岡村通信 No.42   「マチスな井川」 2004年2月29日


昨日、お正月だと思っていたら、明日はもう三月ですね。
お元気ですか?

【 最近観た映画の感想 】

『ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還』 http://www.lotr.jp/
全三作の中で、最も粘っこい一本。
色んな登場人物のエピソードの展開に忙しい気もするが、なかなか楽しませてくれる。
レイモンド・チャンドラーの小説「長いお別れ」が、西洋の文学の集大成である様に、この作品には オセロもイヤーゴもサンチョ・パンサもチュ―バッカも、何もかも入っている。
でも、何処か風格に欠ける。 3時間20分という長さも、チトしんどかったなぁ…。
基本的に、長い映画は世界中の誰も望んでいない。 早く終わるのも芸の内ですがな。

『殺人の追憶』 http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/5675/mm.html
1986年から1991年にかけて、ソウル郊外の農村で実際に起こった連続殺人事件を捜査する 刑事たちの物語。ソン・ガンホ(「シュリ」「JSA」「反則王」)は人間味とタフさとユーモアを持った 最高のキャラクターを創り出した。何より、作品全体を貫くムードが乾いていて素晴らしい。
この犯人が現在も捕まっていないという事実は恐ろしいが、実に味わい深いラストシーンだった。
私自身の本年度ベスト・テン入りは間違いなしの秀作。 三月公開の予定。

『スイミング・プール』  http://www.coda21.net/eiga3mai/text_review/SWIMMING_POOL.htm
イギリス人の、ちょっと疲れている女流ミステリー作家がフランスの片田舎の別荘へやって来る。
そこへ現れる別荘の持ち主である編集者の娘。彼女は多情だった。やがて起こる、ある事件…。
何よりも、主演のシャーロット・ランプリングで成り立っている映画。
そこが強くもあり、弱くもある。今年58歳の彼女のオール・ヌードが美しいのには参った。
ラストはすっきりとはしないが、そんな事は、“フランス映画の真骨頂=アンニュイ”の前では 何の問題でもない。 アメリカの観客は納得しないだろうが、幸い、アメリカが世界の全てではない。
我々も日頃から、勘違いをしない様に気を付けよう。 公開は四月の予定だ。

さて、最近の私です。

【 2月 3日 火曜日 午後7時 兵庫県姫路市・大塩 】
陽が沈むのを待って、NHKテレビ・月曜ドラマシリーズ「菊亭・八百善の人びと」 (原作・宮尾登美子)第三回、シーン16 通り(夜)の撮影が始まった。

江戸時代から続く高級老舗料亭の話。今は昭和28年の春だ。
汀子(夏川結衣)がある料亭の前を通りかかると、前方から某新聞社・政治部長の正木(私)が数人の部下を連れてやって来る。 夜遅くなり、かなり寒いのに、すごい数の見物人だ。

正木 「八百善はね、堅苦しいんだよ。今どき、掛け軸のうんちく聞かされてもなぁ…」

    「それに、○○が死んだんじゃ…、あそこもおしまいだね」

とても寒い。
部下役のエキストラの方々に、“寒さを強調するシーンじゃないので、もっと普通の顔しましょうョ!”と、 エラソーに言っている私の唇が震えている。 “さぁ、これからご馳走を食べるんだー、って顔しましょう!”と、少々鼻水を垂らしながらも、自分で自分を励ます。
それにしても、芸者役の井川遥さんは美しい。「癒し系女優」等と言われるのを彼女自身が、どう思っているのかは不明 だが、マチスのリトグラフみたいに、ホンワカした温かい存在である事は確かだ。 ありがてぇー!
三テイク目で、何とかOKが出て、私の姫路ロケは無事終了した。 この連続ドラマの撮影を現在も東京のスタジオで 続けている。

NHKテレビ・月曜ドラマシリーズ「菊亭・八百善の人びと」(出演/杉浦直樹、星由里子、橋爪功、利重剛、美保純ほか)は、3月29日午後9時15分から放送開始です。

【 私の最新の出演作品です  是非ご高覧下さい 】

怪談新耳袋〜白いひも編 『壁を叩く音』 http://www.actcine.com/sinmimi/index.html
(佐々木浩久監督/出演・藤村ちか、エレーナ・V・アルツニャン他)
昨年の夏、BS−i で放送されたドラマです。 DVD&ビデオが3月3日に発売されます。
あの、本当にあった怖い話が戻ってきます…。
私は牛乳配達の男を演じています。怖いよー。

映画 『きょうのできごと』 http://www.kyodeki.jp/
(行定勲監督/田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、柏原収史、三浦誠己、池脇千鶴、津田寛治ほか)
大学院に進んだ正道の引越し祝いに、中沢と恋人の真紀、幼なじみのけいと、同級生の西山たちが集まった。酔っ払った真紀は、西山の髪を切り始め、けいとは気弱な美青年かわちに猛アタック。その頃テレビでは、ビルの壁に挟まれた男のニュースが流れている。やがて夜は更け、中沢たちが帰った後、テレビには座礁クジラが映し出された。ラジオでニュースを聞いた中沢たちは、浜へ車を走らせる。そして、新しい朝がやってきた…。
私は、ビルの壁に挟まれた男を救出するレスキュー隊の隊長を演じています。
3月20日(土)より、テアトル新宿、渋谷シネ・アミューズ他で公開予定。

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毎日、少しずつ春めいて来てはいますが、朝夕はまだまだ寒いですね。
どうかお身体を大切に…。

もしも時間があったら、あなたの近況等を教えて下さい。
待っています。