チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調作品74“悲愴”
 Tchaikovsky/Symphony No.6 B-minor Op.74 “Pathetique”
【基本データ】
 ≪作曲年≫ 2002.02.06 Updated   1893年2月16日初め〜8月頃  ≪初演≫ 2002.02.06 Updated   1893年10月28日サンクトペテルブルク   作曲者自身の指揮   (作曲者が亡くなったは同年11月6日午前3時)  ≪楽章≫4楽章構成   T.第1楽章:Adagio - Allegro non troppo   U.第2楽章:Allegro con grazia   V.第3楽章:Allegro molto vivace   W.第4楽章:Finale : Adagio lamentoso  ≪編成≫   ・フルート3(3rd=ピッコロ持ち換え) / 3Flutes(3rd=Piccolo)   ・オーボエ2 / 2Oboes   ・クラリネット(A)2 / 2Clarinets(A)   ・ファゴット2 / 2Bassoons   ・ホルン(F)4 / 4Horns(F)   ・トランペット(B♭,A)2 / 2Tumpets(B♭,A)   ・トロンボーン3 / 3Trombones   ・チューバ / Tuba   ・ティンパニ / Timpani      ※私の知合いのティンパニ奏者によると4つの方が音的には良いらしいです。       情報提供のおがこさんありがとう!!   ・大太鼓(3楽章のみ) / Bass Drum   ・シンバル(3楽章のみ) / Cymbal   ・ドラ(4楽章のみ(1発)) / Tam-tam   ・弦5部 / Strings  ≪演奏時間≫    ・約45分  ≪ミニチュアスコア≫    ・音楽の友社版(\1000+税)    ・全音楽譜出版社版(\1300+税)    ・日本楽譜出版社版(\1000+税)      ※輸入版など未確認。



■ウィレム・メンゲルベルク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
 Willem Mengelberg / the Concertgebouw Orchestra, Amsterdam

 2002.02.06 Updated
【データ】
 ・レーベル  : オーパス蔵(国内盤OPK 2011)
 ・価  格  : ???(CDに値段が書いてない…)
 ・録  音  : 1937年12月
 ・発 売 日 : ???
 ・時  間  : 第2楽章 = 17:10 第2楽章 =  8:01
          第3楽章 =  8:34 第4楽章 =  8:29
 ・カップリング: バッハ/アリア−管弦楽組曲第3番より
          ヴィヴァルディ/合奏協奏曲イ短調作品3−8


   ん〜、テンポの取り方がスゴイ・・・。今、こんな演奏をしたら どういう評価が来るか分かりませんが、戦後の演奏を聴いてばかりいると このような演奏は非常に新鮮です。しかし、このような縦の線の微妙な所や テンポの取り方は、戦前は本当に指揮者・オケによって相当違っていた事が よくわかります。これは、私が思うに、カラヤンと録音技術の向上によるものが 大きいと考えられます。カラヤンのような非常に縦の線を揃えた録音が レコードやCDなどを介して多く聴かれるようになり、その結果、 全体として、縦の線やテンポがしっかり揃った演奏ばかりになったとも 言えると思います。これは、演奏の均一化とも言えそうですが、マイナスかと 思えば、プラスの面も多くあり、録音技術の向上によって更に深い所まで、 追求できるようになったとも言えると思います。特に、ブルックナーやマーラー、 ショスタコーヴィチなどの長大かつ編成の大きな曲では、これが 顕著に表れていると思います。
 ・・・語ってしまいましたが、何しろ、戦後の録音技術の向上やメディアによって 高められた指揮者が、クラシック音楽を多いに変えたのは事実だと思います。  録音は、レコード音源から、上げているようで、ザーという懐かしい音が します。私は、CD世代の為、レコードは数枚しか持っていないのですが、 レコードで聴けるのがクラシックの1つの醍醐味であるような気もします。


■朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団
 Takashi Asahina / Osaka Philharmonic Orchestra

 2002.01.16 Updated
【データ】
 ・レーベル  : KING RECORD(国内盤KICC 367)
 ・価  格  : \1800(税込)
 ・録  音  : 1982年1月21日(ADD・Live)
 ・発 売 日 : 2001年11月29日
          (※アナログテープからのリマスター盤)
 ・時  間  : 第1楽章=20:02 第2楽章= 8:24
          第3楽章= 9:27 第4楽章=11:43
 ・カップリング: なし


