番 外 編 1 
〜 心の癒されるような曲を中心に 〜


このページでは“癒し”をテーマに、聴いていて癒されるような
オーケストラ曲を紹介したいと思います。




■エルガー/エニグマ変奏曲 作品36 より 〜\.ニムロッド〜
 Edward Elgar/Variations on an Original Theme, Op.36 "Enigma" 〜\.Nimrod〜
 エルガーのエニグマ変奏曲は、曲名の通り、それぞれの変奏曲の題名がイニシャルで書いており、
なぞの変奏曲です(曲は、謎ではありませんよ(笑))。その中の9曲目にこの曲があるのですが、
静かに始まるのですが、なかなかメロディーも綺麗で、途中はだいぶ盛りあがります。
この変奏曲の中では、このニムロッドが最も綺麗な変奏だと思います。CDを聴いただけでは、
あまり分からないのですが、結構大きな編成のオーケストラによって演奏されます。



■グリーグ/2つの悲しき旋律 作品34より 〜No.2 過ぎし春〜
 Edward Grieg/Two Elegic Melodies Op.34 〜No.2 Last Spring〜
 ノルウェーの作曲家グリーグはペールギュントに代表されるような北欧の
景色が目に浮かぶような曲をたくさん書いています。その中でも、この曲のように
非常にメランコリックな美しいメロディーの曲もあり、この『2つの悲しき旋律』の
2曲目の“過ぎし春”は、最も綺麗で美しく、かつ、悲しげな曲であると思います。
 曲は5分ほどの曲で、弦楽合奏です。ヴァイオリンの高音の美しさもさることながら、
ハーモニーパートのヴィオラなどの楽器も非常に哀愁をそそります。また、途中から
入ってくる低音(コントラバス)にもしびれます。思わず、涙が出そうな程です。
 心を落ち着かせたいとき、悲しい時、癒されたい時、どんな時にでも素直に
感動できる曲だと思います。



■サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調作品79『オルガン付き』より 〜第1楽章後半〜
 Camille Saint-Saens /Symphony No.3 C-minor, Op.79 〜1st movment〜
 この曲のスコアには、最初に“a la memoire de Franz Liszt”とあるのですが、
仏蘭西語は勉強したことが無いので分かりませんが、これは『フランツ・リストの
思い出に』ということなのでしょう。その部分を主に表現している・感じられるのが
この第1楽章後半であると思います。管弦楽の中にオルガンを上手く活用しており、
管弦楽でありながら、教会のミサであるような感じがします。まさしくリストの鎮魂の
曲なのだと思います。1楽章前半の嵐のようなシンコペーションが終わって、
静まりかえり、静寂の中にパイプオルガンのA♭の音が響き渡ると、何とも神聖な
感じがします。曲の後半は、盛りあがりますが、その盛りあがり方も、熱き炎を秘める
ようで、決して乱れてはいません。単独だけでも素晴らしい曲だと思います。

※参照ページ→『オルガン漬け』    




■チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調作品74『悲愴』より 〜第4楽章〜
 Peter Illich Tchaikovsky /Symphony No.6 B-minor, Op.74 〜4th movment〜
 チャイコフスキーでも最も有名な交響曲の1つでしょう。しかし、この曲が癒されるか
どうかは微妙なところかもしれません。下手すると、更にへこむかも知れません・・・。
特にこの楽章は、大抵の交響曲の終楽章は盛りあがって終わるのですが、
この曲に関しては、3楽章で盛り上がって頂点まで達した後、4楽章に入ったとたん、
いきなりどん底まで落とされ、最終的には最弱音で曲が終わります。中間部の
ホルンの伴奏の上に乗って奏でられる弦楽器(ヴァイオリンなど)のメロディは
美しく、最高に悲しいです。単純ではありますが、僕が全楽章通して最も好きな
フレーズの一つです。
 そんな為、この曲は、辛い時に、共感できる曲と言えるかもしれません。
全楽章通して聴く場合は、『良い所まで行ったのに、最終的にどん底まで落とされた』
というシチュエーションでは、ぴったしの曲ですね。でも、あまり
そういう経験はしたいものではないですが・・・。
※参照ページ→チャイ6『悲愴』    




■バーバー/弦楽のためのアダージョ 作品11
 Samuel Barber/Adagio for Strings, Op.11
 クラシックのオムニバスには大抵入っている曲です。映画「プラトーン」でも
使われた曲なので有名ですね。題名の通り、弦楽合奏のための曲で、
7〜8分の小曲です。しかし、実はこの曲の原曲は、バーバー/弦楽四重奏曲ロ短調作品11の
第2楽章で弦楽四重奏です。こちらの弦楽四重奏の方も、楽器1つ1つの音が良く聞こえ、
どちらも良いです。
 非常に暗い曲ですが、息の長い旋律は心打つものがあります。生演奏を
聴いていると、呼吸が自然と曲に合ってくるような感さえあります。
 疲れた時、悲しい時、ブルーな時にお薦めの曲です。弦楽器を弾く人には、
息の長いボーイングとメロディーの歌い方などの良い勉強になると思います。


