2002年12月6日



  緊急県民討論集会 「子どもたちに高校教育の保障を」

  横浜弁護士会の勧告を受け、

「定時制高校の灯を守り、高校教育の保障を」と討論


  11月30日、横浜弁護士会が定時制高校の募集停止措置は憲法、教育基本法に違反するとして、横浜市長に再検討を求める勧告を出したことを受けて、市民、県民による緊急討論集会「子どもたちに高校教育の保障を」が、横浜市内で開かれた。

  当日は、定時制高校の卒業生や父母、教職員、県民約60人が参加し、「勧告を生かして、定時制高校の募集再開を勝ちとり、高校教育を希望する子どもたちすべてに高校教育を保障していこう」と話し合われた。

  初めに、緊急討論集会の実行委員会を代表して、弁護士会に人権救済を求めた「横浜市立定時制高校の灯を消さない会」会長が開会のあいさつを行った。その後、「神奈川県教育運動連絡センター」の加藤氏が、「03年度高校入学定員計画の問題点と高校統廃合問題」というプリントをもとに、今年度の混乱を踏まえて一部入学定員の公立枠が拡大されたものの、きわめて不十分であると報告した。

  次に、「かながわ定時制教育を考える会」の会員で、横浜にある県立高校定時制の教員から、昨年の入試後の定員拡大、それにもかかわらず20〜30人ほどの不合格者を出さざるをえなかったこと、またかなり遠方から生徒が通ってきていること、横浜の子が小田原などにも通っていること、そしてクラスの生徒数があまりにも多かったため、定時制の良さを発揮できていないクラスがあることなどが報告された。さらに、県教委が来年、希望ヶ丘高校や翆嵐高校、湘南高校に1クラス増を強制してきているため、定時制の大規模化がすすみ、問題が多いと指摘した。

  その後、「神奈川高校教職員連絡会」に所属する、県立高校全日制の教員が、県の県立高校再編計画の問題点、特に後期計画では県立高校を統廃合させてはいけないと述べた。

  ここで、横浜弁護士会の弁護士さんが討論集会に駆けつけ、弁護士会が出した「勧告」の内容について、詳しい報告と説明が行われた。今回の勧告は、これまでに大阪や東京の弁護士会が出した勧告に比べて、短い期間でまとめ上げたという点だけではなく、市教委の制度変更に対する根拠を詳しく、事実を持って反論し、明確に憲法、教育基本法違反であると断じていることに加え、子どもの権利条約違反であるということを初めて盛り込んだ点で、画期的であると強調された(「勧告」の詳しい内容については、「勧告書」を参照して下さい)。

  この後で、横浜市立定時制高校の教員から、市立定時制高校の統廃合の経過と昨年度の入試をめぐる問題が報告された。さらに、来年度高校入試を控えている父母や、今年度の入試を経験した保護者から、入試制度や入学定員をめぐる不安や思い、自らの苦しかった体験などが出された。

  今回の討論集会は、「我が子に希望する高校教育を受けさせてやりたい」という父母の切実な思いが伝わる集いであった。今後は、今回の弁護士会の「勧告」を大いに、市民、県民に知らせ、この「勧告」を生かし、横浜市に対しては計画を再検討させ、港や横浜商業を募集再開するように、川崎市に対しては定時制統廃合案を撤回するように、県に対しては「後期計画」で県立高校を統廃合しないように働きかける運動を、大きく拡げていくことが求められる。

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