 先日お亡くなりになった朝比奈隆氏の盤。 まだ、発売されたばかり(2001.11.29)で、私が買った後、数週間後に亡くなったので 結構ショックでした。
 演奏は、彼のブルックナーに代表されるような、割とゆっくりでずっしりした 演奏です。1楽章は、バーンスタイン程ではなく、全体的に遅めですが、 中盤からもあまり悲劇性を感じない演奏です。割合に平和な1楽章かもしれません。 この曲では最も平和で、悲愴であることを忘れさせる演奏もあるのですが この2楽章は、再現部に至るまでと終結部・終わりに向かっては、何となく、 だんだんとテンポが落ち、ゆっくりとなっているところが、この曲が 悲愴であることをなんとなく思い出させるような感じです。 3楽章も同様に遅いテンポなのですが、妙にヴィオラが良く聞こえます。 ヴィオラが好きな私としては、結構好きです。 4楽章は、ちょっと弦楽器(特にヴァイオリン)が、弱いような感じがし、 もっと歌ってくれても良かったかな?と思いますが、テンポの取り方や 歌いだしなどは、かなり良いです。全体として、トランペットの音量が小さめの ような気がします。ゲルギエフなんかとは、だいぶ違ってます。


■ワレリー・ゲルギエフ/サンクトペテルブルク・キーロフ歌劇場管弦楽団
 Valery Gergiev / Kirov Orchestra St.Petersburg

【データ】
レーベル  : PHILIPS(国内盤PHCP-11174)
価  格  : \2548(税込)
録  音  : 1997年7月4,6-7日(DDD)
発 売 日 : 1999年11月22日
時  間  : 第1楽章=20:15 第2楽章= 7:33
        第3楽章= 8:27 第4楽章=11:39
        トータル=69:15
カップリング: チャイコフスキー
        /幻想序曲「ロメオとジュリエット」
         20:51


ごく最近、同じくゲルギエフ&ウィーンフィルの チャイ5と共に大変話題になった名盤です。ゲルギエフはロシアもののCDがかなり ありますが、いずれも名盤と言えるものばかりでしょう。もし、ロシアもので困った場合、 ゲルギエフを買えば、大きな間違いはしないと思います。演奏はゲルギエフのアツイ棒の もと、ロシアの名門オケだけあって、金管楽器の迫力がまず違います、アツイです。耳を 済ますと、ゲルギエフの吠えている声も入っています。もちろん、他の楽器の迫力も凄い ですよ、アツイです。特に1楽章と3楽章の迫力はすごいでしょう。3楽章は弦の勢いも 非常に凄いですし、ホルンのシャウトも圧巻です。カップリングのロメジュリも凄い 迫力です。

■レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック
 Leonard Bernstein / New York Philharmonic

【データ】
 ・レーベル  : Deutsche Grammophon(輸入盤419 604-2)
           ※国内盤。国内他企画盤あり
 ・値  段  : 時価(\2000前後)  ※国内企画盤2枚組\2000)
 ・録  音  : 1986年8月(DDD)
 ・時  間  : 第1楽章=23:34  第2楽章= 8:29
          第3楽章= 9:52  第4楽章=17:12
          トータル=58:31
 ・カップリング: なし

悲愴で泣ける演奏と言ったら、これしかないです!! 僕は、この演奏を聴いた時、4楽章で泣きました。真面目に凄いんです。 直接、心に訴えかけて来る演奏で、4楽章のドラがなった瞬間、“事切れた” という感じがし、思わず涙が出て来ます。時間を見ても分かるとおり、ゲルギエフ盤と 比べると、1楽章で3分長く、4楽章で6分も長いのです。僕の知る限り、この演奏が 悲愴で一番長く遅い演奏だと思います(チェリビダッケ盤より、長いです)。 だからと言って、ただ無駄に引き伸ばしているのではなく、悲愴をひたすら 歌いこんでいるのです(ただ、やはり全体的に重い演奏だと言うことは否めません)。 4楽章の練習番号C(Andante)以降のVnの裏で叫んでいるHrが、さらに涙を誘います。 このような本当に“悲愴”な演奏はなかなか無いですね。流石、バーンスタインですね。

