■サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調作品79「オルガン付き」
 Canille Saint-Saens/Symphony No.3 C-minor Op.78“Organ”
【基本データ】
 ≪楽章≫2楽章構成(実質的には4楽章構成と同じ)   T.第1楽章:Adagio - Allegromoderato -          Poco adagio   U.第2楽章:Allegro moderato - Presto - Allegro moderato -Presto          Masetoso  ≪編成≫   ・フルート3(3rd=ピッコロ持ち換え)/ 3Flutes(3rd=Piccolo)   ・オーボエ2 / 2Oboes   ・コールアングレ / English Horn   ・クラリネット2(B♭) / 2Clarinets(B♭)   ・バスクラリネット(B♭) / Bass Clarinet(B♭)   ・ファゴット2 / 2Bassoons   ・コントラファゴット / Double Bassoon   ・ホルン4(1st=C&E,2nd=C&E♭,3rd&4th=F) / 4Horns(1st=C&E,2nd=C&E♭,3rd&4th=F)   ・トランペット3(1st&2nd=F,3rd=C) / 3Trumpets(1st&2nd=F,3rd=C)   ・トロンボーン3 / 3Trombones   ・チューバ / Tuba   ・ティンパニ / Timpani   ・大太鼓 / Bass Drum   ・シンバル / Cymbal   ・トライアングル / Triangle   ・ピアノ(2楽章前半部=2手,2楽章後半部=4手) / Piano(4hands)   ・パイプオルガン(1楽章後半部,2楽章後半部) / Organ    ↑これがあるからこの曲は“オルガン”って呼ばれるんですよね…。   ・弦5部 / Strings  ≪演奏時間≫    ・約40分 / approx.40minutes  ≪ミニチュアスコア≫    ・Editions DURAND (輸入版:時価(\6400+税))    ・全音楽譜出版社  ISBN4-11-891954-0 (\1800+税)    ・音楽之友社 (\1700+税)     ※上記、Durand版をもとに構成した譜面の模様。 (2001/09/25)

【HP管理者の曲論・極論】
まず、交響曲にオルガン・ピアノを加えたという点でも、すごい曲。 聴いているとオルガンの壮麗さがひしひしと伝わってきます。この曲は 2楽章構成ですが、実質的にはそれぞれの楽章が前半・後半に分かれるので、 4楽章構成になっているのと同じといえます。CDでもトラックマークは 4箇所についているのがほとんどです。この曲の最大の難所、それが 1楽章前半でしょう。最初の始まり方は、何かがわきあがって 来たような神聖な感じを受けます。しかし、次は木管・弦にとっては辛い シンコペーションの嵐です。でも、このシンコペーションが、曲を非常に 不安感を持たせて聴く側にとっては、いいんですね。アマオケではまず このシンコペをそろえることが至難の技。でも、実際に完璧なシンコペに なると、それはそれで気持ち悪いんですよね。この微妙なところが良いん ですね(クラシックの醍醐味はこの“微妙なところ”だと思いませんか?)。 この曲のクライマックス部分である練習番号Mでは、トランペットの メロディーが時代劇スペシャルの太刀回りシーンにでも出てきそうな メロディーと聞こえるのは僕だけでしょうか?1楽章後半で、 初めてオルガンが出てくるのですが、これはもう、“アーメン”といった 感じで、祈りの曲ですね。スコアを持っている方ならば、スコアの冒頭を 見ていただければ分かると思うのですが、“a la Memorie de Franz List ” とあります。この表題(?)は、この部分を表しているんだなと思います。 オルガンの響きに乗って弦が全体で歌うのですが、本当に美しいです。 中間部の練習番号Sの4章節目は圧巻で、1stVnと2nd Vnだけの 掛け合いで、ある指揮者曰く、『この曲はこの部分が最高なんだ』そう です。確かに、シーンと静まり返った中での、この部分はなんとも言え ません。アウフタクトで始まる2楽章前半は、まず、聴くだけの 人にとっては、拍子の取り方が、楽譜を見ると違うのが分かるでしょう。 これ、ホント違うんですよ。是非、スコアを見てください。1楽章後半とは 打って変わり、激しい曲になります。途中プレストになった部分からピアノ の登場です。オケにこれだけピアノが目立つのはロマン派では珍しいです よね(当たり前ですがピアノ協奏曲は除く)。この部分の最後は1楽章後半の ような神聖な感じで終わります。そして、突然鳴り響くのが2楽章後半 のパイプオルガンです。壮麗・荘厳極まりないですね。最初は『な、なんだ?』 とびっくりします。『これぞ、オルガン!!』という感じです。この部分の 壮麗さは、是非聞いてみたほうが良いですね。話すまでもありません。 最後のクライマックスもすばらしいものです。生で聴いていると、 『ブラヴォー』と叫びたくなりますね。そうそう、ちなみに、この曲の 最後、なぜがヴァイオリンだけは、シンコペーション(あの1楽章前半で 苦労する・・・)で終わっているんです。最後の最後まで、 なぜかヴァイオリンが、シンコペにいじめられます・・・。 サン=サーンスっていったい・・・。


