岡村通信 No.46   「白いカラフェ」 2004年6月26日


何だかはっきりしない天気が続きますが、いかがお過ごしですか? 

【 最近観た映画の感想 】

映画 『トロイ』  http://www2.troy.jp/

パリスとヘレンの不倫=恋が、深く描かれていないため、何だかこの二人の身勝手な勢いのせいで何万人もの人が死んでゆくストーリーにみえてしまう。惜しい!ブラッド・ピットの精悍な肉体と、キャラクターの創造、頑張りが評判だが、この作品は間違いなくプリアモス王を演じたピーター・オトゥールの映画だ。
アキレスのテントへ入って来た所の彼の立ち姿、火の海となったトロイの街を見た時の一瞬のあの深い悲しみの表情…。その巨大な存在と演技は、この映画全体の背骨となった。

映画 『下妻物語』  http://www.shimotsuma-movie.jp/

実を言うと、全く期待していなかったのだが、なかなか面白かった。
例えが古くて恐縮だが、かつての映画「嗚呼、花の応援団!」の様なアホらしい楽しさとエネルギーに満ちている。 この映画で、一番、感心するのは、前半の語り口だ。映画は、初めの入り口で観客がノレるかどうかが勝負なのだ。ベタなギャグも強烈やで!中盤、ちょっと中だるみはするけれど、そういう心配は、たるみ切ったオバハンらに任せて君達は、ひたすら原付での無理な二人乗りを楽しみつつ、下妻の果てしないあぜ道を爆走するがいい。
そう、それでいいぜ♪ たどり着けない人生でも、全てを賭けた彷徨いがあるだろう♪

映画 『デイ・アフター・トゥモロー』  http://www.foxjapan.com/movies/dayaftertomorrow/

急激な寒冷化で、凍りついたマンハッタン。避難所になった公立図書館で、書物を燃やして暖を取る事になった若者たちの会話が面白い。

“ニーチェ! 19世紀の大哲学者を燃やすのか?”
  “おい、ここの棚は税法の本ばかりだぜ。全部、燃やそう!”

大CG大会のスペクタクル・シーンよりも、こういう人間味ある台詞が生きていた。人類にとって最も大切なのは、恋の駆け引きでも、ダイエットでも、イラクの自治でもアメリカの利権でもなく、環境問題なのだ。意外と地味な作品だったが、生々しいテロや、火星人の襲来よりも本当は、もっとコワい映画を観たのかもしれない。

【 6月2日 水曜日 午後1時半 晴れ 京橋・ホテル西洋銀座 】

1120号室は、スイート・ルームだった。
映画「クレーマー、クレーマー」(’79)で、アカデミー賞の最優秀監督賞を受賞したロバート・ベントン監督へのインタビューだ。

“あなたの作品で一番好きなのは、「プレイス・イン・ザ・ハート」(’84)です。
あの小さな女の子が、棘で指を怪我しながらも別の指で綿花を摘む所、すごいシーンでしたね。
何度も夢に出てきましたョ。”

これが、私が最初に発した一言だった。正直、ちょっと怖かった。

彼は一瞬、私の顔を覗き込むようにしてから… ニヤリと笑った。
今年72歳のベントン監督は、実に柔らかな感じの人だった。
初来日した彼の最新作は、映画「白いカラス」 http://www.white-crow.jp/
(アンソニー・ホプキンス、二コール・キッドマン、エド・ハリス、ゲイリー・シニーズ他、公開中)

この映画は、非常にデリケートな人種差別の問題を扱っている。
アメリカの南部生まれの彼が9歳の頃、バスの中で感じた「違和感」についての貴重な話を伺う。

“ベトナム帰りのエド・ハリスのあのキャラクターは「アメリカの痛み」そのものですね”

“声高に主張を叫ぶのではなく、淡々と生きてゆく人間をじっくりと描いて行く所。
あなたの作品が好きな理由です” 

私は思っていた事を次から次へと、夢中で話した。

“ありがとう。すごくいい気分だ。エネルギーを沢山貰ったよ”

と、最後に監督は言ってくれた。
別れ難く、我々は何度も何度も握手した。次回作は、トム・ハンクスと組むという。すごく楽しみだ。
“では、2年後に!”と言って、ホテルを後にした。また是非会いたい。

幸せで、真っ直ぐには帰りたくない。近くのカフェに入る。
いつもは赤を頼むのだが、この日は何故か白ワインの気分だった。

【 私の最新の出演作品です 是非ご高覧下さい 】

TBSテレビ・月曜ミステリー劇場 『見当たり捜査25時』 6月28日月曜日午後9時から放送。
(山田大樹監督/大竹しのぶ、高橋克実、上原さくら、小野武彦、麻丘めぐみ、中田喜子ほか)
晴美は、神奈川中央警察署捜査共助課に所属する「見当たり捜査員」。
「見当たり捜査」とは、街の雑踏に潜む指名手配犯を、顔写真と捜査情報をインプットした自らの記憶とカンを使って見つけだす捜査手法のこと。指名手配犯の写真や氏名、罪名や身体的特徴がびっしりと記された「見当たり帳」を繰り返し見ることによって、常に500人以上の指名手配犯の情報を頭に叩き込む…。
私は、物語の中盤で、殺人事件の経過を解説する弁護士を演じています。http://www.tbs.co.jp/bansen/moon/

映画 『世界の中心で、愛をさけぶ』 http://aiosakebu.yahoo.co.jp/
(行定勲監督/大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、森山未來、山崎 努、天海祐希ほか)
大ベストセラーとなった小説では、ほとんど語られることのなかった成長し大人になった主人公・朔太郎のストーリーを大幅に追加。 「現在の愛との対峙」と原作小説にある「過去のアキとの甘くせつない純愛」が織りなすアンサンブル・ストーリーとして再構築。
私は、冒頭に出て来る葬式の司会者を演じています。 全国東宝系で大ヒット公開中。

映画 『Believer』 http://believer.movieweb.jp/   渋谷シネ・ラ・セットで公開中
(多胡由章監督/吉沢悠、伊藤歩、瑛太、相沢紗世、大城英司、田中要次ほか)
超能力少年と謳われた栄光は今いずこ。やり手の詐欺師として生計を立てる英冶は情報屋のテルと共謀し、若い女や成金をカモに金を巻き上げる。仕事は成功しても、過去の傷が癒えない英治の心はいつまでたっても空虚なまま。そんなある日、ビルの上から女が落ちてきた。女の名はカオル。その日を境にカオルは英治にしつこくつきまとう。はじめはうざったく思っていた英治だったが…。
私は、テレビ番組のキャスター役で出演しています。

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あっという間に、今年も前半が終わろうとしています。
私は来月、ドラマの撮影で先月に続き、またまた茨城県に行く事になりました。
今年は茨城に縁があります。

嫌な梅雨もあと少しです。季節の変わり目、どうかご自愛下さい。

もしも時間がありましたら、あなたの近況等を教えて下さい。
待っています。