2000年11月4日
中陣唯夫さんの不当配転撤回を求める裁判を傍聴して
県立高校定時制教員
9月21日、横浜地裁で、中陣唯夫さんの不当配転撤回を求める(人事委員会の門前払いの取り消しを請求する)裁判の第一回公判が開かれました。法廷は、3人の裁判官、原告(中陣さん)と野村・岡田弁護士、人事委員会の給与公平課の職員3人と弁護士1人、傍聴者20数名という陣容で、進められました。
中陣唯夫さんの教師としての原点が語られた冒頭陳述
裁判は、中陣唯夫さんの冒頭陳述から始まりました。
中陣唯夫さんは、34年間、3校の定時制に勤務してきたこと、初任当時の定時制に対する社会認識は、家族から「世間体が悪いから早く全日制に移れ」と言われるようなものであったこと、その中である生徒の「どうせ先生もすぐ全日制へ行くんだろう」の一言が教師生活の方向づけを決めたこと、そして様々な生徒との出会いを切々と語りました。
さらに、こうした生徒たちのその年齢には重すぎる、両肩に背負っているものを通して、またそれに対する彼らの思いを推し量ることを通して、自分の背筋を正してきたこと、夕食を一緒にとれない生活を家族に押しつけることに悩みながらも、定時制から離れることができなかったこと、定時制が教育再生の場として近年注目されてきていること、を語りました。
教育労働者の人権は、その人の権利だけにとどまらない
これを受けて、野村弁護士が「措置要求を門前払いした人事委員会は、公務員の労働基本権制約の代償機関としての役割を果たしていない。最高裁判決の存在を指摘し再考を求めたが、その姿勢に全く変化がない」と述べました。
続いて、岡田弁護士が「人事異動要綱」は、労働協約に相当するものであり、それに準ずる扱いがなされるべきである。教育労働者の人権は、その人の権利にとどまらず、子どもたちの教育に影響するからこそ大切にされるべきである」と迫りました。
被告側は、何の発言もしませんでした。
終了後の神奈川高教組の決起集会で、30数年前の不当配転の当事者だった中島弥平さんと、山本・佐久間を守る会の事務局長だった長谷川登一さん(お二人とも、元県立高校教員)が、激励の発言をされたことが心に残りました。
今後の公判では、傍聴席を埋めつくして、県教委への怒りを表そうではありませんか。
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