岡村通信 No.34   「名物ホテルへいらっしゃい」 2003年7月31日


関東では、はっきりしない天気が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?

【 最近観た映画の感想 】

『ホテル・ハイビスカス』 http://www.shirous.com/hibiscus/
大したストーリーはない。 沖縄でござる! ある意味では、それだけで成り立っている様な映画。

何でもないようなエピソードの積み重ねが、心地良く、クスクスと笑える。
何処か懐かしい所へ帰って来られた気がする。
主人公の小学生・美恵子に普段はグウタラな父がこう言う。
“人に石を投げたり、叩いたりしてはいかん。そういうのが大きくなると、戦争になるんや”
ここが沖縄でなければ、そんなにはドキッとはしないシーンだ。

沖縄の人達は遊びと仕事の境目が曖昧だという説がある。
全てが楽天的で、気安い「ホテル・ハイビスカス」に、私も今すぐ泊まりに行きたい。
“一泊4000円の所、沖縄料理付きで、3000円!”なら、悪くない。

『永遠のマリア・カラス』  http://www.gaga.ne.jp/callas/  必見! 
1977年、今は声が衰えて隠遁生活を送っている53歳のマリア・カラス(ファニー・アルダン)をもう一度、表舞台に引っ張りだそうとする敏腕プロモーター(ジェレミー・アイアンズ)。  
しかし、この復帰にはある仕掛けが…。
昔の自分の歌唱をレコードで聴きながら、ただ独り、自室で歌い踊るマリア・カラス。
それを隠れてじっと見ているアイアンズ…。このシーンの悲しさ。 訳もなく涙が出た。
もしも映画が人間の顔だとしたら、これはとても彫りの深い作品だ。 

『フェリーニ〜大いなる嘘つき』
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=4191
今年で没後10年になるイタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニ監督の最晩年のインタビューを中心としたドキュメンタリー。
インタビューされるのは他に、ドナルド・サザーランド、テレンス・スタンプ、ロベルト・ベニーニらのスターや、一緒に仕事をしたスタッフら多数。
全体の構成その他はいわゆる“娯楽性”に欠けるが、フェリーニという人物自身がその映画と同じく、かなり謎めいている魅力的な人なので、いつまでも見ていられる。
そう、彼にはこんなタイトルの著書があったっけ。“私が映画だ” いやー、すごい。公開は秋。

【 7月17日 午後5時半 伊豆・修善寺温泉 とある川のほとり 】

秋に新発売されるフジ・フィルムのカメラの宣伝用スティル写真の撮影。

修善寺の街を私の奥さんと娘(もちろん、この作品の上での)と一緒に、人力車で散歩。 
車夫の山ちゃん(推定年齢65歳)に、観光地図には載っていないという大和堂医院を案内してもらう。
ここは現在3代目で、かつて夏目漱石も治療に通っていたという老舗(?)。現在も開業中だ。

ロケで玄関のみを使わせて頂いた新井旅館は、明治5年の開業で創業130年になるそうだ。
奥から金田一耕助が出て来ても不思議ではない。
7代目という女将さんはまだ30歳くらいの、本物の“美人女将”だった。
元総理など政界の大物も来るというこの旅館は、トイレに行くための館内の橋にも風格がある、有形文化財群に指定されている所。一泊22000円からと聞いたが、いつか泊まってみたい。

河原の茶屋に来て、川の水が流れる音を聞きながら、栗ぜんざいを食べつつ撮影の準備が整うのを待つ。

川の音、静かだなぁ。 蝉が鳴いている。日も暮れて来た…。
未来の幸せも、未来の不幸もまだ知らない。そんな事、どうでもいいや。とにかく、川の音が穏やかなんだ。今はこの、今の今を楽しむ事にしよう。

【 私の最新の出演作品です  是非ご高覧下さい 】

怪談新耳袋 『壁を叩く音』(佐々木浩久監督/出演・藤村ちか、エレーナ・V・アルツニャン他)
http://www.actcine.com/sinmimi/index.html
[BS−i ドラマ] 8/4(月)から8/29(金)まで、毎週(月)22:24〜22:30 毎週(火)〜(金)22:54〜23:00
あの、本当にあった怖い話が戻ってきます…。私は牛乳配達の男を演じています。怖いよー。
12月にはDVD発売される予定です。

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まさかここまで梅雨が続くとは思いませんでしたが、8月からは本当の夏。
どうかご自愛下さい。

もし良かったら、あなたの近況も教えて下さい。
待っています。

ではまた!