シネマ大全 か行・コ

 コーヒー&シガレッツ  2003年 アメリカ

まち合わせして会ったのに、大して話もできず居心地悪そうなロベルトとスティーブン。
ジョイ&サンキ・リーは、変な顔の店員に付きまとわれる。イギーとトムはおかしな自説で禁煙を破り、パリでは、アレックスとイザックが“問題なし”の押し問答。メグとジャックは共鳴体の実験中で、ビル・マーレイは深夜のカフェでアルバイト。2人の熟練俳優は、撮影の合間にコーヒーとタバコで人生を祝う…。
とりとめのない会話で贈る、全11篇。


ケイト・ブランシェットが、同一画面で二役を演じる一篇が出色だ。
売れている俳優と、そうでない俳優との会話“いとこ同士?”は、他人に対する警戒心と“セレブのイヤらしさ”がミックスされており、人間の微妙な心の揺らぎが浮き出て来て切ない。


ビル・マーレーの円熟、ラストの味わい…。
退屈なエピソードもあったが、結構楽しめた。
こういうタッチは、かつては小津安二郎監督のものだった。
現代の邦画にはあまり見られず、ジム・ジャームッシュ監督が唯一、引き継いでいる気がする。
やはり、地球は一つの共鳴する伝導体だったのだ。


(2005.5.2)