シネマ大全 か行・カ

 カリフォルニア・スイート

1978年 アメリカ


アカデミー主演女優賞にノミネートされた英国の人気女優ダイアナ・バリー(マギー・スミス)は、受賞式出席のため、古美術商の夫、シドニー(マイケル・ケイン)と宿舎のビバリー・ヒルズ・ホテルに向かう、その途中のハイウェイでエンコしている車を追い越した。その車に乗っていたのは、シカゴに住む2組の医師夫婦、ウィリス博士(ビル・コスビー)とショーンシイ博士(リチャード・プライヤー)夫妻だった。4人は休暇を過ごすためビバリー・ヒルズに向かうところだったが、スタートそうそう険悪ムード。一方、ホテルの1室では、離婚した後、娘のことで久しぶりに会うことになった脚本家のビル(アラン・アルダ)とハンナ(ジェーン・フォンダ)だったが、あまりにカリフォルニアナイズされたビルの様子にハンナは皮肉な言葉ばかりを浴びせた。その頃同じホテルには、フィラデルフィアからロス見物に来たマービン(ウォルター・マッソー)が宿泊することになったが、部屋に入ると、弟がプレゼントしたコールガールが寝ている始末…。


25年前に見逃して、ずっと観たかった作品。ニール・サイモン脚本、ハーバート・ロス監督。グランド・ホテル形式で描かれる、この登場人物が一堂に会する事はないし、ラストに何かオチみたいなものが待っている訳ではない。ウディ・アレンや、ロバート・アルトマン監督だったら、もっと小粋に作り上げたかもしれない。でも、これはこれで、なかなか楽しめた。コールガールと寝坊してしまった朝、奥さんがいきなり部屋に来てしまい、ウォルター・マッソーが、浮気発覚の恐怖から、あれやこれや策を練る所は、舞台的だが大いに笑える。

オスカーを取り逃す女優を演じたマギー・スミスは、皮肉にもこの作品でアカデミー助演女優賞を獲得した。ジェーン・フォンダは何の為に出ているのか、わからないが。今の日本で、この“ニール・サイモン&ハーバート・ロス”のような感じで楽しませてくれるコンビを探すとすると、ただ一組しか思い浮かばない。「笑の大学」の“三谷幸喜&星護”だ。つかこうへいは、もう映画はやらないのかなぁ。暗いニュースばかりだし、映画を観て大笑いしたい。

(2004.10.29)