アメリカ、9月11日の悲劇。アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、9・11以前から囁かれていたテロの可能性を軽視し、対策を見過ごしてきた。ブッシュ大統領は、父・ブッシュの時代からサウジの富豪ラディン一族と石油ビジネスを中心に密接に関わっていたのだ。サウジとの間には、兆単位の石油マネーが動くからだ。一族の厄介者・オサマが引き起こしたとんでもないテロを、ブッシュ大統領はいつの間にかイラクに結び付け、アメリカを攻撃した事もないイラクへの空爆を開始した。「自由」の名と、ゴルフクラブを振りかざして…。
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“大統領、私はマイケル・ムーアです”
“お行儀良くしろよ。カタギの仕事を探せ”
この二人の初対面の会話には笑ってしまった。アンタら、二人ともカタギなんかじゃないじゃん。“ブッシュ潰しの為に逆算して、映像をつないで作っただけ”という批判は当っているが、それでも、2001・9・11の朝、第一報を聞いてから、7分間も何もせずに小学校で羊の本を読んでいた大統領の、その顔の表情は、一見に値する。この顔のアップは、“こんな男が大統領なんですよ、この国は”と語っている気がするし、取りようによっては、今のアメリカの不幸が大写しになった瞬間でもある。
息子をイラクでなくした母親がホワイト・ハウスへ行く道で号泣するシーンはちょっとわざとらしかった。失礼ながら、彼女がすごく太っているのも効果的ではなかった。“恐怖の火の大王が空から降って来る”と言った、あのノストラダムスの大予言が2年2ヶ月遅れでなければ良いのだが、と3年前に思ったものだが、本当は世界もブッシュもこの映画より、もっと複雑なはずだ。
私が心配したって、何も変わらないのか?
しかし、イラクで毎日毎日、人が死に続けているのは、一体何の為? 誰も納得のいく説明は出来ない。私が考えたって、何も変わらないのか?いや、そんな事は絶対にない。
“恐怖の総和”が核兵器ならば、“全人類の平和への祈り”は無駄ではないはずだ。“世界には、人類を養うだけの富と英知がある”と言ったのは、チャップリンだったが、そういう理想を持たないのならば、この世は本当に闇だ。
9年前、あるテレビ番組でカルト宗教の教団への突撃レポートを何度かやった事がある。毎回、とても怖かったが、たまらなくエキサイティングだった。日本のマイケル・ムーアをやる気はないが、クソ度胸も根性も体力もまだまだあるゾ。自分なりにやれる事は必ずある。 我らは何かをやるべきだ、この世界に対して。
(2004.8.28)
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