2020年9月20日

 2019年11月15日に、「いのちとくらしと雇用・営業を守る神奈川県市民実行委員会」による対県交渉(情報交換)が行われました。そこで取り上げられ、県に示された2020年度に向けた、主に高校教育にかかわる要求項目(主要項目)を紹介します。


Ⅳ、県民が安心して子育てを続け、青少年、成人が豊かな文化・スポーツを享受できる教育・文化・スポーツ行政を求めて

1.子どもの権利に関する項目

(1)子どもの権利の実現について
④いじめ問題の解決のために
 県教委が発表した平成29年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(公立小・中分)をみると、
   暴力行為の発生件数は
    小学校で5673件(前年度比 1214件増 27.23%増)
    中学校で3257件(前年度比   42件増 0.01%増)
   いじめの認知件数は
    小学校で15680件(前年度比 5073件増 47.83%増)
    中学校で 3906件(前年度比  451件増 13.05%増)
   不登校を理由とする長期欠席者の割合
    小学校で3222人(前年度比 457人増 16.53%増)
    中学校で8463人(前年度比 836人増 10.96%増)

 全県的に学校現場では問題行動克服のために様々な取り組みが行われている名、残念ながら中学校での暴力発生件数以外は数値では改善されていない。(中略)
 いじめ問題解決のために、まず、どの子にもゆきとどいた教育を目指し、学力向上でも生活力向上でも、人的、物的条件の改善が図られなければならず、その基本的な解決策として、以下を要求する。

ァ 教職員の国基準以上の配慮をすること
イ 少人数学級を全学年に拡大すること


(2)入学式・卒業式について
① 憲法19条「思想・良心の自由」、20条「信教の自由」、21条「表現の自由」に照らして、卒業式・入学式における「日の丸」「君が代」の強制をやめ、「国歌斉唱」時の起立が強制ではない旨の告知を生徒・保護者に対して行うこと。


2.国・県の教育行財政に関する要求

(1)全般に関して
 ① 新学習指導要領の教科時数増や内容増の実施については、教員の配置をはじめ、教材などの整備のための予算を十分に措置すること。また、各学校の実態に応じて学校の自主的最良を尊重すること。
 
(2)就学援助・経済支援について
 ① 就学援助について以下の点を市町村へはたらきかけること。
、就学援助制度をわかりやすく周知させるとともに、だれでも気兼ねなく申請できるように、県として書類の様式モデルを示すなど指導すること。

、認定基準が生活保護基準と同水準になっている市町村はないのか、ある場合には、子どもたちの学習権を守る立場から、県として引きあげるようはたらきかけること。

、入学準備金の入学前支給をしていない市町村の割合はどうなっているのか。また、入学前支給をしていない市町村には、子どもたちの学習権を守る立場から、県としてはたらきかけること。

、修学旅行や遠足、野外活動などの行事の費用は、高額な上、通常は事前徴収である。それに間に合うように事前支給とすること。また、現地での交通費や食費なども事前に支給し、現地での活動に支障のないように各自治体に働きかけること。

、民生委員の所見についてはどの市町村でも不要にすること。寒川町では申請するときに民生委員の所見が必要と記入されていますが実際には不要になっている。県内の実態を調査して、それが必要と記入されている場合は削除させること。

、年度当初に申請をしないと4月からの認定(支給)が受けられない市町村が多くある。年度内に申請し、4月の在籍が確認されれば5月以降の申請でも4月に遡って認定(支給)を認めるようはたらきかけること。

、2019年度より国基準で「入学準備金」「修学旅行費」の金額が上がり、「卒業アルバム代」も新規に追加された。国基準以下になっている市町村には、国基準並みに支給するようはたらきかけること。

、申請書は全児童生徒に配布するよう働きかけること。


④ 高等学校等進学者数の割合が97.9%と、高等学校等への進学が実質的に準義務化している現状がある。子どもの貧困化・格差拡大が社会問題化するなかで、小中学生に設けられている就学援助制度を高等学校にも新設する必要があると考える。更に、高校授業料の無償化を復活し、高校への県としての給付制奨学金を拡充すること。

                                              
(3)県費旅費に関して
① 17年度から旅費の政令市移管が実施されている。旅費支給(支給打ち切りなど)の実態、教職員自己負担、保護者負担、PTA負担などの実態を調査して公表すること。毎年要求しているが実施していない。サンプル調査でもいいから誠意ある態度を示すこと。

