シネマ大全 た行・テ

 デジャヴ    2006年 アメリカ

2006年2月28日、海軍の水兵とその家族たちを乗せたフェリーが、突如大爆発を起こした。
ATFの捜査官・ダグは現場を捜査し、爆発がテロだった事を証明。
更に、爆発現場の近くで発見された女性の死体も、鋭い観察力で殺人によるものだと見抜いた。同時に、ダグはその死体の女性・クレアに奇妙なデジャヴを感じる。
爆破事件とクレアの殺人が関係あると見たダグは、彼女の部屋の捜索へと向かった。
そこに、あったのは…。


“初めてなのに、懐かしい”

これは、数年前の韓国旅行のキャンペーン広告のキャッチ・コピーだ。
今思えば、その後の韓流ブームを予感していた気がする。
そう、韓国という場所そのものが、人心荒れて殺伐として来た昨今の日本人には、デジャヴだったのだ。

“この場所には以前、来た事がある”“昔、これと同じ経験をした事がある”と感じる、いわゆるデジャヴ現象は、誰もが味わった事があるはずだが、この映画は、そのデジャヴ現象を上手くモチーフにしている。

初めはテロの犯人を追う刑事ドラマで、段々と復讐劇、いつの間にかSFになり、気が付けば、ラブ・ストーリーだった…。
どんどんスタイルを変える、半ば“有り得ない強引な展開”も、名優・デンゼル・ワシントンの熱演とジェリー・ブラッカイマーのプロデュース、トニー・スコット監督の手堅さがあれば、問題ナシ。

“人生を4日半前からやり直せたら…”なんていう事を考える人間の身勝手さと悔しさ。
人と人との結びつきがもう少し切なく感じられ、ネタから言って、もう少々ユーモアを振り掛けても良かった気はするが、最後の最後までなかなか見せてくれる一本だった。

(2007.2・18)