シネマ大全 さ行・シ

 親切なクムジャさん 2005年 韓国

天使の様な美貌と残忍な手口で世間を騒然とさせた幼児誘拐事件の犯人・クムジャは、服役中、誰に対しても優しい微笑を絶やさなかった事から“親切なクムジャさん”と呼ばれる様になる。13年間の服役を終えて出所した彼女は、自分を陥れたペク先生に復讐するため、かつての囚人仲間に協力を依頼する。ペク先生により引き離された娘と再会を果たし、ついに彼を手中にいれた彼女だったが、本当の復讐はそこからが始まりだった…。


「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督、今回は前作みたいな謎解きではないが、相変わらず、濃くエグく、その上、かなりエッチだ。やり切れず、救いのない話だ。時に解りにくく、ちっとも親切でない終わり方だ。それらの全てを救っているのが、、クムジャを演じるイ・ヨンエの清楚な美しさ。いやいや、違った。 全ての女優は化け物なんだ。危ない所だった…。気を付けよう、暗い未来と女優たち。

ユ・ジテやソン・ガンホなど“復讐ファミリー”のカメオ出演も楽しいが、登場人物たちと観客は、映画の終盤、無理やり“オリエント急行”に乗せられる羽目になる。(あ、これって、ちょっぴりネタばれかも…)

盗んでもいい、殴ってもいい、裏切ってもいい。でも、殺してはいけない。
絶対に殺してはならない。殺してしまったら、もう後がない。

罪のない幼い子供が苦しむシーンを見せられて、そう強く思った。
私がこの映画を観た11月15日は、自民党結党50周年の日であると同時に、横田めぐみさんが拉致されて28年を迎える日でもあった。

人生をメチャクチャにされて、未だ帰れぬ人たちの“オリエント急行”は、一体いつになったら発車するのですか?親切な我らがJさん、貴方にしか出来ない事があります。
今度は、いつ行くのですか?時間はあと10ヶ月しかないのですよ。

2005.11.18)