★ ヘラルドシネクラブニュース 1999/1 ★
岡村洋一の聴 ク、映 画

  
 少し遅くなってしまいましたが、賞レースの季節も近いので…
 

 ― 98年 私が見た映画ベストテン ―

◎第10位 
『ワイルドマン・ブルース』 W・アレンのヨーロッパツアーを撮ったドキュメンタリー。ラスト近くに現れる彼の両親の倣岸さとあの気まずーい終わり方は圧巻。
◎第 9 位 
『恋愛小説家』 J・ニコルソンはどうしても小説家には見えないが、古き良き時代のビリー・ワイルダー作品のようなムードを持った心温まるラブ・コメディ。
◎第 8 位 
『愛を乞う人』 あの母親がなぜ自分の娘をあんなに殴るのか最後までわからない所がいい。本当は誰でも愛を乞う人。みんな誰かに愛されたいと思っているんだ。
◎第 7 位 
『キューブ』 立方体の中に閉じ込められて脱出できない6人の男女。どこか60年代っぽいが、余計な説明が一切無い怖さとセンスが光る。カナダ映画の新しい波。
◎第 6 位 
『ディープ・インパクト』 真の危機管理とは何か?を考えさせる佳作。アメリカ大統領役のM・フリーマンの存在感が、作品全体の"重し"になっている。こういう大統領が現実にも居たらなぁ。
◎第 5 位 
『ハムレット』 新旧オールスターキャストで絢爛豪華に描く人間の業の深さ。「タイタニック」のK・ウィンスレットが、ここでは珍しく演技をしている。
◎第 4 位 
『悪魔を憐れむ歌』 劇中に出てくる"悪霊"を"悪意"と置き換えてみるとわかり易く、かつ恐ろしい。一人称の語り口も非常にうまい。
◎第 3 位 
『トゥルーマン・ショー』 劇場型犯罪の増えた昨今、すべての人は24時間、何かを演じ続けているのかも…。
◎第 2 位 
『ガタカ』 SFに黄金の50年代のアメリカの建物が使われているのは映画の対位法。既に遺伝子操作が当たり前になっている近未来は、それほど冷えびえとしている。
◎第 1 位 
『桜桃の味』 自殺しようとする中年男。それに協力しながらも止めようとする老人。生きるよすがは無限にある。楽しいことはいくらでもある。さくらんぼの美味しさ、夜明けの美しさ、映画を観ること…。不景気も「景気」の一つの表情。絶望の中に希望を見い出す、新しい一日がもう始まっている。