② この間、学校旅費の過去10年に渡る増減状況について、学校配当旅費総額と教員一人当たり旅費と残金をそれぞれ明らかにすること。


 
(6)県立高校について
① 法的根拠のない「観点別評価」「定期試験の共通化」「1単位授業35週分確保」「教科書選定への介入」「卒業式・入学式での国歌斉唱の強制」を一律的に県立高校に押しつけないこと。

②県立高校の耐震化・アスベスト除去について
ア 2018年度末までの県立高校の耐震化率を明らかにすること。

イ 耐震化に向けた数値目標(Is値)を0.6としているが、文科省は0.7を数値目標にしている。今後の改修については、0.7以上を数値目標とすること。

ウ 体育館及びすべての校内のアスベスト除去の計画を明らかにすること。

③ 私費負担軽減について
 神奈川県立高校の私費負担は全国・他県や横浜・川崎の市立高校に比べて突出して大きなものがある。とくに図書費は、1校当たり16万6000円と少なく、生徒から図書費として徴収している私費は、1校当たりおおむね150~200万円となっている。県費図書費を1校当たり150万円以上とすること。

④ 現業の民間委託43校を見直し、現業職員の採用を再開すること。

⑤ 専門学科教員、理科実習教員の退職不補充を改め、採用を継続すること。

⑥ 学校図書館司書の採用数を大幅に増やすとともに、現在臨任司書として勤めている者の採用幅を広げること。

⑦ 教職員の庶務事務を担当する学校事務センターを解消し、学校事務センターからの民間企業への再外注をやめ、学校事務室の3人体制の事務職員を4~5人に増やすこと。

⑧経済困難家庭の増加に合わせて、返済不要の給付型奨学金について、その給付条件を緩和して多くの家庭で利用できるよう拡充すること。貸与型の奨学金についても、奨学金受給者が一定の収入額を得るようになるまでは返済猶予する制度を拡充すること。

⑨ エアコン冷房機器を県立高校の図書準備室・技能員室・体育準備室・芸術科家庭科以外の特別教室・視聴覚室・教科準備室などすべての部屋に設置すること。

⑩ エアコン冷暖房機を教室に、扇風機と加湿器を設置し、生徒の健康を守ること。

⑪ 各教室にプロジェクターとスクリーンを設置すること。

⑫ 各教室のコンセントを増設し、電気容量を増やすこと。

⑬エアコン使用について、各学校の判断で生徒の状況に合わせて 必要に応じて使用できるように予算を増額すること。

                                      
3.児童生徒の必要に応じた学校運営をすすめるための教職員の定数改善に関する要求

(1)神奈川県は全国最悪レベルの小中高生の暴力行為がつづき、学級崩壊、不登校、陰湿化するいじめ問題も深刻な実態にある。その解決は緊急にして最重要課題である。
 神奈川の深刻な校内暴力、不登校などの実態から、それを未然に防ぎ、子どもたちの精神的不安解決や、保護者・教職員の相談にも大きく役立っているスクールカウンセラーと相談員を県独自にも現在の配置数を大幅に増やす特別予算を確保すること。

(2)現在の保健室は精神面からも子どもたちをささえている。その今日的役割を考慮して、すべての学校に養護教諭を複数配置する県独自措置をとること。県立高校養護教諭複数配置125校のうち専任配置は5校に留まっている。今後とも複数配置校の数を増やすとともに、臨任でなく正規職員での配置とするよう努力すること。


4.児童生徒がよりよい学習生活を送るための学級編成についての要求

(1) 教職員の多忙化が年々深刻になる中、子どもたちに向き合う時間が不足している。中央教育審議会も少人数学級の緊急性を答申し、政府も8カ年計画で30人・35人学級の実現を明らかにしている。ゆきとどいた教育を実現するため、教職員定数の改善と学級規模の縮小(35人学級~30人学級、定時制25人)を県独自予算で計画的に実現すること。
  教員配置をともなわない神奈川県の「研究指定校方式」による全学年35人学級は、県民からみると神奈川は全学年35人学級が実現しているように受けとるのが普通である。年度進行で教員を配置しての35人学級の学年を増やしていくこと。


7.県立高校再編・条件整備・入試改革・就学保障に関わる要求

(1)「県立高校改革実施計画」については、子どもたちの希望と実態、学校現場の実態を直視し、当該の教職員や生徒・保護者の意見を反映させて高校教育充実を図ること。
  「県立高校改革実施計画」については、子どもたちの希望と実態、学校現場の実態を直視し、当該の教職員や生徒・保護者の意見を反映させて高校教育充実を図ること。
① 「県立高校改革実施計画」第Ⅰ期計画で4校、第Ⅱ期計画で4校が減ることになった。第Ⅲ期計画では、これ以上の高校を減らすことなく、すべての県立高校を1学年6~8学級の適正規模の学校とすること。

