岡村通信 No.8

「十年戦争〜動くな、死ね、蘇れ!」

2001年6月13日

お元気ですか? 

6月の花・紫陽花は移り気。しかし何ともいえず魅力的ですね。

最近の私です。

【5月25日 金曜日 くもり】   新宿区・旧牛込原町小学校

映画「GO」(行定勲 監督 原作は金城一紀氏の直木賞受賞作)の撮影。
私の役は主人公(窪塚洋介くん・ハリガネの様に細い!)らが通う高校の先生。
学校の先生の役はかつて「水の旅人」や「エコエコアザラク」などで何度かやったが、今回は今まで と勝手が全く違う。

≪ シーン63 民族学校・教室 ≫   壁には金日成・金正日親子の肖像画

「違う!それじゃあ、まるで中国語ですよ」 
「この、ムルと ドゥルの音は日本語にはないので要注意です」
「もっと普通に読めばいいんですよ。どうしてそんなにリキむのかなあ…、なんか、すごく汗かいて ません?」

言語指導のお二人の先生(金さん、朴さん)に特訓を受けるのだが、なかなか感じがつかめない。 そう、今回の私の台詞は全部ハングル語なのだ。
もう一人の先生役の塩見三省さんは数日前のリハーサルの時から膨大な量のハングル語の台詞 をすべて暗記なさっていた、すごい。

出演は他に山崎努さん、大竹しのぶさんら。 在日コリアンの青春を描いたこの映画は、東映系で 10月頃公開の予定だが、史上初の日韓同時公開作品となる。
「韓国の人が聞いて、何とか意味がわかるレベルの発音でないと…」という行定勲監督(「ひまわり」 「贅沢な骨」ほか)。彼はこのシーンでちょっとしたイタズラをした。
それは…観てのお楽しみ!

【6月8日 金曜日 くもり】   私の革命記念日 赤坂〜六本木界隈

事務所に行って、次の映画「竜二 Forever」(仮題/細野辰興監督)の脚本をもらってきて、その後 GAGAの試写室でS・セガール主演の 「沈黙のテロリスト」を観る。

この日で名古屋から東京へ来てちょうど10年。

愛する人たちと別れ、大好きだった深夜放送もやめ、親を泣かせてここに居る。
100万の夢と女が消え去った。数多くの失敗をした。初めの野望の30%ぐらいしか実現出来なかった。
私はもう…昔ほどウェットではなくなった。

しかし、34本の映画に出演した。たくさんの本当に素晴らしい人々との出逢いがあった。
その中にはもちろん、あなたも居ます。

もうひとつだけ、密かな自負を許して頂けるとすれば、それは…、 
「何が何でも映画というものに関わって生きていこう、映画を愛していこう!」 
という、10年前に持っていた青臭い決意や気持ちがまだ自分の中に確実にあるという事。 これが最高の財産かもしれません。

これまで、ありがとうございました。 
これからもあまり、リキまず、くじけず、怠けずに歩き続けます。

PS. 
現在発売中の雑誌「パウゼ」の97ページに私のラジオ番組「岡村洋一のシネマストリート」の事が ほんの少しですが出ています。

もしも時間がありましたらあなたの10年間、いや近況などをお送り下さるととても嬉しいです。
時節柄、食中毒などにはどうかお気をつけ下さい。

ではまた!