シネマ大全 た行・チ

 チャーリーとチョコレート工場   2005年 アメリカ

両親と両祖父母と一緒に、傾いた家で細々と健気に暮らすチャーリー少年。
彼の楽しみは、年に一度、誕生日だけに買ってもらえる“ウォンカ”印のチョコレートだった。世界中で爆発的な売り上げを記録しているウォンカのチョコレートだが、実は誰も工場に人が出入りしているところを見たことがない。世界一のチョコレート工場だというのに…。一体誰がどのようにチョコレートを作っているの? ウォンカ氏ってどんな人??ある日の事、“チョコレート工場に5人の子供を招待する!”と、ウォンカ氏が発表。チャーリーは、その幸運な5人の中に入れるのだろうか?

映画を観る楽しみは、3つある。
始まる前のドキドキする期待感。観ている間の至福。終わってからの余韻…。
素晴らしい映画は、DVDで観直さなくとも、心の中で、何百回も何千回も永遠のロード・ショーを繰り返してくれる。

この作品は、チャーリーがチョコレート工場に入ってからの“ワンダー・ランドの展開”が勝負だ。
ティム・バートン監督独特の強い色彩、強烈な人物設定、シニカルな“オチ”…。
なかなか楽しいのだけれど、心の底からは、ノレなかった。

同監督の「シザー・ハンド」で好演したウォンカ役のジョニー・デップは、どぎついメイクの下で、彼自身が明らかに戸惑っていたし、映画全体が、彼のキャラクターを持てあましていた気がする。
私にとって、決定的だったのは、「2001年宇宙の旅」の、お粗末な引用(?)だ。
気持ちは解らなくはないけど、やり過ぎ&失敗だよ。
リスペクトもユーモアもない。

ああ、こんな時に、かつての「オレたち、ひょうきん族」があったらなぁ…。
まずまずの製作費をかけて、徹底したパロディをやれるのに。
「寅さんと印刷工場」とか、「ユーミンとビール工場」とかさ…。

あ、もしかして、怒ってる?
でも、オレだって本当は怒ってるんだよ。
年長さんだから、ジッと耐えているんだ。
あ〜あ、大人になんかなるんじゃなかった。
もっともっと、素直に楽しみたかったなぁ…。

(2005.10.7)