岡村通信 No.29 「かつての大スター」 2003年2月27日


もうすぐ終わる如月、寒い日々が続いていますが、お元気でしょうか?

【 最近観た映画の感想 】

「ボーリング・フォー・コロンバイン」  必見!

1999年に起こったミシガン州・コロンバイン高校の無差別殺人事件を軸に 銃社会・アメリカの欺瞞を鋭く暴くドキュメンタリー。

アポなし撮影もかなりあるが、全米ライフル協会・会長にはちゃんと取材を申し込ん でいる。 それに対し、キチンと一応はインタビューに応じるチャールトン・ヘストンはある意 味で立派だ。  私は彼の考え方には反対だが、スピーチ、話術の巧みさには目を見張るものがある。

アメリカと同じような銃社会であるカナダでは玄関に鍵をかけない家も多いという。
“隣人を疑いたくないんだ”と、インタビューで答えるトロントの市民たち。 結局、マスコミがテレビで恐怖を煽る事が犯罪を増やしている、と映画は語る。

核を含めた武器や、暴力そのものよりも、それを恐がる心理や、他人に対する敵意の 方が はるかに危険で、恐ろしい。 一番恐ろしいのは、人の心の中にあるもの。

頭に血が上っている相手に対して、穏やかに物静かに話して、わかり合える道はない ものか?
一昨年の[9・11]から、ずっとそんな事を考えている。
“ズドンと一発!”なら、サルでも出来る。 
C・ヘストンは確か、1968年には少なくともサルよりは賢かったはずなんだ が…。

「トーク・トゥ・ハー」  必見!

いつ目覚めるのか、期待の持てない昏睡状態に陥ってしまったバレリーナと、女闘牛 士。 それに彼女らを愛する、不器用だが真っ直ぐな心を持っている男2人の友情。 幾つかの悲劇を含みながら、「でも、人生を生きて行くしかないじゃん!」という ペドロ・アルモドバル監督の温かさが伝わって来る。彼の映画の色である赤も効果的 に生きている。
私のすぐ側の席は女優の加賀まりこさん。途中から、彼女は声を上げて泣いていた。
私も同じだった。 5月公開予定。

【 2月 5日 水曜日 渋谷・NHK放送センター 601スタジオ 】

FMシアター、ラジオドラマ「カーン」(脚本/映画 『宣戦布告』の小松與志子さ ん )の録音日。
これは大阪生まれの野良犬・カーンと耳が不自由な少年の物語。 知的で、泣ける内 容だ。 私はカーンの飼い主と犬・1の役。 大阪弁が出来て良かった。おおきに、お父ちゃ ん。

“まさか、犬の声そのものをやらされるとは思ってなかったよなぁ…”とカーン役の 近藤正臣さん。
それは私も同感。 考えた末、やはり犬が吠えていて、「黙りなさい!」と、言われ た時に抑えられた声を発する、“ウッ!”というのにする事にした。

近藤さんには「神様は平等だよーっ!」という台詞があるのだが、それが、かつて鶴 太郎がモノマネした「コンドウです!」とかいうのと口調がそっくりで、思わず笑ってしま いそうになる。
子役の宮里駿くんは10歳だが、細かい表現が実にうまく、もう天才というしかない。
4月5日の放送が楽しみだ。

【 公開中の出演作品です  是非ご高覧下さい 】

映画 『13階段』 (長澤雅彦監督/山崎努、反町隆史、田中麗奈ほか)
http://www.toho.co.jp/movie-press/13kaidan/welcome-j.html
どんでん返しの連続する真犯人探しの謎解きを縦軸に、“死刑”というあまりにも重 いテーマをこの極刑に関わる被害者、加害者、刑を執行する者の多角的な視線を通して描く。
私は冒頭、刑務所の取材をする、あるテレビ局のディレクター役です。

映画 『宣戦布告』 (石侍 露堂監督/古谷一行、夏木マリ、杉本哲太ほか) http://www.sensenfukoku.jp/official.htm  
DVD&ビデオをレンタル中。
日本海沿岸の海。一隻の国籍不明の潜水艦が日本の海岸近くで座礁した。 浮上した潜水艦内からは、戦闘服に身を包んだ男たちが出現し夜の闇の中に 姿を消して行った…。
私は一般市民が犠牲になった敦賀市内の病院前に現れるテレビ局のレポーター役。
非常にデリケートな、しかし絶妙のタイミングで、昨秋、劇場公開。

昨年12月、オープンした私の公式サイトの「シネマ日記」の項目は ほぼ毎日更新しています。 http://home.catv.ne.jp/hh/boston/

是非、一度、お越し下さい。

もしも時間がありましたら、あなたの近況などをお知らせ下さい。

私の風邪はなかなか治りませんが、どうかご自愛を…。
春はもうすぐそこです。

ではまた!