シネマ大全 さ行・シ

 深呼吸の必要 2004年 日本

2月。ひなみは、沖縄の離島にサトウキビ刈りのバイトにやってきた。平良家で一緒に働くのは、常連の豊と年長の池永、ブランド娘の悦子と無口な加奈子、冷めた大学生の大輔。35日で7万本のキビを刈らなくてはならないが、想像以上に過酷な仕事に、作業のペースは上がらない。悦子と大輔は、豊の威張った態度に反感を持つばかり。その頃、平良家の隣に住んでいた美鈴が里帰りする。美鈴の参加で勢いを取り戻すが、明るく見える美鈴も、ある事情を抱えていた…。


映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の四国ロケで一緒だった長澤まさみが“私、これから、宮古島で、過酷な労働が待ってるんですョー”って、言っていたのは、この映画だったのかぁ。

都会から来た訳アリの有象無象が、農作業を通じて心を一つにして行く、という映画に私も出演した事があるので、都会人が農作業の初めの方に感じるあの違和感は、手に取る様にわかる。
こ、腰に来るのョ、とにかくさぁ…。

札幌で、「天国の本屋・恋火」キャンペーン中の篠原哲雄監督とさっき電話で話したばかり。次から次へとすごい作品数を撮っているのに、“流し打ち”みたいな映画は一本もない。

淡々と描く労働、淡々と進む日常、淡々と続くサトウキビ畑…。
何もないけど、何でもある気がする。
本当は、ここが世界の中心なのかもしれない。

段々と、物語の展開や台詞など大した事でないような気がして来た。
映画は目で観て心に語りかけて来るものなのだ、という事を改めて実感する美しき一本。映画の撮影を通じて、若い俳優達も成長して行ったに違いない。 汗は美しい。

2004.5.24)