1996年、先住民族キチュア初の知事として
アウキ・ティトゥアニャ氏がコタカチ郡知事に当選した。
同年8月に行われた制度改革によって人民議会が設立され、
コミュニティーの直接参加による草の根民主主義の実験が始まった。

ティトゥアニャ氏率いる郡政府は、
住民の意向を無視した外国企業による搾取型・環境破壊型の開発に反対し、
その代替案となる持続可能な産業を提案した。
6000メートル級のアンデスの山々から雲霧林、亜熱帯地域にいたるコタカチ郡(人口約3万5千)は、
世界でも十指に入る生物多様性の豊かさを誇っている。
こうした豊かな自然を背景にしたエコツーリズム、有機コーヒーをはじめとする持続可能な農業、
クリーンエネルギーの推進、工芸品や民俗音楽などの伝統文化の復興など、
自然や文化を保全し、再生することにより成り立つ豊かさを追求している。

ティトゥアニャ氏のモットーは「多様性の中の団結」。
参加型の政治を通じて、住民の過半数を占める先住民の間の人種差別の解消、
先住民の雇用増大と地位の向上を目指す。
先住民族がその精神的な文化や伝統的な知恵を維持しながら
地域全体の経済発展に向かうのを支援する一方、
非先住民との融和政策をも大胆に進めている。
こうした参加モデルは、周辺南米諸国のみならず世界の注目するところとなっている。

エクアドルにおける文化多様性と生物多様性。
その縮図としてのコタカチ。
二つの多様性を損なうところなく、むしろ最大限活かして地域の活性化を図る。
コタカチにおけるこの新しい試みの成果は、2000年5月に行われた知事選挙で、
ティトゥアニャ氏が80%の得票率を得て再選を果たしたことにも現れている。
2001年初めのエクアドルの経済・政治危機に際しては、政府に批判的な勢力を代表して、
政府との交渉を平和裏に進め、人民に大きな成果をもたらしたとして高い評価を受けた。
早くも「次期大統領候補」の声さえあがっている。
エクアドルはもちろん、他の南米諸国でも、この新しい先住民指導者に注目が集まる一方、
新しい地方自治体、持続型地域づくり、民族融和のお手本として、
「コタカチ・モデル」が真剣に語られ始めている。





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事務局より