2001年12月14日

  以下に、「よこはま定時制父母の会」による、横浜市教育委員会に対する「市立定時制高校の募集停止の中止を求める請願書」を資料として掲載します。この請願書にもとづき、11月13日「父母の会」代表が教育委員会臨時会議において、意見陳述を行いました。

平成13年9月4日



横浜市立定時制高校の募集停止の中止を求める請願書



横浜市教育委員会委員長 様

請願者     よこはま定時制父母の会代表




  貴職(教育委員6名)が、日頃「開かれた教育行政」の推進のために尽力されていることに敬意を表します。
 「横浜市教育委員会会議規則」にもとづき、次の通り請願いたします。

  直近の教育委員会にて、迅速かつ慎重に審議し、結果を通知してください。
  なお、これらの件については、2名で意見陳述を申し立てます。


【請願の趣旨】

@「横浜市立高等学校再編整備」計画による定時制高校の統廃合は、定時制生徒および定時制に入学を希望する人々の学習権の侵害にあたるので計画を見直してください。

A2002年度ならびに2003年度から実施される定時制高校4校(港高校、横浜商業高校、横浜工業高校、鶴見工業高校)の募集停止を直ちに中止してください。


【請願の理由】

@定時制統廃合の理由の一つに、少子化による生徒減をあげていますが、ここ数年間の定時制の志願者は毎年500人を超えています。また、定時制高校5校で1500人の生徒が学んでいます。昼間の学校のあり方が根本的に是正されない限り、これからも増え続けると予想される不登校者、高校中退者の受け皿の役割を定時制が担っているからです。今後、定時制高校を希望する生徒は増加すると考えられます。それを半分の280人定員枠の三部制高校1校に統廃合することは明らかに無理があり、乱暴な計画です。

Aこの計画は不登校者、高校中退者の急激な増加の原因の多くが9年間の義務教育、全日制高校の過激な競争原理にあるという世論の指摘を無視し、それらの生徒の受け皿である定時制高校を大幅に縮小させようとしています。その結果、今まで意欲ある人を全て受け入れてきた定時制高校に競争原理を取り入れ、学びたい意志を持ちながら様々な事情で全日制高校に通えなかった子どもたちの最後の場所である定時制高校での学習の権利を奪うものです。これは明らかに切り捨て行為であり、「子どもたち一人ひとりを大切にした教育を進める」横浜市の「ゆめはま教育プラン」に反するものです。

B三部制高校(午前、午後、夜間)の役割もあるとはいえ、小学校、中学校、高校で昼間の学校になじめなかった不登校者や中退者にとって現行の定時制高校で「働きながら学ぶ」教育的意義がいま見直されています。また、現在定時制に通っている大半の生徒は夜間の充実を求めています。「昼間働き夜学ぶ」定時制本来の性格上、更に、その利点を生かすため定時制高校は小規模でも各地に点在させるべきです。5校を1校に統廃合することは意欲ある多くの働く学生を通学不能においこんでしまいます。

C不登校者、中退者、障害を持った子どもや保護者にとって「定時制高校で救われた」というのが正直な気持です。それがのべで5万筆以上の「定時制統廃合見直し」の請願署名に表れています。果たして、こうした様々な市民の反対表明は、教育行政担当の事務方止まりで教育委員各位の耳にまで届いているのでしょうか?

  選択肢の一つとして「単位制」総合学科高校を否定しませんが、現在定時制に通っている上記の生徒を考えた時、生徒と教師が親密な関係を持てる現在の学年制・学級制の定時制高校を存続させる必要があります。

D教育行政はあくまで市民のニーズに応えて、全ての学ぶ意志を持つ者を受け入れ得る学校の設置に努める義務があります。しかし、現状は小、中学校においては不登校が、高校においては中退が激増し、学校離れが進行している現実を謙虚に受け止めることを怠り、更に選別、排除しようとしています。いかに良心的に教育条件を整えても、市民の側に学校を選ばない自由はあっても、行政の側に切り捨てる権限などあってはなりません。

  定時制の高校は教育行政と学校現場がつくり出して犠牲者を救済してきたといえます。ところが、その大きな意義、功績を認めるどころか、いま根こそぎ捨て去ろうとしています。これは横浜だけの問題ではありませんが、この重大な過失に全ての教育関係者は気づいていただき、定時制の統廃合を直ちに見直してください。


同じ教育委員会臨時会議で、定時制生徒が行った意見陳述も参照して下さい。

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