シネマ大全 た行・タ

 ターミネーター3  2003年 アメリカ

ミリタリー・コンピューター、スカイネットの計画を潰し、人類の未来を塗り変えたサラとジョン・コナー親子。あれから10年が過ぎ、ジョンは不安を抱えたまま放浪生活を送っていた。その不安は間もなく現実となる。スカイネットが、最新型マシーン、T‐Xを送り込んだのだ。ジョンが偶然再会した幼なじみ・ケイトもその標的だった。T−Xの襲撃から2人を救ったのは、かつてジョンを守ったターミネーター。目的は何なのか? いぶかるジョンに、ターミネーターは衝撃的な真実を告げる…。


美少年、エドワード・ファーロングが大人になったにしては、ちょっと…な20代のジョン・コナー、彼と中学の同級生だったという女獣医・ケイト、そして、シュワちゃんより更に強力な女ターミネーター。 この3人はそれほど美男美女ではない。 50代半ばになったシュワちゃんより脇役の方がカッコ良くては作品がシマらないのかもしれない。

でも、映画が進むにつれ、この3人がそれぞれ魅力的に見えて来るのはさすが。
大ヒットシリーズの力量を感じる。

先日、来日して、スッゴイ人気だったベッカム様に皆が好感を持った理由の一つは、元スパイス・ガールのあの嫁はんがそれ程、絶世の美女ではない事だと思う。
それがファンの女性達に、何処か自分にも手が届きそうな錯覚を与えているのかもしれない。
嫌いじゃないぞ、そんなベッカム!

ロボットやサイボーグを演じるというのはどんな気分なのだろうか?
ただ命令され、インプットされた事だけを粛々と実行して行くだけの存在の、何ともいえない悲しさ。しかし、例えばちょっと首を傾けたりする、ぎこちない動きに奇怪さと共に何処か子供っぽい茶目っ気を感じたりしてしまう。

そういえば、映画「ブラック・レイン」(’89)の悪役・佐藤(松田優作)には、西洋人が東洋人を見る時に感じるであろう、ある種の不気味さと何とも説明のしにくいユーモアみたいなものが溢れていて、極悪人なのに妙に親しみを感じたものだ。 
優作さんがその数年前の作品「嵐が丘」で学んだ能の動きが役に立った、と何かで聞いたが、これが「ターミネーター3」になると、むしろ文楽の人形に近いものを感じる。
やっぱ凄い人だったぞ、松田優作!

善悪・両ターミネーターのカンフーの試合みたいな格闘シーンや、女ターミネーターが「四ツ谷怪談」の“お岩さん”みたいに見えるシーンもあり、そういう意味でもかなり東洋的な香りのする一本だといえる。 

(2003.7.17)