棟に2度も長期入院したことがある。
小学校2年と5年の時だ。
当時は古い木造病棟で、20位ベットがあるいわゆる大部屋病棟であった。
図らずしも、集団生活に入った僕は、昼は入院仲間と遊んだり、面会と称して友達がたくさん遊びに来てくれたので、退屈はしなかった(これには今でも感謝している)
問題は夜だった。病状はマチマチだったので、病院の早い夕食が終わると、『遊び禁止』はもちろんの事、私語厳禁 。庭に出るのも、もちろん禁止。今なら、ゲーム・ボーイやウオークマンなど人に迷惑を掛けずに遊ぶものがあるので、一人遊びで時間は潰せただろうが、当時はマンガや本といった物しかなかった。いわゆる『テレビっ子』世代と言われた僕たちは長い夜が退屈だった。
そんな中、唯一の楽しみは週に一度か二度来るボランティアのお兄さん・お姉さんが16ミリフィルムと映写機を持ってきて 『ディズニー映画』を上映してくれることだった。『不思議の国のアリス』『ピーターパン』『ピノキオ』『ミッキーマウスやドナルドダックの短編』など、今でも鮮明に覚えている。
情報が遮断されたような空間で、見たそれらの『ディズニー映画』は僕たち明日の命の行方さえ解らない(実際、次々と個室に移る子がいたが、その子らを二度と見ることはなかった。それが何を意味するかは子供ながらにみんな解っていた。僕と仲のいい隣のベットの子は重い腎臓病で他界した)子供達にとって、砂漠の中の水のような感覚であった。美しい映像、独得の色彩、素晴らしい音楽、キャラクターのユニークさ、センスのあるギャグ、その一部始終を見逃すまいとして(残酷な現実から逃避するためだったのかも知れないが)食い入るように見た。

最近、家で娘達とディズニー映画をビデオで見ることが多い。僕は娘といえども押しつけるのは嫌いだが、最近は「リトル・マーメードが見たい!」「101匹わんちゃんが見たい!」だのリクエストをしてくるようになった。見終わると長女は今見たものの絵を書き出し、次女は歌を交えながらストーリーを僕に語ってくれる。彼女たちの原体験になるかは定かでないが。

余談だが、うちの親父は映画フリークだ。今でもシニア料金でほとんどのロードショーを見ている。僕がチャップリンやヒッチコックの代表的映画を見たのは親父に連れて行って貰った小学生の時だ。そして今でも親父と共通の話題は映画と音楽と絵画だ!その親父も、祖母が『今日は帝劇、明日は三越』と言ったモダンガールだったそうで、幼いとき、毎日のように連れて行かれたそうだが。本人は眠かったようだが(笑)

そして、僕の広告作品はディズニータッチだと良く言われる(ここでお見せできないのが残念だけど)幼児体験は一生つきまとうのかも知れない。そして、入院当時の情報量の少なさに今は感謝もしている。
本来的意味の、 ピーターパン・シンドロームを地でいく僕であった!

 

 

 
 
 
 
         

 

       

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'01 9月>>>

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