シネマ大全 あ行・オ

 踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!   2003年 日本

前作は、過去の名作「羊たちの沈黙」や「天国と地獄」等の確信犯的な“パクリ”にニヤリとさせられたが、この第二作目は更に確信犯的に“あざとい”感じがする。
木曜日・午後の劇場は、若いカップルを中心に満員だった。観終わった女の子達が劇場を出る時、“面白かったネー”と口々に言うのを生で聞いた。

その通り、なかなか楽しめた。
だけど、“こんなもんでいいのだろうか?”と、どうしても思ってしまう。
映画をパート1で楽しんだ観客は、“パート2では前作の3、4倍位は楽しみたい!”と心の底で欲深く思っているものなのだ。私も例外ではない。

これだけ予算をかけて、アイデアを集め、俳優が頑張っているのに“映画としてのダイナミズム”やシリーズの持つ風格みたいなものが、あまり感じられないのは何故なんだろう?
エピソードの一つ一つは、微笑ましかったり、結構笑えたり、感動的だったりするのだが、映画全体を貫く“うねり”みたいなものがないのだ。

観客はもっと、織田裕二や深津絵里の気持ちになりたかったのではないだろうか?
そう、私ももっと登場人物の気持ちになりたかった。
ラスト近く、湾岸署の一人が犯人に撃たれるが、私は「ER」でルーシー・ナイトが精神異常の患者に刺された時ほどは痛くなかった。

何というか、犯人の方の“どうしても事件を起こさなくてはならなかった”という動機が弱いし、警察の方も“何が何でも犯人を捕まえてやる!”というエネルギーがもう一つ、こっちまで伝わって来ないのだ。 SWATの隊員のエキストラの動きに締りがないのも辛い。
隊長役の高杉亘くんは素晴らしいが、肝心のSWAT自体がゆるいので、現場での彼の荷も重かったに違いない。

“まぁ、元々はテレビ・ドラマなんだし…”という言い訳は、1800円を払っている観客の身になっていない気がする。「男はつらいよシリーズ」も、元々はフジのテレビ・ドラマだった。

こう書いていると、キリがないのでやめるが、パート3では是非、観客を劇場に封鎖して出られなくなるくらい、もっと緊張させ、裏切り、笑わせて、楽しませて欲しい。 

2003.7.25)