岡村通信 No.22 「涼風献上」

2002年8月30日


残暑お見舞い申し上げます。

もう9月だというのに、私はいつまでもエアコンのお世話になり、夜はあまりよく眠れません。
いかがお過ごしでしょうか?

【 最近観た映画の感想 】

「スターウォーズ・エピソード2〜クローンの攻撃」
悪役のクリストファー・リーがもう好々爺みたいになっていて、ちょっと弱そう。 ラブストーリーはただのアクセサリーに見え、過剰なCGも花火大会みたいだ。 しかし今回、剣さばきも見事なヨーダ老は実に立派な役者に成長した。

「トータル・フィアーズ」
危機に瀕して、米・ロの大統領はホットラインを使おうとせず、会おうともしない。 メールだけのやり取りがいかに誤解や悪意の連鎖を生むかという警告。
"恐怖の総和が原爆を生んだ。"は名言だが、ならば田舎者のリーダーには 早く改心してもらって、イラク攻撃などやめたまえ。

「たそがれ清兵衛」
この頃、つくづく思うのは大人が観られる邦画がほとんどない事。
そんな中で、久々に観終わってちょっといい気持ちになれる佳作。
やはり山田洋次は黒澤明のある部分の後継者だった。 10月公開予定。

さて、近頃の私です。

【 8月21日 水曜日 晴れ 北マリアナ連邦サイパン島 バンザイ岬 】

1944年6月18日に僕の泊まっていたダイヤモンドホテルのあたりに米軍が上陸 最初はほとんどが黒人兵で、たまたま対した日本軍は岐阜の連隊だったという。 米軍の規模は日本軍の約三倍。 武士道精神は物量作戦に負けた。

北へ北へと追いつめられて行った一般の日本人達はこのバンザイクリフから 「天皇陛下万歳!」と叫んで飛び降り、死に切れずにさらに追いつめられた 人々は近くの通称「自殺の崖」から飛び降りた。 
まず、子供から…


 自殺の崖
旧日本軍の戦車

「自殺の崖」には米軍の艦砲射撃により、深くえぐれた痕が残っており 今も保存されている旧日本軍の戦車は潮風に晒されて白く  まるで何かの骨のようだった。

あまりに暑いので、屋台で売っていたコカコーラを飲む。 身体に悪いが、たまには美味い。 ああ、かつては「米帝」「軍産複合体」の象徴だったなあ、これ。


翌日、近くのマニャガハ島に遊ぶ。 
遠浅の浜辺の美しい事!
58年前、地獄だったここは今は天国。 
アメリカ人と日本人とチャモロ人が仲良くビーチバレーで盛り上がっている。 こんな所にまでわざわざ人殺しに来るなんて、どっちも異常だよなあ… ここにも小型補給船の残骸があった。

 キリリ・ビーチの夕焼け


【 8月25日 日曜日 晴れ 本庄市・埼玉県高等技術専門学校 】

映画『13階段』(長澤雅彦監督/反町隆史、山崎努、田中麗奈ほか)の撮影 

≪ シーン6 松山刑務所・作業工場 ≫

刑務所の作業中にちょっとした暴動が起こり ドキュメンタリーを製作していたテレビ局の撮影クルーはディレクター(私)共々 所長(石橋蓮司)に追い出されてしまう、というシーン。

サイパンとは全く違う、日本の蒸し暑さ。(当たり前か) 山崎努さんと石橋蓮司さんはただ立っているだけで、「演劇的空間」のようなものが できあがってしまい、何というか、芝居の「磁場」のようなものを感じる。 その間にいる私は、何だか間抜けなプラスチック的存在。 ああ、未熟だなぁ… 

この映画は第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和明さんの原作で 私の大好きなフランス映画『暗黒街の二人』のようなムードを持ったサスペンス。 来年2月、全国東宝系で公開予定です。 


【お・ま・け】

「おい、シャツをズボンの中に入れろ」
   
「は、はい!」

「まったく…」
「監督、ちゃんと入ってますよね?」

「いや、まだ完全ではない。」

「まったく…」
実は、映画「13階段」撮影中の一コマ。

刑務所内で暴動が起こった方をみる3人

右から山崎努さん、石橋蓮司さん、私。
 
もしも時間がありましたら、あなたの近況などをお知らせ下さい。
まだしばらく暑い日が続きますが、秋はもうすぐそこ。
どうかお身体大切に…