岡村通信 No.43   「オイッス!」 2004年3月25日


もうすぐ4月だというのに、今週は真冬みたいな寒さでしたね。
お元気ですか?

【 最近観た映画の感想 】

映画 「ドッグヴィル」http://www.gaga.ne.jp/dogville/index.shtml スッキリしたい方は、観るべし!

他人を受け入れる、あるいは、許すという行為には、“自分が圧倒的に善の立場にある”という勘違いや 無意識に相手を蔑む傲慢さが潜んでいるのかもしれない。
黒い床にチョークで線を引いただけの斬新な装置は、デレク・ジャーマン監督の「エドワードU」を思い出させるし欺瞞に満ちた状況で死地に迷い込む、という設定は、 F・コッポラ監督の「地獄の黙示録」と似ている。
この監督が影響を受けたと言っているB・ブレヒトの舞台「三文オペラ」や「セツアンの善人」も入っている。 前作の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と違って、この作品でのトリアー監督は、表現したい事が明確で実験的意欲と野心に満ちている。つまり、映画が若いのだ。
スターになり損ねた名優、ジェームス・カーン(「ゴッドファーザー」)の使い方も実に粋でうれしい。
観客はこの映画が何処に向かって行くのか、誰も知らない。そして、想像を絶するラスト…。
私は、あえて言いたい。これは、ハッピー・エンドなんだョ。 一通りの解釈では終わらない映画。それこそが映画。 ニコール・キッドマンは、本作によって、また美しさと華やかさを取り戻した。ええぞ!
故・スタンリー・キューブリック監督(「アイズ・ワイド・シャット」)に見せてやりたかったなぁ…。 

【 いかりや長介さんのこと 】

3年前のお正月、ただ一度だけ、共演させて頂いた。
TBSテレビ・月曜サスペンス劇場「弁護士・猪狩文助 時の剣」(水谷俊之監督)の撮影だった。
私は、焼き肉屋さんでホステス(片岡礼子)を口説こうとする若きIT成金の役。
そこへ、ベテラン弁護士であるいかりやさんと、新人弁護士(原千晶)がやって来るシーンだった。 
夜のシーンだが、収録は朝の7時半頃からだった。新宿の通称・職安通り近くの高級焼肉店。
“あ、これ、もう焼けてるョ。あ…、あああーっ!アチチッ!”本番でアドリブを始めたいかりやさんだったが、何と焼き肉器のガスの火が、いかりやさんの手の甲の毛に 燃え移り(ちょっと毛深かった)、テイク1はNGになった。

テイク2のための手直しをスタッフがする間に、いかりやさんの、呟きの様な“語り”が始まった。
“しかし、何だなぁ…。朝から焼肉っていうのもねぇ…”
“でもさ、徹夜して、グダグダになって、家へ帰る前に、腹減ったから、食う焼肉っていうのは、これは、本当に美味いんだよなぁ…” いかりやさんは、誰に語っているのでもなく、何だかちょっと、遠い目をしていた。
厳しいけど、カッコいい人だった。

TBSの「8時だョ、全員集合!」が、最高視聴率50・5%を取り、いわゆる“ドリフ潰し”のために考え出されたのが フジテレビ「オレたち、ひょうきん族」のタケちゃんマンだった。
あの頃と今のテレビの笑いの決定的な違いは、あの頃は、本当にお金と時間をかけてコントを作っていた事だ。
土曜日の夜の公開生放送で、時には、舞台上に本物の洪水や、パトカーが現れたりして、度肝を抜かれたものだ。
そのドリフのDVDーboxは今、飛ぶような売れ行きで、品切れの店も多いとの事。
私もまた観たい。今のバラエティー番組は低予算で出来るトークものばかりになってしまった。

いかりやさんの葬儀に、あれほど多くの一般弔問客が訪れたのは、“テレビの中の、親しみやすいお父さん像”を彼に求めていたからではないだろうか。 そして、その父親像は’80年代の初めくらいで終わっていたと思う。今の日本には、父親がいない気がする。