② 「県立高校改革実施計画」による県教委による「指定」をやめ、各校の生徒に実態にあった自主的な学校運営を保障すること。

(2)インクルーシブ教育実践推進校について
① 教育環境の整備、教科指導・教科外指導などを含め、「合理的配慮」を保障したインクルーシブ教育を行なうために、十分な予算を確保すること。

② 教育の質を落とさずに普通科教育を実施するために、1クラスを20名程度とすること。また、特別募集の生徒の在籍するクラスのすべてに、教員を県単独で1名加配すること。

③ 高校卒業後の進路をほしょうするための配慮(インターンシップ)を特別支援学校並みに実施すること。

④ 特別募集の対象となる生徒については、入学希望者の全員入学を保障すること。


(3)公立高校入学定員枠と中卒者の進路について
 
国連子どもの権利委員会は2019年2月、「子どもが。社会の競争的な性質によって子ども時代および発達を害されることなく子ども時代を享受できることを確保するための措置をとること(生命、生存および発達に対する権利)」』を日本政府に勧告した。教育における競争主義の弊害を指摘する勧告は、1998年以降、2004年、2010年と3回なされており、この勧告は4度目となる。
  神奈川では、その否定的影響が、不登校、暴力、いじめ、中途退学などと顕著に実体化し、全国で最も過酷な高校入試問題が義務教育全体、子どもたちの人格形成に大きな影響を与えていることを重視して、以下の改善を図ること。

① 県は学費補助(年収590万円生徒にはほぼ全額免除)を近都県並み(東京都700万円、埼玉県610万円)に引き上げて、希望する子どもたちが私学を選べるように条件を整備するとともに、公立全日制高校の定員を増やし、当面、1999年度策定の「県立高校改革推進計画」で掲げた最低目標値の全日制高校計画進学率93.5%の達成をめざして条件整備を図ること。

 ② 知事が主宰する公私立高等学校設置者会議は14年を経過して、当初県民に約束した進学率の目標からは大きく後退しているが、学費補助増額で改善できる見通しが立ってきた。これまでの体制を大幅に改善し、現在オブザーバー参加とされている、現場を一番よく知っている中・高教員代表、PTA代表を中心メンバーとし、高校生、中学生の意見表明も保障する組織に再編すること。

③ その年度の高校募集定員計画にその年度の中学校の進路希望調査を活用できるように、その調査を5月と現行10月の2回実施すること。

④ 様々な問題を抱えている生徒が多く入学する定時制高校の学級定員を現行35人から段階的に縮小させ、国際水準の20人定員をめざすこと。

⑥ 毎年数百人の子どもたちが進学も就職も決まらないまま中学を卒業している。さらに、高校1年生の中退者(17年度)も全日制706人、定時制308人、通信制344人と、1358人を数える。その多くは、16、17歳でドロップアウトや家庭内の引きこもりなどを強いられていると心配される。貧困の世代継承を断つ政策の観点からもこの問題を重視して、その後の子どもたちの生活実態を追跡調査し、それらの子どもたちを生みださない抜本的対策を県民とともに検討して実施すること。


(4)高校入試について
①入学試験問題が難しくなる傾向がある。差をつける学力競争ではなく、それぞれの高校の学習に必要な基礎学力をみる問題とし、子どもたちへの心理的、肉体的加重負担を解消し、義務教育の競争主義の最大の原因となっている弊害を排除すること。

② 学区のあり方を慎重に再検討すること。当面、全県一学区制によって高額になる交通費に対する補助制度を創設すること。

③ 現在の入試制度は、調査書、学力検査、面接などの重点化比率を最大3倍まで各高校で決められ、教科ごと重点化比率も2倍まで各高校で決めることができる。子どもたちから見ると重点の置き方が高校ごとに異なる複雑な入試となっている。もっと単純化してわかりやすい制度にすること。それは各学校に多様な生徒が集まり、相互に創造的な活動を高め合う力ともなる。

