シネマ大全 た行・テ

 デブラ・ウィンガーを探して     2002年 アメリカ

マーティン・スコセッシ監督の映画「アフター・アワーズ」やリュック・ベッソン監督の名作「グラン・ブルー」などへの出演で高い評価を得たロザンナ・アークエット。
現在40代を迎え、女優として、女として、そして妻や母という立場に関して“私はこう感じてるんだけど、みんなはどうなの?”という素直な疑問を他の女優たちにぶつけてインタビューしたドキュメンタリー作品。


インタビューの相手は、ロザンナが敬愛するホリー・ハンターやフランシス・マクドーマンドら個性派女優から大ベテラン女優。またロザンナはヨーロッパで活躍する女優たちにも同じ疑問をぶつけ、ハリウッドとの違いを見つけ出そうとする。
“ハリウッド女優”というと、スターのオーラをまとった特別な人間みたいに思ってしまうが、ここに出演している女優たちは皆、1人の人間として、そして働く女性として、家庭と仕事のバランスなど、普通の人と同じ様な悩みを持ち、それについて自分の考えを素直に話し、思わぬ告白をする…。

インタビューを受ける女優陣の豪華な事。
ウーピー・ゴールドバーグは別格だが、懐かしのテリー・ガーやテレサ・ラッセルも40歳過ぎたら、すっかり映画の仕事はなくなってしまったらしい。

プロデューサー達にとってのfackability(=ヤレるかどうか)が女優の要素の一つだ、というエグい証言から、引退したジェーン・フォンダが語る“49本の出演作品の内、8本でしか感じられなかった、女優としての至福の瞬間”の話まで、実に多くの示唆に富んでいる。

そう!
あの重圧、あの緊張感、あのドキドキ感、映画撮影の“磁場の中心”へ向かう時の、あの感じを何度も何度も味わいたくて私も、苦しくても辛くてもバカにされても、頑張っているのだ。
やっぱ、いいぞ、ジェーン・フォンダ。映画は麻薬なのだ。よくやめられましたね。

シャーロット・ランプリングが、ほんの少ししか登場しないのは残念だが、「ER」のキャロル・ハサウェイと再会出来たのは、嬉しかった。

えっ?
それで、誰が一番、魅力的かって? 
そりゃあ、勿論、もうすっかりお婆ちゃんになってしまったが、映画「ジュリア」でオスカーを獲得したバネッサ・レッドグレーヴ姐さんさぁ。
“背筋がピンと伸びた生き方をして来た感じ”が、顔のシワ1本1本の美しさに現れている気がした。 
すべての40歳以上の女性は、この映画を観るべきだ。

(2005.2.27)