シネマ大全 さ行・ス

 スパイダーマン・2 2004年 アメリカ

グリーン・ゴブリンの事件から2年後。ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は新聞社でバイトをしながら、大学生として過ごす毎日だった。一方、MJ(キルスティン・ダンスト)は念願の夢だった舞台女優としてのキャリアをスタートさせる。また親友ハリーは、父を殺したのはスパイダーマンだと思い込み、打倒スパイダーマンを誓っていた。こうした人間関係に悩みながらも、ピーターはスパイダーマンとしてNYの街を守っていた。そんな彼の前に伸縮自在、怪力の4本金属製人工アームをあやつり、暴れ回る怪人ドック・オクが現れた…。


他人に対する想像力についての映画だ。ピーターのバイト先のピザ屋のおっさんはともかく、彼に惚れているはずのMJまでもが、ピーターが何故いつも遅刻するのか、考えようともしない。他人に対する、ほんの少しの理解不足や想像力の欠如が、せっかくの好意や厚意や行為や高位を台無しにしてしまう。

何処か’50年代テイストのニューヨークの街のムードは、心に傷を負っている貴婦人みたいだ。街の人々も、何となく自信なさげだ。
そう、このシリーズは、明らかに、9・11以降のアメリカという国の気分を引きずっている。もう、かつての「スーパーマン」の頃のようなノーテンキさには戻れない。

他人に対する理解不足が、個人レベルの内はまだ良いけれど、サイズが大きくなって来て、頭の悪いリーダーが大きな力を持ってしまったら、大衆は本当に迷惑する。ヒーロー気取りのあんたらが、ピーターと同じく孤独な立場なのは良くわかるけど、力の使い方を誤らないで欲しいな。
ウソでもいいから、もっと器の大きい、大人物でいて欲しいな。

えっ、それが苦しいって?
なぁに、大丈夫でがす。そんなに長くは誰も望んでませんて。

2004.7.16)