■フォーレ/パヴァーヌ 作品50
 Gabriel Faure/Pavane, Op.50
 クラシックを聴かなくても、また、この曲の題名は知らなくても、何処かで聴いたことのある
メロディーだと思います。私の大学のある後輩が言っていたように、「フォーレはいやらしい
メロディーをいやらしく書かない」ですね。非常に美しい曲だと思います。冒頭の弦のピチカート、
それに続く何度も繰り返されるメロディー、ファゴットやチェロなどによって奏でられる対旋律。
はっきり言って、癒される曲の代表であると思います。
 私がよく聴くCDでは、オーケストラのみの演奏ですが、任意で四部合唱が付けられます。
私の持っている、ミニチュアスコアにも合唱のパートが書いてありますが、この合唱も
非常に綺麗です。
 疲れた時、悲しい時、ブルーな時にお薦めの曲です。



■マスカーニ/歌劇≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫間奏曲
 Pietro Mascagni/Cavalleria rusticana:Intermezzo sinfonico
 CM等でも多用されている曲です。編成は大きくなく、弦楽器+木管楽器、そして、
盛りあがる部分で分かるのではないかと思いますが、オルガン。その殆どが弦楽器で
奏されるので、木管楽器もどの程度の編成が必要なのかは、調べていないのですが
(すいません)、オルガンの代用で、木管楽器を使うこともあるようなので、
いずれにしても木管楽器も編成に入るようです。
 曲は、全体を通して、長閑かつ、静かな曲で、サビの部分は大抵の人が知っている
メロディーなのではないかと思います。私自身は、オルガンが入る瞬間が好きです
(そもそも、管弦楽+オルガンという編成が好き)。演奏会では、それほど多く
取り上げられるようではありませんが、学生オケやアマオケ等が、アンコールなどで
演奏することもあります。CD等では、大抵は、≪オペラ間奏曲集≫のようなオムニバス
になっているものを探すと収録されている事が多いようです。



■マーラー/交響曲第3番ニ短調より 〜第6楽章〜
 Gustav Mahler/Symphony No.3 D-minor 〜6th movment〜
 2002.07.21 New!
 えっ!?マーラーの交響曲??しかも3番??という感じですが、これがまた感動に
満ちた楽章なのです。マーラーの交響曲というと、殆どが激しい曲なのですが、この3番の
6楽章や、5番の4楽章(こちらはアダージョとして非常に有名)などのように
非常に美しい曲もあるんです。個人的には5番のアダージョより、こちらの方が
好きです。3番自体はCD2枚分にもなるような長大な曲ですが、その全6楽章のうちの、
第6楽章が非常に美しいのです。とは言っても、この6楽章だけでも、約30分も
あります・・・(汗)。この交響曲の最初の計画では、この第6楽章は“愛が私に語ること”
と標題が付けられましたが、実際には無くなっています。しかし、この曲を聴いて、その標題の
意味するところは、よく分かると思います。
 全体の雰囲気は、非常に静かに、室内楽的に始まるのですが、最後は、何かが解決(?)
したかのように、全合奏で堂々と終わります。まるで長大な映画の最後のラストシーンから
字幕が流れ、映画が終わるまでのバックに流れている曲のようです。それだけに、
この楽章を全て聴くだけでも、非常に満足感が得られ、充実感が得られると思います。
大きな感動を得たいときに、非常に良い曲だと思います。



■ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
 Maurice Ravel/Pavane pour une Infante defunte
 ホルンのソロが美しい曲です。ホルンという楽器は金管楽器になる訳ですが、
曲によっては、木管楽器的な音も出るんですよね。そういう意味で、僕は
オーケストラの楽器ではホルンが1番難しい楽器ではないかな?と思います。
(とは言いつつも、ホルンを吹いたことが無いので分かりませんが・・・)
 この曲では、その金管的な部分ではなく、木管楽器的な音を十分に発揮させている
曲だと思います。全曲で6〜7分ですが、聴いていると、何とも落ち着きますし、
ほっとする感じがします。ラヴェルのメロディーってそういうノスタルジック
というか何とも良い気分になる感じの曲が多いですね。
 フォーレのパヴァーヌと同じようなシチュエーションで聞くことが出来ます。





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