シネマ大全 あ行・ア

 甘い人生 

2005年 韓国


冷酷なほどに頭の切れる男・ソヌは、その手腕により、裏社会にも絶大な力を持つボスの信頼と寵愛を一身に受けていた。ソヌのボスであるカンは、裏社会を牛耳る冷酷無比な男だが、ある秘密を抱えていた。若い愛人・ヒスのことだ。カンはヒスに他の男がいるのではないか、という考えに苛まされていた…。

何故、ナイフで腹を刺された後も歩けるのか?
何故、女は無事だったのか?
何故、彼はあそこまでひどい仕打ちをしたのか?

説明不足とも言えるし、“謎に満ちた映画”と捉える事も出来る。
解りにくいと言えばその通りだが、まぁそんな事はいいじゃないですか。
お互い大人なんだし…。
それに、全てを理由で割り切れないでしょ、人生なんてさぁ…。

映画全体のムードは、かつてのジャン・ピエール・メルヴィル監督のフィルム・ノワールみたいだが、途中で出て来る拳銃の密売屋のエピソードは、ジム・ジャームッシュ的で、殺伐とした物語の中に、ちょっとした救いを提供してくれている。

ラストをどう捉えるか? 人によって意見は分かれるだろう。
脳内麻薬流出の一瞬か、回想か、それとも…。
私は、敢えてこう言いたい。
“憂き世は、夢よ。ただ、狂へ”。 いいぞ、イ・ビョンホン!

2005.4.24)