「ナッシュビル」「ウェディング」「プレタポルテ」等の、名匠、ロバート・アルトマン監督の最新作。
平日の昼間なのに、まずまずの入り。観客は中年女性が多かった。
1930年代、多くの登場人物、上流社会、殺人事件… 私の好きな「オリエント急行殺人事件」のようなムードがあって、ゴージャス。 映画にとって一番大切なのは作品の持つムードだ。 監督が観客に向かって、まずボールを投げ、“この映画はこういう感じなんだよ”って早めに教えてくれる事に成功した作品は、それだけで一応の及第点を得る事が出来る。
この作品は貴族達ではなく、裏方の執事や付き人たちが主人公になっている。説明不足、キャラクターが中途半端、等々不満もあるが、ラストのマギー・スミスのなんとも言えない笑顔が上流階級のキャパシティーの広さと身勝手さを具現していて、見事。
つい、我が方も“ま、いっか…”という気分にさせられてしまう。
これぞ、名匠ならではの力技だ。日本でこういう女優を探すとすれば、かつての小暮実千代か。本当の貴婦人というのは歳を重ねても、いつの時代でもお得なのだ。最近は、なかなかお目にかかれないが…
(2003.1.15)
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