岡村通信 No.35   「夢・夢のあと」 2003年8月30日


大接近した火星が、6万年ぶりの今の地球をどう見ているのか
ちょっと気になる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?

【 最近観た映画の感想 】

『英雄(HERO)』 http://www.hero-movie.jp/phase2/

美しい映画。
黒澤明監督の「乱」で、米アカデミー賞を受賞した衣装のワダ・エミの勝利だ。
“手にも心にも剣がない状態が武道の究極の境地”というのは、ジョン・レノンの「イマジン」とほぼ同じ考え方だ。夢かもしれないが、世界のリーダーの何人かがこの気持ちに瞬時に到達出来れば、多くの人々の命と未来が救われるはずだ。 

“世界はまだ、本当のヒーローを知らない”というのが、この映画のキャッチ・コピーだが、ブレヒトの言う通り「本当に幸せな国民とは、ヒーローなど必要としない国に住む人達」の事だ。
チャン・イーモウ監督は中国の国策に乗った、という人もいるだろうが、この映画にはそれを越える魅力がある。シンプルで力強く、大きな作品。
いつの間にか、観ている我らのスケールも自然に大きくなった気がして来る。
早く、湾岸署のみんなにも知らせてあげなくちゃ…。

『フリーダ』  http://www.frida.jp/

奔放に生きたメキシコの個性的な女流画家、フリーダ・カーロの生涯を描く。
大河ドラマの様に見せながら、時にはアニメや模型も使って、なかなか楽しい。
実際の彼女の人生は激しいものだったが、あまり暗さを感じさせず、メキシコの強い太陽光線と色彩が、どんどんバリバリ、客席に降り注いで来た。
室内のシーンが多いが、あまり息苦しさを感じないのは、物語の語り口がうまいからに違いない。
アントニオ・バンデラス、ジェフリー・ラッシュ、エドワード・ノートンらの好演も見もの。

フリーダの夫、ディエゴの台詞 “I miss us.”を、“昔の二人に戻ろう”と字幕翻訳した石田泰子さんに拍手!ラスト近くの、「出口が喜びに満ちているといい。私は戻りたくない」というフリーダの言葉には胸が詰まった。
彼女が感じていた痛みは、死後、半世紀近くたった今もその作品を通じて私達に確実に伝わって来る。痛み、苦しみ、美しさ、激しさ、喜び…。
もしかしたらあの世では、これらは全て同じ場所にあるのかもしれない。

『ファム・ファタール』 http://www.ffmovie.jp/index_main.html

ブライアン・デ・パルマ監督は、A・ヒッチコックの正式な継承者だと改めて思った。
おかえりなさい。
今の日本ではめったに観られない、お洒落で、ファッショナブルなミステリー。
ここに、ヒッチの様な味のあるユーモアが加わったら、最高なのに…。
世の中があまりにも殺伐としているので、皆、サスペンスを観に来ても笑いたがっているんだよ。
坂本龍一の音楽は、悪くないけど、巨匠との格闘が少し苦しそう。

 
【 8月25日月曜日 午後2時半 日光・戦場ヶ原・とある湖のほとり 】

TBSテレビ「月曜ミステリー劇場・捜し屋★諸星光介が走る!」
(出演/船越英一郎、香坂みゆき、宅麻伸、五十嵐めぐみ他・11月放送予定) 
シーン109 “近くの草原”の撮影をする。
ワン・カット撮った所で、大急ぎで、近くの草むらへ走り、留守をしている自分のラジオ番組に携帯電話で、生出演する。 ラストの5分10秒間にうまく入って、すぐ2カット目の本番。

拉致した××をナイフで脅しながら殺害すべく、山奥に連れて行こうとする△△にやっとの事で付いて行く○○。後ろから追いかけて来た光介(船越英一郎)らに発見され、ついに…!

「岡村さん、もっと“全てをなくしてしまった…”という感じでお願いします」
山田大樹監督(映画「ラウンド・ワン」他)の要求は、いつも厳しいが的確だ。

テイク5で、やっとOKが出た時には、身体中汗だらけだった。
すべてをなくした様な気がした。
今頃になって、やっと役になれたのか?  しかし、撮影はもう終盤だ。

撮影の後、温泉に入り、食事の時、山田監督から「信長殺しは家康かもしれない。その秘密を解くカギが、ここ日光にあるはずなんだけど…明日中に真相を調べて下さい」という密命(?)を受ける。 それって、すっごいミステリーですがな。

【 私の最新の出演作品です  是非ご高覧下さい 】

映画 『3on3』 (佐々木浩久監督/ラッパ我リヤ、真木蔵人、黒沢清、三輪ひとみ他)
http://www.kss-movie.com/3on3/index.html   
20××年、かつては誰もが3on3を楽しんでいたコートは荒れ果て、スラム化していた。
日本経済は破綻し、暴動、テロが頻発。政府はそんな状況を打開すべく、テレビ局を買収、ネオ・ナショナリズムを推進すべく立ち上がる。暗黒国家への幕開けであった…。
私は、途中でブッ飛ばされるテレビ局の事件レポーター役です。中東ロケ(?)敢行。
9月12日に、ビデオ&DVDレンタル開始。
特典映像がいっぱいのセルDVDの発売は、9月26日です。

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何だか、夏をスキップしてしまった様な感じですが、もう今年も3分の2が終わりました。
季節の変わり目、どうかお身体を大切に…。

もし良かったら、あなたの近況を教えて下さい。
待っています。

ではまた!