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JISE市民フォーラム「地域生態系の保全を求めて」(2000.1.23)
〜子ども達に引き継ぐ身近な自然〜
(財)国際生態学センター パシフィコ横浜
早稲田大学文学部助手:高木徳郎
鷲谷いづみ(東京大学農学生命研究科教授)
柴田敏隆(コンサーベイショニスト)
宮脇昭(財)国際生態学センター研究所所長
早稲田大学文学部助手:高木徳郎
1.歴史の中の生物多様性
(1)水田中心史観の見直し
(2)果樹栽培への注目
(3)歴史の中の畠作、果樹作
(4)生物多様性と中世社会
・中世、自己責任による問題解決、自力救済。
・生物多様性に応じた多様な自然への働きかけ(用益行為の重層性)
2.歴史の中の環境保全と地域社会
(1)「殺生禁断」というルール
・聖域としての「鎮守の森」、比較的古い森の植生が保存
自然破壊に一定のブレーキ、独特の宗教観に支えられた保全の知恵
・狩猟や材木伐採などの用益により生業を確保しようとする「悪党」
・伐採や炭焼きは認められる、山の民の生業
(2)「山」をめぐる争議と協調−境界と用益園−
・村落景観のモデル。集落、耕地、山野、入会、森。
3.中山間地域の歴史と現状−和歌山県粉河町鞆淵地区−
・多様な生業→水田への一本化、植林事業→果樹への転作、山林への放棄
・すすむ過疎化、わずかな耕地も耕作放棄進む、棚田の放棄
・山をめぐる共同体の崩壊
4.荘園現地調査の体験から〜結びにかけて〜
・原風景としての「荘園」
「人と自然のかかわり」のモデルとして
・都会と農村の交流
→都市と農村の新たな共同体、新たな関係の創出
鷲谷いづみ(東京大学農学生命研究科教授)
・保全生態学。健全な生態系の持続〜複雑なネットワークを損なわない〜
生物多様性の保全〜遺伝子、種、生態系などの多様性〜
後の世代が私たちと同じように自然の恵みを享受しながら豊かな生活を
営むことを保障するための目標。人類の持続性の希求。
・環境基本法。現在と将来。
・環境影響評価、アセスメント。
目標クリア型、ベスト追求型
科学的なアクセスが必要
・愛知万博アセスメント。
先取りしてモデルを示す
人と自然の共生
会場計画と連携した環境影響評価
地域整備事業に係わる環境影響評価との連携を図る
・跡地利用は自然破壊。愛知万博にBIE警告。
20世紀型の開発至上の計画。
・海上の森、里山。
・固有性が重要。
地域毎に環境、地史、生物進化の歴史、人為作用が異なる。
・山論。山野の資源利用に関する争いを通じて形成された入会地のしきたり
・口開けの期日厳守
・雇い人の禁止
・馬による草の搬出、刈り置きの禁止
・使用する刃物の種類の制限
→草木の持続性
・システムとしての里山は少なくなっている。部分部分はあるが。
森林面積の推移は変わりないが、丘陵地の森林(里山だろう)は減少。
・貴重なまとまりのある里山生態系
・生物多様性のホットスポット
・特殊な水文、土壌条件(自然のストレスと攪乱)に支えられた生態学的に
興味深い生態学。
としてのかけがえのない地域
・里山林の博物館(多様な森林のモザイク)
開発せずに後の世代の継承すべき場所
・評価が恣意的。
海生の森はシンボルとして、あまり使われていない施設等を使って、
森を復活させるのも良い。
柴田敏隆(コンサーベイショニスト)
1.誰がこんなにしたか
・人口爆発 AD1年2.5億、今60億。
・先進国の放埒な資源乱用
・最貧国の生きんがための環境破壊
・先進国の後追いをする(前者の轍を踏む)発展途上国
宮脇昭(財)国際生態学センター研究所所長
・1000年の森。本物の森、土地の主役の木、再生する。
手がかからない。常緑広葉樹。
・潜在自然植生図。
・植樹、子ども、環境教育。
・町の中の森がなぜ大事か。
自然に揺り戻しにも強い。
・大きくなる能力を持った木、主木、混栽、密栽。10年10m。
・200年かかる自然遷移を、20年で限りなく自然に近い森。
エコロジー脚本による森づくり。
・頭は切らない。
・今あるところを残すこと。
・ふるさとの木によルふるさとの森づくり。1000年の森づくりを。
・日常的に気軽に関われる自然、ありふれて何気ない自然の大切さ。
・地域の理解。
・難問=収奪、持ち出し、持ち込み。市民意識の問題。
・維持保全作業に大勢の市民が参加することは本当の維持保全になるか。
□会場からの質問、回答。
・「人と自然の共生」、もっと良い表現はないか?
本当は偏利共生かな。(もう一つは、双利共生)
慎み、調和が必要。くそデモクラシー、エコファシズム。
人と自然、対立的に考えるのではなく、一緒のもの。自然の一部。
日本的な目標、表現。あいまい。西欧では生態系保全等。
野生との共生は可能。人と自然との共生は不可能、制限要素。
・横浜市、日吉の丘公園。公園つくり。国際生態学センターも協力する。
・生態系のアセス。「何を心配しているか」から調査が始まる。
・計画アセス、戦略的アセス等で、事業エリア以外をも視野に入れる。
・魚が減る。乱獲。自然資源の視点。カキ、タイ、養殖。
・有機燐の還元。魚食、下肥。昔は、エコポリス。
・ポット方式、活着率90%。時間をかければ森となる。
自然のやっている方式をコピーすることがベスト。それしか出来ない。
ノウハウはない。まずやること、やりながら考えること。
・破壊とは? 何が自然破壊か。
その地域の固有の自然を保全していくのが保全。
主役の自然がポイント。極相林、復元、メンテフリー。
里山の自然は、人が関わっていく。関わりのあり方を学ぶ。
持続的に関わっていくことが必要。既に5000近い団体がある。
固体数、種の数を減らすことが課題。在来種。
巨体種が減ること、ex)2mのアオダイショウ。
・輸入種による緑作りは?
論外。作物として扱うのは良いが、自然ではない。
・山の共同体の崩壊と、新しい都会と農村の関係は?
都会の資本で植林したが、経済の変化により無用のものとなる。
荘園調査。調査の過程で出来た新しい信頼関係。
都会で生まれ育った人が農村の現実を知っていく中で生まれる。
・コスモスを植える、飾る。みっともない。
・相続税で緑がなくなる。八王子、役所が担保して、残す方法もある。
公共の緑を増やしていく方法の一つか。
・行政とのパートナーシップ。行政は変わってくいくことが前提。
現場を見て地域の資源を探す。自分たちのことは自分達で決めて、
自分たちで責任をとる。市民側の合意形成、情報公開。
以上 (文責:竹井)
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