【 私の最新の出演作品です 是非ご高覧下さい 】

NHKFMラジオ.FMシアター「カーン」 平成15年度文化庁芸術祭大賞受賞作品
3月27日 土曜日 午後10時〜10時50分 http://www.nhk.or.jp/audio/
(出演/近藤正臣、結城しのぶ、佐戸井けん太、宮里駿、吉野悠我ほか)
大阪生まれの野良犬・カーンと耳が不自由な少年の、知的で、泣ける物語。 
私は冒頭のカーンの飼い主と、後半の近所の犬・1の役。 是非お聴き下さい。

NHKテレビ・月曜ドラマシリーズ「菊亭・八百善の人びと」 原作・宮尾登美子
(出演/夏川結衣、吹越満、 井川遥 、杉浦直樹、星由里子、橋爪功、利重剛、美保純、三原じゅん子ほか)
江戸時代から八代も続く、ナンバーワンの江戸料理屋「菊亭・八百善」。戦後間もなくこの家に嫁いだ汀子は 九代目の妻として、老舗料理屋を再興させるべく奮闘する。若い女将の“細腕繁盛記”と愛すべき人びと…。
3月29日 月曜日・午後9時15分から放送開始です。 http://www3.nhk.or.jp/mon9/index.html
私は、某新聞社の政治部長になったばかりの常連・正木の役。4月5日放送の第二回から登場します。

映画 『きょうのできごと』 http://www.kyodeki.jp/
(行定勲監督/田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、柏原収史、三浦誠己、池脇千鶴、津田寛治ほか)
大学院に進んだ正道の引越し祝いに、中沢と恋人の真紀、幼なじみのけいと、同級生の西山たちが集まった。酔っ払った真紀は、西山の髪を切り始め、けいとは気弱な美青年かわちに猛アタック。その頃テレビでは、ビルの壁に挟まれた男のニュースが流れている。やがて夜は更け、中沢たちが帰った後、テレビには座礁クジラが映し出された。ラジオでニュースを聞いた中沢たちは、浜へ車を走らせる。そして、新しい朝がやってきた…。
私は、ビルの壁に挟まれた男を救出するレスキュー隊の隊長を演じています。
3月20日(土)より、テアトル新宿、渋谷シネ・アミューズ他で公開中。

映画 『Seventh Anniversary (セブンス ・アニバーサリー)』
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=4291
アミューズビデオより、DVDとビデオが発売&レンタル中
(行定勲監督/小山田サユリ 、柏原収史 、武田真治、津田寛治 、秋本奈緒美ほか)
失恋する度に体の中に石ができるルル。 7回目の失恋、ルルは生まれた石を指輪にする。ところが、彼女の事がマスコミに取り上げられ、失恋で美しい石を生み出すことがブームに…。
私は、ルルがバイトするキャバクラにやって来る、少しエッチな高級官僚を演じています。

映画 『おにぎり』 4月17日より 銀座シネパトスで、ロードショー
http://arcadia2002.hoops.livedoor.com/
(斎藤耕一監督/吉永雄紀、大貫あんり、松原智恵子、鹿内孝、永島敏行、ガッツ石松、浅茅陽子ほか)
バイクに乗って、東京から駆け落ちして来た若いカップル慎二と友美。訳ありな人達と共に「大日本生き残り隊」を結成して明るく暮らす農家の主人・篤郎と出会い 米作りを通じて、悩み、仲間、結婚、出産といった人生のポイントを経験していく。ある時は厳しく、ある時は楽しく、大自然のメロディーにのせて贈る心の叙事詩。
私は、何やら訳ありで、山形県・南陽市に流れ着いた市会議員の元秘書・森山圭介を演じています。

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この週末は、天気が回復するようですが、早く本格的な春が来てほしいですね。
季節の変わり目、どうかお身体を大切に…。

もしも時間があったら、あなたの近況等を教えて下さい。
待っています。