④ 全員面接は、自己肯定感を抑えて「望まれる人間像」への人間改造が迫られることが心配され、子どもたちに道徳主義を押し付ける危険性がある。また、内気な子や不登校の子などにとっては人前で表現すること自体が精神的プレッシャーになるなど子どもの負担が大きい。面接官の高校教諭の負担も大きく、先生方から面接で差をつけられないので意味がないという声もある。面接の一律実施をやめること。

⑨ 定時制高校の入学試験を全日制高校と同様に1回にすること。これによって入試期間の短縮ができる。現在は、2次募集の入学試験の合格発表日は3月28日となり、新年度の時間割や持ち時間が決まるのは4月中旬となっている。また、全日制高校不合格者の入学試験の再度の機会は、各定時制高校の2次募集で十分である。


(5)定時制高校の充実について
① 経済格差の拡大・貧困化の拡大を考慮し、かつて制度化した定時制高校の給食費や教科書代への補助について、無償化に向け充実すること。

② 県の回答で、「全日制・定時制の併置校については、全日制と定時制で図書を共通利用できることから、全日制単独校と同じ予算を配当しております』とあるが、全日制と定時制の生徒では読書傾向に差があり、単独校と同じ予算では十分な数の図書を購入できない。全定併置校については、図書費の増額を行うこと。

③ 夜間定時制給食は、経済困難が深刻化する中で、若者の健康と体力維持増進、食育の観点からもますます重要になっている。現行制度を見直し、給食制度を復活すること。

④ 県の回答で、「全日制・定時制の併置校については、全日制と定時制で図書を共通利用できることから、全日制単独校と同じ予算を配当しております』とあるが、全日制と定時制の生徒では読書傾向に差があり、単独校と同じ予算では十分な数の図書を購入できない。全定併置校については、定時制利用として県費図書費を50万円増額すること。

⑤ 夜間定時制においては、全日制に比べて臨任や非常勤の比率が高い。また、不登校、障がい(身体、知的)、病弱、家庭の経済困難、複雑な家庭事情、日本語に不自由、日本社会に不慣れなどの配慮を必要とする生徒の増加や取り出し・TT授業や複数担任制の導入など、夜間定時制の生徒の状況を踏まえ、クリエイティブスクールやインクルーシブスクールと同様に専任教員の配置をさらに増やすこと。

⑥ 生徒がいる時間帯であっても、専任の事務職員が配置できていない状況を改善するため、夜間定時制専任の事務職員、現業職員、司書を配置すること。

⑦ 定時制には様々な配慮を必要とする生徒が多い現状をふまえ、定時制高校にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を図ること。

⑧ 夜間定時制の適正な学校規模は、1学年2学級以下とすること。


(6)修悠館通信制高校の学習環境充実について
① 不登校が1万人近い実態がつづいている。義務教育を修了して模索するなかで高校教育に移る高校1年生は、自分を主体的にとりもどすチャンスである。修悠館高校に対する期待も高い。その子たちの条件に合わせて、寄り添う指導がもとめられている。そのためには法定数にとらわれることなく、「毎日通える」という条件に合せて教員数を増員して、遅れを取り戻して成長できる条件を整備すること。
 子どもたちは広域通信制のように毎日学校に通って、個々の状況に応じてわかるように教えてもらえることを期待している。複雑な条件を抱える中卒者が増えている実態を重視して、県の特別措置として、少なくとも定時制高校並みの教員配置をして、遅れを取り戻して頑張ろうとする子どもたちの期待に応える条件整備をして、再生の機会を制度化すること。

② 毎年一校で数百人の除籍者・退学者の実態は県民保護者に大きなショックをあたえている。この原因をどのように分析しているか。また、これを改善するためにどのような施策を講じるか明らかにすること。

③ 修悠館高校の2018年度の志願者、合格者、入学者、タイプごと履修状況、履修届を提出しない生徒数、退学者数(17年度)を示し、その理由も明らかにすること。

④ 「残す」との県民に約束をし、施設も残っている湘南高校、平沼高校の通信制課程を、不登校生徒のニーズに多面的にこたえる施策として、小規模通信制として再開すること。

(7)高校生の就学保障・経済的支援について
① 学費の公私格差を縮小するとともに、学費補助制度の大幅な拡充・増額を図ること。公私立高校への入学に「入学支度金制度」を新設すること。 

② 経済的支援について、生徒及び保護者、教員によく知らせること。
 
③ 大学・短大・専門学校に進学を希望し合格しながらも経済的な理由で進学をあきらめる高校生が増えている。県として入学時納入する支援金制度を検討すること。


以下、省略

トップ(ホーム)ページにもどる