シネマ大全 た行・テ

 デス・プルーフ in グラインドハウス    2007年 アメリカ

夕暮れのテキサス。オースティンのラジオ局の人気DJジャングル・ジュリアは、親友のシャナ、久しぶりに地元に戻ってきた大学時代の女友達アーリーンと一緒に街へ繰り出した。
お気に入りのバー、グエロスからテキサス、チリ・パーラーをはしごする3人。
彼女たちをドクロ・マークの付いたシボレーが付け回し始める。
この不気味な車を運転しているのは、顔に傷痕のある中年男、スタントマン・マイクだ。
最初は気味悪がっていた3人も、男とバーで会話をかわすうちに警戒心を解いて行った。
その時、同じバーに居合わせたパムは、この男に車で送って欲しいと頼む。
しかし、パムを乗せたとたん、男は豹変する…。

非常に面白かった!!!

タラちゃん作品の系譜で言うと、「ジャッキー・ブラウン」→「キルビル」の流れにある一本だが、「ジャッキー・ブラウン」の破天荒さが上手く伸び、語り口の稚拙さが消えてなくなった感じだ。

前半の後半の冗長さ、あのタラタラ(笑)している感じは、M・スコセッシ監督の「グッド・フェローズ」に似ている。つまりは、ドラッグ映画なんですな〜。

後半の前半、女の子4人が小さなレストランで、6、7分くらいだっただろうか、延々と雑談するシーンは、「レザボア・ドッグズ」で、宝石強盗へ行く前の“バディ”たちがマドンナの歌の歌詞について議論を始めるシーンに似ている。
私は俳優なので、この長〜いワンカットで撮影したシーンがアドリヴ等ほとんどなく、綿密なリハーサルの産物である事が解る。
だが、何故か彼女たちは、とてもリラックスしている。
監督の“雰囲気作り”が非常に優れているに違いない。
日本映画では、滅多にお目にかかれないシーンでもある。

そして、後半の後半。カー・アクションの凄さ、切れ味の良さ…。
思いもよらない快作だった。
何故、もっと拡大公開しないのかが理解できない。
“何でもいいからスキッとしたい人”に、超お薦めの一本だ。

(2007.9.19)