2017年12月19日


【来年度生徒募集計画】

目標値91.1%(公立42700人、私立14500人)では 埼玉93.7%、千葉94.7%並みの改善にはほど遠い

公立募集枠を増やし、私学学費補助制度の大幅改善で
1999年に県が約束した93.5%の早期達成を




 来年度の生徒募集計画を協議する神奈川県公私立高等学校協議会(設置者会議の下部協議組織)が8月2日と25日、神奈川県公私立高等学校設置者会議(県市各教育長と私学協会、知事参加)が9月7日開催され、来年度の全日制進学率の目標値は91.1%と、今年度の目標値と全く同じ数値で合意しました。

 しかし、今年の春は90.7%と昨年に比べて0.2%低下しています。公立枠の増加や私学学費補助制度の大幅改善など新たな施策のないこの計画では来年の全日制進学率を向上させることは望めません。2017年春の入試では私学への進学が伸び悩んでいます。

 まず公立枠を大幅に拡大し、「県立高校改革推進計画(1999年)」で県が約束した93.5%を達成して、埼玉、千葉並みの進学率に近づける計画が求められます。


全日制進学率90.7%  昨年に比べ0.2%も低下

 2011年に88.0%と過去最低を記録した全日制進学率は、「公立60%枠」の見直しなどや、国の「高等学校授業料無償化」その後の「高等学校等就学支援金」「高校生等奨学給付金」などの制度改善もあり、少しずつ向上してきました。

 しかし、今年の春は昨年の「公私協議会」・「設置者会議」で設定した目標の91.1%を大幅に下回る90.7%と、昨年実績の90.9%から0.2%も低下し、新たな事態が起きています。これまで続けてきた「公私協議会合意」の「改善策」に限界が来ていることを示しています。


全日制進学率93.5%を求める請願書を提出
             県は「求める方向は同じ」としながら「不採択」に

 「かながわ定時制・通信制・高校教育を考える懇談会」」は7月、県教委と設置者会議あてに請願書を提出し、8月2日公私協議会、8月8日県教育委員会議で意見陳述も行いました。

 請願について、県は「全日制進学率の向上を目指すという点では、県教委の考える方向と同趣旨である」としながら、「現在の定員計画策定方式で一定の効果がある」として請願を不採択とし、進学実績の低下や希望率の低下を踏まえた新たな施策の検討をしませんでした。


公立希望80.7%に対し入学は62.1%  まだまだ足りない公立募集枠

 昨年10月中学3年生におこなった進路希望調査では、全日制高校への希望が91.5%と、前年度の92.4%に比べて0.9%も低下しています、その内訳は、公立0.6%減、県内私立0.2%減、県外国公私立0.2%減、となっています(下表参照)。

 県内私立については「無償化」「支援金」や「給付金」等の国の制度改善がここ数年一定の効果があって少しずつ増加してはきたものの、今後抜本的な改善がなければ伸びないことを示しています。
 いっぽう県内公立については2017年の入学実績は62.1%であり(下の表参照)、希望率の80.7%を大きく下回っています。希望者を受け入れ、全日制進学率を高めるためにも公立枠の拡大が必要です。






全日制希望率が0.9%も低下(上記表参照) いまの県の政策に誤りはないのか

 県内公立を希望する生徒が前年比で0.6%も低下したということは、きわめて異常な事態です。高校への入学をめぐって、生徒の状況に、何か大きな変化・困難が生じていることを示しています。

 記述問題・リスニングテストの導入などで高校入試のハードルが高くなっていないか、高校改革によってゆとりのなくなった県立高校が中学生から見てどうなのか、生徒の家庭の経済状況・学費負担はどうなのかなど、生徒を取り巻く状況について、十分な調査と検討が必要です。

 生徒・保護者の要求に合った高校入試・高校教育の改善の中身が問われています。

トップ(ホーム)ページにもどる