春。東京は葛飾柴叉の帝釈天は、入学祝いの親子連れで賑わっている。
“とらや”を営むおいちゃん夫婦は、寅の妹・さくらの一人息子・満男の新入学祝いで、大忙し。そんな所へ、久し振りに寅が、旅から帰って来た。ところが、さくらが元気がないので寅が問いただしてみると、満男の入学式の時に、先生が満男が寅の甥であると言ったところ、父兄が大笑いしたというのだ。寅はそれを聞いて怒ったが、おいちゃんたちに、笑った父兄より、笑われる寅が悪い、と決めつけられて大喧嘩の末、家を飛び出した。その夜、寅は場末の酒場でウサンくさい老人と知り合い、意気投合して、とらやに連れて来た。ところが翌朝、この老人は贅沢三昧で、食事にも色々注文をつけて、おばちゃんを困らせる。そこで寅は老人に注意すると、老人はすっかり旅館だと思っていた、お世話になったお礼に、と一枚の紙にサラサラと絵を描き、これを神田の大雅堂に持っていけば金になる、といって寅に渡した…。
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