シネマ大全 か行・コ

 コールド・マウンテン  2004年 アメリカ

南北戦争末期、南軍兵士として戦場に送られたインマン(ジュード・ロウ)は、重傷を負って病院に収容される。彼の脳裏に浮かぶのは、故郷コールド・マウンテンと、恋人エイダ(ニコール・キッドマン )の面影。彼女への愛が、彼に残されたたったひとつの確かなものだった。

インマンは、死罪を覚悟で脱走兵となり、故郷へと向かう。一方、父(ドナルド・サザーランド)を亡くした牧場の令嬢エイダは、インマンとの再会だけを心の支えに、厳しい自然に耐え懸命に生きていた。そこに流れ者のルビー(レニー・ゼルヴィガー)が現れ、エイダに逞しく生きる術を教える。牧場再建に尽力する中、戦争は終わりに近付くが…。


「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督 の“語り口”の上手さの成長ぶりが嬉しい。しかし、エイダとインマンの再会のシーンは、ここ一番“映画のウソ”を付いてもらって、もっと劇的にして欲しかった。何だか、ミョーに悪い意味で地味な監督なんだな、ミンゲラは。

ゼルヴィガーは好きな女優だが、ロールの大きさも含めてオスカーには値せず、キッドマンも「ドッグヴィル」ほど美しくない。いつも言うが、主演女優は常に美しくなければならないのだ。(長澤まさみはいいョ)イラクでの米兵の虐待行為のニュースなどを合わせて見ていると、戦争というものが、いかに人の心を狂わせるかが、痛いほど伝わって来る佳作でもある。ナタリー・ポートマンは儲け役だった。

(2004.5.8)