シネマ大全 た行・テ

 デイ・アフター・トゥモロー   2004年 アメリカ

二酸化炭素の大量排出に伴う地球温暖化が深刻化する中、古代気候学者のジャック・ホールは、自らの研究結果をもとに大規模な気候変動を予測し、学会で注意を呼びかける。
それから数ヵ月後、世界各地が前例のない異常気象に見舞われる。
巨大ハリケーンがLAを襲い、大津波がマンハッタンを呑み込む。ジャックの仮説が予想外の早さで現実となったのだ。ジャックは人々を南に避難させるよう合衆国副大統領に進言するが、政府は事態の深刻さを理解しない。やがて気温が急激に下降し始め、北半球は氷河期に突入して行く…。


急激な寒冷化で、凍りついたマンハッタン。                                       
避難所になった公立図書館で、書物を燃やして暖を取る事になった若者たちの会話が面白い。

“ニーチェ! 19世紀の大哲学者を燃やすのか?”

“おい、ここの棚は税法の本ばかりだぜ。全部、燃やそう!”

大CG大会のスペクタクル・シーンよりも、こういう人間味ある台詞が生きていた。
人類にとって最も大切なのは、恋の駆け引きでも、ダイエットでも、イラクの自治でも、アメリカの利権でもなく、環境問題なのだ。
意外と地味な作品だが、生々しいテロや、火星人の襲来よりも、本当は、もっとコワい映画を観たのかもしれない。

(2004.6.16)