■ズービン・メータ/ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
  Zubin Mehta / Berliner Philharmoniker


【データ】
 ・レーベル  : TELDEC
          (輸入盤4509-98416-2(国内盤あり))
 ・値 段   : \2000前後?
 ・録 音   : 1995年4月(DDD)
 ・時 間   : 第1楽章前半= 9:09 第1楽章後半= 8:31
          第2楽章前半= 7:08 第2楽章後半= 7:15
 ・カップリング: フランク/交響曲ニ短調


ベルリンフィルらしい金管楽器が 炸裂しています。特に1楽章前半の練習番号N以降の例の 「時代劇スペシャル」の部分のトランペットはさる事ながら、 その裏で吹いているホルンが最高です。まさにほえています。 1楽章は前半は、テンポが速く、また、後半部のオルガンのつく部分も 結構早め、個人的にはもっと朗々と歌って欲しいな。でも、逆にいえば、 情におぼれないと言う点では良いのかもしれないですね。オルガンの ある楽章ではオルガンは音の良さもあり、そびえ立つような感じが印象的。 全体に手に汗を握るような演奏。


■シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団
  Charles Dutoit / Orchestre symphonique de Montreal


【データ】
・レーベル  : DECCA(旧LONDON) 
          (輸入盤430 720-2(国内盤あり))
・値段    : \2000前後?(国内盤も同値くらい)
・録音    : 1982年6月(DDD)
・時間    : 1楽章前半=10:25 1楽章後半= 9:29
         2楽章前半= 6:47 2楽章後半= 7:45
・カップリング:サン=サーンス/組曲≪動物の謝肉祭≫
         ※国内盤の場合、他にもあり


あまりにも有名なCDです。この曲を 選ぶ時に一番無難と言われますが、確かに、無難ですが、聴き込みすぎると 飽きるかもしれません。でも、演奏そのものは確かだと思います。デュトワ/ モントリオールというと、フランス音楽では、良く聴く組み合わせです。 チャイコフスキーなどのロシアものでも定評があります。ただ、やはり、 僕としては、あまりに演奏も録音も綺麗過ぎて、飽きちゃうんですよね、 はい。この曲を初めて聴こうと思っている人には是非お薦めであると思います。


■シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団
  Charles Munch / Boston Symphony Orchestra


【データ】
・レーベル  :Victor 
         (国内盤JMCXR-0002)
・値段    :¥3300(税抜き)
・録音    :1959年4月5日,6日(ADD)
・時間    :第1楽章前半= 9:49 第1楽章後半= 9:32
        第2楽章前半= 7:34 第2楽章後半= 7:37
          (トータル = 34:46)
・発売日   :99.10.25
・カップリング:なし


 これもあまりにも有名なCDです。 かつては(今も)名盤と言われた録音ですよね。個人的には、今まで聴いたCDの いわゆる「良い」と思われる部分を集めたような感じで、更に1番バランスもうまく取れていて、 お薦めの名盤中の名盤だと思います。名盤として有名だったのは知っていたのですが、 後述のように値段が高かった為、手を出していなかったんですよね・・・。 以前に一度(1999年夏頃)、人から借りて聴いたことがあり、「これはじっくり聴かねばならないCDだ」と思い、 買おう買おうと思って、やっと買ったのが2002年1月。やっと手に入れて聴いたのですが、 やはり名盤と言われるだけの演奏だと思います。メータ盤のようにアツイ部分であっても 決してアツクなりすぎず、シンコペーションも程よくシンコページョン。 歌う所も、「こう歌って欲しい!!」という感じに上手くはまっています。 デュトワ盤が綺麗過ぎな気がするのですが、こちらも綺麗は綺麗なのですが、 更に「高貴」という言葉が付加されるような気がします。
 値段が高いということですが、これはマスタリングの為だと思います。 しかし、それだけのマスタリングがされているようで、音質は1959年ステレオ録音だと 分からないくらい非常に綺麗な録音になっています。
 値段こそ高いですが、それなりの素晴らしい名盤です。お薦めです。
2002.01.11   





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