■フェレンツ・フリッチャイ/バイエルン放送交響楽団
 Ferenc Fricsay / Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

【データ】
 ・レーベル  : ORFEO(輸入盤C200 891 B)
           ※国内盤は多分ないと思われます。
 ・価  格  : 時価(\2000前後)
 ・録  音  : 1960年11月24日(ADDモノラル)
 ・時  間  : 第1楽章=20:09  第2楽章= 9:14
          第3楽章= 8:54  第4楽章=11:50
 ・カップリング: バルトーク/ピアノ協奏曲第3番
          (ピアノ:アニー・フィッシャー)

僕自身、モノラル録音に抵抗があったのですが、 某“世知辛い男”に薦められ買ったのですが、素晴らしく、かつ、凄まじい演奏です。 某“世知辛い男”曰く、グラモフォンから出ている盤も良いようです。 その盤は僕も聴きましたが、確かに良いですが、僕としてはこちらの方がお勧めだ と思います。モノラル録音なのに、その迫力は、モノラルを突き破ってくるものが あります(しかし、何故1960年でモノラルなんですかね?一般的に1955年からは ステレオなのに…戦時中でもステレオは使われていたほどなのに。でも実際に モノラルにしては音質がかなり良いです)。 いわゆる普通の悲愴を聴いている人には、衝撃の演奏だと感じるでしょう。 1楽章のテンポの変り目などは、最初はびっくりします。迫力だけでなく、 もちろん、歌うところもかなり歌われています。実は、これは知る人ぞ知る、 名盤なんです。某音楽雑誌にも掲載されている程の名盤です。CD屋では、 品切れ状態のところが多いので、まめに探すか注文するのが良いでしょう。

■エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
 Evgeny Mravinsky / Leningrad Philharmonic Orchestra

【データ】
・レーベル  : Deutsche Grammophon(国内盤(完全限定盤POCG-9835/6))
          ※輸入盤・他企画国内盤あり
・価  格  : ¥2718(税抜)
・録  音  : 1960年9,11月(ADDステレオ)
・発 売 日 : 1996年11月21日
・時  間  : 第1楽章=17:38  第2楽章= 8:04
         第3楽章= 8:19  第4楽章= 9:45
・カップリング: チャイコフスキー
         /交響曲第4番、第5番(2枚組)


チャイコの交響曲と言えば、まず名コンビ中の 名コンビであるムラヴィンスキー&レニングラードフィル。DG社以外にも メロディアなどからも、多数のCDが出ていますが、音質・迫力などとるとこれが 一番良いです。1960年ステレオにしては音が良いです。演奏は、流石ソビエトの オケです!!迫力が違います。特に1楽章後半はオケが燃えています。金管の音が キンキンするのも、この頃のソビエトのオケの特徴です。でも意外に、それが曲に あっているんですよね。3楽章の弦楽器はさすが社会主義ロシアのオケだけあって、 ずれたら即刻死刑になるぞとばかり、一糸乱れぬ演奏です。もちろん、その弦の 鋭さも恐ろしいもので、金管がさらにそれに拍車をかけていて前進する勢いが凄い です。しかし、その後に来る4楽章の冒頭は打って変っています。ちなみにカップ リングのチャイ4、チャイ5もそれぞれ名演です。特にチャイ4の4楽章は弦楽器群 が触れば鮮血が吹き出そうな勢いがあります。

■岡城 千歳(ピアノ版!!)
 Chitose Okashiro (Pf.)

【データ】
・レーベル  : Pro Piano(輸入盤PPR224530)
          ※国内盤あり
・値  段  : 時価(\2000前後)
          ※国内盤:\2500
・録  音  : 1999年8月10-11日(DDDデジタル)
・時  間  : 第1楽章=18:39  第2楽章= 7:36
         第3楽章= 8:14  第4楽章= 9:50
・カップリング: なし


なんと、“悲愴”のピアノ版です!! もちろん、ベートーヴェンのピアノソナタの悲愴ではないです!! れっきとしたチャイコのシンフォニヰの悲愴です。このCDが出た頃、 ピアノ界を結構騒がせた名盤です。Walter Niemannという人が編曲したものですが、 管弦楽とはまた別の視点でこの曲を聴くことが出来、面白いです。



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