岡村通信 No.23 「うわべの過負荷」

2002年9月30日

ひと月前がウソのよう。 すっかり涼しくなって来ましたが
いかがお過ごしですか?

【 近頃、最も感動した事 】

「日本の国のために、このように犠牲になったかもしれない若い者達の 心の内をどうか思って下さい。この事(拉致)は日本にとっても、北朝鮮にとっても大きな事でした。
いずれ人は皆、死んで行きます。 めぐみは本当に濃厚な足跡を残したのではないかと思います。」

9月17日夜の、拉致被害者家族の記者会見での横田早紀江さんの言葉。
今、こうして文字を打っていても涙があふれて来る。こんなに素晴らしい母親はいない。
この日の会見は日本の歴史に残るものだった。
外務省に対する怒り、肉親への愛情…どの方も心の底からの思いを吐露されていた。
そこには少なくとも、本当にまともな日本人、まともな人間が確かにいた。
先はまだ長いけれど、横田さんから何か大きなものを頂いたような気がする。

【 最近観た映画の感想 】

「リターナー」
(「ターミネーター」+「マトリックス」+「レオン」)×日本=この映画。
しかし、「レオン」の部分、殺し屋(金城武)と未来から来た少女との心の交流が今ひとつ深く描かれていない。 一番大切な所なのになぁ。

「サイン」
宇宙人が「バイオハザード」から抜け出て来た、近所の変わり者の様だったのが残念。大切なものはもっと隠さなければダメだ。 黒沢清監督はかつて私にこう言った。
"映像なんか、人間の頭の中に在るものにはかないませんからねぇ…"

「ジョンQ」
心臓移植が必要な我が子のために、病院に立てこもる貧しい男(デンゼル・ワシントン)の話。説得する老刑事役はロバート・デュバル。私の生涯のベストワン「ゴッドファーザー」から31年。
彼はもはや演技などしていない様に見える。 ごく最近の緒形拳さんもそうだ。 この境地!

【 9月7日 土曜日 杉並区永福町 スタジオピア15 】

ニチレイのレトルト食品のインフォメーションCMの撮影。

娘(大塚晴子さん) 「簡単で…」

父(私)      「おいしくなくっちゃ、続きません!」

(父は娘のいる厨房に入って行き、鍋の中のレトルトの袋を箸で取り出す。)

カット!

"すみませーん。 このシーン、使えるのは5秒もないと思いますので、もっと、
サクサクッと動いて下さーい!"

田中司監督とは初めてだが、指示が的確で、鋭く、いつもニコニコしている。
こういう人が一番恐ろしい(?)

うまくタイミングが合わず、4回もNGを出したが、何とか終了。
私はずっとプレッシャーと戦っていた。 短時間でのわかり易い芝居が必要。
しかしもちろん、やり過ぎてクサくなってはいけない。
完成作品が、上っ面を撫でたような芝居になっていなければ良いのだが…
いや。 そんな事、今更考えてももう遅い。 ただこれだけは言える。冷凍食品もレトルトもニチレイに限る!

【 私事ながら、深まりゆく秋にグッと来る映画を… 】

映画 『竜二Forever』 (細野辰興監督/高橋克典、石田ひかり、香川照之ほか)
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/1493/
生涯にただ一本、自分で脚本を書き、主演した映画『竜二』('83年)を残して33歳の若さで亡くなった伝説の俳優・金子正次の激しい生き方を描く。私は途中で撮影現場を放棄する照明技師を演じています。 DVD&ビデオ発売中。 DVDの特典映像には私が司会をした公開初日の模様も。

映画 『宣戦布告』 (石侍 露堂監督/古谷一行、夏木マリ、杉本哲太ほか)
http://www.sensenfukoku.jp/official.htm
日本海沿岸の海。一隻の国籍不明の潜水艦が日本の海岸近くで座礁した。
浮上した潜水艦内からは、戦闘服に身を包んだ男たちが出現し夜の闇の中に姿を消して行った…。
私は一般市民が犠牲になった敦賀市内の病院前に現れるテレビ局のレポーター役。
非常にデリケートな、しかし絶妙のタイミングで、10月5日に全国東映系で公開。

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もしもよろしければ、あなたの近況などをお知らせ下さい。

あっという間に、もう今年もあと3ヶ月。 早いですね。

どうかお身体大切に…