2020年2月6日
「第50回全国臨時教職員問題学習交流集会inちば」報告 まさに“教育に臨時はない”を実感させる闘い
8月10日〜12日の日程で千葉県は船橋市々内で「臨時教職員制度の抜本的改善を求める全国連絡会(全臨教)」主催による臨時教職員問題学習交流集会が開催された。
全臨教の闘いの歴史はほぼ半世紀を重ねている。1960年代にすでに必要な正規教員数を確保せず、その不足を特に若い臨時教員で補っていた高知県教育行政の不当性に、臨時教員が告発に立ち上がったのがその始まりである。
70年に「全国臨時教員制度を告発する青年教師の会」が誕生する。そして第一回の「学習交流集会」は、71年の東京での「全国教研集会」の開催期間中に開かれる。それから今回まで毎年夏に、北は青森から南は沖縄まで全国的に開催している。
闘いで培われた底力が、堅実でのびやかに花開いている集会
集会のテーマは「語ろう!学ぼう!つながろう 〜正規が当たり前!!安心して学び、働ける社会を〜」。目的は、「〇臨教職員制度の改善の教訓とか課題の検討 〇新年度の改正公務員法の実施に向けての取り組み、処遇の改善 〇経験交流と臨時教職員相互の連帯 〇教職員採用制度の改善と検討の要求と提言〇こどものための保護者も巻き込んだ学校総ぐるみの取り組み 〇各分野の全国的な連帯の輪の追求(要約)」である。
全国から約300名の参加。とても紙幅の関係で書けないが、厳密には丸二日の集会で、主催者代表のあいさつや「臨教問題入門講座」、多彩な分科会の討議や写真がA4の「速報」として21まで発行されるのには舌を巻く。この集会では、クラスづくりや教科の実践報告、また教採対策講座など手厚い分科会がずらりと展開されていた…。
臨教職員問題の放置は、公教育の崩壊につながる
教育には金をかけない―、戦後政治を仕切ってきた保守政権は、これを国政の「原理」であるかのように、施行73年たっても憲法第26条の「義務教育は無償」さえも実現していない。
教員の非常勤化も人件費の安上がりの手段として重宝されてきた。―この詳細については、前号の『ニュース』<教員の長時間・過密労働をどう考え、立ち向かうか(V)>またはHP参照。
結果は深刻で、「教育に穴が開く」という非常勤講師の払底がある。データに見てみよう。
全国 全公私立各種学校で任用されている職名「講師」数と割合 『学校基本調査報告書』
( )は公立校のみの割合
調査年度 講師数・割合 小学校講師割合 中学校講師割合 2000年度 12万0622人・11.1% 4.7% 9.3% 2018年度 19万1155人・16.5% 11.6%(11.4%) 14.6%(12.6%) 本県の県立高校でも、78歳のOB教員が要請されて週12時間の非常勤講師を勤める事例が出ている。
国民的課題となっている、現場の人的態勢の抜本的な改善を
いよいよ2017.年5月に成立した「地公法及び自治法の一部改正の法律」(略称)をもとに、この秋に各自治体で非正規公務員の処遇見直しの条例に改定、新年度「会計年度任用職員制度」が施行される。
しかし、全臨教会長の山口正氏は国の姿勢を叱咤しつつ、ポイントとして@自治体が国に関係の財政措置をきちんと求める、A任用職員の期末手当の公正な支給、B持ちコマ数でなく勤務時間を設定して処遇すること、C同一労働同一賃金の原則の具体的確立、の四点を指摘する。
教員の定数増とともに「多忙化」の解消は、このポイントの完遂にかかっている。