シネマ大全 た行・チ

 ちゃんこ!   2005年 日本

大学1年の中田由香は、クラスメートの牧村丈治の熱い視線も全く無視、勉強とアルバイトに明け暮れる平凡な学生生活を送っていた。 そんな由香がひょんなことから相撲部に入部することになる。しかし、部員はブラジルからの留学生・カブレラただ一人で廃部寸前。グラウンドの隅のちっちゃな土俵で、練習相手はOBの若林龍造だけ。それでも、カブレラと練習を続けるうちに、由香の中にも少しずつ変化が…。
相撲部の創設者・松川俊之や顧問で助教授・石山亮子に見守られながら、練習に励む由香とカブレラの元に東広島大学での全国国公立大学相撲選手権開催の知らせが入るのだが…。

あの「シコふんじゃった」から、14年。
もはや、大学の相撲部には、外国人留学生と女子学生しかいなくなっていた…!
先日観た映画「I am 日本人」でも、主人公のアメリカ人留学生と中国人留学生が英語で激しく互いの国をなじるシーンが出て来たが、この映画では、対立するカザフスタン人留学生とアメリカ人留学生が相撲で決着をつけようとする。

登場人物のほとんどが、初めから相撲など全くやる気がない所が非常に面白い。
カザフスタン人留学生とアメリカ人留学生だって、討論→紙相撲→指相撲→本当の相撲、とレベル・アップ(?)して行くのだ。

人生は、かなりの部分が偶然のものなのだ。
その偶然を必然と思い、命を懸けるのもまた一興。現代ニッポンの多様性と“ユルさ”を描きながらも、大真面目なスポーツ映画としてのスケールを備えた快作の登場だ。

(2006.2.24)