200011月23
 1021日に行われた「中陣先生の不当配転取り消しを求める裁判を支援する県民の会」(略称「中陣訴訟を支援する会」)発会式における商工高校卒業生のあいさつを資料として紹介します。

卒業生からのあいさつ
 神奈川県立商工高校定時制 卒業生


 私は昭和42年に田舎から、いわゆる「金のタマゴ」として出てきて神奈川県内に就職し、それと同時に県立商工高校定時制に入学しました。最初の頃は、右も左もわからず「働きながら学ぶ」という大変さを感じながらの毎日でした。
 しかし、3年も過ぎるとその生活リズムになれ、4年生の時には「有意義な高校生活を送りたい」という気持ちから生徒会活動に専念するようになりましたが、当時県立商工高校は生徒の根幹に関わる問題をたくさんかかえており、思い悩むこともありました。そんな学校のなかで、同郷のよしみもあってか、中陣先生には生徒会のあり方などについて的確なアドバイスをいただいたりして、試行錯誤しながらも問題を解決させ、私も無事に卒業することができました。
 その後も、中陣先生と親しくしていただき、今思い出しますと、私の人間形成の節目でいつもお世話になっていたような気がします。
 音楽に興味を持った私に、わざわざ秋葉原まで行って、重たい10枚入りLPレコードを買っていただいたこと。恋人を紹介するため先生の家に遊びにお伺いした時、まだ独身であった先生が特上の鮨であたたかく迎えてくださったこと。
 特に感謝したいのは、私の息子が私立高校2年生の途中で「学校をやめたい」と言い出したときには、目の前が真っ暗になり、どうしたらよいものかと中陣先生に相談したところ、「あまり細かいことは言わずに、本人を静かに見守る態度で接し、じっくり観察するような姿勢でのぞんだら」という助言をいただいたことです。その甲斐があってか、息子は定時制に転校し、体育祭では率先して応援団長をしたり、文化祭では演劇部の出し物で「爺さん役」で好演したり、充実した学校生活を送るようになりました。
 そうしたある日、中陣先生から今回の教育委員会の不当配転人事のお話をお聞きし、夜勤明けの日に送られてきた資料と裁判での陳述書を読ませていただきました。特に陳述書を一読したときに、自分が今までに「県立商工高校定時制を卒業しました!」と胸を張って言えなかった心のわだかまりが一気に押し流され、涙となって出てきました。こんな私の様子に気がついた息子にも陳述書を読ませたところ、「お父さん! 今、学校にこんな血のかよった先生なんかいないよ!」と言い、親子が同じ思いで感動した一日でありました。
 皆さん、中陣先生は今述べましたように、常に生徒の立場で物事を考え、行動されてきた先生です。
 平塚商業高校定時制での「修学旅行直前中止事件」でも「いろいろな家庭の事情をのりこえてきた4年生に修学旅行の思い出」と、生徒や父母の立場に立って全力投球で対応されたと聞いています。それなのに、神奈川県教育委員会は報復人事で中陣先生を強制異動させました。しかも、「県立高校異動要綱」のルールまでも無視した恣意的な配転ということですから話にもなりません。民間ではこんな人事はよくあるので、この人事異動の性格は十分わかります。
 最後に、私は将来の夢として、息子たちが家庭を築き、やがてできるであろう孫たちには、落ちついた教育環境で育ってほしいという願いがあります。しかし、今回のような恣意的な人事がひんぱんに起き、先生方が落ちつかない教育現場になっていくようで、神奈川の高校教育に対する深い憂慮の念に耐えられません。
 皆さん、中陣先生の「不当配転取り消し」を県民レベルで求め、落ちついた教育ができる神奈川の教育にしていきましょう。
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