シネマ大全 か行・カ

 狩人と犬、最後の旅

2006年 フランス・カナダ・ドイツ


長年、狩人としてカナダのロッキー山脈で生きてきたノーマン。自然と共存し森を守り続けたが、そこに住む動物たちは、森林の伐採によって年々減少。仕事も、住まいも、生きる目的さえも失いかけた彼は、今年限りでロッキーを去ろうと決意する。そんな彼の元にやって来た10ヶ月のシベリアン・ハスキー、アパッシュ。一匹の犬との出逢いは、彼の人生を大きく変えていく…。


主人公は、伝統的な狩猟方法を今も貫き、ロッキーの原生林に実在する“最後の狩人”ノーマン・ウィンターその人。いわゆる役者顔で、なかなか芝居も達者だ。

昨年の大ヒット作「皇帝ペンギン」の感動は初めから望めないし、ストーリー展開や映画の語り口も上手くはない。しかし、カナダ・ロッキー山脈の大自然の厳しさ優しさ、饒舌さを捉えた映像の迫力は、凄い。その空気感まで、ひしひしとこちら側に確実に伝わって来る。

試写室のエアコンが効き過ぎて、とても寒かったが、ノーマンの苦労を思えば何のその…。

自分らが普段、いかに“不自然な環境”に生きているのかを痛感する一本。

(2006.5.27)