ドラッグと犯罪にまみれた街にあるリッチモンド高校へ、かつて全米代表にも選ばれた名選手・カーターがコーチとしてやって来た。反抗的な生徒たちに対して、彼は試練を与え、希望を示し、チャンスを与える。葛藤、対立、失望を経て、彼とチームの間には、徐々に信頼感が芽生えてゆく…。
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実は私、中学時代はバスケット・ボール部にいた。何となくカッコ良く思えて入ったのだが、入ってみると、“こんなにキツいスポーツが、この世にあるのだろうか?”と思えるくらい、辛かった。当時は、練習中は何時間でも水を飲むのは絶対に禁止で、うさぎ跳びが日課という、全く間違った知識がまかり通っていた。ああ、今、思い出しても、ゾッとする。
この映画では、サミュエル・L・ジャクソン演じるコーチが、“自殺”と呼ばれる猛ダッシュ、腕立て伏せ等を選手に1000回やれ!とか命令するシーンが出て来る。選手たちは、その度にウンザリしながらも、彼について来る。コーチ・カーターの台詞。
“この州の18〜24歳の黒人が刑務所に入る確率は33%だ。右に一人、左に一人、仲間がいたら、一人はムショ行きなんだ”
上手い!
彼は、卒業後の生徒たちが生活に困らない様に、勉強もキチンとさせようとし、そこで問題が起こる。でも、選手たちは彼について来る。何故か?
コーチ・カーターは、人格者ではない。コーチ・カーターのそれまでの人生がこと細かく描かれている訳ではない。しかし、観客も最後まで彼について来る。何故か?
スリルある試合のシーン、多くの選手=俳優たちの頑張り、手堅い演出、音楽…。全て、なかなか悪くない。しかし、この映画の全てを引っ張って行っているのは、サミュエル・L・ジャクソンなのだ。スキン・ヘッドに口髭、スーツ姿がキマっている。男の顔が、人生を語っている。凄い俳優になった。
よーし、こうなったら、ハゲるのも悪くはないか! ん?
(2005.6.19)

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